●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-16.III.3:1 ~ T-16.III.4:10

3. Does not the fact that you have not learned what you have taught show you that you do not perceive the Sonship as one?

  • fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実、実際、真相」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
  • show [∫óu] : 「示す、表す、表示する」
  • perceive [pə(r)síːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
❖ "Does not the fact that ~ "「あなたが教えたことをあなたは学んでいないという事実は、あなたが神の子を単一であると知覚していないことを示していないだろうか」。さて、何を言いたいのだろう? まず初めの「あなたが教えたことをあなたは学んでいない」とはどういうことか? 実相世界では、教えることと学ぶこととは等しいことなので、ここで言っている教えと学びは幻想世界におけるものだということがわかる。あなたは確かに教えてきたのだが、それが実相世界の真実ではなかったから、あなたは何一つ真実を学ぶことがなかった、という意味合いであることがわかる。幻想世界の分裂したままの神の子として、幻想世界の様々な事象をエゴの思考システムに則って教えてきたに過ぎないのだ。したがって、神の子が実相世界では単一の存在である事実も、当然ながら知られることはなかった。もちろん、神の子が完全な無辜(むこ)である事実も隠されたままであった。



And does it not also show you that you do not regard yourself as one?
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす、ある感情を持って〜を見る、尊重する、考慮する」
❖ "And does it not also ~ "「そしてそれは、あなたがあなた自身を単一と見なしていないことを示してはいないだろうか」。神の子を単一と見なしていないし、自分を神の子と考えていないあなたは、あなた自身も、同様に、同胞達と同一な存在などと思ってもみない。自他一如など信じられないのだ。多即一、一即多という事実も知らない。すべて、真実からかけ離れた幻想世界についての知識だけを教え、また、学んできた結果である。



For it is impossible to teach successfully wholly without conviction, and it is equally impossible that conviction be outside of you.
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • successfully [səksésf(ə)li] : 「首尾よく、うまく、成功裏に」
  • wholly [hóu(l)li] : 「完全に、全く、全体として、全体的に」
  • conviction [kənvík∫n] : 「信念、確信」
  • equally [íːkw(ə)li] : 「等しく、同様に、一様に、平等に、同等に」
  • outside [áutsáid] : 「外側の、屋外の、外部の、局外の」
  • be outside of : 「〜の外にいる、〜を離れている」
❖ "For it is impossible ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「なぜなら、確信を持たずに成功裏のうちに、完全に教えることなど不可能だからであり、」"and it is equally ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「確信があなたの外にあるなどということは、等しく不可能であるからだ」。あなたは幻想世界の事象を教えてきたが、心の中に確信があって教えてきたのではない。確信とは真実に対する熱い信仰であって、あなたは自分の知覚に映ったままを単に教えてきたに過ぎず、確信が衝動となって表出したのではない。しかし、あなたは、客観的事実を教えてきたのだと主張するかもしれない。だが、客観的事実は、明らかに確信とは別物である。確信はあなたの心の中にあるのであって、あなたの外の客観に確信が存在するのではない。あなたの心の最も神聖な部分、最も純粋な部分に湧き上がる自然な感情が確信であって、ほぼ、愛に近い実在である。その実在を離れて、教えたり学んだりすることは出来ないのだ。なぜなら、真実から離れて、どうして真実を教えたり学んだり出来るだろうか。



You could never have taught freedom unless you did believe in it. And it must be that what you taught came from yourself.
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
❖ "You could never have ~ "仮定法過去完了形、「あなたが自由を信じていなかったから、あなたは自由を教えることなど出来なかったはずだ」。ところが、あなたが自由を教えたということは、"And it must be that ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「あなたが(自由を)教えたことは、あなた自身からやって来たに違いないのである」。幻想世界を信じるあなたは、実相世界の自由を信じることは出来ないはずだ。しかし、信じることの出来ない自由をあなたが教えたということは、あなたの心の中に、もう一人のあなた自身がいることを示している。



Yet this Self you clearly do not know, and do not recognize It even though It functions.
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに、明瞭に」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • even though : 「 〜であるけれども、〜であるにしても、〜にもかかわらず」
  • function [fʌ́ŋ(k)∫n] : 「働く、機能する」
❖ "Yet this Self you ~ "「しかし、この自己なるものを、あなたは明確には知らないし、」"and do not recognize ~ "「たとえその自己なるものが機能していても、あなたはその自己なるものを認識しないのである」。もちろん、"Self"「自己なるもの」とは、ホーリー・スピリットのことである。ホーリー・スピリットがあなたの心の中で自由を信じ教えているにも関わらず、あなたはその存在に気付いていない。実相世界の自由を信じないあなたが自由を教えたということは、あなたの中にホーリー・スピリットが住んでいることの証拠であるにも関わらず、である。



What functions must be there. And it is only if you deny what It has done that you could possibly deny Its Presence.
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
  • possibly [pɑ́səbli] : 「もしかすると、ひょっとしたら、場合により、たぶん」
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在、居ること」
❖ "What functions ~ "「機能しているものが、あなたの心の中にいるに違いない」。ホーリー・スピリットはあなたの心の中に存在している。"And it is only if you deny ~ "「もしかして、あなたがその存在を否定できるとしたら、それはその存在がなしたことを否定することだけしかあるまい」。ホーリー・スピリットの存在を否定したいなら、ホーリー・スピリットがあなたの陰に隠れてなしてくれたことを否定する以外あるまい。



4. This is a course in how to know yourself. You have taught what you are, but have not let what you are teach you.
  • course [kɔ́ː(r)s] : 「課程、講座、科目、単位」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
  • how to : 「〜するための方法、〜のやり方、〜の仕方」
❖ "This is a course ~ "「このコースは、あなた自身を知るための方法を教えるコースである」。"You have taught ~ "「あなたは、あなたが何なのか教えてきたが、」"but have not let ~ "「本当のあなたに教えてもらうことをして来なかった」。"to know yourself"と言えば、ソクラテスの「汝自身を知れ(Know Thyself)」を思い出す人も多いだろう。ACIMに照らし合わせて、ソクラテスのこの言葉を吟味してみることは有益だ。ソクラテスはこのメッセージで何を伝えたかったのか・・・。ところで、"teach (taught)"「教える」という言葉であるが、意味合いとしては、ここでは「真実を追求する」に近いのではないだろうか? つまり、「本当の自分を追求する」といった意味合い。そうすると、本文は「あなたは頭脳的理性をもってあなた自身が何であるかを追求してきたが、逆に、本当の自分であるホーリー・スピリットに教えてもらうことを怠ってきた」という意味合いになる。少々くどくなるが、"teaching"と"learning"は実相世界では重なり合っており、真実を知りたいという思いが動機になっている。したがって、真実を追い求めることがその意思として根底にあり、今後、ACIMで"teaching"と"learning"が出てきたとき、意味が通りにくいときは「真実を追い求めること」あるいは「真実を意思すること」といった言葉に置き換えてみるといいだろう。きっと、意味がすんなり通ることだろう。



You have been very careful to avoid the obvious, and not to see the real cause and effect relationship that is perfectly apparent.
  • careful [kéə(r)fl] : 「注意深い、気を付ける、用心深い、油断しない」
  • be careful to : 「抜かりなく〜する、心して〜する」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる、敬遠する」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な、分かりきった、疑う余地のない」
  • real [ríː(ə)l] : 「実在的な、実質的な、現実の、実際の」
  • cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因」
  • effect [ifékt] : 「結果、影響、作用、効果、効力」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • perfectly [pə́ː(r)fik(t)li] : 「完全に、完璧に」
  • apparent [əpǽr(ə)nt] : 「明らかな、明白な」
❖ "You have been very ~ "「あなたは、明白なことを、非常に注意深く避けてきた」。"and not to see the real ~ "「そして、完璧に明白である真の因果関係を見ることも避けてきた」。あなたは幻想世界の事象かまけて、あなたの心の中に住む本当のあなた自身を見ることを避け、その真のあなた自身を通して見えてくる明白な実相世界、実相世界の真の因果関係を極力回避してきた。一言で言えば、あなたは神を避けてきたのである。



Yet within you is everything you taught. What can it be that has not learned it?
  • within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内部に」
  • learn [lə́ː(r)n] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
❖ "Yet within you is ~ "「しかし、あなたが教えたすべてはあなたの内側にある」。ここの"taught"も「追求した」という意味に置き換えてやると、「あなたが本当の自分を求めて追求してきた、そのすべての答えは、あなたの心の中にあるのだ」という意味合いになる。"What can it be ~ "「あなたの内側にあるものを学ばない者は何であり得るか」。つまり、真の自分自身の存在に気付いていない自分とはいったい何者であるか、ということ。ここから非常に難解な部分になる。もう一度確認しておこう。あなたが知るべき本当の自分自身はあなたの心の中にある。では、心の外にいて、それを知ろうとしているあなたは何者か? 



