2. It is indeed a senseless point of view to hold responsible for sight a thing that cannot see, and blame it for the sounds you do not like, although it cannot hear.
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも、実際に」
- senseless [sénslis] : 「無分別な、非常識な、常識がない、愚かな、無意味な」
- point of view [vjúː] : 「考え方、観点、視点、主張」
- hold responsible [rispάnsəbl] for : 「〜の責任を負わせる」
- sight [sáit] : 「視界、景色、光景、視覚、視力」
- blame [bléim] : 「非難する、とがめる、責める、〜の責任にする」
- sound [sáund] : 「音、音声」
- although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
- hear [híər] : 「聞く、聞こえる」
❖ "It is indeed a senseless ~ "「見ることの出来ない者に対して、光景の責任を負わせたり、あるいは、それは聞くことが出来ないというのに、あなたの嫌いな音だといって責めることは、(どちらも)まったく無意味な見方である」。肉体の目は、幻想世界こそ見れるが実相世界は見ることが出来ない。そんな目に対して、目が知覚した光景が気に入らないと言って、目の責任を問うことは意味のないことだ。同様に、幻想世界の音しか聞くことの出来ない肉体的な耳に対して、それが気に入らないと耳を責めることも、意味のないことだ。
It suffers not the punishment you give because it has no feeling. It behaves in ways you want, but never makes the choice.
- suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、経験する、被る」
- punishment [pʌ́niʃmənt] : 「罰すること、罰、刑罰、処罰、懲罰」
- feeling [fíːliŋ] : 「感触、感覚、感情、意識、感じ」
- behave [bihéiv] : 「態度を取る、振る舞う、行動をする」
- choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "It suffers not the punishment ~ "「肉体は、感情というものを一切もたないので、あなたが与える罰を被ることはない」。あなたは見たくなもない光景を見せる目に対して、あるいは聞きたくもない音を聞かせる耳に対して、怒りを顕(あらわ)にして罰しようとするかもしれないが、目も耳も、それ自体感情を持たないので、罰しても無駄なのだ。そもそも、見たり聞いたりすることに、目も耳も責任はない。"It behaves in ways ~ "「肉体は、あなたが望むように振る舞うだけであり、決して(自ら)選択することはない」。あなたが見たいと思う光景を目は拾い出し、聞きたいと思う音を耳は拾い出す。あなたの恣意のままに肉体は振る舞う。だから、肉体には責任はなく、罰することなど筋違いなのだ。肉体は、自ら見たいものや聞きたいものを選択するわけではないし、そもそも出来ないのだ。
It is not born and does not die. It can but follow aimlessly the path on which it has been set.
- born [bɔ́ːrn] : 「生まれる、誕生する、産声を上げる」
- die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
- follow [fάlou] : 「〜について行く、〜に続く、〜の後について行く」
- aimlessly [éimlisli] : 「目的もなく、あてどなく」
- path [pǽθ] : 「道、小道、細道、通り道、通路、経路」
- set [sét] : 「整える、定める、配置する、設定する」
❖ "It is not born and ~ "「肉体は生まれることもなく、死ぬこともない」。"It can but follow ~ "「肉体は、定められた道を、目的なくただ辿るだけなのだ」。肉体は、幻想世界では、つまり、夢の中では、生まれては死んでゆくのだが、それは夢であって、そもそも幻想に過ぎない肉体が、実体をもって生まれ、実体をもって死ぬことはない。我々が目にする生も死も幻想であって、夢の出来事だ。したがって、輪廻転生も夢の出来事であって、それは実相的に存在する現象ではない。輪廻転生の輪から抜け出すことこそが、夢からの目覚めであって、幻想の生死から解放されることなのだ。
And if that path is changed, it walks as easily another way. It takes no sides and judges not the road it travels.
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- walk [wɔ́ːk] : 「歩く、歩行する」
- easily [íːzili] : 「容易に、たやすく、苦もなく」
- another [ənʌ́ðər] : 「もう一つの、別の、ほかの」
- take sides : 「どちらか一方の側につく、どちらか一方の肩を持つ」
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する、〜を裁定する」
- road [róud] : 「道、進路、道筋、道路、車道」
- travel [trǽvl] : 「進む、歩く、走る、動く、旅する、旅行する」
❖ "And if that path ~ "「肉体が辿る道が変えられれば、肉体はいとも簡単に別の道を歩くことになる」。"It takes no sides ~ "「肉体は、何かの肩を持つようなことはなく、肉体の辿るべき道を判断することもない」。肉体自体は自意識を持たないのだ。いわば、肉体は頭脳の奴隷であり、単なる道具に過ぎない。頭脳を乗せた乗り物に過ぎないのだ。
It perceives no gap, because it does not hate. It can be used for hate, but it cannot be hateful made thereby.
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
- hate [héit] : 「憎む、ひどく嫌う」
- be used for : 「〜に利用される」
- hate [héit] : 「憎悪、憎しみ、嫌悪」
- hateful [héitfl] : 「憎らしい、不愉快な、憎しみに満ちた、憎い」
- thereby [ðὲərbái] : 「それによって、その結果、従って」
❖ "It perceives ~ "「肉体は、ギャップを知覚することはない」。"because it does ~ "「なぜなら、肉体は嫌うことがないからだ」。肉体は、それ自体、他者の肉体との間のギャップ、隔たりを知覚することはない。肉体同士が嫌い合うことはないから、隔たりやギャップは必要ないのだ。隔たりやギャップを必要するのは、分離を信じている頭脳である。
3. The thing you hate and fear and loathe and want, the body does not know.
- fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- loathe [lóuð] : 「〜をひどく嫌う」
❖ "The thing you hate ~ "「あなたが嫌い、恐れ、嫌悪し、望むものを、肉体は感知しない」。肉体は感情を持たないし、思考しない。それは頭脳の仕事である。エゴに支配された頭脳の役割である。
You send it forth to seek for separation and be separate. And then you hate it, not for what it is, but for the uses you have made of it.
