●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-27.IV.5:1 ~ T-27.IV.6:11

5. A pseudo-question has no answer. It dictates the answer even as it asks.
  • pseudo [súːdou] : 「見せかけの、偽りの、偽の、疑似的」
  • question [kwéstʃən] : 「問題、疑問、問い、質疑、疑義」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • dictate [díkteit] : 「〜を書き取らせる、口述する、〜を命令する」
  • ask [ǽsk] : 「尋ねる、質問する、求める」
❖ "A pseudo-question ~ "「偽りの疑問は、答えをもたない」。質問自体の中にすでに答えを含んでいるような、偽りの疑問は、本当の答えというものをもたない。"It dictates the answer ~ "「それは、尋ねながら、答えを述べているのである」。たとえば、『人は罪のある他者を憎んで何が悪いのか』というような疑問は、発せられると同時に、『罪のあるような他者は憎むに値する』という答えを述べているのだ。



Thus is all questioning within the world a form of propaganda for itself.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • within [wiðín] : 「〜の中の、〜の内側の」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
  • propaganda [prɑ̀pəgǽndə] : 「主義や主張の宣伝、プロパガンダ」
❖ "Thus is all questioning ~ "「こうして、この世界の疑問のすべては、それ自体のための宣伝という形をとる」。たとえば、『人は罪のある他者を憎んで何が悪いのか』という疑問は、『罪ある他者を、どんどん憎んで、罰せよ』という、いわば自己宣伝をしているようなものだ。



Just as the body's witnesses are but the senses from within itself, so are the answers to the questions of the world contained within the questions that are asked.
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、証拠、証言」
  • sense [séns] : 「感覚、感触、知覚」
  • contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、〜が入っている」
❖ "Just as the body's ~ "「ちょうど、肉体の実在性の証言は、それ自体の内側からの感覚であると同様に、」つまり、肉体が本当に存在しているように感じるのは、肉体の一部である感覚器官がそう感じているからであり、それと同様に、"so are the answers ~ "「この世界の疑問に対する答えは、尋ねられた疑問の中に含まれているのである」。一言で言えば、どちらも自己撞着を起こしているのだ。自ら発したことの中に、自らへの返答を含んでいるのだ。だから、感覚器官による肉体の実在性の証言も、初めから答えを含んだ疑問も、何の意味もないのである。



Where answers represent the questions, they add nothing new and nothing has been learned.
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、象徴する、意味する」
  • add [ǽd] : 「加える、合計する、足す」
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "Where answers ~ "「答えが疑問を表しているところでは、」答えが疑問の中に入っているところでは、"they add nothing ~ "「疑問は、何の新しいことも、学ぶべき何ものも、付け加えることはない」。答えのわかっている疑問を発しても、何か新しい発見など、決して望めない。



An honest question is a learning tool that asks for something that you do not know.
  • honest [ɑ́nəst] : 「正直な、誠実な、素直な、公正な」
  • tool [túːl] : 「道具、助け、用具、工具、手段、手先」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
❖ "An honest question ~ "「誠実な疑問は、あなたの知らない何かを求める、学びの道具である」。本当の疑問や質問は、初めから答えを含んだものではなく、知らない何かを求めて発せられるものなのだ。そこに、学びの原点があり、疑問や質問は、学びのための最強の道具なのだ。



It does not set conditions for response, but merely asks what the response should be.
  • condition [kəndíʃən] : 「事情、条件、状態、状況、様子」
  • response [rispɑ́ns] : 「応答、感応、反応、返答、回答」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
❖ "It does not set ~ "「誠実な疑問は、返答に条件を設けないし、」こんな答えでないと答えとして認めない、などということはないし、"but merely asks ~ "「ただ単に、答えられるべきものを尋ねているのだ」。自分の知らない答えが答えられるのを期待しているだけなのだ。"what the response should be"「答えられるべきもの」とは、単に、正しい答え、と考えていいだろう。



But no one in a conflict state is free to ask this question, for he does not want an honest answer where the conflict ends.
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「摩擦、葛藤、軋轢、争い、紛争」
  • state [stéit] : 「状態、形勢、情勢、状況」
  • end [énd] : 「終わる」
❖ "But no one in ~ "「しかし、コンフリクトの状態にある者は誰も、こういった疑問を発する自由がない」。正直に、単純に、正しい答えを求めて疑問を発することがない。"for he does not want ~ "「なぜなら、彼は、コンフリクトを終わらせる誠実な答えを欲していないからだ」。いつまでもコンフリクトの中に留まろうとして、誠実な答えを求めようとしない。



6. Only within the holy instant can an honest question honestly be asked.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • honestly [άnistli] : 「正直に、誠実に、本当に、正当に」
❖ "Only within the holy ~ "「聖なる瞬間の中においてのみ、誠実な疑問は正直に発せられる」。ここで言う聖なる瞬間とは、あなたがホーリー・スピリットの声を聞くことの出来るようになった瞬間のこと。疑問とその答えをホーリー・スピリットに委ねてしまえば、あなたはホーリー・スピリットから誠実な答えが得られるのだ。



And from the meaning of the question does the meaningfulness of the answer come.
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • meaningfulness [míːniŋfəlnis] : 「有意味性、意味のあること」
❖ "And from the meaning ~ "「疑問の意味から、答えの有意味性はやってくる」。難しい言い回しをしているが、要するに、意味ある疑問から、意味ある答えが引き出せるということ。誠実な疑問から、誠実な答えが得られるのだ。それを後押ししてくれるのが、ホーリー・スピリットである。あなた一人が疑問を発し、あなた一人でそれに答えるのではないのだ。



Here is it possible to separate your wishes from the answer, so it can be given you and also be received.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す」
  • wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
❖ "And from the meaning ~ "「ここでは、あなたの望みを答えから分離することが可能であり、」"so it can be given ~ "「答えはあなたに与えられ、また、あなたに受け取ってもらえるのだ」。誠実な疑問には、あなたの希望的観測が含まれていてはいけない。答えがこうであって欲しいという願いを排除して、ただ単に、知りたいという気持ちから疑問を発することが、誠実な疑問である。聖なる瞬間には、あなたの、こうあって欲しいという思いが、疑問に対する答えから分離されるのだ。だから、あなたは、本当の意味で、その答えから学べるのである。本当の答えを受け取れるのである。



The answer is provided everywhere. Yet it is only here it can be heard.
  • provide [prəváid] : 「提供する、供給する、与える、供与する、準備する」
  • everywhere [évrihwèər] : 「どこでも、どこにも」
  • heard [hə́ːrd] : 「hear の過去・過去分詞形」
❖ "The answer is provided ~ "「答えは、どこでも手に入る」。"Yet it is only here ~ "意訳する、「しかし、耳を傾けるに値する答えは、ただこの聖なる瞬間においてだけ、答えられるのだ」。学ぶ価値のある答えは、誠実な疑問に対して、聖なる瞬間、ホーリー・スピリットが与えてくれる答えだけである。



An honest answer asks no sacrifice because it answers questions truly asked.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
  • truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に、誠実に、正直に」
❖ "An honest answer ~ "「誠実な答えは、どんな犠牲も要求しない」。誠実な答えは、あなたに無理な要求をすることはない。あなたに犠牲を強いるような答えは、誠実な答えではない。"because it answers ~ "「なぜなら、誠実な答えは、本当に尋ねられたことだけに答えるからだ」。尋ねられたことだけに誠実に答えるのが誠実な答えであって、本来の答えから外れて、他に何かを要求することなはいのだ。



The questions of the world but ask of whom is sacrifice demanded, asking not if sacrifice is meaningful at all.
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "The questions of ~ "「この世界の疑問は、誰が犠牲にされるか尋ねているだけだ」。たとえば、悪いのは誰か、罰せられるべきは誰か、というようなこと。"asking not if ~ "「犠牲は意味があるかどうかなど、まったく尋ねられることはない」。罪は幻想であり、それに伴う罰も幻想で、したがって、誰も犠牲になる必要はないはずだが、それを問いかけることは、この世界ではない。



And so, unless the answer tells "of whom," it will remain unrecognized, unheard, and thus the question is preserved intact because it gave the answer to itself.
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • remain [riméin] : 「依然として〜のままである」
  • unrecognized [ʌnrékəɡnàizd] : 「見分けられない、正当に認められていない、認識されていない」
  • unheard [ʌnhə́ːrd] : 「聞こえない、耳に届かない」
  • preserve [prizə́ːrv] : 「〜を保つ、保存する」
  • intact [intǽkt] : 「手を付けていない、変わっていない、無傷の」
❖ "And so, unless ~ "「したがって、答えが、『犠牲にされるべき誰か』を特定しない限り、」"it will remain ~ "「答えとして認識されることはない」。"unheard, and thus ~ "「そんな答えは、耳を傾けられることもなく、こうして、疑問は答えらないままに温存されるのだ」。"because it gave ~ "「なぜなら、その疑問自体が答えを与えているからだ」。この世界の疑問は、誰に罪があり、誰が罰せられるべきか、ということであって、その誰かが確定されない限り、その疑問は答えられていない、ということになる。そして、そんな疑問は、罪と罰は実在して当然だという答えを自分自身でもっているので、罪と罰の本当の誠実な問題は、問題にされることも答えれることもないのである。



The holy instant is the interval in which the mind is still enough to hear an answer that is not entailed within the question asked.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
  • interval [íntərvəl] : 「隔たり、間隔、合間」
  • enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
  • entail [entéil] : 「〜を伴う、必要とする、引き起こす」
❖ "The holy instant is ~ "「聖なる瞬間は、心がまだ十分に、答えを聞く耳をもっている時間のことである」。もちろん、"that is not entailed ~ "意訳する、「その答えは、尋ねられた疑問の中にすでに確立しているような種類のものではない」。いわゆる、誠実な答えなのだ。だから、答えから学べるのである。



It offers something new and different from the question. How could it be answered if it but repeats itself?
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • repeat [ripíːt] : 「〜を繰り返す、〜を繰り返して言う」
❖ "It offers something ~ "「そんな答えは、疑問とは異なった、何か新しいものを提供しているのである」。疑問をもった時点では気付かなかった、何か異なる、新しいものを、その答えは提供してくれる。だから、学べるのだ。"How could it be ~ "「疑問が、自分自身を繰り返しているだけなら、疑問はどうして答えられたと言えるだろうか」。初めから答えを確立している疑問は、疑問が発せられても答えられる内容は、その確立した答えだけである。あたかも、疑問自体が同じ疑問を繰り返していることになるのだ。そんなことでは、学びに役立つ答えなど、決して期待できないのである。
 
 
 


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