VIII. Choose Once Again
もう一度、選択しなさい
1. Temptation has one lesson it would teach, in all its forms, wherever it occurs.
- temptation [temptéiʃən] : 「誘惑、衝動、誘惑物」
- teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ、姿」
- wherever [hwεərévər] : 「どこへ〜しても、どこで〜であろうとも」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "Temptation has one ~ "「誘惑には、それが教えようとする一つのレッスンがある」。"in all its ~ "「どんな形をとろうが、どこで起きようが」。ACIMで言う誘惑とは、幻想に留まろうとする衝動であるから、誘惑がどんな形をとろうが、どこで起きようが、その誘惑は、あなたが幻想にどっぷり浸(つ)かりきって、そこから抜けようとしない、という事実を教えている。具体的には、次の文章。
It would persuade the holy Son of God he is a body, born in what must die, unable to escape its frailty, and bound by what it orders him to feel.
- persuade [pərswéid] : 「説得する、説得して〜させる、信じ込ませる」
- holy [hóuli] : 「神聖な、聖なる」
- born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する」
- die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
- unable [ʌnéibl] to do : 「〜することができない」
- escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
- frailty [fréilti] : 「弱さ、もろさ」
- bound [báund] : 「bindの過去・過去分詞形」
- bind [báind] : 「縛る、結び付ける」
- order [ɔ́ːrdər] : 「〜を命令する、命じる、指図する」
- feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
❖ "It would persuade ~ "「誘惑は、神聖な神の子に、彼は肉体であり、死すべきものとして生まれ、脆(もろ)さから逃れることは出来ず、肉体が彼に感じさせるものによって縛りつけられている、と信じ込ませようとしている」。誘惑は、そのほとんどは、肉体的な欲を満足させたいという衝動である。肉体こそが実在である、という前提に立ってこそ、誘惑は存在する。したがって、肉体的な感覚器官が知覚する感覚から逃れることは出来ず、もちろん、肉体のもつ脆弱性、つまり、傷つきやすさ、病、そして死から逃れることも出来ない。
It sets the limits on what he can do; its power is the only strength he has; his grasp cannot exceed its tiny reach.
- limit [límit] : 「限度、制限」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力」
- grasp [ɡrǽsp] : 「把握、理解、保持、支配」
- exceed [iksíːd] : 「超える、上回る、突破する」
- tiny [táini] : 「とても小さい、ちっぽけな」
- reach [ríːtʃ] : 「届く距離、届く距離」
❖ "It sets the limits ~ "「肉体は、神の子が出来ることに限界を設ける」。神の子は、肉体が出来ること以上のことは出来ない。つまり、"its power is ~ "「肉体のもつパワーだけが、神の子のもつ力であり、」"his grasp cannot ~ "「肉体の手が届くちっぽけな範囲を越えて(何かを)把握することは不可能なのだ」。もっとも、この世界では、その肉体のもつ限界に挑戦することが美化されて、各種のスポーツが成立するわけで、オリンピックがもてはやされる所以(ゆえん)である。しかし、肉体のもつ限界に甘んじて、幻想の範囲に留まることは、エゴの誘惑に負けていることに変わりはない。
Would you be this, if Christ appeared to you in all His glory, asking you but this:
Choose once again if you would take your place
among the saviors of the world, or would remain in
hell, and hold your brothers there.
For He has come, and He is asking this.
- appear [əpíər] : 「現れる、出現する、登場する」
- glory [ɡlɔ́ːri] : 「栄光、称賛、名誉、誇り、壮観、荘厳」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- once again : 「またしても、再度、またまた、またもや、もう一度」
- take one's place : 「地位を占める、位置につく」
- among [əmʌ́ŋ] : 「〜の間で、〜に囲まれて」
- savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
- remain [riméin] : 「とどまる、残る、滞在する」
- hell [hél] : 「地獄、生き地獄」
- hold [hóuld] : 「とどめておく、拘束する、保持する」
❖ しかし、"Would you ~ "意訳する、「あなたは、次のような状況に置かれたら、どうであろうか」。"if Christ appeared ~ "「もし、キリストが、栄光に包まれながらあなたの目の前に現れ、次のようにあなたに頼んだら、(あなたはどうするだろうか)」。"Choose once again ~ "「あなたは、この世界の救い主としてあなたの立ち位置を確保したいのか、あるいは、この地獄の世界に、あなたの同胞を拘束しながら、留まっていたいのか、もう一度、選択しなさい」。"For He has ~ "「と言うのも、キリストはすでにやって来て、あなたに、そう頼んでいるのだ」。キリストが栄光に包まれながら現れたら、とあるが、キリストが天から降臨するという意味ではない。あなたの心の中に住まうキリストが、あなたの目に、栄光に包まれた姿で見えてきたら、という意味合いである。つまり、あなたが自身がキリストだと知ったなら、という意味だ。それでもなお、あなたはこの幻想世界に留まりたいのか、それとも、自分がキリストだと受け入れて、世界を救おうとするか。そのどちらかを、あなたは選択しなくてはならない。実相をとるか、幻想をとるか、再度、選択するのだ。キリストはすでにあなたの目の前に来ている。
2. How do you make the choice? How easily is this explained! You always choose between your weakness and the strength of Christ in you.
