7. Deny me not the little gift I ask, when in exchange I lay before your feet the peace of God, and power to bring this peace to everyone who wanders in the world uncertain, lonely, and in constant fear.
- deny [dinái] : 「否定する、拒否する、拒絶する、与えない」
- gift [ɡíft] : 「贈り物、プレゼント」
- in exchange [ikstʃéindʒ] : 「引き換えに」
- lay [léi] : 「置く、おろす、横たえる、寝かせる」
- before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
- feet [fíːt] : 「footの複数形」
- peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
- wander [wάndər] : 「さまよう、迷う、迷子になる」
- uncertain [ʌnsə́ːrtn] : 「不確かな、不明確な」
- lonely [lóunli] : 「寂しい、ひとりの、孤独の、孤立した」
- constant [kάnstənt] : 「不変の、一定な、持続する、絶えず続く」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ この7段落目から最終の12段落目まで、口調というか論調というか、語り口が大きく変わる。"I"と"me"と"my"を多用して、直接、イエスがあなたに語りかける。2000年前、イエスが12人の使徒を前に語った、その語り口をじっくりと味わえばいい。出来れば朗読すること。"Deny me not ~ "「〜と引き換えに、私が頼んだ(私への)小さな贈り物を、拒まないでほしい」。イエスはあなたに、小さな贈り物を要求した。その代わりに、イエスはあなたに大きな贈り物を与えてくれる。"when in exchange ~ "「私が、あなたの足下(あしもと)に、神の平和と〜のパワーを置く代わりに、」私が頼んだ小さな贈り物を、拒まないでほしい。"and power to ~ "「不確かで、孤独で、絶えざる恐れの世界を彷徨(さまよ)う者すべてに、この平和をもたらすパワー」をあなたの足下(あしもと)に置く代わりに、私が頼んだ小さな贈り物を、拒まないでほしい。あなたがイエスに返すべき小さな贈り物とは、幻想から実相への目覚めをあなたの自由意思をもって選択すること。さらに加えるなら、キリストとして生きること、同胞と世界を苦と痛みから救うこと、である。
For it is given you to join with him, and through the Christ in you unveil his eyes, and let him look upon the Christ in him.
- given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
- join [dʒɔ́in] : 「参加する、交わる、一緒になる」
- through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、〜を介して、〜に頼んで」
- unveil [ʌnvéil] : 「〜のベールを取る」
- look upon : 「〜を見る」
❖ "For it is given ~ "「なぜなら、この世界を彷徨(さまよ)う者と手を結ぶことがあなたに与えられたからだ」。同胞と一緒になって、共にキリストとして生きることが、あなたの天命、あなたの役割としてあなたに与えられた。あなたが、自由意思で選択したのだ。"and through ~ "「あなたの心の中のキリストを通して、同胞の目を覆っていたベールを取り除き、彼に、彼の心の中のキリストが見るようにしてやること」が、あなたに与えられたのだ。あなたと同胞は自他一如である。あなたがキリストに目覚めるとき、同胞もまたキリストに目覚めるのだ。あなたが他者を幻想から救うとき、他者はあなたを幻想から救ってくれる。分かち合いは拡張増大し、こうして、神の子全体が眠りから目覚めることが出来るのである。
8. My brothers in salvation, do not fail to hear my voice and listen to my words. I ask for nothing but your own release.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
- fail to do : 「〜しない、〜しそこなう、〜できない」
- hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
- voice [vɔ́is] : 「声」
- listen to : 「〜に耳を傾ける、〜を聞く」
- ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を依頼する」
- release [rilíːs] : 「釈放、救出、解放」
❖ "My brothers in ~ "「救いの中の我が同胞よ、私の声を聞き損(そん)じることなく、私の言葉に耳を傾けなさい」。"in salvation"「救いの中の」とは、今あなたが同胞を救っており、同時に同胞があなたを救っているという状況にある、ということ。イエスの声とは、もちろん、キリストとしてのイエスの声であり、ホーリー・スピリットとしてのイエスの言葉であり、神の代弁者としてのイエスの言葉、声である。"I ask for nothing ~ "「私は、あなた自身が解放されることだけを求めている」。あなた自身とは、もちろん、あなたも同胞も含め、神の子全体、という意味である。ここでは、イエスがあなた個人に直接話しかけているので、"but your own release"と表現している。『あなた』とは、どこかの誰かではない。これを今目にしているあなた自身のことだ。先ほどまでいびきをかいて寝ていて、今あくびをしているかもしれないあなた自身に、イエスが語りかけているのだ。そんなあなたに対して、イエスは、この世界の救いを、同胞と共に、リードしていって欲しいと頼んでいるのである。
There is no place for hell within a world whose loveliness can yet be so intense and so inclusive it is but a step from there to Heaven.
