●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-30.IV.3:1 ~ T-30.IV.4:10

3. The gap that is not there is filled with toys in countless forms. And each one seems to break the rules you set for it.
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
  • fill [fíl] : 「〜を…に詰める、注入する、満たす、〜を…でいっぱいにする」
  • toy [tɔ́i] : 「おもちゃ、玩具」
  • countless [káuntləs] : 「数えきれないほどの、無数の、数えきれない」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき」
  • break [bréik] : 「壊す、割る、折る、破る」
  • rule [rúːl] : 「規則、ルール、規定、法則、規範」
  • set [sét] : 「定める、配置する、設定する」
❖ "The gap that is ~ "「(本当は)そこにはないギャップは、無数の形をしたおもちゃで埋め尽くされている」。"And each one seems ~ "「そして、おもちゃの一つ一つは、あなたがおもちゃに対して設定したルールを破っているかのように見える」。この幻想空間は分離の世界であり、あらゆるものが分離分裂し、バラバラに存在する。その存在するもの同士の間の空間がギャップである。しかし、それは幻想空間であることに変わりはなく、本当は存在していない。もちろん、分離分裂して存在している多くの形を持ったもの達も、単なる幻想であって、おもちゃに等しい。あなたが幻想によって産み出した幻覚であり、偶像(おもちゃ)に過ぎない。あなたが勝手に幻想したものなので、あなたの期待が込められており、その意味では、あなたが幻想に対してルールを決めている。ところが、これらの偶像(おもちゃ)は、ことごとくあなたの期待を裏切り、ルールを破ってしまうのである。



It never was the thing you thought. It must appear to break your rules for safety, since the rules were wrong.
  • thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • safety [séifti] : 「安全、安全性、無事、無難なもの」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
❖ "It never was ~ "「おもちゃは、あなたが思ったようなものでは決してない」。あなたの期待、あなたが作ったルールを破ったおもちゃであるから、あなたの思いや思惑から外れたものたちである。蛇足になるが、この段落は、現在形と過去形が入り乱れている。時制は気にせず、気楽に考えていい。"It must appear ~ "「おもちゃは、あなたが安全のために作ったルールを破ってしまうかに見えるに違いない」。"for safety"「安全のため」とあるが、「心の安定を願って」という意味合い。簡単に言えば、おもちゃ(偶像)を持つことで、幸せになれるはずだと思ったのである。"since the rules ~ "「というのも、ルールが間違っていたからだ」。おもちゃ(偶像)に対して、自分の幸せを実現するように、つまり、自分の命令に従うようにルールを設定したのだが、それ自体が誤っている。たとえば、心の平和を得るには物質的な豊かさが必然だと考えて、金という偶像(おもちゃ)を崇拝するわけだが、金が幸せを運んでくるというルール自体が誤っているのだ。金という偶像(おもちゃ)はルールを破り、あなたの期待をいとも簡単に裏切ってしまう。



But you are not endangered. You can laugh at popping heads and squeaking toys, as does the child who learns they are no threat to him.
  • endanger [indéindʒər] : 「〜を危険にさらす、危うくする」
  • laugh [lǽf] : 「笑い声を上げる、笑う」
  • laugh at : 「〜を笑う」
  • pop [pάp] : 「ひょっこり現れる、飛び出る」
  • squeak [skwíːk] : 「キーキー鳴る、キーキー音を立てる」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
❖ "But you are not ~ "「しかし、あなたが危険に晒(さら)されているわけではない」。おもちゃがルールを破ったからといって、あなたの命を危険に晒すようなことはない。金という偶像(おもちゃ)に裏切られたからと言って、あなたの心の平和自体が破壊されたのではない。心を入れ替えて、ものの見方を変えればいいだけなのだ。"You can laugh at ~ "「あなたは、ぴょんと頭が飛び出る(びっくり箱)や、キーキー鳴き出す(クマの縫いぐるみ)を、笑い飛ばすことが出来るのだ」。"as does the child ~ "「おもちゃは決して脅威などではないと学んだ子供がそうするように」。金という偶像(おもちゃ)にしても、あなたの期待を裏切ったなら、やっぱり金では本当の幸せは買えないものなんだと学んで、笑って受け流してしまえばいい。



