IV. The Light You Bring
あなたがもたらす光
1. Minds that are joined and recognize they are, can feel no guilt.
- join [dʒɔ́in] : 「結合する、連結する、一緒になる」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
- guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "Minds that are joined ~ "「結合し、結合したことを認識する心は、罪を感じることは不可能なのだ」。あなたと同胞の心が結合したなら、そして、それを認識出来たら、あなたと同胞は自他一如であるという真実を知ったことになり、あなたは、同胞の心の中に罪を見つけ出そうなどとすることはなくなるのだ。なぜなら、同胞の心とは、あなた自身の心でもあるからだ。罪を見つけ出したいと思わないので、当然、罪を知覚することはなくなるである。罪を知覚することがなくなるから、あなたは同胞を攻撃することもなくなる。
For they cannot attack, and they rejoice that this is so, seeing their safety in this happy fact.
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- rejoice [ridʒɔ́is] : 「うれしがる、喜ぶ、祝う」
- safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
- fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
❖ "For they cannot attack ~ "「なぜなら、結合した心は、攻撃し合うことは不可能となり、そうであること(攻撃不可能)を喜ぶからである」。"seeing their safety ~ "「そして、攻撃性が消えたという幸せな事実の中に、安全性を見出すのだ」。心が結合すれば、自と他の区別が消滅するから、当然攻撃も意味を失う。攻撃が消滅するから、安全が生まれ、心は安全を喜ぶのだ。もちろん、他者の心の中に罪を見つけ出そうとする欲望も消える。
Their joy is in the innocence they see. And thus they seek for it, because it is their purpose to behold it and rejoice.
- joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
- innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
- seek [síːk] for : 「〜を探し求める」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- behold [bihóuld] : 「見る、見守る、注視する」
❖ "Their joy is in ~ "「結合した心が見る潔白性の中に、喜びが存在する」。他者の中に罪を探すことはなくなり、見えるのは他者と自分の無辜(むこ)性だけである。そこに、喜びが花開く。"And thus they seek for ~ "「こうして、結合した心は、喜びを求めることになる」。『結合した心』と書いたが、『心を結合した神の子』という意味である。"because it is their purpose ~ "「なぜなら、喜びこそが、それを見て喜びを感じる目的となるからである」。安全、平和、無辜性、そして喜び、というように、実相的真実が次々にあなたの目の前に出現してくるのだ。真実の連鎖とでも言おうか。
Everyone seeks for what will bring him joy as he defines it. It is not the aim, as such, that varies.
- bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
- define [difáin] : 「〜を定義する、〜を特徴づける、決める、規定する」
- aim [éim] : 「的、狙い、目標、目的、照準」
- as such : 「そのようなものとして、それ自体は」
- vary [vέəri] : 「変わる、変化する、異なる」
❖ "Everyone seeks for what ~ "「誰でも、自分で喜びを定義した通りに、その喜びをもたらしてくれるものを探し求める」。愛が喜びだと定義すれば、人は愛を求め、金が喜びだと定義すれば、人は金を求める。喜びという表面的な目的は一緒でも、手段はいろいろである。"It is not the aim ~ "ここは"It ~ that ~ "の強調構文、「変化するのは、目的自体ではない」。喜びという表面的な目的は変化しない。それを得るための手段が、人によって様々なのだ。
Yet it is the way in which the aim is seen that makes the choice of means inevitable, and beyond the hope of change unless the aim is changed.
