●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-31.III.3:1 ~ T-31.III.4:10


3. Sins are in bodies. They are not perceived in minds. They are not seen as purposes, but actions. 

  • sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い、理由、意義」
  • action [ǽkʃən] : 「活動、行動、動き、動作」

❖ "Sins are in ~ "「罪は、肉体の中にある」。罪の意識は、一見、単に心の中にありそうに思われるかも知れないが、罪を感じているのはエゴに支配された心の幻想部分であって、ホーリー・スピリットの住む純粋で神聖な心の部分ではない。肉体もまた、エゴに支配された幻想に過ぎず、その意味では、幻想的な心の部分と肉体は同一である。そこで、「罪というものは、肉体の中にある」となる。簡単に言えば、罪とは肉体なのである。肉体は罪の象徴なのだ。"They are not ~ "「罪は、(正気な)心の中には知覚されない」。幻想の罪は、実相の正しい心の中には存在しない。"They are not seen ~ "「罪は、目的と見なされることはなく、ただ動きそのものである」。ここは、罪と肉体は同一であると考えると理解しやすいだろう。つまり、「罪」を「肉体」に置き換えて、「肉体は、目的と見なされることはなく、ただ動きそのものである」となる。肉体は、神の子が分離して存在していることを偽証するための道具として幻想されたものであって、肉体が実相的な目的を持つことはない。肉体は、実相への目覚めという目的を担っているわけではないのだ。単に、分離の象徴として、個別に動き回っているだけである。



Bodies act, and minds do not. And therefore must the body be at fault for what it does. 

  • act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う、作動する」
  • therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
  • fault [fɔ́ːlt] : 「責任」
  • be at fault for : 「〜に対してが責任がある」

❖ "Bodies act, and ~ "「肉体は動き、心は動かない」。ここの「動き」は、知覚される見掛けの変化、と捉えればいいだろう。肉体は、見掛けとして動き回るが、正しい心は永遠不変であって、真実の心は動き回らない。正しい心は不動である。"And therefore must ~ "「したがって、肉体こそが、なしたことに対して責任がある」。肉体は行動し、知覚がその動きを捉えるのだが、そもそも肉体もその動きも幻想であることには変わりない。そんな幻想がなしたことに対して、正しい心が責任を担うことはない。幻想は、幻想に責任があるのであって、その責任さえも幻想である。



It is not seen to be a passive thing, obeying your commands, and doing nothing of itself at all. If you are sin you are a body, for the mind acts not. 

  • passive [pǽsiv] : 「受動的な、受け身の、言いなりになる、従順な」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、〜の言うことに従う」
  • command [kəmǽnd] : 「命令、指令」
  • of itself : 「ひとりで」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」

❖ "It is not seen to ~ "「肉体は、あなたの命令に従い、それ自体はまったく何もしない、受動的なものと見なされることはない」。エゴの支配を受けた心がエゴの思考システムに従って肉体に命令を与え、肉体は、あたかも操り人形のように動き回るものなのだ。"If you are sin ~ "「もしあなたが罪であるなら、あなたは肉体なのだ」。もしあなたが、自分には罪があると信じているなら、あなたは幻想を信じていることになり、幻想の肉体があなたとって存在のすべてとなる。"for the mind ~ "「なぜなら、心は動き回らないからだ」。動き回る肉体があなたの実在だと信じられているうちは、真実としての永遠不変な心はあなたの実在と見なされることはない。簡単に言えば、幻想に捕われている限り、罪や肉体はあなたの現実であり、正しい心の実相性、実在性は、あなたの目には見えて来ないのだ。



And purpose must be in the body, not the mind. The body must act on its own, and motivate itself. 

