●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-28.VII.6:1 ~ T-28.VII.7:8

6. What is the sense in seeking to be safe in what was made for danger and for fear?
  • sense [séns] : 「良識、分別、道理、思慮、判断力、感覚、感触」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で、別状がない、無難な」
  • danger [déindʒər] : 「危険、危機、危難」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "What is the sense ~ "「危険と恐れのために作られたものの中で安全でいようとする道理とは何か」。危険と恐れを基盤にして作られたこの幻想世界に安全を求めることは、道理にかなったことではない。肉体が肉体と分離した世界であるから、いつ誰から攻撃されるか分かったものではない。危険であり、恐れが湧いてくる。そんな幻想世界にあっては、どんなに堅固な家を建てても、安全だとは言えないのだ。



Why burden it with further locks and chains and heavy anchors, when its weakness lies, not in itself, but in the frailty of the little gap of nothingness whereon it stands?
  • burden [bə́ːrdn] : 「〜を悩ます、苦しめる、〜に荷を負わす、負担させる」
  • further [fə́ːrðər] : 「一層の、さらなる、追加的な」
  • lock [lɔ́k] : 「ロック、錠、鎖錠、錠前」
  • chain [tʃéin] : 「鎖、束縛」
  • heavy [hévi] : 「重い、激しい、重みのある」
  • anchor [ǽŋkər] : 「錨」
  • weakness [wíːknəs] : 「弱さ、弱いこと、虚弱、脆弱性、衰弱」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • in itself : 「それ自体に、本質的に」
  • frailty [fréilti] : 「弱点、弱点、脆さ」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
  • whereon [hweərɑ́n] : 「(その上に)〜するところの」
  • stand [stǽnd] : 「立っている、立ち上がる、立つ」
❖ "Why burden it with ~ "「〜だというのに、(そんな世界の中の家に)、さらなる鍵を掛けたり、鎖でつないだり、重い錨(いかり)を結んだりして、なぜ負担を強いるのか」。"when its weakness ~ "「その家の弱点は、それ自体にあるのではなく、家が建っているところの、何もない小さなギャップの脆さにあるというのに、」なぜ負担を強いるのか。"the little gap of nothingness"「何もない小さなギャップ」とは、分離した肉体と肉体の間の何もない空間のことで、突き詰めると、この幻想世界のこと。その幻想世界は、単なる黒雲と同様であるから、不確かで脆いのである(frailty)。その脆い幻想空間に建てられた家が、あなたの肉体である。あなたの肉体は、肉体自体が弱いのではなく、それが建っている地盤(幻想世界)がワラのように弱いのだ。そんな、ワラの地盤に立てられた家に、鍵を掛けたり、風で飛ばされないように鎖をつないだり、錨を結んだりすることは、まったく意味はないし、肉体に更なる負担を強いることでしかないのだ。



What can be safe that rests upon a shadow? Would you build your home upon what will collapse beneath a feather's weight?
  • rest [rést] : 「ある、置かれている」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する、架設する」
  • collapse [kəlǽps] : 「崩れる、崩壊する、倒壊する」
  • beneath [biníːθ] : 「〜の真下に」
  • feather [féðər] : 「羽、羽毛」
  • weight [wéit] : 「重さ、重量、体重、重み」
❖ "What can be safe that ~ "「影の上に置かれた安全とは、何であり得るか」。ワラの上に建てられた家のように、幻想という影の上に置かれた安全など、意味はない。"Would you build ~ "「あなたは、あなたの家を、羽の重さの下でさえ崩壊していまいそうなものの上に建てたいと思うだろうか」。あなたは、ワラにも等しい幻想という世界の地盤の上に、家を建てたいと望むだろうか。幻想世界は、何もない単なる黒雲であって、羽の重さでさえ、耐えられずに崩壊する幻だと言うのに。



7. Your home is built upon your brother's health, upon his happiness, his sinlessness, and everything his Father promised him.
  • built [bílt] : 「build の過去形」
  • health [hélθ] : 「健康、健全、繁栄」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • sinlessness [sʌ́nlisnis] : 「罪のないこと、潔白性、無辜性」
  • promise [prɑ́məs] : 「〜を約束する、〜を断言する」
❖ "Your home is built ~ "「あなたの家は、あなたの同胞の健全さの上に、同胞の幸せの上に、そして、同胞の潔白さの上に、つまり、父なる神が同胞に約束したあらゆるものの上に、建てられているのだ」。"everything his Father promised him"「父なる神が同胞に約束したあらゆるもの」とは、真実のすべて、つまり、実相そのものと考えていい。同胞の心の健全さ、つまり、正しい心、そして、喜びに満ちた実相的幸せ、無辜性、そういった真実の上にこそ、あなたの存在は確立されるのである。ここでは、実相的真実を同胞のものと表現しているが、もちろん、自他一如であるあなたの実相的真実の上に、あなたの真の存在は建てられるのである。



No secret promise you have made instead has shaken the Foundation of his home.
  • secret [síːkrət] : 「秘密の、内緒の、ひそかな、機密の」
  • instead [instéd] : 「代わりに、それよりむしろ、そうしないで」
  • shaken [ʃéikən] : 「shake の過去分詞」
  • shake [ʃéik] : 「振動させる、揺する、揺るがす、ぐらつかせる」
  • foundation [faundéiʃən] : 「土台、礎、基盤、根幹」
❖ "No secret promise you ~ "「あなたが、代わりに結んだ秘密の約束は、同胞の家の基礎を揺るがすことはない」。あなたは他者との間に、肉体も心も分離しており、その分離を信仰するという秘密の約束を結んだ。つまり、分離という幻想の崇拝である。しかし、神との約束による実相的真実の上に建てられた家(心)は、そんな狂信によって揺らぐことはない。ここでは、"the Foundation of his home"「同胞の家の基礎」と表現されているが、もちろん、あなたの実相的真実という堅固な基礎でもある。あなたの肉体は、幻想世界というワラの地盤の上に建てられた家であるが、あなたの心は、実相的真実の上に建てられた実在の家である。



The winds will blow upon it and the rain will beat against it, but with no effect.
  • wind [wínd] : 「風、大風、煽り風」
  • blow [blóu] : 「風が吹く」
  • rain [réin] : 「雨」
  • beat [bíːt] : 「打つ、たたく、殴る、殴打する」
  • against [əɡéinst] : 「〜に反対して、〜に逆らって、〜にそむいて」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
❖ "The winds will blow ~ "「風は家に吹きつけ、雨は家を激しく打つが、何の影響も与えることは出来ない」。実相(真実)という堅固な基礎の上に建てられた家は、幻想(ワラ)の基礎の家と違って、どんな風雨にも耐えられるのだ。



The world will wash away and yet this house will stand forever, for its strength lies not within itself alone.
  • wash away : 「洗い流す、洗い落とす、押し流す」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み」
  • lie [lái] : 「ある、存在する」
  • within [wiðín] : 「〜の内に、〜の中に」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
❖ "The world will wash ~ "「(幻想の)世界は流されてしまうかもしれないが、この家は永遠に建っているのだ」。"for its strength lies ~ "「なぜなら、この家の強さは、それ自体の中だけにあるのではないからだ」。家自体も強いが、それが建っている基礎部分が、実相的真実という堅固な実体なのだ。



It is an ark of safety, resting on God's promise that His Son is safe forever in Himself.
  • ark [άːrk] : 「箱舟、避難所」
  • safety [séifti] : 「安全性、無事、無難なもの」
❖ "It is an ark of ~ "「その家は、安全な避難所なのだ」。"an ark of safety"は、「安全な箱船」と訳してもいいだろうが、あまり既存の聖書に影響されない方がいいと判断して、「安全な避難所」としてみた。"resting on God's ~ "「そしてその家は、神の子が神自身に抱かれて永遠に安全であるという神の約束の上に置かれているのだ」。神の真実の愛が、あなたの真実の家(心)を守ってくれるのである。具体的には、神は、神の子の安全を願って、ホーリー・スピリットという守り主を、あなたの元に遣わしたのだ。ホーリー・スピリット自身が、神の約束の具体的な姿だと思っていい。



What gap can interpose itself between the safety of this shelter and its Source?
  • interpose [ìntərpóuz] : 「間に入る、割り込む、介入する、干渉する」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
  • shelter [ʃéltər] : 「避難所、シェルター、避難場所、逃げ場」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "What gap can interpose ~ "「いったいどんなギャップ自体が、この避難所の安全性とその源の間に、割り込んで来れるだろうか」。あなたの実相的な心という家の安全性と、それを保証してくれる、心の安全の源である神との間に、幻想のギャップが割り込んで来ることは不可能だ。実相世界に幻想が侵入することは不可能なのだ。実相の真実に虚偽が紛れ込むことはない。



From here the body can be seen as what it is, and neither less nor more in worth than the extent to which it can be used to liberate God's Son unto his home.
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • neither [níːðər] : 「どちらの〜も〜でない」
  • neither A nor B : 「AでもなくBでもない、AとBのどちらも〜ない」
  • worth [wə́ːrθ] : 「価値」
  • extent [ikstént] : 「範囲、程度、限界、限度」
  • liberate [líbərèit] : 「〜を自由にする、解放する、釈放する、自由化する」
❖ "From here the body ~ "「ここ(実相的な家、つまり、正しい心)から見れば、肉体は、あるがままに見ることが出来る」。"and neither less nor more ~ "「肉体の価値は、〜以上でも以下でもない」。"than the extent to ~ "「肉体は、神の子が家(天の王国)に向かって解放されるために利用出来るだけだという限度」以上でも以下でもない。肉体も、この世界同様に幻想に過ぎないが、肉体は心の実相への解放に利用出来るのだ。そこに、肉体の実相的価値がある。具体的には、肉体の幻想性を認識し、それを受け入れて肉体を赦し、赦すことで幻想を消滅させるのである。幻想が消滅すれば、あとは実相に目覚めるだけとなるのである。



And with this holy purpose is it made a home of holiness a little while, because it shares your Father's Will with you.
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
  • a little while : 「しばらくの間、少しの間」
  • share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
❖ "And with this holy purpose ~ "「この神聖な目的をもっている限り、肉体は、しばらくの間ではあるが、神聖さの宿る家にされるのである」。幻想を消滅させ、心を実相に目覚めさせるという神聖な目的のために、しばらくの間は、肉体も神聖な家と見なして、その幻想性を認識し、そして、赦してやればいい。"because it shares your ~ "「なぜなら、肉体は、父なる神の意思を、あなたと分かち合っているからだ」。父なる神の意思とは、神の子の実相世界への回帰を願うこと。その目的のために肉体が利用されるうちは、あなたと肉体が、神の意思を分かち合っていると言える。もちろん、あなたが幻想から目覚めれば、肉体は消滅し、この幻想世界も消滅する。そして、それで良し、とするのである。幻想の消滅は、無を意味するのではない。実相世界への目覚めを意味するのだ。天の王国への、回帰の旅が始まるのである。あなたには、神の呼び声が聞こえないか。
 
 
 


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