3. Look once again upon your enemy, the one you chose to hate instead of love.
- look upon : 「〜を見る」
- once again : 「またしても、再度、もう一度、今一度」
- enemy [énəmi] : 「敵、敵国」
- chose [tʃóuz] : 「choose の過去形」
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」 instead of : 「〜の代わりに」
❖ "Look once again ~ "「もう一度、あなたの敵を見てみなさい」。"the one you chose ~ "「つまり、愛の変わりに憎むことをあなたが選択した相手である」。この二元論幻想世界は分離を象徴する世界であり、分離を維持する法則、エゴの思考システムで成り立っている。実相世界では単一の存在である神の子は、幻想世界にあっては、分離分裂して多数の同胞となり、愛は憎悪という対立概念をもつことになる。多数の神の子は優劣を競い合い、他者より優位に立つために、つまり、他者を支配するために特別性を求める。弱肉強食は、分離の世界では必然なのだ。他者は敵となり、味方であるはずの愛する者でさえ、支配の対象となる。愛による隷属化に失敗すると、愛は容易に憎悪へ変化する。今日の味方は、明日の敵となるのだ。
For thus was hatred born into the world, and thus the rule of fear established there.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- hatred [héitrid] : 「強い嫌悪、憎しみ、憎悪、嫌悪」
- rule [rúːl] : 「支配、統治、規則、規定、習慣、常習、しきたり」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、定着する」
❖ "For thus was hatred ~ "「なぜなら、こうして、世界に憎しみが生み出され、こうして、恐れの支配が世界に確立したのだから」。あなた(神の子)が愛の代わりに憎むことを選択したために、世界は憎悪の世界となったのだ。同胞を敵と見なすことで、攻撃は正当化され、攻撃の危険性は恐れを生み出す。
Now hear God speak to you, through Him Who is His Voice and yours as well, reminding you that it is not your will to hate and be a prisoner to fear, a slave to death, a little creature with a little life.
- hear [híər] : 「〜を聞く、聴く、〜が聞こえる」
- speak to : 「〜に話し掛ける」
- through [θrúː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して」
- voice [vɔ́is] : 「声」
- as well : 「同じに、同様にうまく」
- remind [rimáind] : 「〜に思い出させる、〜に気付かせる」
- will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
- prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」
- slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、 破滅、終わり、終焉」
- creature [kríːtʃər] : 「生き物、動物、人間」
- life [láif] : 「命、人命、生命、寿命」
❖ "Now hear God speak ~ "「今、神があなたに話す声を聞きなさい」。"through Him Who ~ "「神の声が同時にあなたの声でもある、その神を通じて、」神の話す言葉を聞きなさい。つまり、あなたの心の中の声に耳を傾けよ、ということ。あなたの心の中の声は、ホーリー・スピリットの声であり、すなわち神の声なのだから。"reminding you that ~ "「そうすれば、あなたはthat以下を思い出すことになろう」。"that it is not your ~ "「憎悪することはあなたの意思ではないし、恐れの虜(とりこ)となることも、死の奴隷となることも、つまらぬ命をもったつまらぬ生き物となることも、あなたの意思ではない」と、思い出すだろう。あなたの心の中の神(ホーリー・スピリット)は、あなたが純粋で神聖な神の子であり、愛を意思し、命を意思し、喜びを意思している実相的な存在なのだと語ってくれる。憎悪も恐怖も死も、すべてはあなたが作り出した幻想なのだと教えてくれるのだ。
Your will is boundless; it is not your will that it be bound. What lies in you has joined with God Himself in all creation's birth.
- boundless [boundless] : 「無限の、広大な」
- bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
- bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- join [dʒɔ́in] : 「〜と交わる、〜と一緒になる、結合する」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- birth [bə́ːrθ] : 「出生、出産、分娩、誕生」
❖ "Your will is ~ "「あなたの意思は無限である」。"it is not your ~ "「意思が束縛されることは、あなたの意思ではない」。"What lies in you has ~ "「すべての創造されたものが生まれ出るとき、あなたの心の中に存在するものは、神自身と結合した」。意味の取りにくい部分である。"What lies in you"「あなたの心の中に存在するもの」とは、あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分に存在するもののことで、ホーリー・スピリットと考えていいだろう。"in all creation's birth"「すべての創造されたものが生まれ出る中で」とは、ここでは、すべての神の子が生まれるとき、という意味にとろう。そうすると、全体の意味は、「すべての神の子が創造されるとき、その心の中に、神は、神と結合したホーリー・スピリットを住まわせた」となる。そのホーリー・スピリットの意思とあなたの意思は同体であり、同時に実相的な意思は神の意思とも同体であって、何ものにも制限されることなく、無限である。
Remember Him Who has created you, and through your will created everything.
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
❖ "Remember Him Who ~ "「あなたを創造した神を思い出しなさい」。"and through your ~ "「あなたの意思を通して、神はあらゆるものを創造したのだと思い出しなさい」。神の子の意思とホーリー・スピリットの意思、そして神の意思は互いに通じ合い、神が意思をもって創造するとき、それは神の子の意思を通じて創造するのだと言っても過言ではない。逆に言えば、神の子であるあなたが真実を創造するとき、それはあなたが単独で創造するのではなく、神の意思がそこに入り込んでくるのだ。これこそ、本当の芸術的創造であり、あなたの創造する美は神の美となる。あなたの創造する愛は神の愛になるのだ。
Not one created thing but gives you thanks, for it is by your will that it was born.
- give someone thanks : 「〜に感謝する」
❖ "Not one created thing ~ "「創造されたものはすべて、あなたに感謝を捧げる」。"for it is by your ~ "「なぜなら、生み出されたのは、あなたの意思だからである」。あなたの意思、つまりは神の意思が創造するのである。真実を生み出すのは、神の、そしてあなたの意思である。実相的な自由意思なくして、何も生み出されはしない。
No light of Heaven shines except for you, for it was set in Heaven by your will.
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
- shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
- except for : 「〜を除けば、〜を別にすれば」
- set [sét] : 「配置する、設定する」
❖ "No light of Heaven ~ "「天の王国の光は、あなたの上にこそ輝いているのだ」。"for it was set in ~ "「なぜなら、天の王国の光は、あなたの意思によってセットされたのだから」。天の王国に存在するあらゆる真実は、実相的な光を放って輝いている。それは、神の愛する神の子を祝福して輝いているのである。なぜなら、光り輝く真実は、神と神の子の意思によって創造されたのであり、その真実に対して命の光を与えたのは、神であり神の子だからだ。創造への感謝を込めて、真実はあなたの上に光り輝く。
4. What cause have you for anger in a world that merely waits your blessing to be free?
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
- anger [ǽŋɡər] : 「怒り、憤り」
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- wait [wéit] : 「〜を待つ」
- blessing [blésiŋ] : 「祝福、恩恵、幸運、恵み」
❖ "What cause have ~ "「自由になるために、あなたの祝福を単に待っているこの世界にあって、あなたが怒りを感ずる原因とは何か」。あなたは他者の優位に立ちたいと思ったが、優位に立てなかった。あなたは特別な存在なりたかったが、なれなかった。あなたは愛す者を支配したかったが、支配出来なかった。あなたは社会の上層に位置したかったが、出来なかった。あなたは富を得て豊かになりたいと思ったが、それは叶わなかった。あなたは大金を手に入れたいと願ったが、手にすることは出来なかった。そこで、あなたは世界に怒りを感じ、自分自身に怒りを覚える。幻想世界にあって、幻想を求めた結果である。しかし、その幻想世界は、あなたが実相世界に目覚め、真実を祝福するのを待っている。幻想は、あなたによって消滅させられることを待っているのだ。
If you be prisoner, then God Himself could not be free. For what is done to him whom God so loves is done to God Himself.
- done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "If you be prisoner ~ "「もし、あなたが捕われ人であったなら、神自身も自由にはなり得ない」。"For what is done to ~ "「神の愛する神の子になされたことは、神自身になされたことでもあるからだ」。神の子が幻想に捕われて実相的な自由を得られない限り、実相世界の神もまた、本当の自由を得ることは出来ない。神の子が幻想から解放されて自由になり、神の王国へ回帰して神と一体になるとき、神は完成されるのであって、それまでは、神の自由は完成されないのだ。
Think not He wills to bind you, Who has made you co-creator of the universe along with Him.
- think [θíŋk] : 「〜を考える、〜を思う」
- bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
- co-creator : 「共同製作者」
- universe [júːnəvə̀ːrs] : 「宇宙、銀河、万物、森羅万象」
- along with : 「〜と一緒に、〜とともに、〜に加えて」
❖ "Think not He ~ "「神があなたを束縛したいと意思していると思ってはいけない」。"Who has made ~ "「神は、あなたが神と一緒に宇宙を創造する、共同創造者にしたのである」。天の王国の創造が完成されるは、神と神の子とホーリー・スピリットによる三位一体が達成されることである。神の子は、実相世界(the universe)を創造する共同創造者なのだ。そんな神の子を、神が束縛したいなどと思うはずはない。神は、神の子の自由意思を何よりも重んじているのだ。
He would but keep your will forever and forever limitless.
- keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- limitless [límitlis] : 「無限の、制限のない」
❖ "He would but keep ~ "「神は、あなたの意思が、永遠に、際限なく永遠に、保持されることを願っている」。だから神は、あなたが自分の意思を失ってしまわないように、ホーリー・スピリットを神の意思のメッセンジャーとして、あなたの心の中に住まわせたのだ。
This world awaits the freedom you will give when you have recognized that you are free.
- await [əwéit] : 「〜を待つ、待ち受ける、待望する」
- freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
- recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "This world awaits ~ "「この世界は、あなたが自由であると認識したときにあなたが与えるであろう自由を待ち望んでいる」。あなたが幻想を幻想としてはっきり認識し、受け入れ受け流し赦したとき、幻想は消滅する。あなたは幻想から自由になれるのだ。そのとき、この幻想世界もまた、幻想であるがゆえに同時に消滅する。つまり、この幻想世界が待ち望む自由解放とは、とりもなおさず、幻想世界の消滅なのだ。無に帰すという意味では死の匂いがするだろうが、幻想世界の消滅は、実相世界の復活を意味し、新たな真実の世界があなたの目の前に展開することになるのである。それが、世界の解放であり、世界の自由である。
But you will not forgive the world until you have forgiven Him Who gave your will to you.
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
- forgiven [fərɡívn] : 「forgive の過去分詞」
- gave [géiv] : 「give の過去形」
❖ "But you will not forgive ~ "「しかし、あなたにあなたの意思を与えてくれた神を、あなたが赦すまでは、あなたは、この世界を赦すことはないであろう」。ここに二つの"forgive"「赦す」が表れているが、意味するところは大いに異なる。あなたが神を赦すとは、長い間忘れていた神の存在を思い出し、神を神としてはっきり認識し、受け入れることを意味する。神への回帰を意思することが、神を赦すことである。したがって、神を赦すというニュアンスよりも、神を忘れていた自分を赦すというニュアンスの方が強い。一方、世界を赦すとは、この世界の幻想性をはっきり認識し、受け入れ受け流すことを意味する。幻想世界は赦されることで、消滅するのである。幻想世界は消滅し、実相世界が目の前に復活するのだ。したがって、本文は、あなたは長い間、意思という実相的な命を与えてくれた神を忘れて生きてきたが、そんな眠れるあなたを赦して目を覚まし、神に回帰する意思を固めるまでは、この幻想世界を赦して消滅させることは出来ないだろう、という意味合いになる。
For it is by your will the world is given freedom. Nor can you be free apart from Him Whose holy Will you share.
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として」
- share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "For it is by your ~ "「なぜなら、あなたの意思によってこそ、この世界は自由を与えられるからだ」。あなたが幻想を赦すという意思を固めることによって初めて、幻想世界は実相世界へ向けて消滅し復活するのだ。世界は自由へと解放されるのである。"Nor can you be ~ "「また、神の神聖な意思をあなたが分かち合っている、その神から離れて、あなたは自由になることは出来ない」。「神から離れて〜」と訳してみたが、ホーリー・スピリットと考えた方が、意味が通りやすいかも知れない。つまり、あなたは、神の神聖な意思をホーリー・スピリットと分かち合っているのだが、そのホーリー・スピリットから離れて、単独で実相へと解放され、自由になることは出来ない、という意味合い。いずれにしても、あなたは神聖な意思を持っているのだが、その意思は神から与えられたものであって、エゴが理性的判断に使う似非意思とはまったく異なるものなのだ。そして、神から与えられた神聖な意思は単独では存在出来ない。神聖な意思は、神と神の子とホーリー・スピリットの三者が分かち合って共有しているものであって、その輪から抜け出して、つまり神なしで、あるいはホーリー・スピリットなしで、あなたが自由解放されることはない。