●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-3.V.5:1 ~ T-3.V.6:8

5. Knowing is not open to interpretation. You may try to "interpret" meaning, but this is always open to error because it refers to the perception of meaning.
  • be open to : 「〜を受けやすい、〜を招きやすい、〜に無防備である」
  • interpretation [intə̀ːrprətéiʃən] : 「解釈、説明、解説」
  • interpret [intə́ːrprit] : 「解釈する、解明する、説明する」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、意図、真意」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • refer to : 「参照する、言及する、〜に問い合わせる、注意を向ける」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
❖ "Knowing is not ~ "「知るということは解釈を寄せつけない」。叡智によって知るという行為は、解釈を必要としない。むしろ、解釈を排除する。"You may try ~ "「あなたは意味を『解釈』しようとするかもしれないが、これはいつも誤りにさらされる」。あなたは、物事の意味を頭脳によって理性的に解釈しようとするが、これが誤りを呼ぶ。"because it refers ~ "意訳する、「なぜなら、解釈は、知覚を頼りにして意味を知ろうとするからだ」。つまり、意味を感覚的に、あるいは知覚的にとらえようとすることが、解釈を誤りに導く。たとえば、『善』というものを例に考えよう。叡智(Knowing)は善の意味(meaning)を解釈(interpret)しようとはしない。叡智は、直覚で真実の善をとらえるからである。ところが、我々は善の意味を解釈しようとする。弱い人を助けることが善であるとか、貧しい人にお金を与えることが善であるとか、争いを悲しむことが善であるとか、いろいろに解釈する。しかし、それのどれもが善を完璧に、全的にとらえることは出来ない。なぜなら、すべての解釈は具体的で、具象的で、その意味で、あまりにも知覚や感覚にとらわれた解釈だからだ。
対象が具象である限り、感覚がその具象をとらえ、頭脳は対象のもつ意味を解釈しようとする。神のレベルの叡智は完全な抽象である。具象を寄せ集めて帰納的に解釈しようなどとはしない。抽象的であり、演繹的に対象をとらえる。したがって、たとえば、『叡智は善をどう解釈するだろうか』などという問いかけは無意味である。『叡智は善をどう知覚するのだろうか』という問いかけも無意味である。なぜなら、叡智は善を感覚でとらえることもなく、解釈することもしないからだ。叡智にとって善は具象ではないのだ。したがって、叡智にとっては、『神がある』と同様に『善はある』、それだけで十分なのである。それ以上でも、それ以下でもない。



Such incongruities are the result of attempts to regard yourself as separated and unseparated at the same time. 
  • incongruity [ìnkəngrúːəti] : 「不一致、不釣り合い、不調和」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、効果、成果」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て、計画」
  • regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する、分解する」
  • unseparated : 「分離されていない」
  • at the same time : 「同時に、一緒に、加えて、一度に」
❖ "Such incongruities ~ "「そのような不調和な状態は、〜の結果である」。不調和な状態とは、意味を解釈しようとするが、そこに知覚が介入して解釈を誤ってしまうという、一種のジレンマ状態。"the result of ~ "「あなた自身を、神から分離したものとして、と同時に分離などしていなものとして、見なそうとする試み」の結果である。確信をもって、自分が神から分離していないと思えるようになれば、意味の解釈も、解釈に至るための知覚も必要ないと理解して、安定的に生きれるのだろうが、神から分離しているのではないかという疑いがよぎると、途端に確信の基盤が揺らいで、不安定な知覚や解釈に逃げ道を見い出そうとしてしまう。



It is impossible to make so fundamental a confusion without increasing your overall confusion still further.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
  • make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
  • fundamental [fʌ̀ndəméntl] : 「基本となる、基本の、基礎の、基本的な」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、混同、当惑」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
  • overall [óuvərɔ̀ːl] : 「総体的な、全体的な、全面的な、全般的な、全部の」
  • further [fə́ːrðər] : 「さらにまた、さらになお、さらに深く」
❖ "It is impossible ~ "「あなたの混乱全体をさらに加速するようなことなくして、混乱を基礎的なものとすることは不可能だ」。『混乱を基礎的なものとする』とは、混乱が生きる上での基調になっている、ということ。意味の取りにくい部分ではあるが、自分が神から分離しているのか分離していないのか、そんな基本的な混乱が起きれば、更なる全体的な混乱が次々起きてくる、ということ。神から分離してはいないという確信が存在の基盤になっていないと、混乱が次々起きてきて、存在自体が危ういものになってしまうのだ。



