●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-15.VII.7:1 ~ T-15.VII.8:9

7. In such insane relationships, the attraction of what you do not want seems to be much stronger than the attraction of what you do want.

  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • attraction [ətrǽk∫n] : 「引き付けるもの、引力、魅力、誘引」
  • strong [strɔ́(ː)ŋ] : 「強い、強力な」
❖ "In such insane ~ "「そのような狂った関係性の中にあっては、あなたが望まないことに惹かれる力は、あなたが望むことに惹かれる力に比べてより強いように思われる」。これは、2元論世界の必然であって、あなたに望むことがあれば、対極として望まないことが必ず生まれる。相反する2元が存在してしまい、その綱引きが始まるのだ。あなたは望まないとは言え、その望まないことに強く惹かれるという現象が生じる。コンフリクトが起きるのである。例えば、生きる望みを代表する、生への欲望をエロスと言うのに対して、死を望む、死への欲望をタナトスと言う。この両者が渾然としてあなたの心の中に存在することになる。では、エロスとタナトスが綱引をすると、どうなるであろうか? 往々にして、マイナスの力、陰なる力にあなたは強く引かれてしまうのである。負の力は侮(あなど)れない。正の力を凌ぐことが往々にしてある。



For each one thinks that he has sacrificed something to the other, and hates him for it.
  • each one : 「各自」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜をささげる、〜をいけにえにする、〜を犠牲にする」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
❖ "For each one thinks that ~ "「なぜなら、(関係性をもった二人の)各々が、that以下と思うからである」。"that he has sacrificed ~ "「他方の者のために何かを犠牲にし、そのために他方の者を嫌う」と思うからである。幻想世界の愛の必然で、相手を愛していると同時に、嫌悪し、恨み、憎悪するのである。その根底に、犠牲があると言っている。関係性を築いたことで制限が生まれ、制限が犠牲につながる。犠牲は恨みを生み出し、憎悪へと発展する。幻想世界の愛が変化流動していく道筋である。



Yet this is what he thinks he wants. He is not in love with the other at all. He merely believes he is in love with sacrifice.
  • be in love with : 「〜に恋して、〜といい仲で、〜に心を奪われて」
  • at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること、いけにえ」
❖ "Yet this is what ~ "「しかし、これこそが、自分の望むものだと思うのである」。憎悪に裏打ちされた愛こそが本物の愛で、それを望んでると信じてしまうのだ。つまり、自己欺瞞(じこぎまん)が顔を出す。"He is not in love ~ "「彼は他方の者をまったく愛してはいない」。憎悪を隠し持った愛をどんなに尊重しても、それで人を愛しているなどとは決して言えない。"He merely believes ~ "「彼は単に、犠牲に恋していると信じているだけだ」。自分は愛の犠牲者だ、というわけである。自己欺瞞から自己憐憫(じこれんびん)へと発展するのである。愛したが故に傷ついた自分を哀れと思うわけだ。



And for this sacrifice, which he demands of himself, he demands that the other accept the guilt and sacrifice himself as well.
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • as well : 「同じに、同様にうまく、その上、なお」
❖ "And for this sacrifice ~ "「そして、この犠牲のために、」"which he demands ~ "「もっとも、その犠牲は自分で求めたものではあるが、」"he demands that ~ "「彼はthat以下を要求する」。"that the other accept ~ "「他方の者も罪を受け入れ、同じように自分を犠牲にすること」を要求する。自分と同じように、愛の根底に罪の意識と犠牲の意識を持つようにと、他方の者に要求するのである。つまり、同じ穴のムジナになれ、というわけだ。そうでないと、狂った関係性は保てなくなるからだ。関係性を正しく純粋なものへと昇華させるのではなく、関係性を狂ったまま、あるいは腐ったまま、維持保存しようとする。自己保身である。まさに関係性は、腐れ縁となるのである。



Forgiveness becomes impossible, for the ego believes that to forgive another is to lose him.
  • Forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • another [ənʌ́ðə(r)] : 「もう一つ、もう一人」
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
❖ "Forgiveness becomes ~ "「赦しは不可能となる」。"for the ego believes ~ "「なぜなら、エゴは、他者を赦すことは、その人を失うことだと信じているからだ」。つまり、他者を赦すことは、他者への支配権を失うことだと信じているわけだ。互いに隷属関係になっているその関係性を破壊するような赦しを認めるわけにはいかないのである。あくまでも他者を罪ある者として、犠牲者として保存しておきたいためである。



It is only by attack without forgiveness that the ego can ensure the guilt that holds all its relationships together.
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
  • ensure [en∫úə(r)] : 「〜を確かにする、保証する、請け合う、確保する」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、同時に」
❖ "It is only by attack without ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「すべての関係性を一緒に束ねている罪の意識を、エゴが確実なものに出来るのは、赦しなき攻撃のみである」。赦しへのエネルギーを、全く逆方向の攻撃性へ振り向かせるのである。他者を攻撃することで赦しを忘れるためである。ところで、赦し(forgiveness)はACIMの最重要なキーワードである。一連の文章を読んでお気づきだと思うが、あなたの攻撃性を退治する最大の武器はこの赦しなのである。無条件で赦す気持ちが出来れば、あなたはエゴを退散させることが出来る。つまり、攻撃性を攻撃性で攻撃しても無駄。攻撃性をやっつけるには赦ししかないのだ。



8. Yet they only seem to be together. For relationships, to the ego, mean only that bodies are together.
  • seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • body [bɑ́di] : 「体、身体、人体、肉体」
❖ "Yet they only seem ~ "「しかし、関係性をもつ二人は、ただ一緒にいるだけとしか見えない」。"For relationships, to ~ "「なぜなら、エゴにとって、関係性とは単に肉体が共にあるということしか意味しないからである」。エゴにとっては、関係性とは、肉体的な距離の近さでしかない。二人の心が分かち合われ、共鳴し合って、共に真実に目覚めようとするような関係性など、エゴの眼中にはないのである。



It is always this that the ego demands, and it does not object where the mind goes or what it thinks, for this seems unimportant.
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • object [ɑ́bdʒikt] : 「目的、目的物、目標物、対象」
  • unimportant [ʌ̀nimpɔ́ː(r)t(ə)nt] : 「重要でない、大切でない」
❖ "It is always this that ~ "ここは"It ~ that ~ "の構文、「エゴが要求することは、常にこの肉体の接近である」。"and it does not object ~ "「そして、心がどこへ向かうのかとか、心が何を考えているかなどということはエゴの関心の対象ではない」。"for this seems ~ "「なぜなら、こんなことは(エゴにとっては)重要でないからだ」。エゴの関心の中心は、ただ肉体にある。心の動きは無視される。なぜなら、エゴにとって肉体が実在で、心は非実在だからである。もちろん、ホーリー・スピリットにとってはその逆で、肉体は非実在で心が実在である。



As long as the body is there to receive its sacrifice, it is content. To the ego the mind is private, and only the body can be shared.
  • as long as : 「〜さえすれば、〜する限り」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る、受領する、入手する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること」
  • content [kɑ́ntent] : 「満足している」
  • private [práivət] : 「個人の、私有の、私的な、自分だけが持つ」
  • share [∫éə(r)] : 「〜を分ける、分かち合う、共有する、共用する」
❖ "As long as the body is ~ "「肉体がそこにあって、犠牲を受けている限り、エゴは満足する」。"To the ego the mind ~ "「エゴにとって心は、個人的に所有されるものであって、」"and only the body can ~ "「肉体だけが分かち合えるものなのである」。エゴは、心の分かち合いを認めない。快楽的な、肉体の分かち合いのみを認める。快楽的と書いたが、犠牲を伴う快楽であるので、痛みを伴う。したがって、その痛みさえも快楽であるわけだ。まさに、錯綜したマゾヒズム的関係と言える。



Ideas are basically of no concern, except as they bring the body of another closer or farther.
  • basically [béisikli] : 「基本的に、根本的に、大筋で」
  • concern [kənsə́ː(r)n] : 「関心事、懸案事項、心配、不安」
  • of concern :「関心事である、心配事である」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • close [klóus] : 「近い、接近した、近接した、緊密な」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて行く、〜を持って来る」
  • farther [fɑ́ː(r)ðə(r)] : 「さらに遠い、もっと遠い」
❖ "Ideas are basically ~ "「(エゴにとって、)想念は基本的に関心外である」。"except as they bring ~ "「もっとも、想念が他者の肉体を近づかせたり遠のかせたりする場合は除かれる」。心の発する想念が、肉体の距離に影響を与えるときだけ、エゴは想念に関心をもつ。それ以外の想念など、エゴにとって非実在である。



And it is in these terms that it evaluates ideas as good or bad. What makes another guilty and holds him through guilt is "good."
  • term [tə́ː(r)m] : 「条項、条件、規約、期限、期間、語、言葉」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「評価する、審査する、判断する」
  • guilty [gílti] : 「有罪の、犯罪的な、罪を犯した」
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
❖ "And it is in these terms ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「そして、エゴが想念の良し悪しを評価するのは、これらの条件を満たした時である」。エゴにとって、想念が肉体的距離を縮めれば、それは良い想念。肉体的距離を広げれば、それは悪い想念、ということになる。"What makes another guilty ~ "「他者に罪の意識を持たせ、罪の意識を通じて他者を保持出来るようであれば、それは良い(想念)である」。悪い想念はその逆となる。すなわち、・・・次の文。



What releases him from guilt is "bad," because he would no longer believe that bodies communicate, and so he would be "gone. "
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • no longer : 「もはや〜でない」
  • communicate [kəmjúːnikèit] : 「連絡する、通信する、交信する」
❖ "What releases him ~ "「他者を罪の意識から解放するものであれば、(エゴにとって)それは悪い(想念)である」。"because he would no longer believe ~ "「なぜなら、罪から解放された他者は、もはや肉体がコミュニケーションを交わすことなど信じられなくなるからであり、その結果、彼はいなくなってしまうからだ」。だから悪い想念だとエゴは思うのである。さて、罪の意識から解放される前は、肉体と肉体が接近し合って、そこにコミュニケーションが生じていると信じられていた。しかし、それは罪の意識が肉体の存在を幻想させた結果であり、罪の意識から解放され、したがって肉体という幻想から解放された後では、もはや、肉体同士がコミュニケーションを交わすことが出来るなどとは信じられなくなるのである。つまり、神との真のコミュニケーションを経験すれば、肉体同士のコミュニケーションは偽物だと気づくわけだ。こうして、偽りから解放されることで、彼はエゴから離れて行くことになる。エゴなら見れば、彼は去ってしまうのである(he would be "gone. ")。
 
 
 

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