●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-30.VI.4:1 ~ T-30.VI.5:8

4. This is the false forgiveness which the world employs to keep the sense of sin alive.
  • false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • employ [implɔ́i] : 「用いる、採用する、使用する」
  • keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
  • sense [séns] : 「感覚、感覚能力、官能、感触、知覚」
  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • alive [əláiv] : 「生存して、生きていて、活動して、動作して」
❖ "This is the false ~ "「これは、この世界が、罪の意識を生かしておくために採用した偽りの許しである」。罰は許すが罪は固定化するという、この世界の許しは、罪を犯した者の罪の意識までも固定化する。



And recognizing God is just, it seems impossible His pardon could be real.
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • just [dʒʌ́st] : 「正しい、公正な、当然の、もっともな」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • pardon [pάːrdn] : 「寛容、許し、恩赦、大赦」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "And recognizing God ~ "「(この世界は、)神は公正だと認識しているので、神の赦しが現実化することは不可能に思えるのだ」。この世界の常識は、神は倫理的にも道徳的にも法的にも正しいと思っているので、まさか神が、罪人のその罪までも帳消しにすることはあるまいと考えている。しかし実際は、もちろん、神の赦しは実相的であり、罪は幻想だとして赦し、幻想の罪を消滅させるのである。神の赦しは、実相的に罪を帳消しにするのだ。



Thus is the fear of God the sure result of seeing pardon as unmerited.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • sure [ʃúər] : 「確信している、自信がある、確かな」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果」
  • unmerited [ʌnméritid] : 「値しない、不相応の」
❖ "Thus is the fear of God ~ "「こうして、神への恐れは、赦しを不相応なものと見なす必然的な結果となる」。実相的な赦しが罪を帳消しにすることなど、罪人には不相応なことだと見なし、そんな不当なことをする神に対して不信を抱き、さらに恐れまでも抱くことになる。きっと、後々、さらに大きな罰を下す魂胆だろうと思うわけだ。



No one who sees himself as guilty can avoid the fear of God. But he is saved from this dilemma if he can forgive.
  • guilty [ɡílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
  • dilemma [dilémə] : 「ジレンマ、窮地、板挟み」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
❖ "No one who sees ~ "「自分自身を罪ありと見る者は誰でも、神への恐れを避けることは出来ない」。自分の罪は幻想ではなく、たとえ罰が赦されても罪は消えないと考えている者は、その罪に対して、神がきっと罰を与えるに違いないと思って、神を恐れるようになる。"But he is saved ~ "「しかし、もし、自分に罪があると思っている者が、赦すことが出来るなら、彼は、このジレンマから救われるのだ」。もし、自分の罪が幻想であると認識し、赦すことが出来るなら、その幻想は消滅し、罪も消える。天上の神も、きっとそのように自分の罪を赦してくれるだろうと思い、神を恐れる必要がなくなるのだ。"this dilemma"「このジレンマ」とは、罪はあるが許されたい、しかし、罰が許されるだけでは罪の意識は消えない、しかも、神がより重い罰を加えることになろう、それは恐ろしい、等々、と思い悩むこと。



The mind must think of its Creator as it looks upon itself. If you can see your brother merits pardon, you have learned forgiveness is your right as much as his.
  • creator [kriéitər] : 「創造者、創作者、創設者」
  • look upon : 「〜を見る」
  • merit [mérət] : 「〜に値する」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • right [ráit] : 「正しい要求、正当な要求、当然の権利」\
  • as much as : 「〜と同じ程度に、〜と同じ量のもの」
❖ "The mind must think of ~ "「心は、心自体を見るように、心の創造主である神のことを考えるに違いない」。心が、自分は罪があると思っているうちは、心は、神もまた、罪があると思って罰を下すだろうと考えてしまうのだ。しかし、心が、自分の罪は幻想だと思えば、神もまた幻想だと思って赦してくれるはずだと考えるのである。"If you can see your ~ "「もし、あなたが、あなたの同胞は赦しに値すると見ることが出来るなら、」"you have learned ~ "「あなたは、赦しが同胞の正当な権利であると同様に、あなたの正当な権利であると、学ぶことが出来たのだ」。"right"「正当な権利」と訳してみたが、実相的に真実だ、という意味合い。つまり、赦しというものは、あなたにとっても同胞にとっても、実相的に正しい真実だと、学ぶことが出来るのである。そして、それは、あなたが同胞を赦すという実践を通して学ぶことが出来ることなのである。



Nor will you think that God intends for you a fearful judgment that your brother does not merit.
  • intend [inténd] : 「つもりである、〜を意図する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
  • judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、判決、審判、裁判 」
❖ "Nor will you think ~ "「また、あなたは、神が、あなたの同胞が受けるに値しない恐ろしい判断を、あなたのために下す意図があるなどと考えることはなくなる」。罪を犯した同胞を、あなたが実相的に赦す気持ちになれば、神があなたに代わって同胞を罰するという意図など、つまり、恐ろしい審判を下す意図など決してもっていなと分かるだろう。