Your mind may have become very ingenious, but as always happens when method and content are separated, it is utilized in a futile attempt to escape from an inescapable impasse.
  • ingenious [indʒíːnjəs] : 「巧妙な、器用な、精巧な、独創的な」
  • as always happens : 「いつも起こることだが」
  • method [méθəd] : 「方法、方式、手法」
  • content [kɑ́ntent] : 「入っているもの、内容(物)、中身、在中物」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する、分解する」
  • utilize [júːtəlàiz] : 「利用する、活用する、役立たせる」
  • futile [fjúːtl] : 「役に立たない、効果のない、無益な、無駄な」
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • escape [iskéip] : 「逃げる、ずらかる、脱出する、抜ける」
  • inescapable [ìnəskéipəbl] : 「回避できない、逃げられない、避けられない」
  • impasse [ímpæs] : 「行き詰まり、こう着状態、袋小路、手詰まり、難局 」
❖ "Your mind may ~ "「あなたの心はとても巧妙になったかもしれないが、」"but as always ~ "「しかし、いつも起きることだが、手段と内容が分離してしまうと、心は、回避出来ない袋小路から逃れようとする無駄な試みに利用される」。我々は知覚を通し、解釈を経て、物事の意味を理解しようとする。それはそれで、確かに我々の心は、頭脳と連携して賢く巧妙になったように思われるかも知れない。しかし、たとえば、自分は何者であるかという問いかけ(内容)に対して、知覚と解釈(手段)でそれに解答を与えようとすると、つまり、問いかけ(内容)に対して、それにそぐわない(分離した)知覚と解釈(手段)に頼ろうとすると、心は決まって袋小路に陥ってしまう。一旦袋小路に陥ると、そこから何とかして抜け出そうと、心はますます知覚と解釈にすがりつこうとする。あたかも、空を飛ぼうとして水の中で泳ぎを学ぶようなものだ。



Ingenuity is totally divorced from knowledge, because knowledge does not require ingenuity. 
  • totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
  • divorce [divɔ́ːrs] : 「 〜を離婚させる、〜と離婚する」
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する」
❖ "Ingenuity is totally ~ "「巧妙さというものは、まったく叡智とは無縁である」。"because knowledge ~ "「なぜならば、叡智は巧妙さを求めないからである」。巧妙さとは、この幻想世界だけで役に立つ頭脳という一つの幻想である。対して、叡智は実相世界の真実の総体である。二つには縁もゆかりもない。神から分離した神の子は、叡智に代わる知覚と頭脳をでっち上げただけなのだ。偽創造とは、つねにこうしたものである。形だけ真似ても、中身は空っぽである。



Ingenious thinking is not the truth that shall set you free, but you are free of the need to engage in it when you are willing to let it go.
  • be free of : 「(負担などが)ない、(税金などを)免除されている」
  • need [níːd] : 「必要、必要性」
  • engage [inɡéidʒ] : 「従事する、携わる、関与する」
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
  • let it go : 「あきらめる」
❖ "Ingenious thinking ~ "「巧妙に考えるということは、あなたを自由にする真実ではなく、巧妙な考えというものを手放そうと望んだとき、あなたは巧妙さに関わりをもつ必要などなくなるのだ」。知覚や頭脳による解釈を通して物事を把握しようとすることを止め、叡智を通して、ありのままに物事の真実を直覚せよ、ということ。



6. Prayer is a way of asking for something. It is the medium of miracles. But the only meaningful prayer is for forgiveness, because those who have been forgiven have everything.
  • prayer [prέər] : 「祈り、請願、祈りの言葉」
  • way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
  • ask for : 「〜を求める、〜を要求する、〜を要する」
  • medium [míːdiəm] : 「媒体、媒介物、媒質、手段」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、意味深長な、重要な」
  • forgiveness [fərgívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • those who : 「〜する人々」
  • forgiven [fərɡívn] : 「forgiveの過去分詞」
  • forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
❖ "Prayer is a way ~ "「祈りは何かを求めるときの方法である」。"It is the medium ~ "「祈りは奇跡の媒介者である」。祈りを通して、真実が奇跡によって現れる。"But the only ~ "「しかし、唯一意味ある祈りは、赦しを求めてなされるものである」。"because those who ~ "「なぜなら、赦された者はすべてを持っているからだ」。ここは、赦されることによってすべてを持つことが出来るようになる、という意味ではなく、赦された者は初めからすべてを持っているということ。ACIM の赦しは、幻想をありのまま受け入れて、受け流してしまうことである。この赦しによって、幻想は消滅する。そのとき、あなたは叡智を備えた無辜なる神の子として復活するのだ。神の子は、神の属性のすべてを継承しているので、初めからすべてを持っている。
幻想を消滅させる赦しを求めて祈るとき奇跡は現実化され、実相的な真実が目の前に現れる、という構図である。その真実は、あなたがすべてを持っていることを教えてくれるわけだ。



Once forgiveness has been accepted, prayer in the usual sense becomes utterly meaningless. 
  • accept [əksépt] : 「承認する、承服する、認める、容認する」
  • in the usual sense : 「言葉のごく普通の意味で」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • utterly [ʌ́tərli] : 「全く、完全に、徹底的に」
  • meaningless [míːniŋlis] : 「意味のない、無意味な」
❖ "Once forgiveness has ~ "「一旦、赦しが受け入れられてしまうと、通常の意味で、祈りはまったく意味を失ってしまう」。一旦赦してしまえば、それ以上何も祈る必要はなくなってしまう。なぜなら、祈りは赦しを求める行為だから。



The prayer for forgiveness is nothing more than a request that you may be able to recognize what you already have.
  • nothing more than : 「〜に過ぎない、〜でしかない」
  • request [rikwést] : 「要望、頼むこと、願い、要請、懇願、依頼」
  • be able to : 「〜することができる、〜し得る、〜が可能である」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認める、認識する、認知する、承認する」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
❖ "The prayer for ~ "「赦しのための祈りは、あなたがすでに持ているものを認識出来るようにと求める要求以上のものではない」。ACIMは自他一如の思想であり、他者を赦すことは自分が赦されることと同一であると教える。他者は幻想を赦されることで、自分がすべてを持っていることを認識することが出来、同時に赦したあなたも、自分がすべてを持っていることに気付く。赦しを求める祈りとはそういうものであって、それ以上ではない。言い換えれば、実相的に存在しないものを求めて祈っても意味はないのだ。



In electing perception instead of knowledge, you placed yourself in a position where you could resemble your Father only by perceiving miraculously.
  • elect [ilékt] : 「〜を選ぶ、選挙する、選出する」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • instead of : 「〜の代わりに」
  • knowledge [nάlidʒ] : 「知識、知恵、知見、情報、事実」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • position [pəzíʃən] : 「立場、位置、地位、身分」
  • resemble [rizémbl] : 「〜のようである、〜と似ている」
  • miraculously [mirǽkjuləs] : 「驚異的に、奇跡的に」
❖ "In electing perception ~ "「叡智の代わりに知覚を選ぶことで、あなたは自分自身を〜なポジションに置いた」。関係副詞whereを用いて、"where you could  ~ "「奇跡的に知覚することによってのみ、あなたが父なる神と似ることが出来るというような」ポジションに自分自身を置いた。もし、知覚の代わりに叡智を選んだなら、人は何の苦もなく神に似ている自分を自覚出来るはずだ。なぜなら三位一体が真実なら、ホーリー・スピリットと並んだ人間は、神とも並ぶからだ。しかし、叡智の代わりに知覚を選んでしまったら、神に似ている自分を認識するのは至難の業である。奇跡をもって知覚を修正し、自分が神の子であることを受け入れなくてはならない。叡智(実相)の代わりに知覚(幻想)を選択したことで、そんな、いわば黒雲で覆われて真実が見えないポジションにあなたは自分を置いているのだ。



You have lost the knowledge that you yourself are a miracle of God. Creation is your Source and your only real function.
  • lost [lɔ́st] : 「loseの過去・過去分詞形」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、効用、職務、役割」
❖ "You have lost ~ "「あなたは、あなた自身が神の奇跡だという叡智をなくしてしまった」。"Creation is your ~ "「創造はあなたの源であり、あなたの唯一の真の機能である」。実相世界の創造とは、真実の拡張増大を意味する。神が神の延長上に愛を拡大して神の子を創造したことで、それがわかる。神の子であるあなたも同様である。真実の拡張増大、創造性こそ、あなたが神の子である源であり、あなたの実相的な機能、あるいは役割なのだ。
 
 
 



Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター