●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-3.VI.11:1 ~ T-3.VI.11:8

11. There is no one who does not feel that he is imprisoned in some way.
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する」
  • in some way : 「どうかして、どうかすると、何とかして」
❖ "There is no ~ "「どこかしら自分が捕らわれていると感じない者などいない」。人は誰でも自由を欲する。自由を欲するとは、自分が完全な自由ではないことを暗に示している。何かに制限され、何かに束縛され、あるいはどこかに幽閉されているような感覚をもってしまう。



If this is the result of his own free will he must regard his will as not free, or the circular reasoning in this position would be quite apparent.
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • free will : 「自由意志」
  • regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす、ある感情を持って〜を見る」
  • circular [sə́ːrkjulər] : 「循環の、循環する、循環論の」
  • reasoning [ríːzəniŋ] : 「論法、推理、推論」
  • circular reasoning : 「循環論法」
  • position [pəzíʃən] : 「立場、位置、地位、身分」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に 」
  • apparent [əpǽrənt] : 「はっきり見える、見た目に明らかな、明白な」
❖ "If this is ~ "「もし、これ(捕らわれの身だと感じること)が自分自身の自由意思の結果であるなら、」"he must regard ~ "「彼は自分の意思を自由だとは見なしていないことになる」。自由になりたいと意志することが、捕らわれている感覚を生むのだから、自由を求める意志は束縛感から自由になれない。"or the circular ~ "「言い換えれば、こういう立場における循環論法が極めて明白である」。こういう立場とは、自由と意志の関係性において、というような意味合い。つまり、自由を求める意志は、自由を感じることが出来ないという矛盾した立場にある、ということ。"circular reasoning"「循環論法」とあるが、ここでは悪循環のことだと思っていい。堂々巡りをしてしまう、ということ。つまり、『私は自由になりたい』、『それには自由意思をもてばよい』、『自由意思をもてば、自分が捕らわれていると感じる』、『捕らわれていると感じるのだから自分は自由ではない』、『だから、私は自由になりたい』、『それには自由意思をもてばよい』、・・・・。
この段落は非常に難解である。念頭に置いておけばいいのは、神の子の神からの分離である。神の子はある日、神なしで神のように生きることは出来なだろうかと考えた。つまり、神のように絶対的な自由意志をもって神抜きの自由な世界を創造出来ないだろうかと思ったのだ。神が自分に神の属性のすべてを与えたのなら、自分もまた神のように自由な意志による自由な創造が出来るはずだ。絶対的な神の存在を排除すれば、自分は神として神同様の自由を謳歌出来るはずだ。しかし、この時点で、神の子の自由意志は矛盾(悪循環)をはらんでしまう。自由を求めることは、不自由な現状を是認してしまうからだ。かくして、神から分離した神の子は、まがい物の創造力を使って偽の世界を作り出した。神のようなふりをして、自由なき世界を偽創造したのだ。そして、神への裏切りという罪の意識と、神の罰への恐れを抱き、罪と罰の捕らわれ人となった。
ところで、 自由意志の問題は、ロシアの文豪ドストエフスキーが生涯を通じて苦闘したテーマである。『悪霊』におけるキリーロフの論法は狂気的であるが、神に対峙する人間の自由意思の、悲しいまでの性(さが)を浮き彫りにしてくれる。『カラマーゾフの兄弟』における『大審問官』の章は、背筋がゾッとするような、自由と意志に対する悪魔的な所見を提示している。しかし、どちらの作品においても、ドストエフスキーは、神に対峙する人間の自由意志の確立にとって、根本的な解決の糸口を見い出すことは出来なかった。次の作品でこそ、と意気込んだドストエフスキーであったが、それを待たず他界した。



Free will must lead to freedom. Judgment always imprisons because it separates segments of reality by the unstable scales of desire.
  • lead [li':d] : 「〜に通じている、ある結果に至る、〜を導く」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、自主、独立 、解放 」
  • Judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • imprison [imprízn] : 「監禁する、拘置する、投獄する」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、引き離す、切り離す」
  • segment [ségmənt] : 「部分、区分、断片、切片」
  • reality [riǽləti] : 「現実性、実在性、現実のこと」
  • unstable : 「情緒不安定な、不安定な、安定していない」
  • scale [skéil] : 「目盛り、定規、尺度、 階級、物差し」
  • desire [dizáiər] : 「欲望、欲求、願望、念願」
❖ "Free will must ~ "「自由は解放へと導かれなければならない」。本当の自由は、自由になりたいと願っているうちは達成出来ない。自由か不自由か、自由意志があるかないか、そういった判断や、あるいは自由への渇望から解放されたとき初めて、すでにそこにあった絶対的な自由が立ち現れる。"Judgment always  ~ "「判断はいつも人を縛りつけてしまう」。"because it ~" 「なぜなら、判断は、欲望の不安定な尺度をもって、現実の断片を切り離してまうからである」。"by the unstable scales of desire"は「気まぐれな欲望によって」とか「気まぐれな望みの基準によって」とか、そういった意味合い。"it separates segments of reality"は、何かを判断するとき、自分の不安定な嗜好に左右されながら(by the unstable scales of desire)、多面的な現実(segments of reality )のある一面だけを切り離して(separates)、それを判断材料としている、という意味合い。したがって、判断はいつも偏りを生じ、対象を自由にするどころか、捕らわれの身にしてしまう。頭脳による理性的な判断は、気まぐれな願望によって現実の一断面を選び出し、そこに自由か不自由かの評価を下す。金があれば自由だとか、人を支配すれば自由だとか、身体的欠陥があるから不自由だとか、社会的な地位がないから不自由だとか、神の定めた運命を変えることは出来ないから人間は生来的に不自由だとか、様々な評価判断を下すわけだ。しかし、こういう頭脳による理性的な評価判断こそが本当の自由を阻害している。そこから解放されない限り、本当の自由はない。



Wishes are not facts. To wish is to imply that willing is not sufficient. Yet no one in his right mind believes that what is wished is as real as what is willed.
  • wish [wíʃ] : 「願い、望みの物、願望、希望」
  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
  • sufficient [səfíʃənt] : 「十分な、満足な、足りる」
❖ "Wishes are ~ "「望みは事実ではない」。望むとは、それが事実として実在してはいないことを示している。"To wish is ~ "「望むということは、意志しただけでは十分でないと暗に示している」。自由になりたいと望み、自由になろうと意志しただけでは、何も達成されない。"Yet no one ~ "「しかし、正しい心の持ち主ならば誰も、望まれたものは意思されたものと同様現実であるなどと信じてはいない」。"one in his right mind"「正しい心の人」とは、真実を知っている者のこと。



Instead of "Seek ye first the Kingdom of Heaven" say, "Will ye first the Kingdom of Heaven," and you have said, "I know what I am and I accept my own inheritance. "
  • Instead of : 「〜の代わりに」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • ye [jíː] : 「なんじら、あなたがた」
  • kingdom [kíŋdəm] : 「王国、王領」
  • heaven [hévn] : 「天国、神、天」
  • accept [əksépt] : 「承認する、承服する、認める、受け入れる」
  • inheritance [inhérətəns] : 「受け継いだもの、継承物、継承」
❖ "Instead of ~ "「『まず最初に、汝の天の王国を捜せ』と言う代わりに、『まず最初に、汝の天の王国を意思せよ』と言いなさい」。"and you have ~ "「そうすれば、あなたは『私は自分が何者か知っているし、自分自身が受け継いだものを受け入れている』と言ったことになる」。豊かな食べ物と財宝に恵まれ、快楽の限りを尽くすことの出来る極楽を望んで探し求める代わりに、愛や美や静寂、慈しみ、平穏、光、等々の真実で満たされた天の王国を意思せよ。そうすれば、あなたは、そのすべてを神から継承した神の子であることを知ることが出来る。絵に描いた餅を望んで求めても、餅は現実として目の前に表れることはない。そうではなく、本当に実在する真実の姿を心の中で意思するのである。
なお、"Seek ye first ~ "という文章は、まったく同じではないが、マタイの福音書6:33とルカの福音書12:31に出てくる。参考までに載せておく。

[Matthew 6:32~6:33 from King James Bible]
(For after all these things do the Gentiles seek:) for your heavenly Father knoweth that ye have need of all these things. But seek ye first the kingdom of God, and his righteousness; and all these things shall be added unto you.
それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。(新共同訳)

[Luke 12:30~12:32 from King James Bible]
For all these things do the nations of the world seek after: and your Father knoweth that ye have need of these things. But rather seek ye the kingdom of God; and all these things shall be added unto you. Fear not, little flock; for it is your Father's good pleasure to give you the kingdom.
それはみな、世の異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要なことをご存じである。ただ、神の国を求めなさい。そうすれば、これらのものは加えて与えられる。小さな群れよ、恐れるな。あなたがたの父は喜んで神の国をくださる。(新共同訳)
 
 
 
 



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