- place [pléis] : 「場所、個所」
- there is no place for : 「〜には余地はない」
- hell [hél] : 「地獄、生き地獄」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- loveliness [lʌ́vlinis] : 「愛らしさ、素晴らしさ」
- intense [inténs] : 「強烈な、激しい、情熱的な、熱心な」
- inclusive [inklúːsiv] : 「すべてを含んだ、包括的な、包含的な」
- step [stép] : 「一歩、歩み、段」
❖ "There is no place for ~ "「愛らしさが強さを増し、すべてを包み込むことが出来るようになったために、天の王国までもう一歩となった世界の中に、地獄のためのスペースなど、どこにもない」。地獄のようなこの世界にあって、あなたも同胞もキリストとなって、共に救いの愛を差し出すようになった。世界は、その愛で満たされ始め、麗(うるわ)しさがどんどん増してくる。あなたも同胞も、今や誰も排他しない。みんなが、同一の神の子であると知ったからだ。かくして、世界はすべてを包み込む場となった。地獄の様相は消えた。とは言え、これが天の王国というわけではない。しかし、実相世界、天の王国はもう少し先、あと一歩の所に近づいたのだ。
To your tired eyes I bring a vision of a different world, so new and clean and fresh you will forget the pain and sorrow that you saw before.
- tired [táiərd] : 「疲れた、しんどい、飽きた」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
- vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、見通し、展望」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- clean [klíːn] : 「汚れていない、潔癖な、きれいな」
- fresh [fréʃ] : 「新鮮な、未使用の」
- forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、〜を思い出せない」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛」
- sorrow [sάrou] : 「悲しみ、悲哀、後悔、不幸、苦しみ」
- saw [sɔ́ː] : 「seeの過去形」
❖ "To your tired eyes ~ "「あなたの疲れた目に、私が、異った世界のヴィジョンを見せてあげよう」。地獄の様相ばかりを見てきて疲れ果てたあなたの目に、天の王国のヴィジョン(情景)を見せてあげよう。"so new and clean ~ "「それは、あまりにも新しく、清潔で、新鮮なので、あなたは、あなたが以前見てきた痛みや悲しみを忘れてしまうだろう」。仏教的な言い方をすれば、そこは浄土ということになる。新しく、清潔で、新鮮な世界なのだ。苦も痛みも悲しみもない。幻想はすべて消滅し、真実だけが光り輝く世界である。イエスは、その天の王国、浄土世界のヴィジョンをあなたに見せてくれると言う。
Yet this a vision is which you must share with everyone you see, for otherwise you will behold it not.
- share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する、共に味わう」
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
- behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
❖ "Yet this a vision is ~ "「しかし、このヴィジョンは、あなたが目にするすべての人達と分かち合わなくてはならないヴィジョンである」。"for otherwise ~ "「なぜなら、さもなければ、あなたはそのヴィジョンを見ることはないだろうからだ」。あなたが、排他的に、独占的に、天の王国を見ようとしてはいけない。あなたと同胞は自他一如であり、あなたの目を通して同胞はヴィジョンを見、同胞の目を通してあなたはヴィジョンを見るのである。いわば、浄土世界のヴィジョンを、神の子全体で分かち合うのだ。分かち合うことで、ヴィジョンは拡張増大する。天の王国の大パノラマが壮大に展開することとなる。
To give this gift is how to make it yours. And God ordained, in loving kindness, that it be for you.
- ordain [ɔːrdéin] : 「定める、命じる、運命づける」
- loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、愛情がある、愛情あふれる」
- kindness [káindnis] : 「親切、思いやり」
❖ "To give this gift ~ "「この贈り物を与えることが、そのヴィジョンをあなたのものとする方法である」。"To give this gift"「この贈り物を与えること」とは、天の王国のヴィジョンを他者に与えること。排他的にならずに、同胞と共に、天の王国のヴィジョンを見ようとすること。その選択を、あなたが自由な意思をもって選んだとき、あなたは、天の王国のヴィジョンを見ることが出来る。天の王国への入城の切符を手に入れることが出来るのである。"And God ordained ~ "「神は、愛に満ちた優しさをもって、そのヴィジョンがあなたのものになるようにと定めたのだ」。ここの"it"を、天の王国のヴィジョンと解釈して訳してみたのだが、天の王国そのものであると解釈してもいい。天の王国は、神のみが住まう場所ではない。神が、神の子のために用意した安住の場所なのだ。あなたの故郷であり、帰り着くべき唯一の家である。そのように神は定めたのだ。あなたは、天の王国への回帰を運命づけられているのである。それに気付き、受け入れ、選択すること、そこからすべてが始まるのだ。