It must be this part that is really outside yourself, not by your own projection, but in truth.
  • part [pɑ́ː(r)t] : 「一部、部分」
  • really [ríː(ə)li] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • outside [àutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • projection [prədʒék∫n] : 「投射、投影、射影、映写」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "It must be this part that ~ "「それは、実際あなたの外側にある部分であるに違いないのだ」。本当のあなたはあなたの心の内側にある。では、あなたがあなただと思ってきたあなたは心の外側にいるはずだ。つまり、真の自分とは異なった所に(外側)にいるはずだ。"not by your own ~ "「それは、あなた自身の投射によってあるのではなく、本当に存在している」。非常に難解なのだが、ここを外してしまうとACIMの全体像が崩れかねないので、慎重に解読しよう。心の内側にある本当の自分自身は、神の子として、あるいはホーリー・スピリットそのものとして存在する自分自身である。ではその存在に気付いていない自分は、心の外にいるはずだ。心の外の存在なので、心が外部に投射して作った自分であるかというと、そうではない、実在だと言っている。ここに来てやっと、神の子の心が分裂したことが詳しく説明されているのだ。神の子の心は単一存在として神と共にあった。神の子は神からの分離独立を想念し、次の瞬間神から分離した。その分離した単一の心は散り散りに分裂した。その分裂した心をさらにのぞき込むと、実相世界との接点となっている実在の心の部分と、幻想世界を夢の中で見ているもう一つの心の部分がある。この眠りについて夢を見ている心が、(その心は投射によって作り出した心ではなく、ちゃんと実在する心なのだが)、幻想世界の上に存在する心である。あなたの心は2つに分裂しているのだ。実相世界の実在として、ホーリー・スピリットを擁している真のあなた自身であるところの心と、分裂によって取り入れざるを得なかったもう一つの心、それは、深い眠りに陥り、幻想世界を外部に投射して、それを夢に見ている心であり、その心をもつ自分を本当の自分であると信じてきたのである。だが、それは本当の自分自身ではい。近代の精神分析学は、意識について、意識と無意識(潜在意識)の発見に成功した。対比的に見れば、無意識の領域に、実相世界と接点をもつ真の心、本当のあなた自身が存在し、表層の意識領域に、幻想世界を夢に見ている心、本当のあなた自身とは言えないあなたが存在している、そういう構造になるだろう。総括しよう。ホーリー・スピリットを通して神とコミュニケーションをもつ心としてのあなたも実在。神から分離断絶し、深い眠りに陥って幻想世界を夢に見ている心としてのあなたも実在。しかし、本当のあなたはどちらなのかと問われたら、あなたは前者をとらなければならない。なぜなら、本来の存在形態がそうであるからだ。後者は無理に取り入れた偽りのあなたなのである。



And it is this part that you have taken in that is not you. What you accept into your mind does not really change it. Illusions are but beliefs in what is not there.
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
  • illusion [ilúːʒ(ə)n] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信用、信頼」
❖ "And it is this part that ~ "「そして、あなたが取り入れた部分は、あなたではない、この部分なのである」。神からの分離断絶後にあなたが取り入れた、幻想世界を夢に見る心としてのあなたは、本当のあなたとは言えない。偽りのあなただ。"What you accept into ~ "「あなたがあなたの心の中に受け入れたものは、実際、本当のあなたを変えることはない(出来ない)」。偽りのあなたは、実相世界の神と接点をもつ本当のあなたを変えることは出来ない。幻想を夢に見ているだけの心に、実相を変化させるだけのパワーなどない。"Illusions are but beliefs ~ "「幻想とは、そこに存在しないもとを信じることなのである」。その偽りのあなたは、存在しない世界を幻覚しているだけなのだ。



And the seeming conflict between truth and illusion can only be resolved by separating yourself from the illusion and not from truth.
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • conflict [kɑ́nflikt] : 「葛藤、軋轢、摩擦、不一致、衝突、争い」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • resolve [rizɑ́lv] : 「解く、解消する、解決する」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
❖ "And the seeming conflict ~ "「そして、真実と幻想の間の見かけ上のコンフリクトは、」一方は実在、他方は幻覚なので、コンフリクトと言っても、それは見かけ上の軋轢に過ぎないのだが、それは、"can only be resolved by separating ~ "「あなた自身を、真実からではなく、幻想から引き離すことによってのみ、解決出来るのである」。本当の自分を捨てるのではなく、偽りの自分を捨てることによって、うわべのコンフリクトは消滅してしまう。幻想から目覚めるのだから、目覚めただけでコンフリクトは消滅するはずなのだ。
 
 
 
 

Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター