●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-8.I.4:1 ~ T-8.I.5:10

4. Your past learning must have taught you the wrong things, simply because it has not made you happy. 
  • past [pǽst] : 「過ぎ去った、過去の」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「学ぶこと、学習」
  • taught [tɔ́ːt] : 「teach の過去・過去分詞形」
  • wrong [rɔ́ːŋ] : 「間違った、誤っている」
  • simply [símpli] : 「簡単に、単に、全く」
  • simply because : 「〜というだけの理由で」
❖ "Your past learning ~ "「あなたが過去に学んだことは、あなたに誤ったことを教えてしまったに違いない」。"simply because ~ "「なぜなら、単に、それはあなたを幸せにしなかったからだ」。



On this basis alone its value should be question. If learning aims at change, and that is always its purpose, are you satisfied with the changes your learning has brought you? 
  • basis [béisis] : 「基準、原理、原則」
  • alone [əlóun] : 「独りで、単に」
  • value [vǽljuː] : 「価値、値打ち、真価」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問」
  • aim at : 「〜を目指す、〜を得ようとする」
  • change [t∫éin(d)ʒ] : 「変化、変更、移行、交換」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる」
  • be satisfied with : 「〜に満足している」
  • brought [brɔ́ːt] : 「bring の過去・過去分詞形」
  • bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
❖ "On this basis ~ "「これだけを基準に考えてみても、過去の学びの価値には疑問を抱かざるを得ない」。"If learning aims ~ "「もし、学びが変化を求めるなら、」"and that is ~ "「それは常にその目的ではあるが、」"are you satisfied with ~ "「あなたの学びがあなたにもたらした変化に、あなたは満足しているだろうか」。



Dissatisfaction with learning outcomes is a sign of learning failure, since it means that you did not get what you wanted.
  • dissatisfaction [dìssætisfǽkʃən] : 「不満、不平」
  • outcome [áutkʌ̀m] : 「結果、結末」
  • sign [sáin] : 「標示、表れ、兆候」
  • failure [féiljər] : 「失敗、不成功」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する」
❖ "Dissatisfaction with ~ "「学びの結果に不満であることは、学びがうまくいかなかったことの表れである」。"since it means ~ "「なぜなら、それは、あなたが欲したものを得なかったということを意味しているからだ」。あなたが欲したものは真実に基づく幸せであったはずだ。その幸せが、過去に学んだことで得られなかったのは、過去の学びの対象が誤っていたせいである。つまり、誤りを学んでしまったのだ。



5. The curriculum of the Atonement is the opposite of the curriculum you have established for yourself, but so is its outcome. 
  • curriculum [kəríkjələm] : 「教科課程、履修過程 」
  • atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い」
  • opposite [ɑ́pəzit] : 「逆の物、反対の物、反対」
  • establish [istǽbliʃ] : 「確立する、達成する」
❖ "The curriculum of ~ "「贖罪のカリキュラムは、あなたが自分のために確立したカリキュラムと正反対であるが、」"but so is ~ "「その結果も、正反対である」。"The curriculum of the Atonement"「贖罪のカリキュラム」とは、まさにこの「奇跡のコース」そのものなのだが、ACIMの贖罪は、一般のキリスト教の贖罪の概念とはかなり異なる。一般のキリスト教における原罪は、アダムとイブが神の禁止命令に背いて知恵の実を食べたことに端を発し、その子孫が生まれながらにその罪を負うというものだ。そうした人間の原罪を贖うために、イエス・キリストは単身十字架の刑に処せられ、その時点で人間の贖罪は完了したとされる。これが一般的なキリスト教の原罪と贖罪の概念だが、キリスト教の概念というより、パウロによる十字架刑の解釈、いわばパウロ教の原罪と贖罪の概念と呼んだ方が正確かもしれない。
 ACIMにおいては次のようになる。単一の神の子は、ある時、自分は神なしで存在できるかもしれないと思った。思った瞬間、神の子のちっぽけな狂った思い(tiny mad idea)は現実化し、神の子は神から分離した。神の子は神を裏切ったという罪の意識をもち、神に罰せられるに違いないという恐れを抱く。その恐れに耐えきれなくなると、神の子は自己を乖離し、心の外部に幻想の具象的世界と自己に代わるエゴを投影した。元来一つであった心は散り散りに分裂し、恐怖と憎悪、攻撃、復讐の世界が広まった。
 そこで、ACIMは真実を見よ、と教える。この世界は幻想であり、エゴも錯覚に過ぎない。夢を見ているだけだ。幻想を夢に過ぎないと認識し、それを受け入れて幻想を手放してしまうこと、つまり幻想を赦すことによって、現実だと思っていた幻想は消滅する。これがACIMの唱える贖罪である。悪夢から目覚めた神の子は、神との分離は夢だったのだと気が付く。神の子は神の下(もと)から一歩たりとも離れてはいなかったのだ。



