●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-6.I.15:1 ~ T-6.I.16:7

15. These are some of the examples of upside-down thinking in the New Testament, although its gospel is really only the message of love. 
  • example [igzǽmpl] : 「例、実例」
  • upside-down : 「逆さまの、混乱した」
  • gospel [gɑ́spl] : 「福音書、福音、教義」
  • message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ」
❖ "These are some ~ "「(今から述べるいくつかの例は)、新約聖書における上下逆転の思考の例である」。"although its gospel ~ "「その福音は、本当は愛のメッセージだけであるはずなのだが」。



If the Apostles had not felt guilty, they never could have quoted me as saying, "I come not to bring peace but a sword. "
  • apostle [əpɑ́sl] : 「使徒、最初の伝道者」
  • felt [félt] : 「feel の過去形」
  • guilty [gílti] : 「罪の意識がある、やましい 」
  • quote [kwóut] : 「引用する、引き合いに出す」
  • sword [sɔ́ːrd] : 「剣、刀」
❖ "If the Apostles ~ "「もし、使徒達が罪悪感を感じていなかったなら、」ここは典型的な仮定法過去完了、過去の事実に反することを仮定して、「実際はそうではなかったのだが、仮に〜であったとしたら」という意味合いになる。"they never could ~ "「彼らは、私が『私は平和ではなく剣をもたらすためにやって来た』と言ったなどと、私を引き合いに出すことはなかったであろう」。使徒達がイエスは剣をもってやって来たと発言したのは、実際は、彼らが自ら罪の意識をもっていたからだ。なお、"I come not ~ "の文章はマタイによる福音書10:34に登場する。参考までに載せておく。

[Matthew 10:34~10:37 from New American Standard Bible]
“Do not think that I came to bring peace on the earth; I did not come to bring peace, but a sword. “For I came to SET A MAN AGAINST HIS FATHER, AND A DAUGHTER AGAINST HER MOTHER, AND A DAUGHTER-IN-LAW AGAINST HER MOTHER-IN-LAW; and A MAN’S ENEMIES WILL BE THE MEMBERS OF HIS HOUSEHOLD. “He who loves father or mother more than Me is not worthy of Me; and he who loves son or daughter more than Me is not worthy of Me. 
わたしが来たのは地上に平和をもたらすためだ、と思ってはならない。平和ではなく、剣をもたらすために来たのだ。わたしは敵対させるために来たからである。人をその父に、娘を母に、嫁をしゅうとめに。こうして、自分の家族の者が敵となる。わたしよりも父や母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりも息子や娘を愛する者も、わたしにふさわしくない。(新共同訳)

これが、イエスの言う"upside-down thinking(上下逆転の思考)"である。イエスが伝えたかったメーセージの真逆を使徒は伝えているのだ。その原因は、使徒が心の中に隠し持つ罪の意識である。



This is clearly the opposite of everything I taught. Nor could they have described my reactions to Judas as they did, if they had really understood me. 
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、明らかに」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「正反対の、逆の、あべこべの」
  • describe [diskráib] : 「〜を表現する、述べる」
  • reaction [riǽkʃən] : 「反応、態度、受け止め方」
  • Judas [dʒúːdəs] : 「ユダ」
❖ "This is clearly ~ "「これは明らかに、私が教えたすべてのことと正反対である」。"the opposite"は"the + 形容詞"で、「〜な人、〜なもの」となる。"Nor could they ~ "「また、もし、彼らが私を本当に理解していたとしたら、彼らは、ユダに対する私の態度を、彼らがそうしたようには述べなかったであろう」。ここも仮定法過去完了。過去の事実の反対を仮定して述べている。



I could not have said, "Betrayest thou the Son of man with a kiss? " unless I believed in betrayal. 
  • betray [bitréi] : 「裏切る、背く」
  • thou [θáu] : 「そなたは、汝は 」
  • betrayal [bitréiəl] : 「裏切り、密告、背信、内通」
❖ "I could not have ~ "「私が『キスをして人の子を裏切るのか』などと言ったわけがない」。実際、イエスはそんな発言はしなかったということ。使徒の創作であり、偽証だ。"unless I believed ~ "「私が裏切りというものを信じていたなら話は別だが」。裏切りと感じるのは自分の罪の意識から生じるのもであり、イエスには罪の意識がなかったので、そんな発言をするわけがない。
 文法的に一言。"Betrayest"において、動詞"betray"に"est"が接尾するのは、中英語(Middle English)では、二人称単数(thou)のときは動詞に"est"がくっつくから。
なお、"Betrayest thou the Son of man with a kiss? "はルカによる福音書22:48に登場する。ユダに向かって言った言葉である。