Yet while he likes to play with them, he still perceives them as obeying rules he made for his enjoyment.
  • while [hwáil] : 「〜の間ずっと、〜する間に、その間に」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する〜に気付く、〜を見抜く」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、服従する、〜の言うことを聞く」
  • enjoyment [indʒɔ́imənt] : 「喜び、楽しみ」
❖ "Yet while he likes ~ "「しかし、子供がおもちゃで遊んでいたいと思う間は、」"he still perceives ~ "「子供はなおも、おもちゃが、自分の楽しみのために作ったルールに従っているものと知覚する」。おもちゃと楽しく遊んでいるうちは、おもちゃは期待を裏切らない従順な奴隷である。



So there still are rules that they can seem to break and frighten him.
  • frighten [fráitn] : 「〜を怖がらせる、ドキッとさせる」
❖ "So there still are rules ~ "「しかし、おもちゃがルールを破り子供を驚かす可能性は、なおもある」。突然、おもちゃの首が飛び出したり、キーキー鳴き出したりして、おもちゃは子供の制御から逸脱する可能性はある。楽しいはずのおもちゃ遊びが、突然、恐怖に変わってしまうのだ。



Yet is he at the mercy of his toys? And can they represent a threat to him?
  • mercy [mə́ːrsi] : 「慈悲、情け、寛大な措置」
  • at the mercy of : 「〜の意のままに、〜の言いなりで」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する」
❖ "Yet is he at ~ "「しかし、子供は、おもちゃの言いなりであろうか」。"And can they represent ~ "「おもちゃは、子供に対して脅威を表現出来るだろうか」。おもちゃが、子供に対して恐れを抱かせるようなことが出来るだろうか、ということ。いいや、ルールを破られ驚かされても、おもちゃはおもちゃに過ぎず、単に笑い飛ばせばいいのだ。おもちゃの言いなりになって、泣き出す必要などない。



4. Reality observes the laws of God, and not the rules you set. It is His laws that guarantee your safety.
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • observe [əbzə́ːrv] : 「守る、順守する」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • guarantee [ɡæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う、約束する」
❖ "Reality observes ~ "「実相は、神の法を順守するが、あなたの設けたルールを守ることはない」。実相世界の真実は、神の法を守る。真実が真実を曲げることはない。しかし、実相世界の真実は、幻想世界に適応するためにあなたが勝手に作ったルールに従うことはない。実相的真実は偶像ではないのだ。"It is His laws ~ "「あなたの安全を保障してくれるのは、神の法である」。あなたの心の安定、穏やかな平和を与えてくれるのは、あなたが設けたルールに従う幻想の偶像(おもちゃ)ではなく、神の法に従う実相的な真実である。



All illusions that you believe about yourself obey no laws.
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • obey [oubéi] : 「〜に従う、服従する」
❖ "All illusions that ~ "「あなた自身に関してあなたが信じる幻想のすべては、法というものをまったく守らない」。あなたがあなた自身の安全、安定のために幻想した偶像のすべては、あなたの設定したルールに従わないのはもちろん、実相的な神の法も守らない。だから、幻想なのだと言えるのである。絵に描いた餅がどんなルールや法を守るだろうか? 餅を絵に描いて腹を満たしくれと祈っても、単なる絵が、そんなあなたの期待に応えるわけがない。



They seem to dance a little while, according to the rules you set for them.
  • dance [dǽns] : 「ダンスする、舞う、踊る、飛び跳ねる」
  • a little while : 「しばらくの間」
  • according [əkɔ́ːrdiŋ] to : 「〜に従って、〜と一致して、〜に準じて」
❖ "They seem to dance ~ "「幻想は、〜にしたがって、しばらくの間はダンスを踊っているかに見える」。"according to the rules ~ "「幻想に対してあなたが設定したルールに従って、」幻想は、しばらくの間はダンスを踊っているかに見える。絵に描いた餅も、本物そっくりなので、しばらくの間は、あなたの腹を満たしてくれるかに見え、あなたの心は小躍りする。金という名の偶像も、しばらくの間は、あなたに豊かさをもたらし、幸せを運んで来るかのように思えるのだ。まさに、偶像が、あなたの設定したルールに従って、軽快なダンスを踊っているかのように見えるだろう。