If the outcome of yours has made you unhappy, and if you want a different one, a change in the curriculum is obviously necessary. 
  • different [dífərənt] : 「異なる、違う」
  • obviously [ɑ́bviəsli] : 「明らかに、はっきりと、明白に」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の」
❖ "If the outcome of ~ "「もし、あなたのカリキュラムの結果があなたを不幸にし、」" and if you ~ "「そして、もし、あなたが、異なる結果を欲するならば、」"a change in ~ "「カリキュラムを変えることが、明らかに必要である」。この幻想世界が過去から現在まで教えている学びのカリキュラムを変える必要がある。なぜなら、それは不幸をもたらすだけだからだ。



The first change to be introduced is a change in direction. A meaningful curriculum cannot be inconsistent. 
  • introduce [intrədjúːs] : 「導入する、取り入れる」
  • direction [dirékʃən] : 「方角、方向、指示」
  • meaningful [míːniŋfəl] : 「意味のある、重要な」
  • inconsistent [ìnkənsístənt] : 「矛盾した、一貫性のない」
❖ "The first change ~ "「導入されるべき最初の変化は、方向を変えることである」。"A meaningful ~ "「意味のあるカリキュラムは、一貫性を欠いたものではいけない」。一貫性とは一方向性と考えていい。幸せという一点に向かう方向性である。



If it is planned by two teachers, each believing in diametrically opposed ideas, it cannot be integrated. 
  • diametrically [dàiəmétrikli] : 「正反対に」
  • opposed [əpóuzd] : 「反対した、対抗した、対立した」
  • integrate [íntəgrèit] : 「〜を結合する、統合する」
❖ "If it is planned by ~ "「互いに、正反対の考えを信じている二人の師によってカリキュラムが計画されると、」"it cannot be "「それを統一するのは不可能になる」。当然、一貫性を欠くことにもなる。二人の師とは、もちろん、エゴとホーリー・スピリットのこと。あなたは正反対を教える二人の師を同時にもつことは出来ない。



If it is carried out by these two teachers simultaneously, each one merely interferes with the other. 
  • carry out : 「事を運ぶ、運営する」
  • simultaneously [sàiməltéiniəsli] : 「同時に、いっせいに」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、干渉する」
  • interfere with : 「〜の邪魔する、〜に干渉する」
❖ "If it is carried ~ "「もし、そのカリキュラムが、これらの二人の師によって同時に運営されたら、」"each one merely ~ "「各々が、単に、相手の邪魔をすることになる」。



This leads to fluctuation, but not to change. The volatile have no direction. 
  • lead to : 「〜につながる、結局〜となる」
  • fluctuation [flʌ̀ktʃuéiʃən] : 「変動、動揺、揺らぎ」
  • volatile [vɑ́lətl] : 「不安定な、変わりやすい」
  • direction [dirékʃən] : 「方角、方向、方位」
❖ "This leads to ~ "「これは動揺につながるこそすれ、変化にはつながらない」。"The volatile have ~ "「不安定なものは、方向性を一切もたないのだ」。



They cannot choose one because they cannot relinquish the other, even if it does not exist. 
  • choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • relinquish [rilíŋkwiʃ] : 「放棄する、手放す」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生存する」
❖ "They cannot choose ~ "「彼らは、他方を放棄できないので、一方を選ぶことが出来ない」。したがって、方向性も一貫性も失われる。"even if it ~ "「たとえそれが存在しなくても」。あなたは存在しないものでさえ放棄できないでいる。幻想にしがみついているのだ。いわば、幻想に取り憑いている。



Their conflicted curriculum teaches them that all directions exist, and gives them no rationale for choice.
  • conflicted [kənflíktid] : 「矛盾した、心に葛藤のある」
  • rationale [ræ̀ʃənǽl] : 「論理的根拠、論拠、原理」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "Their conflicted ~ "「彼らの矛盾したカリキュラムは、彼らにすべての方向が存在することを教える」。"and gives them ~ "「その結果、選択のための論理的根拠を彼らに与えることがないのである」。エゴに支配された心が夢に見ているこの世界は分離を象徴する二元論世界である。たとえば純粋な愛は、この世では愛と憎悪に分裂し、正反対の力のベクトルとなって互いにせめぎ合う。二項対立するベクトルが複雑に絡まり合って、あらゆる方向に向かう可能性のあるベクトルを作り出す(all directions exist)。その混沌の中にあって、選択の方向性を教えはずのカリキュラムは論理的根拠を欠いて、ほとんど不可能だ(no rationale for choice)。








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