[Luke 22:47~22:49 from King James Bible]
And while he yet spake, behold a multitude, and he that was called Judas, one of the twelve, went before them, and drew near unto Jesus to kiss him. But Jesus said unto him, Judas, betrayest thou the Son of man with a kiss? When they which were about him saw what would follow, they said unto him, Lord, shall we smite with the sword?
イエスがまだ話しておられると、群衆が現れ、十二人の一人でユダという者が先頭に立って、イエスに接吻をしようと近づいた。イエスは、「ユダ、あなたは接吻で人の子を裏切るのか」と言われた。イエスの周りにいた人々は事の成り行きを見て取り、「主よ、剣で切りつけましょうか」と言った。(新共同訳)



The whole message of the crucifixion was simply that I did not. The "punishment" I was said to have called forth upon Judas was a similar mistake. 
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
  • crucifixion [krùːsəfíkʃən] : 「磔刑、十字架刑」
  • simply [símpli] : 「絶対に、断じて、簡単に」
  • punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰、刑罰、処罰、懲罰」
  • call forth : 「〜を生じさせる、〜を引き出す」
  • similar [símələr] : 「似ている、同じような」
❖ "The whole message ~ "「磔刑のすべてのメッセージは、断じて私が伝えたものではない」。世間で信じられているようなメッセージをイエスは伝えようとしたわけではない。つまり、磔刑に関するメッセージ全体を本当に理解できれば、イエスが断じて裏切りというものを信じていなかったことが分かるはずだ、ということ。"The "punishment" I ~ "「私がユダの上に科したという『罰』も同様の間違いである」。



Judas was my brother and a Son of God, as much a part of the Sonship as myself. 
  • as much A as B : 「Bと同じくらいに A、Bと同じ量のA」
❖ "Judas was my ~ "「ユダは私の同胞であり、神の子であった」。"as much a part ~ "「私と同様、(神の)息子の一部であった」。イエスもユダも、神の愛の延長上に創造された神の子であり、神はイエスもユダも同様に愛していた、という意味合いであろう。



Was it likely that I would condemn him when I was ready to demonstrate that condemnation is impossible?
  • likely [láikli] : 「ありそうな、あり得る」
  • condemn [kəndém] : 「〜を非難する、〜の刑を宣告する」
  • ready to : 「〜する心構えができている」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実際にやってみせる、実演する」
  • condemnation [kὰndemnéiʃən] : 「激しい非難、有罪宣告」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
❖ "Was it likely ~ "「that以下があり得るだろうか」。"that I would condemn ~ "「有罪宣告が不可能であると示す心構えが私にできていたのに、ユダに有罪を宣告することは」あり得るだろうか。"condemnation"を「有罪宣告」と訳してみたが、他者に対して罪ありと非難する行為のこと。イエスは、神の子には罪など無いと叡知をもって知っていたのだから、"condemnation"という概念はそもそも持ち合わせてはいなかった。もしイエスがユダの罪を糾弾したのなら、それはイエス自信の罪の意識をユダに投影したことになる。イエスには罪の意識がなかったので、罪の意識を投影することも、ユダの罪を糾弾することも不可能であった。
 余談になるが、正統派キリスト教による異端反駁によって『ユダの福音書』の存在は知られていたが、1978年にエジプトでその写本が発見され、数奇な運命を辿って世に知られることとなった。もちろん、ユダ自身が書いたものではないが、当時のグノーシス主義を知る上で、『マグダラのマリアの福音書』と並んで、貴重な文書である。エレーヌ・ペイゲルスの『ユダ福音書の謎を解く』は一読に値する。



16. As you read the teachings of the Apostles, remember that I told them myself that there was much they would understand later, because they were not wholly ready to follow me at the time. 
  • apostle [əpɑ́sl] : 「使徒、最初の伝道者」
  • later [léitər] : 「後で、後々」
  • wholly [hóulli] : 「完全に、全体として」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に従う、追随する」
❖ "As you read ~ "「あなたが使徒達の教えを読むときは、that以下を思い出すこと」。"that I told them ~ "「私自身、彼らにthat以下を言った」ということを思い出すこと。"that there was ~ "「後々になって理解できることがいっぱいある」と彼らに言った。"because they were ~ "「なぜなら、彼らはその時分、私に付き従う準備が完全にはできていなかったからだ」。イエスの説く真実を完全に理解できる使徒は、当時いなかった。そういう使徒達が伝えた『イエス物語』のすべてを真実だと思い込むことは危険である。