- send forth [fɔ́ːrθ] : 「送り出す、発行する、派遣する」
- seek for : 「〜を探し求める」
- separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
- separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
- use [júːs] : 「使うこと、利用、用途、使途」
❖ "You send it forth ~ "「あなたは、分離を求めて肉体を送り出し、(その結果)、肉体は分離するのだ」。肉体を分離の象徴に仕立てているのはあなたである。"And then you ~ "「そうしておいて、あなたは肉体を嫌うのである」。"not for what it ~ "「肉体の本来の姿を嫌うのではない」。"but for the uses ~ "意訳する、「そうではなく、あなたが肉体を利用する、その利用の仕方が気に入らないせいである」。あなたは肉体を、分離の象徴として、いわば壁のように利用しようとするのだが、その肉体は非常に脆(もろ)く弱く、頼り甲斐(たよりがい)がない。それを、あなたは嫌っているのだ。肉体を分離に利用しようとするのだが、肉体はその役割を全(まっと)うするには、とてもひ弱な存在なのである。
You shrink from what it sees and what it hears, and hate its frailty and littleness. And you despise its acts, but not your own.
- shrink [ʃríŋk] : 「縮む、縮まる、小さくなる」
- shrink from : 「〜の前で縮み上がる、〜を嫌がる、〜に尻込みする」
- frailty [fréilti] : 「弱さ、弱点」
- littleness [lítlnis] : 「小さいこと、卑小さ」
- despise [dispáiz] : 「軽蔑する、侮蔑する、さげすむ、侮る」
- act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
❖ "You shrink from ~ "「あなたは、肉体が見たり聞いたりしたことに尻込みし、肉体の弱さ卑小さを嫌うのだ」。肉体が見たり聞いたりする悲惨さ、苦痛、憎悪、嫉妬、怒り、等々に、あなたは尻込みする。他者から攻撃を受ければすぐに傷つき、血を流し、時には死に至る、弱い肉体を毛嫌いするのである。"And you despise ~ "「そして、あなたは、肉体の行為を軽蔑するが、自分自身を軽蔑したりしない」。あなたの頭脳は、弱い肉体を軽蔑するが、苦痛や怒りに音を上げる頭脳自身を軽蔑することはない。弱さの原因をすべて、肉体に帰しているのだ。
It sees and acts for you. It hears your voice. And it is frail and little by your wish.
- act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う、役割を果たす、役目を務める」
- voice [vɔ́is] : 「声」
- frail [fréil] : 「虚弱な、もろい、壊れやすい」
- wish [wíʃ] : 「願い、願望、希望」
❖ "It sees and acts ~ "「肉体は、あなたのために見たり、行動したりしている」。"It hears your ~ "「肉体は、あなたの声を聞いている」。肉体は、あなたの頭脳の奴隷となって、あなたの言うなりになり、あなたの命令通りに行動している。"And it is frail and ~ "「そして、肉体は、あなたの望み通りに脆(もろ)いのである」。肉体を脆く卑小なものにしているのは、あなたの頭脳である。軽蔑の対象にしたいからだ。奴隷のままに留め置きたいからである。
It seems to punish you, and thus deserve your hatred for the limitations that it brings to you.
- punish [pʌ́niʃ] : 「〜を罰する、〜を懲らしめる」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- deserve [dizə́ːrv] : 「〜を受けるに値する、〜にふさわしい」
- hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪、毛嫌い」
- limitation [lìmətéiʃən] : 「制限、極限、限定」
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
❖ "It seems to punish ~ "「肉体は、あなたに罰を与えているように見えるかもしれない」。肉体が、痛みを感じたり苦しさを覚えることで、あなたを罰しているように見えるかもしれない。"and thus deserve ~ "「こうして、肉体があなたにもたらす制限のために、肉体はあなたの嫌悪に値するものに見えるのだ」。肉体は痛みに耐えることは出来ないし、老いて死に至る存在だ。物質という制限を超えるものではない。そんな肉体のせいで、あなたも痛みを感じ、老いて死に至る、物質という制限を超えることが出来ないと思っている。それゆえに、あなたは当然、肉体を忌み嫌ってもいいと考えているのだ。
Yet you have made of it a symbol for the limitations that you want your mind to have and see and keep.
- symbol [símbl] : 「象徴、記号、シンボル、表象、符号」
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
❖ "Yet you have made of ~ "「しかしあなたは、肉体を、〜のシンボルに仕立て上げているのだ」。"for the limitations that ~ "「あなたが、あなたの心に持っていてもらいたい、見ていてもらいたい、保持してもらいたいと望んでいる制限の」シンボルに仕立て上げているのだ。あなたは、心が、他者の心と分離していると見てもらいたいし、分離を保持して欲しいと思っている。ところが、心は実相的に単一の存在であるから、正しい心は融合統一の方向に向かおうとする。そこで、あなたの頭脳は、心に分離を保持してもらうわけにはいかず、その仕事を肉体に委ねるわけである。肉体を分離の象徴(シンボル)に据え、肉体と肉体の間にギャップを幻想して、そのギャップに、幻想世界を展開させるのである。心は、その外に放置され、ギャップを挟んで、肉体だけが踊らされるのである。