But then they fall and cannot rise again. They are but toys, my child, so do not grieve for them.
  • fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、落下する、倒れる、滅びる」
  • rise [ráiz] : 「立ち上がる、起立する」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて」
  • grieve [gríːv] : 「深く悲しむ、悲嘆に暮れる」
  • grieve for : 「〜を嘆き悲しむ」
❖ "But then they fall ~ "「しかし、しばらくすると、幻想は転んで再び起き上がれなくなる」。軽快にダンスを踊っているかに見えた幻想は、長続きすることなく、かならずこける。こけて、再び起き上がることはない。"They are but ~ "「我が子よ、幻想などおもちゃに過ぎないのだ」。"so do not grieve ~ "「だから、悲しむことなどない」。絵に描いた餅が、あなたの腹を満たしてくれないとわかっても、悲しむ必要はない。それは単なる紙切れなのだから。偶像もまた、単なる幻想であって、絵に描いた紙切れと同然である。悲しむ必要などない。



Their dancing never brought you joy. But neither were they things to frighten you, nor make you safe if they obeyed your rules.
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
  • neither [níːðər] A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
❖ "Their dancing ~ "「幻想のダンスは、決してあなたに喜びをもたらしはしない」。"But neither were ~ "「しかし、幻想はあなたを驚かすものでもなれければ、幻想があなたのルールに従ったとしても、あなたを安全にすることもない」。幻想はあくまでも絵に描いた餅と同様で、あなたを脅かすことも喜びを与えることもない。だから、絶望することも怒ることもないのだ。幻想を笑い飛ばして、早々に幻想から目覚めるのが最善である。いつまでもおもちゃで遊んでいたいと思うのは、大人のすることではない。成長したなら、おもちゃの世界から離れなくてはならないのだ。



They must be neither cherished nor attacked, but merely looked upon as children's toys without a single meaning of their own.
  • cherish [tʃériʃ] : 「〜を大事にする、大切にする」
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • look upon : 「〜を見る」
  • without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで」
  • single [síŋgl] : 「ただ一つの、たった一つの」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
❖ "They must be neither ~ "「幻想は、大切に扱われることも、攻撃されることもないに違いない」。"but merely looked ~ "「ただ単に、それ自身の意味など一つもない、子供のおもちゃとして見られるだけである」。幻想は夢であり、それ自体に意味も意義もない。だから、大切に扱う必要も、むきになって攻撃する必要もないのだ。



See one in them and you will see them all. See none in them and they will touch you not.
  • none [nʌ́n] : 「何も〜ない」
  • touch [tʌ́tʃ] : 「〜に触れる、作用する、衝撃を与える、影響を与える」
❖ "See one in them and ~ "「幻想の中の一つを見ただけで、すべてが分かってしまうだろう」。形こそ異なれ、幻想はすべて同じものであり、一を知れば十が分かる。"See none in them ~ "「幻想の中の一つさえ見ることがないなら、幻想があなたに影響を与えることもない」。幻想の一つでも無視してしまえば、どの幻想からも影響を受けたり騙されたりすることはない。ところで、これまでの「幻想」を、「偶像」に置き換えて解釈しても、もちろん、すべて意味が通じる。偶像は幻想だから、当たり前である。偶像は幻想であり、子供のおもちゃである。この世界は、おもちゃの世界なのだ。絵に描いた餅、絵に描いた幸せ、絵に描いた平和、等々、いわば嘘で構成された世界である。あなたがどんなに苦と痛みを感じても、どんなに絶望と悲惨さに嘖(さいな)まれても、あるいは、一時の繁栄と栄華に酔いしれて我が世を謳歌しても、所詮夢の出来事なのだ。すべては絵空事で構成された悲劇であり喜劇である。この世の万事を笑い飛ばして、早々に夢から覚めるに越したことはない。
 
 
 


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