For it is the truth that you can merit neither more nor less than he.
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • neither more nor less than : 「〜を超えることも下回ることもない」
❖ "For it is the truth that ~ "「なぜなら、あなたは、同胞以上にも以下にも、(恐ろしい判断に)値することはないということが真実だからだ」。あなたと同胞は自他一如であり、神があなたの罪を赦して、罰という悪夢から解放してくれるなら、同胞もまた、罪と罰から解放されるのだ。神は、罪を赦すことはあっても、決して罪を罰することはない。これは実相的な真実である。したがって、ACIMの視点に立つならば、人間の罪を罰する、怒り狂った報復の神を描いた聖書は誤りである。聖書に描かれた神は、真実の神ではない。



5. Forgiveness recognized as merited will heal. It gives the miracle its strength to overlook illusions.
  • heal [híːl] : 「治す、治癒する、治療する、癒やす、救う」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力」
  • overlook [òuvərlúk] : 「見て見ぬふりをする、見過ごす、大目に見る、許す」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "Forgiveness recognized ~ "「赦しに値すると認識された赦しは、ヒーリングすることになる」。つまり、実相的に真実だと認識された赦しは、人の心を癒すのだ。心を癒すとは、実相に目覚めさせる、という意味合いである。"It gives the miracle ~ "「赦しは、奇跡に対して、幻想を見過ごしてしまう力を与えるのである」。赦しは、幻想を幻想として認識し、受け入れ受け流し、つまり、幻想を見過ごしてやり、その幻想を消滅させる。幻想を払拭するという力を、奇跡に与えるのだ。それがヒーリングである。



This is how you learn that you must be forgiven too. There can be no appearance that can not be overlooked.
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
  • appearanc [əpíərəns] : 「見てくれ、うわべだけの様子、外見、見掛け」
❖ "This is how you learn ~ "「こうして、どうすればあなたは、あなたもまた赦されるか、ということを学ぶのである」。つまり、あなたの幻想を赦して、幻想を消滅させるには、あなたが、同胞の幻想を赦して、幻想を消滅させればいい。"There can be no appearance ~ "「見過ごすことの出来ない見掛け(うわべな)ど存在し得ない」。見掛けは罪があるようでも、そんな見掛けは幻想であって、どんな見掛けの罪でも赦すことが可能なのだ。



For if there were, it would be necessary first there be some sin that stands beyond forgiveness.
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • first [fə́ːrst] : 「一番目に、初めて、最初に」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜のかなたに」
❖ "For if there were ~ "「なぜなら、もし、赦せない見掛けがあるなら、赦しを超越して立ち上がる、何らかの罪というものが最初に存在する必要があるからだ」。もし、罪が幻想ではなく、したがって、赦しによっても消滅させられない(赦しを超越した)ものであるなら、罪は見掛けなどではなく、実相的に存在するものとなる。しかし、実相世界には、罪という概念はなく、罪は存在し得ないのだ。なぜなら、罪は真実ではないからだ。それはちょうど、実相世界には悪という概念はなく、悪は存在し得ないことと同じである。



There would be an error that is more than a mistake; a special form of error that remains unchangeable, eternal, and beyond correction or escape.
  • error [érər] : 「誤り、間違い、、誤用、過失」
  • more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、判断上の間違い、ミス、過ち、手違い」
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • unchangeable [ʌntʃéindʒəbl] : 「不変の、変えられない」
  • eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
  • correction [kərékʃən] : 「訂正、矯正、修正、是正、補正」
  • escape [escape] : 「逃亡、脱出、避難、逃避、回避」
❖ もし、赦せない見掛けがあるなら、"There would be an error ~ "「単なるミスよりも重い過ちがあることになる」。"a special form of error ~ "「それは、いつまでも変えられることのなく、修正や逃れることの出来ないとう特別な形の過ちということになる」。しかし、そんな過ちは、実相的には存在しない。修正も出来ず、消滅させることも出来ないと思えるような特別な形をした過ちがあるように見えたなら、それは、幻想である。



There would be one mistake that had the power to undo creation, and to make a world that could replace it and destroy the Will of God.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権力、権限、権威」
  • undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
  • creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、置き換える、置換する」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
❖ もし、赦せない見掛けがあるなら、"There would be one mistake ~ "「創造を取り消し、創造を置き換え、神の意思を破壊するパワーを有する一つの過ちがあることになる」。ここの"creation"「創造」とは、意味合いとしては「真実」とか「実相世界」といった感じである。真実の実相世界を取り消しにし、神の意思を破壊するパワーをもつ幻想という過ちが存在することになる。もし、罪が幻想ではなく、したがって、赦しによっても消滅させられないものであるなら、その幻想はただ者ではなく、実相世界や神の意思さえも破壊してしまうことになろう。そんな、実相の真実にも勝る魔力的な幻想が存在してしまうことになるが、本当はそんなことはない。夜見る夢に登場するモンスターがどんなに強力な魔力を持っているように見えても、目を覚ましたあなたをモンスターは破壊することは出来ないのだ。



Only if this were possible could there be some appearances that could withstand the miracle, and not be healed by it.
  • possible [possible] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • withstand [wiðstǽnd] : 「〜に抵抗する、逆らう、耐える、持ちこたえる」
❖ "Only if this were possible ~ "「こんなことが可能であるとしたら、」"could there be ~ "「奇跡に逆らい、奇跡によってヒーリングされ得ない何らかの見掛けが存在し得ることになってしまう」。奇跡の赦しによってさえ消滅し得ない、つまり、赦しという奇跡によってさえヒーリングされ得ない幻想が存在することになってしまう。幻想と実相の力関係が逆転してしまうことになる。しかし、そんなことはあり得ないのだ。
 
 
 


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