VI. The Witnesses to Sin
罪の証言
1. Pain demonstrates the body must be real. It is a loud, obscuring voice whose shrieks would silence what the Holy Spirit says, and keep His words from your awareness.
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛、骨折り、苦労」
- demonstrate [démənstrèit] : 「論証する、実証する、明らかにする」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- loud [láud] : 「大きい、騒々しい、派手な」
- obscure [əbskjúər] : 「分かりにくくする、見えなくする、覆い隠す」
- shriek [ʃríːk] : 「甲高い声、金切り声、悲鳴」
- silence [sáiləns] : 「静める、黙らせる、沈黙させる」
- awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
❖ "Pain demonstrates ~ "「苦痛は、肉体が実在するに違いないと実証している」。"It is a loud ~ "「それは、大きな、しかし曖昧な声であり、」"whose shrieks would ~ "「その悲鳴は、ホーリー・スピリットの話すことをかき消し、ホーリー・スピリットの言葉が意識に登らないようにしている」。幻想の肉体が発する苦痛の叫びは、実相のホーリー・スピリットの声をかき消して、あなたの耳に届くことはない。肉体が感ずる感覚によって、真実が隠されているのだ。
Pain compels attention, drawing it away from Him and focusing upon itself.
- compel [kəmpél] : 「〜に強制的に〜させる、強要する、強いる」
- attention [əténʃən] : 「注意、留意、注目」
- draw [drɔ́ː] : 「 〜を引く、引き込む」
- away from : 「〜から離れて」
- focus [fóukəs] upon : 「〜に焦点を合わせる、〜に集中する」
❖ "Pain compels ~ "「苦痛は、嫌が上でも注意を引き、」"drawing it away from ~ "「その注意をホーリー・スピリットから引き離して、苦痛自体に向けさせる」。肉体的な痛みを感じるあなたは、痛みだけに集中して、ホーリー・スピリットの声に注意を向けることはない。
Its purpose is the same as pleasure, for they both are means to make the body real.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- pleasure [pléʒər] : 「喜び、楽しみ、快楽、楽しいこと、好み」
- both [bóuθ] : 「両方ともに、双方ともに」
- means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
- make [SVOC] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
❖ "Its purpose is ~ "「苦痛の目的は、快楽の目的と同一である」。"for they both ~ "「なぜなら、共に、肉体を実在するものとする手段だからだ」。肉体が痛みを感じたり、肉体が気持ちよさを感じたりすることは、肉体が実際に存在し、現実な物であることを示すための道具になっている。
What shares a common purpose is the same. This is the law of purpose, which unites all those who share in it within itself.
- share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- common [kάmən] : 「共通の、共有の、公共の、公衆の、公の」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
- unite [junáit] : 「〜を結合させる、一つにする、結び付ける」
❖ "What shares a common ~ "「共通の目的を分かち合うものは、同一なのだ」。だから、苦痛と快楽は同じものである。"This is the law of ~ "「これは、目的の法である」。目的が同一であるものは、見かけが異なっていても同一である、ということが目的の法。"which unites all ~ "「その法は、目的を目的自体の中で分かち合う者達をすべて結びつけているのだ」。"share in it within itself"「目的を目的自体の中で分かち合う」とは、分かち合う内容が目的だけであって、その他のものを分かち合っているわけではいない、ということ。
Pleasure and pain are equally unreal, because their purpose cannot be achieved.
- equally [íːkwəli] : 「等しく、同様に、一様に、均一に」
- unreal [ʌnríəl] : 「実在しない、非現実的な、実存しない、虚偽の」
- achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する、成就する」
❖ "Pleasure and pain ~ "「快楽と苦痛は、等しく、実在ではない」。"because their purpose ~ "「なぜなら、それらの目的は達成されることはないからだ」。快楽も苦痛も、その目的は、肉体が現実に実在することを証明することである。しかし、肉体は実在するものではなく、単なる幻想だから、快楽や苦痛の目的は決して達成されることはない。幻想を実在と証明することを目的とする快楽も苦痛も、その根底が幻想であるから、それ自体も幻想に過ぎないのだ。
Thus are they means for nothing, for they have a goal without a meaning.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
❖ "Thus are they means ~ "「こうして、快楽も苦痛も、無のための道具ということになる」。"for they have a ~ "「なぜなら、それらは、意味のない目的をもっているからだ」。幻想を実相に変えるという、不可能を目的とすることは、まったく意味のないことである。快楽も苦痛も、意味のない目的である無のために使われる道具に過ぎないのだ。
And they share the lack of meaning which their purpose has.
- lack [lǽk] : 「不足、欠乏、欠如、欠落」
❖ "And they share ~ "「つまり、快楽と苦痛は、それらの目的がもっている意味の欠如を分かち合っているのである」。快楽も苦痛も、その目的は意味がない。その意味のなさを、快楽と苦痛は分かち合っているわけだ。
2. Sin shifts from pain to pleasure, and again to pain. For either witness is the same, and carries but one message:
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- shift [ʃíft] : 「変わる、移る、転換する」
- either [íːðər] : 「どちらの〜でも、どちらの〜も」
- witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
- carry [kǽri] : 「〜を運ぶ、〜を持ち運ぶ、〜を伝える」
- message [mésidʒ] : 「伝言、メッセージ、通報」
❖ "Sin shifts from ~ "「罪は、苦痛から快楽にシフトし、再び苦痛に戻る」。神の子が神から分離し、神を裏切ってしまったという罪の意識と、神から罰せられるであろうという恐れの二つに耐えかねて、神の子は自己を乖離し、本来の自分とは異質の仮の自分を作り上げた。それが、エゴの支配する肉体である。したがって、肉体は罪の象徴なのだ。だから、本文は『罪』を『肉体』に置き換えて、「肉体は、苦痛から快楽にシフトし、再び苦痛に戻る」と読み替えていい。"For either witness ~ "「なぜなら、どちらの証言者も同一だからであり、一つのメッセージを伝えているだけだからだ」。苦痛も快楽も、肉体の実在性を証言する証言者であり、見かけは反対だが、内容は同一である。"one message"「一つのメッセージ」とは、次の文に続くのだが、一言で言えば、もちろん、肉体は実在である、ということ。
"You are here, within this body, and you can be hurt. You can have pleasure, too, but only at the cost of pain. "
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- hurt [hə́ːrt] : 「痛む、苦しい、傷つく」
- at the cost [kɔ́st] of : 「〜を費やして、〜を犠牲にして」
❖ ここからが、苦痛と快楽の伝える一つのメッセージ。""You are here, within ~ ""「『あなたは、ここ、この肉体の中に存在しており、傷つく可能性をもっている。あなたは、快楽を持ち得るが、それは苦痛を支払って得られるものなのだ』」。
These witnesses are joined by many more. Each one seems different because it has a different name, and so it seems to answer to a different sound.
- witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
- join [dʒɔ́in] : 「〜に加わる、〜と一緒になる、結合する、連結する」
- many more : 「さらに多くの」
- seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- answer [ǽnsər] : 「答える、返事する」
- sound [sáund] : 「音、音声」
❖ "These witnesses ~ "「こういった証言には、より多くの証言が加わる」。先の一つのメッセージに限らず、肉体の実在性を証言する数多くの証言が存在する。"Each one seems ~ "「その一つ一つは、異なって見えるかもしれない」。"because it has ~ "「なぜなら、個々に異なる名前をもち、異なる音声に答えているかのように見えるからだ」。"to answer to a different sound"「異なる音声に対して答える」とは、異なる質問に対して、証言している、という意味合い。たとえば、肉体の快楽と苦痛だけでなく、その他の肉体の特徴を質問されると、『肉体は成長し、やがて衰えていく』とか、『肉体は生み出され、死んでいく』とかの証言がなされるわけだ。肉体を物質として科学的にとらえる医学などは、その最たるものだ。
Except for this, the witnesses of sin are all alike. Call pleasure pain, and it will hurt.
- except [iksépt] for : 「〜を除けば、〜を別にすれば」
- alike [əláik] : 「似ている、そっくりで」
❖ "Except for this ~ "「これを除けば、罪の存在証言は、どれも似たり寄ったりである」。証言の数の多さを除けば、肉体の存在証明、つまり、罪の存在証明は、みな本質的な部分で同じである。
Call pain a pleasure, and the pain behind the pleasure will be felt no more.
- behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に、〜の陰」
- felt [félt] : 「feel の過去形」
- feel [fíːl] : 「〜を感じる、感知する」
- no more : 「もはや〜しない」
❖ "Call pain a pleasure ~ "「苦痛を快楽と呼んでみなさい」。"and the pain behind ~ "「そうすれば、苦痛は、快楽の後ろに隠されて、もう感じられなくなるだろう」。快楽か苦痛かを決めているのは、肉体的な神経ではなく、心なのだ。心が快楽か苦痛かを選択しているのである。
Sin's witnesses but shift from name to name, as one steps forward and another back.
- step [stép] : 「進める、歩く」
- forward [fɔ́ːrwərd] : 「前方へ」
- step forward : 「前に進む、前に出る」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つ、もう一人」
- back [bǽk] : 「後方へ、後ろに、元の位置へ、戻って」
❖ "Sin's witnesses but ~ "「罪の証言は、一歩前に出るか、一歩下がるかにしたがって、名前をころころ変えているのである」。あるときは快楽、あるときは苦痛、あるときは憂鬱、あるときは怠(だる)さというように、心の気分次第で、肉体の存在証言はころころ変わる。
Yet which is foremost makes no difference. Sin's witnesses hear but the call of death.
- foremost [fɔ́ːrmòust] : 「第一の、一番の、真っ先」
- make no difference [dífərəns] : 「違いがない」
- hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる、耳にする」
- call [kɔ́ːl] : 「呼びかけ、叫び、要求、需要」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "Yet which is foremost ~ "「しかし、どれが最初かは、違いを作り出さない」。初めに快楽があっても、初めに苦痛があっても、結果は同一である。それは、"Sin's witnesses ~ "「罪の証言者達は、死の呼び声を聞くだけなのだ」。快楽に溺れようが苦痛に沈もうが、肉体である以上、結局は、死だけが待っているというのが、罪の証言者達の一致した結論である。