I do not want you to allow any fear to enter into the thought system toward which I am guiding you. 
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する」
  • enter [éntər] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
  • toward [tɔ́ːrd] : 「〜の方へ、〜に向かって、〜に向いて」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、案内する」
❖ "I do not want ~ "「私は、あなたに〜してほしくはない」。"to allow any ~ "「いかなる恐れも〜の中に入るのを許すことを」してほしくはない。"into the thought ~ "「私があなたを案内している思考システムの中に」。イエスのメッセージに恐れを感じてほしくはない。イエスの思考システムはホーリー・スピリットの思考システムと同一である。ホーリー・スピリットの思考システムでは、恐れや罪の意識は幻想である。怒りや攻撃も幻想である。存在さえしない幻想を、ホーリー・スピリットの思考システムの中に紛れ込ませてはならない。



I do not call for martyrs but for teachers. No one is punished for sins, and the Sons of God are not sinners. 
  • call for : 「〜を呼び求める、〜を要求する、命じる」
  • martyr [mɑ́ːrtər] : 「殉教者、犠牲者」
  • punish [pʌ́ni∫] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪」
  • sinner [sínər] : 「罪人、罪を犯した人 」
❖ "I do not call ~ "「私は殉教者を求めているのではなく、教え導く者を求めている」。"No one is ~ "「誰一人、罪のために罰せられることはない」。"and the Sons of God ~ "「そして、神の子は罪人ではないのだ」。もし、神の子の一人に対してでも罪ありと宣告して断罪したなら、その神の子を創造した神自身を糾弾したことになる。それでもなお、神を信じていると言えるだろうか。



Any concept of punishment involves the projection of blame, and reinforces the idea that blame is justified. 
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、考え方」
  • punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰、刑罰、処罰」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする」
  • projection [prədʒékʃən] : 「投射、投影、射影」
  • blame [bléim] : 「非難、責任、責め」
  • reinforce [rìːinfɔ́ːrs] : 「強化する、補強する」
  • justify [dʒʌ́stəfài] : 「弁明する、正当化する 」
❖ "Any concept of ~ "「罰という概念は何でも、非難という投影を含む」。他者に罪を見い出して非難した瞬間、それは自分の罪悪感を他者に投影した証拠である。"and reinforces the ~ "「そして、罰という概念は、非難は正当化されるという考えを強化する」。罰は、神に代わって罪を裁くという形で正当化されてしまう。しかし、神は決して罰することはないから、罰は正当化され得ないのだ。



The result is a lesson in blame, for all behavior teaches the beliefs that motivate it. 
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き 」
  • behavior [bihéivjər] : 「行動、態度、挙動、言動、素行、そぶり」
  • motivate [móutəvèit] : 「〜する動機を与える」
❖ "The result is a ~ "「その結果は、非難について学ぶこととなる」。"for all behavior ~ "「なぜなら、すべての振る舞いは、それを動機付けた信念を教えるからである」。他者を非難すれば、それを動機付けている信念があらわになる。その信念とは、自分に罪はなく、自分こそが正しい、という信念。その信念を強化するために、ますます他者を非難、攻撃するのである。そして、罰を科すことで一件の落着を見る。なぜなら、自分は神の代理人として正しく他者を罰したと思ってしまうからだ。



The crucifixion was the result of clearly opposed thought systems; the perfect symbol of the "conflict" between the ego and the Son of God. 
  • opposed [əpóuzd] : 「反対した、対抗した、対立した」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「争い、衝突、葛藤」
❖ "The crucifixion was ~ "「磔刑は明確に対立した(2つの)思考システムの結果であった」。"the perfect symbol ~ "「それは、エゴと神の子の間における『軋轢』の完璧なシンボルであった」。エゴの思考システムとホーリー・スピリットの思考システムが対立した結果が磔刑だと言っている。むしろ、イエスの磔刑をどう見るか、そこに二つの思考システムの対立と軋轢が生じる。



This conflict seems just as real now, and its lessons must be learned now as well as then.
  • real [ríəl] : 「実在する、存在する、現実の」
  • as well as : 「 〜と同様に」
❖ "This conflict seems ~ "「この軋轢は現在でも現実に存在するように思われる」。"and its lessons ~ "「だからこそ、そのレッスンは、当時と同様今も、学ばれなくてはならない」。学んだ結果、エゴの思考システムを捨て、ホーリー・スピリットの思考システムを選択しなくてはならない。






Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp