2. It is not form you seek. What form can be a substitute for God the Father's Love?
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
- substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代わりのもの、代用品、置換」
❖ "It is not form ~ "「あなたが探し求めているのは、形ではない」。あなたが本当に探し求めねばならないのは、形、すなわち具象的な幻想ではない。"What form can be ~ "「いったいどんな形が、父なる神の愛の代わりになるだろうか」。そんなものは存在しない。神の愛は実相的な愛であって、幻想世界の形あるものが、その代わりになることは不可能なのだ。
What form can take the place of all the love in the Divinity of God the Son?
- take the place of : 「〜の代わりをする、〜に取って代わる」
- divinity [divínəti] : 「神性、神々しさ」
❖ "What form can take ~ "「いったいどんな形が、神の子の神聖さの中にあるあらゆる愛に取って代わることが出来るだろうか」。神の子は、神の属性のすべてを継承して創造された。神の子の神聖さの中には、あらゆる真実が存在する。不足するものは何もない。本文では、"all the love"「愛、すべて」となっているが、愛に限定する必要はなく、愛を代表とするあらゆる真実、と捉えればいいだろう。なぜなら、実相世界は一元論の世界であり、愛や喜びや平和や美は、実は同一の真実であるからだ。愛や喜びや平和や美は、同一の真実のいろいろな側面に過ぎないのだ。神という単一の真実の、様々な表情と捉えればいい。
What idol can make two of what is one? And can the limitless be limited?
- idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
- limitless [límitlis] : 「無限の」
- limit [límit] : 「限定する、制限する、制限をかける」
❖ "What idol can make ~ "「いったいどんな偶像が、一つであるものを二つに出来るだろうか」。一つであるものとは、実相世界の実在するもの、真実である。二つにするとは、一元論世界の単一存在を二元論世界に適応させるために二つに分裂させる、という意味合い。したがって、どんな偶像も、実相世界の実在を、幻想世界の幻想に変えることは出来ない、という意味合いになる。"And can the limitless ~ "「制限なきものが、制限される可能性はあるだろうか」。制限されることがないものが制限されるというのは、論理的な矛盾である。制限され得ないものは、あくまでも制限されないのだ。実相世界の実在は制限され得ない。なぜなら、永遠不変に自由な存在だからだ。幻想世界の幻想は、すべて制限される。なぜなら、幻想世界の幻想は、変化流動して崩壊と死に向かうからだ。崩壊と死が存在するということは、時間的にもの空間的にも完全に制限されているということである。
You do not want an idol. It is not your will to have one. It will not bestow on you the gift you seek.
- will [wíl] : 「意志、願望、意欲」
- bestow [bistóu] : 「〜を授ける、与える、贈る」
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
❖ "You do not want ~ "「あなたは、偶像を望んでいるわけではない」。"It is not your will ~ "「偶像をもつことは、あなたの意思ではないのだ」。" It will not bestow ~ "「偶像は、あなたの求める贈り物をあなたに授けることはないだろう」。あなたの実相的な意思は、つまり、あなたの正気な心は、決して幻想を求めてはいない。偶像を求めてはいないのだ。あなたは真の愛や真の喜び、真の平和、真の美を求めているのであって、偶像は幻想であるがゆえに、それらの贈り物をあなたに与えることは不可能なのである。幻想である偶像が与えることが出来るものは、ただ幻想に限られている。
When you decide upon the form of what you want, you lose the understanding of its purpose.
- decide [disáid] upon : 「〜を決める、〜を決定する」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、理解力、知力」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "When you decide upon ~ "意訳する、「あなたが望むものを形に求める決定をすれば、あなたは、その目的を理解出来なくなってしまう」。たとえば、あなたは心の平和を求めたとしよう。そして、それを得るには物質的な豊かさが必要であると考え、心の平和を形に求める決定をしてしまう。その結果、物質的な豊かさを求めることに汲々(きゅうきゅう)となり、本来の目的である心の平和を失ってしまうのである。何のための物質的豊かさなのか、その目的を理解出来なくなってしまうのだ。真実は形を持たない。だから、真実を得ようとして、形に、つまり、幻想にそれを求めても無駄なのである。
So you see your will within the idol, thus reducing it to a specific form.
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- reduce [ridjúːs] : 「減らす、減じる、縮小する、減量する」
- specific [spisífik] : 「特定の、特有の、固有の、個別の」
❖ "So you see your will ~ "「そうして、偶像の中にあなたの意思を見ることになり、」あなたの意思を偶像に投影し、"thus reducing it ~ "「こうして、あなたの意思を特定の形に退化させてしまうのである」。物質的な豊かさを求めるために、あなたは金という偶像を崇拝することになる。心の平和を求めるという意思を、金という特定の形に退化させ、偶像に意思を与えて支配されるのである。
Yet this could never be your will, because what shares in all creation cannot be content with small ideas and little things.
- share [ʃέər] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
- share in : 「〜を分かち合う、〜を共有する」
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物、作品」
- be content with : 「〜に満足している」
- small [smɔ́ːl] : 「小さい、小規模の小さめの、小ぶりの」
- idea [aidíːə] : 「考え、発想、見解、意見」
❖ "Yet this could never ~ "「しかし、これは、決してあなたの意思にはなり得ない」。偶像が、あなたの意思にはなり得ない。形が、形のない意思の代わりになることは不可能なのだ。たとえば、子供を愛し、愛するあまりに多くの物を買い与えたとしても、その物が愛そのものになることはないのだ。プレゼントは愛を表現する手段ではあるが、愛そのものではない。"because what shares ~ "「なぜなら、あらゆる創造を分かち合うものは、小さな思考や小さな物に満足することは出来ないからだ」。"what shares in all creation"「あらゆる創造を分かち合うもの」とは、あらゆる真実を分かち合う実相的な存在、ということ。愛や喜びや平和や美という真実の創造を分かち合う神の子、という意味である。心の平和を求め、創造し、それを分かち合って拡張増大させていく神の子が、心の平和を物質的な豊かさというけちな考えや金というけちな物質に投射して満足するわけがない。真実の創造は無限に拡張し、制限されることはない。そういう真実の創造を、幻想という制限のある小さな領域に閉じこめしまうことなど不可能なのだ。
3. Behind the search for every idol lies the yearning for completion. Wholeness has no form because it is unlimited.
- behind [biháind] : 「〜の後ろに、後方に、〜の裏側に」
- search [sə́ːrtʃ] : 「捜査、捜索、探索、検索、調査、探査」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- yearning [jə́ːrniŋ] : 「あこがれ、思慕、切なる思い、切望、熱望」
- completion [kəmplíːʃən] : 「完成、完了、終了」
- wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
- unlimited [ʌnlímitid] : 「制限のない、無制限の、自由な」
❖ "Behind the search ~ "「あらゆる偶像を求めるという背後には、完全性への憧れがある」。金という偶像を求める心の背後には、完全な心の平和を願う気持ちがある。つまり、動機は誤ってはいないのだ。目的は正しい。しかし、それを達成しようとするときに、往々にして手段を誤ってしまうのである。"Wholeness has no form ~ "「全体性とは、それが制限されてはいないから、どんな形ももってはいない」。"wholeness"「全体性」と"completion"「完全性」とは、ほぼ同じ意味合いである。実相的な真実は、すべて完全であり、全体的である。したがって、全体性も完全性も、真実という言葉に置き換えていい。真実は制限されるものではないから、幻想である形というものを持ち得ない。なぜ真実は制限されないかと言うと、真実は永遠不変であり、分かち合われることで無限に拡張増大していくものだからだ。蛇足になるが、全体性や完全性は、どんどん大きくなっていく球体をイメージすればいいだろう。どんどん大きくなっていく球体を、小さな箱に押し込んで収めることなど不可能なのだ。
To seek a special person or a thing to add to you to make yourself complete, can only mean that you believe some form is missing.
- special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
- add [ǽd] : 「加える、合計する、足す、追加する」
- complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、完全な、全部の」
- mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- missing [mísiŋ] : 「紛失した、欠けている、行方不明の」
❖ "To seek a special person ~ "「あなた自身を完全にするために、特別な人とか物をあなたに付け加えようと求めることは、単に、あなたには何かの形が欠けていると信じることを意味するだけだ」。あなたが不足感を抱いて、それを補って完全になろうとするとき、それを、形のある特別な人間や特別な物に求めてはいけない。あなたに欠けているものは実相的な真実であって、それを幻想で補おうとしても不可能なのだ。
And by finding this, you will achieve completion in a form you like.
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
- achieve [ətʃíːv] : 「獲得する、得る、成し遂げる、達成する」
- completion [kəmplíːʃən] : 「完成、完了、終了」
❖ "And by finding ~ "「そして、形あるものを見つけることで、あなたは、好きな形としての完成を達成するだろう」。完成を達成したかに錯覚するのである。たとえば、あなたが孤独を感じ、心に欠落を意識して、特別な関係性を持つこの出来るパートナーを探したとしよう。そして、幸運なことにそんなパートナーに出会えたとすれば、あなたの孤独感や欠落感は癒され、しばらくの間は、恋という完成を味わうことが出来るだろう。しかし、長続きはしない。幻想の恋が変化流動し、崩壊と死に向かうと、再びあなたは孤独感と欠落感に嘖まれるのだ。
This is the purpose of an idol; that you will not look beyond it, to the source of the belief that you are incomplete.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
- source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- incomplete [ìnkəmplíːt] : 「不完全な、不十分な、未完成の」
❖ "This is the purpose ~ "「これが、偶像の目的である」。心の平和や完成を求めて、それを形ある物質に探させようとすることが、偶像(ego)の目的である。心の平和や完成を求めて、実相の真実を探求されては困るのである。なぜなら、真実が明らかにされれば、偶像が単なる張り子のトラであるとばれるからだ。"that you will not ~ "「その結果、あなたは、偶像を越えてものを見ることが出来なくなり、」"to the source of ~ "「あなたが不完全であると信じる思いの源を見ることが出来なくなるのだ」。物質や偶像という幻想の向こう側に、つまり、実相世界に、あなたが不完全さを感じる源がある。一言で言えば、あなたは真実に飢えているだけなのだ。その飢えは、物質や幻想で満たすことは不可能なのである。
Only if you had sinned could this be so. For sin is the idea you are alone and separated off from what is whole.
- sin [sín] : 「罪を犯す」
- alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
- separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
- separate off : 「分離する、引き離す、切り離す」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の、丸ごとの」
❖ "Only if you had ~ "「もし、あなたが罪を犯したのであれば、こういったことになる可能性がある」。あなたの心の中に罪の意識があって、それが原因で孤独を感じ、不完全性を感じ、飢えを意識するなら、あなたは偶像や物質に救いを求めてしまう可能性がある。本当は、真実に飢えているだけなのに、罪の意識が飢えをもたらしていると誤解すれば、あたかも薬物に救いを求めるように、あなたは物質や幻想に依存するようになってしまう。"For sin is the idea ~ "「なぜなら、罪の意識とは、あなたは独りぼっちであり、完全であるものから分離させられたものだと考えることだからである」。神の子が、神なしで神のように存在したいと思った瞬間、神の子は神から分離した。分離して、天の王国(実相世界)を去ったのである。聖書で、失楽園と語られる部分である。そして、神の子は、神を裏切ったという罪の意識を抱くことになる。加えて、神の子は、神が裏切りに激怒して罰を与えるに違いないという恐れを抱く。その罪の意識と恐れに耐えきれなくなり、神の子は自己を乖離する。神聖で純粋な神の子という属性を捨て、神に反抗するエゴという別人格を作り出したのだ。天の王国を失った神の子は、別人格の自分を住まわせる別世界を創造しなくてはならない。神からの分離感と罪の意識と恐れを投射して、この世界、幻想世界を偽創造したのだ。したがって、この幻想世界は、分離と罪と恐れを象徴する世界となったのである。実相世界が一元論世界であったのに対して、分離の世界は、愛を愛と憎悪に分離し、喜びを喜びと悲しみに分離し、善を善と悪に分離し、こうして二元論の世界となった。もちろん、単一の神の子は自己を分離し、分裂させ、数多くの神の子を生み出した。偽創造の初めから、孤独はつき物であり(you are alone)、神からの分離(separated off from what is whole)も決定的だったのである。それを生み出したものは罪の意識であり(you had sinned)、幻想世界で生きていくために幻想と物質に依存せざるを得なくなったのだ(could this be so)。しかし、このすべては、神の子の夢の出来事である。神なしで神のように存在したいと思った瞬間、神の子は神から分離した、と述べたが、実は、神の子はそう思った瞬間、深い眠りに陥り、その眠りの中で、神からの分離劇と幻想世界の創造劇を夢に見ているに過ぎないのである。だからACIMは、何度も何度も、早く眠りから目覚めよ、と諭すのである。
And thus it would be necessary for the search for wholeness to be made beyond the boundaries of limits on yourself.
- necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
- wholeness [hóulnis] : 「全体、全体性」
- boundary [báundəri] : 「境界、限界、限度」
- limit [límit] : 「限度、制限、限界、境界」
❖ "And thus it would ~ "「こうして、あなた自身の上に課せられた制限という境界を越えることが、完全性を求めるためには必要となるのである」。"beyond the boundaries of limits on yourself"「あなた自身の上に課せられた制限という境界」とは、罪の意識があなたの上に課した限界、すなわち、この世界に縛られているという幻想のこと。この幻想世界を越えることが、つまり、幻想から目覚めることが、実相的な完全性を追求するには必要なのだ(necessary for the search for wholeness)。