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく、気楽に、安易に」
- explain [ikspléin] : 「〜を説明する、明らかにする」
- always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
- between A and B : 「AとBとの間で」
- weakness [wíːknis] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性」
❖ "How do you ~ "「どうやって、あなたはこの選択をするのだろうか」。"How easily is ~ "「これを説明するのは、実に簡単だ」。"You always choose ~ "「あなたは常に、あなたの弱さと、あなたの心の中のキリストのもつ強さの間で選択しているのだ」。"your weakness"「あなたの弱さ」とは、肉体を実在だと信じる誘惑に負けてしまう弱さのとこだ。肉体的な欲に負けてしまう弱さである。"the strength of Christ"「キリストの強さ」とは、幻想を幻想として認識し、それを赦す強さである。幻想を赦して、幻想を消滅させてしまう強さのことである。心の強さだ。あなたは日常において、常に、その両者の間で選択をしている。で、大方(おおかた)は、"your weakness"「あなたの弱さ」を選択してしまっている。
And what you choose is what you think is real. Simply by never using weakness to direct your actions, you have given it no power.
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- simply [símpli] : 「造作なく、たやすく、全く、とても、本当に」
- direct [dirékt] : 「〜に〜するよう指示する、命令する」
- action [ǽkʃən] : 「活動、行動、動き、動作」
- given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
❖ "And what you choose ~ "「そして、あなたが選んだものが、あなたが現実だと思うものになる」。あなたの弱さを選択したら、肉体的な幻想があなたの現実となり、キリストの強さを選択したなら、心の実相があなたの現実になる。現実を選択するものあなたなのだ。"Simply by never ~ "「ただ単に、あなたの行動を指図する弱さを使おうとしないことによって、あなたは、その弱さに力を与えることがなくなるのだ」。つまり、肉体の誘惑に負けなけらば、肉体にパワーを与えることもなくなる。幻想に騙されなければ、幻想に力を与えることもなくなるのだ。それを選択するのは、もちろん、あなた自身である。
And the light of Christ in you is given charge of everything you do.
- light [láit] : 「光、ライト、明かり」
- charge [tʃάːrdʒ] : 「充電、帯電、電荷、監督、義務、責任」
❖ "And the light of ~ "意訳する、「そうすれば、あなたの心の中のキリストの光によって、あなたが行うことすべてがチャージ(充電)される」。つまり、あなたの行いのすべてが、キリストの光によって輝き出し、肉体の弱さを超越して、あなたは無限に強くなれるのだ。簡単に言えば、あなたの行いすべてがキリスト化される。あなたは、この世界の救い主として行動することになるのである。あなたが、キリストの栄光を発するのだ。
For you have brought your weakness unto Him, and He has given you His strength instead.
- brought [brɔ́ːt] : 「bringの過去・過去分詞形」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
- instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ」
❖ "For you have ~ " 直訳すると、「あなたの心の中のキリストの光が、あなたが行うことすべてに託されている」、「あなたが行うことすべての責任を負っている」となるが、ここは大いに意訳して、「なぜなら、あなたは、あなたの弱さをキリストに差し出し、代わりに、キリストがあなたにキリストの強さを与えたからだ」。あなたは、幻想という誘惑(あなたの弱さ)を放棄し、その代わりに、実相というパワー(心の力)をキリストからもらったのだ。チャージされたのだ。だから、あなたはキリストとして、パワフルな栄光を発し、この世界の救いの道を堂々と歩むことになる。そこには恐れはない。なぜなら、あなたには、実相的な無限のパワー(本当の強さ)が与えられたからだ。