11. The simple way to let this be achieved is merely this; to let the body have no purpose from the past, when you were sure you knew its purpose was to foster guilt.
- simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
- achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する、実現する」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- past [pǽst] : 「過去、昔」
- sure [ʃúər] : 「確信して、確信している、固く信じている」
- foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、養育する、育成する」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "The simple way to let ~ "「これが成し遂げられるための簡単な方法は、単に次のようにすることだ」。"this"「これ」とは、誰からも攻撃されることのない、永遠に健やかで、愛らしい肉体を獲得すること。肉の塊という幻想の肉体を消滅させ、精妙な想念の肉体を出現させること。"to let the body have ~ "「肉体に、過去からの目的をもたせないようにすること」。"when you were sure ~ "「と言うのも、過去にあなたは、肉体のもっている目的は罪を育てるものだと確かに知っていたのだから」。肉体から、罪の助長という古い過去の目的を払拭して、実相世界へ目覚めるための道具という新しい目的をもたせるのである。
For this insists your crippled picture is a lasting sign of what it represents.
- insist [insíst] : 「〜を強く主張する」
- crippled [krípld] : 「手足の不自由な」
- picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画」
- lasting [lǽstiŋ] : 「長続きする、耐久力のある、永久の、永続する」
- sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、表れ、兆し、兆候、印」
- represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "For this insists your ~ "「なぜなら、肉体のもつ過去の目的は、あなたの欠陥だらけの絵図が、絵図の主張することの印をいつまでも保とうと強いるからだ」。"your crippled picture"「あなたの欠陥だらけの絵図」とは、ホーリー・スピリットの描く、完全に無辜(むこ)で美しい肉体ではなく、十字架に架けられた傷だらけの、罪を背負った肉体の絵図、ということ。"sign of what it represents"「絵図が表現することの印」とは、肉体が罪の象徴となっているということ。肉体は、神の子が自分の罪の重さに耐えかねて、自己乖離した結果として、生み出された幻想である。罪が実在すると信じている限り、肉体は罪の存在を証言する象徴となってしまうのだ。本文は、そういう、あなたが描いた負のイメージの肉体の絵図を、いつまでも温存させてはいけない、ということ。
This leaves no space in which a different view, another purpose, can be given it. You do not know its purpose.
- leave [líːv] : 「〜を残す、置きっぱなしにする」
- space [spéis] : 「余地、空間、スペース、場所」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- view [vjúː] : 「意見、見識、考え、物の見方、見解、光景、景色」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "This leaves no space ~ "「肉体をこんな風に見ることは、それとは異なる見方をするための余地を与えないのだ」。"another purpose ~ "「つまり、肉体に与えられ得る、また別の目的の余地がなくなるのである」。もっとも、まだ今は、"You do not know ~ "「あなたは、肉体のもつ(また別の)目的を知ってはいないのだが」。肉体が罪の意識を助長という見方以外に、実相世界へ目覚めるための道具という新しい見方があるのだ。
You but gave illusions of a purpose to a thing you made to hide your function from yourself.
- gave [géiv] : 「give の過去形」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き」
❖ 知らないどころか、"You but gave illusions of ~ "「あなたの(本当の)役割をあなた自身から隠すために、あなたが作り上げたものに対して、幻想の目的を与えてしまったのだ」。肉体は、幻想世界からの解放を手助けするための道具なのだが、そして、それを実行することがあなたの役割なのだが、あなたは、肉体を攻撃のための道具とし、数々の欲を満たすための道具としている。あなたは、肉体のもつ実相的な目的をあなた自身に隠すために、そんな幻想の目的を肉体に与えてしまったのだ。
This thing without a purpose cannot hide the function that the Holy Spirit gave.
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "This thing without ~ "「(本当の)目的をもたない、こんなことは、ホーリー・スピリットが与えた役割を覆い隠すことなど出来はしない」。肉体を攻撃のための道具とし、数々の欲を満たすための道具とすることは、ホーリー・スピリットの目的である幻想からの救いと解放という、肉体のもつ本当の目的を隠蔽することなど出来ない。
Let, then, its purpose and your function both be reconciled at last and seen as one.
- reconcile [rékənsàil] : 「調和させる、調整する、一致させる」
- at last : 「最後に、ついに、とうとう、やっと、ようやく」
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
❖ "Let, then, its purpose ~ "「ならば、ついに、肉体のもつ目的とあなたの役割の両方を調和させ、一つと見なせるようにしなさい」。肉体を攻撃や欲の目的のために使うのではなく、幻想世界からの解放のために使いなさい。それが、肉体のもつ実相的な目的であり、それが、あなたのもつ実相的な役割なのだから。両者を調和させ、一つにするべきなのだ。
II. The Fear of Healing
ヒーリングに対する恐れ
1. Is healing frightening? To many, yes. For accusation is a bar to love, and damaged bodies are accusers.
- healing [híːliŋ] : 「治療、回復、治癒、癒やし」
- frightening [fráitniŋ] : 「恐ろしい、怖い」
- accusation [æ̀kjuzéiʃən] : 「告発、罪、とがめ、責め、非難、告訴」
- bar [bάːr] : 「棒、柵」
- bar to : 「〜への障害」
- damaged [dǽmidʒd] : 「損傷を受けた、損傷した、傷んだ、壊れた」
- accuser [əkjúːzər] : 「刑事訴訟の原告、告訴人、告発人」
❖ "Is healing ~ "「ヒーリングは、怖いことだろうか」。"To many ~ "「多くの者にとっては、そうである」。"For accusation is ~ "「なぜなら、罪のとがめが愛を妨害し、」"and damaged bodies ~ "「傷を負った肉体が、罪を告発するからだ」。自分に罪があると思えば、自分は他者を愛したり、他者から愛される価値などないと思い、愛を遮断してしまうだろう。肉体が病に犯されていれば、心に罪があるから、その罰として病になったと思うだろう。罪は実在であり、決して消すことの出来ない烙印だと信じているので、ヒーリングだけで愛や健康が回復出来ると思えないのだ。むしろ、古傷を暴れて、傷口が広がるだろうという恐れが先行する。
They stand firmly in the way of trust and peace, proclaiming that the frail can have no trust and that the damaged have no grounds for peace.
- stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
- firmly [fə́ːrmli] : 「堅固に、きっぱりと、断固として、確固として」
- in the way of : 「〜の邪魔になって、〜の行く手をふさいで」
- trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
- have trust : 「信頼する」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
- damaged [dǽmidʒd] : 「被害を受けた、損傷した、傷んだ」
- ground [ɡráund] : 「根拠、原因、理由、地面、地盤」
❖ "They stand firmly ~ "「ヒーリングに対する恐れは、頑(かたく)なに、信頼と平和の道に立ちはだかる」。恐れが、信頼と平和を導くヒーリングを拒絶している。"proclaiming that the frail ~ "「そして、恐れは、脆い者は信頼出来ず、傷ついた者は平和の基盤がないと主張するのだ」。ヒーリングへの恐れは、罪を負って愛に値しない者は、信頼することも信頼されることもないと、あるいは、心に罪という烙印を押された傷ついた者は、心安らかになる資格さえないのだと、主張するのだ。
Who has been injured by his brother, and could love and trust him still? He has attacked and will attack again.
- injure [índʒər] : 「傷つける、痛める、けがをさせる、苦しめる」
- trust [trʌ́st] : 「信用する、信頼する」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
❖ "Who has been injured ~ "「いったい誰が、同胞によって傷つけられ、」"and could love and ~ "「しかもなお、その同胞を信頼し愛することなど出来るだろうか」。"He has attacked and ~ "「その同胞は攻撃したのであり、再び攻撃するだろう」。攻撃する者を、信頼することも愛することも出来ない。ところで、ここから、前文との整合性はなくなる。むしろ、新しい展開として段落を変えるべき箇所だろう。
Protect him not, because your damaged body shows that you must be protected from him.
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
- damaged [dǽmidʒd] : 「被害を受けた、損傷した、傷んだ」
❖ "Protect him not"「攻撃する者を、守ることはない」。"because your damaged ~ "「なぜなら、あなたこそが、攻撃する者から守られるべきだと、あなたの傷ついた肉体は示しているからだ」。あなたの肉体を攻撃し、傷つける者を、正当だとして守ることはない。たとえ、あなたに罪があったとしても、攻撃は不当である。
To forgive may be an act of charity, but not his due. He may be pitied for his guilt, but not exonerated.
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
- charity [tʃǽrəti] : 「慈悲、寛容、思いやり」
- due [djúː] : 「当然支払われるべきもの」
- pity [píti] : 「〜をかわいそうに思う、気の毒に思う、哀れむ、〜に同情する」
- exonerate [igzɑ́nərèit] : 「〜の容疑を晴らす、〜の潔白を証明する」
❖ "To forgive may ~ "「容認することは、慈悲的な行為ではないし、攻撃する者に慈悲は値しない」。ここの"to forgive"は、「赦し」と解釈すべきではない。攻撃を赦すのではなく、攻撃を容認することを意味しているからだ。"He may be ~ "「攻撃する者は、その罪深さを哀れむに値するかもしれないが、正当だとして許されるものではない」。攻撃は、どんな理由があっても、正当化されないし、容認出来るものではない。
And if you forgive him his transgressions, you but add to all the guilt that he has really earned.
- transgression [trænsɡréʃən] : 「罪、違反、逸脱、破戒、犯罪」
- really [ríəli] :「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
- earn [ə́ːrn] : 「〜を得る、稼ぐ、〜を獲得する」
❖ "And if you forgive ~ "「もし、あなたが、攻撃する者の罪を容認したなら、」"you but add to all ~ "「彼が実際に犯したあらゆる罪の上に、また罪を積み上げることになる」。これまで、ACIMは、罪も攻撃も赦すべきだと主張してきた。それに矛盾する言動だと思われるかも知れない。しかし、次のように解釈すべきなのだ。攻撃者の攻撃性も、その罪深さも、ひとたび容認してしまえば、想念が現実化することによって、その攻撃性も罪も、現実化し、確定してしまうのである。そんなことは避けるべきであって、したがって、攻撃者の攻撃性もその罪も、容認してはいけない。では、容認の逆の行為として、攻撃者の攻撃性と罪を否定すればいいのか? ACIMは、そうではないと、今まで述べてきた。攻撃性と罪を強く否定し、非難し攻撃すれば、それはそれで、想念が現実化して、攻撃性と罪は負の価値をもって現実化し、固定化してしまうからだ。ACIMは、そこで、容認でも否定でもなく、『赦せ』と言う。赦しは、容認とはまったく異なる。実相的に、攻撃は存在することさえなく、したがって罪も実相的に存在しない。実相世界の神の子は、攻撃することも出来なければ、罪を与えることもない。神の子は、攻撃されることも、罪を負わされることもないのだ。攻撃も罪も、この幻想世界の現象であって、実相的に見れば、まさに幻想、幻覚である。攻撃性も罪も、幻想に過ぎないと認識し、受け入れ受け流してしまう、それが実相的な『赦し』なのである。くどいようだが、この段落で使っている"to forgive"「容認すること」と"forgiveness"「赦し」を、混同してはいけない。方や幻想世界の行為であり、方や実相世界の行為なのである。