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
- means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
- inevitable [inévətəbl] : 「避けられない、当然の、必然的な、必然の」
- beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
- hope [hóup] : 「希望、望み」
- change [tʃéindʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
❖ "Yet it is the way in ~ "ここも強調構文、「手段の選択を不可避にしているものは、目的が見つけ出される手段であるのだ」。難しい言い回しをしているが、要するに、目的を達成するための手段を選ぶことが必要となる、ということ。"and beyond the hope ~ "「そして、目的が変わらない限り、変化の希望は、はるか彼方である」。目的が変わるまでは、手段を変えるという希望は達成されない。先に、愛が喜びだと定義すれば、人は愛を求め、金が喜びだと定義すれば、人は金を求めると書いたが、表面的に同じ喜びに見えても、実相的喜びと幻想的喜びの、大きな違いがあるのだ。したがって、幻想的喜びの、その喜び自体を変えない限り、その人は金の追求をやめることはない。つまり、目的が実相的な真実に変わるまでは、幻想的手段が実相的真実に変わるという希望は達成されないのである。真実を目的として求めるならば真実の手段が必要であり、真実を求めるために幻想(虚偽)の手段を使っても無駄である。
And then the means are chosen once again, as what will bring rejoicing is defined another way and sought for differently.
- chosen [tʃóuzn] : 「choose の過去分詞形」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- once again : 「またしても、再度、またまた、またもや、もう一度」
- rejoicing [ridʒɔ́isiŋ] : 「喜び、歓喜、歓呼、お祭り騒ぎ」
- define [difáin] : 「〜を定義する、〜を特徴づける、決める、規定する」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- sought [sɔ́ːt] : 「seek の過去・過去分詞形」
- differently [dífərəntli] : 「異なって、違って、そうではなく、別に」
❖ ここは後ろから訳して、"as what will bring ~ "「喜びをもたらしてくれるものが、別の方法で定義され、まったく異なった形で求められるとき、」先頭に戻って、"And then the means ~ "「そのときこそ、再び、手段が選択されるのである」。喜びが実相的なものとなり、その実相的な喜びをもたらしてくれる手段が、それまでとは違って定義され求められるとき、そのための手段の選択が重要となる。実相的な真実の喜びを得たいと思ったなら、幻想的手段である金もうけでは、その達成は不可能なのだ。手段を定義し直して、実相的手段を選択しなくてはならない。それは、愛でもいいし、美でもいいし、慈悲でもいい。実相的な真実を手段としなくてはならないのだ。
2. Perception's basic law could thus be said, "You will rejoice at what you see because you see it to rejoice. "
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
- basic [béisik] : 「基礎の、基本的な」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- thus [ðʌ́s] : 「このようにして、こんなふうに」
- rejoice at : 「〜を喜ぶ」
❖ "Perception's basic law ~ "「知覚の基本法則は、次のように言うことが出来る」。"You will rejoice at ~ "「あなたが喜びを目にしたいと思うから、あなたは目にしたものを喜ぶのである」。知覚は、知覚したいと望むものを知覚する、というのが、知覚の基本法則であった。それを、ここで言い換えたのだ。知覚は、喜びを知覚したいと望むものを、知覚して喜ぶのである。
And while you think that suffering and sin will bring you joy, so long will they be there for you to see.
- while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
- suffering [sʌ́fəriŋ] : 「苦しむこと、苦しみ、苦痛、苦難、苦悩」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- so long : 「非常に長く」
❖ "And while you think ~ "「あなたが、苦しみと罪があなたに喜びをもたらしてくれると思っているうちは、」" so long will they be there ~ "「いつまでも、あなたは苦しみと罪がそこにあることを目にするのだ」。苦しみと罪が喜びの源だと信じている限り、その源の苦しみと罪は消えることはない。
Nothing is harmful or beneficent apart from what you wish. It is your wish that makes it what it is in its effects on you.
- harmful [hάːrmfəl] : 「有害な、害を及ぼす、害になる」
- beneficent [bənéfisnt] : 「慈悲深い、情け深い」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
- wish [wíʃ] : 「望む、願う」
- effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "Nothing is harmful or ~ "「あなたが何を望むかということを離れて、何かが有害であったり慈悲深かったりするわけではないのだ」。あなたが苦しみと罪を望むから、あなたは苦しく罪深く感じるのである。"It is your wish ~ "ここも強調構文、意訳する、「あなたに影響を及ぼすようなものは、あなたの願望である」。あなたが望んだものを、あなたは知覚し、それが、あなたに影響を与えるのである。まず第一にあなたの欲望、想念としての望みがある。その望みを知覚したいがために、知覚は望みに引きずられて、望み通りのものを知覚する。それを知覚した結果があなたに跳ね返ってきて、あなたに影響を与えるのだ。結局、あなたは、あなたの想念としての欲望から逃れることは出来ないのである。これを看破した仏教は、欲望の滅却を求める。煩悩を駆逐しようとするのだ。しかし、ACIMは、そのような苦行を強いたりしない。何のことはない、ただ、真実を欲望せよ、と教えるだけなのだ。真実を求めよ、さらば与えられん、というわけである。ACIMが、真実は非常に単純で簡単だ、と言う意味合いがわかるだろう。
Because you chose it as a means to gain these same effects, believing them to be the bringers of rejoicing and of joy.
- gain [géin] : 「得る、獲得する」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- bringer [bríŋər] : 「持って来る人、もたらす人」
❖ "Because you chose it ~ "「なぜなら、手段と同様の影響を手に入れるために、手段としてそれをあなたは選んだからなのだ」。あなたは、苦しみと罪があなたに喜びをもたらしてくれると思っているので、苦しみと罪をもたらすものを手段に選んで、その結果、その影響である苦しみと罪があなたにもたらせる。つまり、当たり前の因果関係なのである。"believing them to be ~ "「そして、その手段が、喜びや嬉しさをもたらしてくれるものだと信じているのである」。しかし、現実には、苦しみと罪の手段は、苦しみと罪の結果だけを、あなたに与えることになる。幻想の手段からは幻想しか生まれないのだ。くどいようだが、ここでもう一度、全体を整理しておこう。あなたは、苦しみと罪があなたに喜びをもたらすものだと信じた。つまり、あなたの特別性は、同胞が罪深く、それによって同胞が苦しむことを望んだのだ。そのための手段として、あなたは分離と攻撃を選んだ。同胞は自分と別物であり、同胞にこそ罪があるから攻撃すべきだと断じたのだ。そうすることで、あなたの優位性が確立し、特別性は維持され、あなたは喜びを得るはずだと想定したのである。しかし、現実には、あなたは微塵の喜びも得ることは不可能なのだ。苦しみと罪を手段に選べば、苦しみと罪の影響だけが実現し、あなた自身が苦しみ、あなた自身が罪を背負うことになるのである。真実の喜びを得るには、幻想の手段を捨て、真実の手段を選び取らなくてはならないのだ。
Even in Heaven does this law obtain. The Son of God creates to bring him joy, sharing his Father's purpose in his own creation, that his joy might be increased, and God's along with his.
- obtain [əbtéin] : 「広く行われている、はやっている、成り立っている」
- create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
- share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
- along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」
❖ "Even in Heaven does ~ "「天の王国でも、この法は成立している」。上記されたことが、天の王国でも成立している。ただし、負の方向ではなく、正の方向に成り立っているのだ。"The Son of God creates ~ "「神の子は、自らに喜びをもたらすために創造する」。"sharing his Father's ~ "「そして、神の子自身の創造の中で、父なる神の目的を分かち合うのである」。神の目的とは真実そのものと考えていい。真実を創造し、分かち合うことである。たとえば、神の子は自らに喜びをもたらすために、本当の愛を創造する。それは、神の目的に合致することであって、創造した愛を神と分かち合うことになるのだ。"that his joy might ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「〜するために、その結果」、「その結果、神の子の喜びは増大し、神の喜びも、一緒に増大していくのである」。真実の目的である真実の喜びを達成するために、真実の手段である愛、平和を創造する。真実の手段は真実の結果を生み出し、真実の喜びがもたらせる。その真実の喜びを分かち合うことで、真実は拡張増大していくのである。それが、神の意思であり、神の目的であり、神が神の子に託した願いである。こうして、めくるめく喜びの中で、神と神の子は融合し、ホーリー・スピリットもその融合に加わって、三位が喜びの内に一体となるのである。歓喜は天をつき、全き光の中で、神は自己を完成させ、世界が神という一点に収斂する。"God is"「神あり」という純粋一元論実相世界が完成するのである。