  • on its own : 「ひとりでに、勝手に、自然に、そのままで」
  • motivate [móutəvèit] : 「動かす、刺激する、〜する気にさせる、〜する動機を与える」

❖ "And purpose must ~ "「そして、目的は、心の中ではなく、肉体の中にあらねばならなくなる」。幻想に埋没している限り、あなたの目的は肉体的なものであって、心の問題ではなくなる。心の平和より物質的な豊かさを求め(それを目的とし)、病の肉体的な側面を治そうとするだろうが、心の問題に目を向けて病を克服しようとは思わない。目的は常に肉体にある。"The body must ~ "「肉体は自ら行動するものであり、それ自体に動機を与えるものでなければならいとする」。本当は、肉体それ自体が行動するものでもなければ、肉体が肉体に行動の動機、つまり、目的を与えているものでもない。肉体はエゴの操り人形であって、すべてはエゴの命令に従って動いているだけなのだ。肉体に意思はない。



If you are sin you lock the mind within the body, and you give its purpose to its prison house, which acts instead of it. 

  • lock [lɔ́k] : 「〜に錠を掛ける、〜を閉じ込める」
  • prison [prízn] : 「刑務所、拘置所、監獄、監禁、禁錮、幽閉」
  • prison house : 「獄舎」
  • instead [instéd] of : 「〜の代わりに」

❖ "If you are sin you ~ "「もしあなたが罪であるなら、あなたは肉体の中に心を閉じこめ、」"and you give its purpose ~ "「心に代わって行動する監獄(肉体)に、心の目的を与えてしまっていることになる」。あなたに罪があり、肉体が現実で実在だと信じている限りは、あなたは、本当の実在である心を肉体という監獄に閉じこめたことになり、幻想から実相へ目覚めるという心の真の目的もまた、監獄に閉じこめてしまうことになる。そして、本当の心に代わって、幻想の肉体が空しく動き回り、それが実在であり現実だと勘違している。



A jailer does not follow orders, but enforces orders on the prisoner.

  • jailer [dʒéilər] : 「看守」
  • follow [fɔ́lou] : 「〜に従う、追随する」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「指令、命令」
  • enforce [infɔ́ːrs] : 「実行する、実施する、施行する、執行する」
  • prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」

❖ "A jailer does not ~ "「看守は命令に従うことはなく、囚人に対して命令を実行するだけである」。ここの"jailer"「看守」は、エゴと捉えていいだろう。エゴは命令に従うものではなく、命令を下している存在である。エゴは、肉体に閉じこめた正しい心に命令を下し(おとなしくしていろ、反抗などするな)、攻撃し、衰弱させ、半殺しにしようとしている。



4. Yet is the body prisoner, and not the mind. The body thinks no thoughts. It has no power to learn, to pardon, nor enslave. 

  • thought [θɔ́ːt] : 「思考、思索、考え、見解」
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜に精通する、〜であると分かる」
  • pardon [pάːrdn] : 「許す、赦免する、放免する」
  • enslave [insléiv] : 「〜を奴隷にする」

❖ "Yet is the body ~ "「しかし、肉体こそが、囚人であり、心ではない」。もちろん、エゴが肉体を支配し、肉体を隷属化しているのだ。しかし、エゴは、ホーリー・スピリットの住む、最も純粋で神聖な心の部分を支配することは出来ない。正しい心は、エゴの傀儡(かいらい)ではない。"The body thinks ~ "「肉体は、どんな思考も考え出すことはない」。理性による思考は、頭脳を支配しているエゴの仕業である。"It has no power ~ "「肉体は、学んだり、赦したりするパワーなどまったくもっていないし、(心を)奴隷にすることも出来ない」。肉体という幻想が、真実を学んだり赦したりする実相的なパワーをもつことは不可能なのだ。また、幻想のエゴは、実相の正しい心を隷属化することは出来ない。



It gives no orders that the mind need serve, nor sets conditions that it must obey. 

  • serve [sə́ːrv] : 「〜に仕える、〜のために働く」
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子、様相」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、〜の言うことに従う」

❖ "It gives no orders ~ "「肉体は、心が仕えるべき命令など与えることはないし、心が従うべき条件を作ることもない」。肉体が仕えるべき命令や条件を与えるのはエゴであるが、しかし、その肉体を蝕んでいるエゴでさえ、ホーリー・スピリットの住む純粋で神聖な心の部分に命令や条件を与えることは不可能なのだ。



It holds in prison but the willing mind that would abide in it. 

  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する、制する、拘束する」
  • in prison : 「獄中に、刑務所に入って、入所中で、牢に入って」
  • willing [wíliŋ] : 「〜することをいとわない、〜する気がある」
  • abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」

❖ "It holds in prison ~ "「肉体は、肉体の中に留まっていたいと意思する心だけを牢獄の中に保持する」。つまり、エゴの支配下に収まりたいと願う心の部分だけが、肉体的頭脳という牢獄の中に収監される。



It sickens at the bidding of the mind that would become its prisoner. 

  • sicken [síkən] : 「病気になる、うんざりする、吐き気がする」
  • bidding [bídiŋ] : 「命令」
  • at the bidding of : 「〜の命令に従って、〜の言う通りに」

❖ "It sickens at the bidding ~ "「肉体の囚人になりたいと望む心の命令に従って、肉体は病になる」。肉体という監獄に入ってエゴの支配下に収まりたいと願う病んだ心が、肉体的な病を発症させる。言い換えれば、幻想に支配されたいと望む心が、その歪みを肉体的な病として現実化するのである。正しからざる心が、病という幻想を生み出すのだ。



And it grows old and dies, because that mind is sick within itself. Learning is all that causes change. 

  • grow [ɡróu] : 「〜の状態になる」
  • die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
  • sick [sík] : 「病気の、病気になった、病んだ、異常な」
  • within oneself : 「自分自身の内に存在して、心の中に」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • cause [kɔ́ːz] : 「〜を引き起こす、招く、〜をもたらす」
  • change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」

❖ "And it grows old ~ "「肉体は老いていき、そして、死ぬ」。"because that mind ~ "「なぜなら、心自体が病んでいるからだ」。幻想を信じる病んだ心が、その幻想を現実化するのだ。病とは、病んだ想念のことである。"Learning is all that ~ "「学びは、変化を生み出すすべてである」。そういった肉体の病に変化をもたらし、病を治癒させるには、病んだ心を真実に目覚めさせること以外にない。真実に目覚める学びが必須なのだ。



And so the body, where no learning can occur, could never change unless the mind preferred the body change in its appearances, to suit the purpose given by the mind. For mind can learn, and there is all change made.

  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる、存在する」
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • prefer [prifə́ːr] : 「〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
  • appearance [əpíərəns] : 「外観、外見、見掛け、見てくれ、うわべだけの様子」
  • suit [súːt] : 「合う、適合する」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」

❖ "And so the body ~ "「したがって、〜でない限り、肉体にあっては、学びは起きはしないし、決して変わりはしない」。"unless the mind preferred ~ "「心が、心によって与えられる目的に叶うように、肉体の見掛けを変えることを選ばない限り、」肉体にあっては、学びは起きはしないし、決して変わりはしない。心が、実相に目覚めるという目的に叶うようにと真実を学び、変化を起こさない限り、そして、肉体にもまたその目的に叶うような変化が起きるようにと心が望まない限り、肉体の見掛けの病は変化を起こすことはない。"For mind can learn ~ "「なぜなら、心は学ぶことが出来、したがって、どんな変化も生み出せるからだ」。正しい心の想念が、正しい結果を生み出すのである。肉体はエゴに支配された幻想であり、病もまた、誤った心が生みだした幻想に過ぎないと、そういう真実を学ぶことが出来たとき、正しい心は肉体やその病の幻想を変化させることが出来るのだ。幻想を消滅させることが出来るのである。結局は、肉体と病を実相的に赦すことが必須なのである。
 
 
 


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