IV. The Gift of Freedom
自由の贈り物
1. If God's Will for you is complete peace and joy, unless you experience only this you must be refusing to acknowledge his will.
- will [wíl] : 「意志、精神力」
- complete [kəmplíːt] : 「全部そろった、完全な」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り」
- experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
- refuse [rifjúːz] : 「拒む、拒絶する、断る」
- acknowledge [əknɑ́lidʒ] : 「認める、受け入れる」
❖ "If God's Will ~ "「あなたのための神の意思が完全な平和と喜びであるなら、」"unless you experience ~ "「(また、それにもかかわらず、)あなたが平和と喜びだけを経験することがないのなら、」"you must be ~ "「あなたは、神の意思を拒絶しているに違いない」。神の意思を受け入れているなら、あなたは平和と喜びを感じるはずだ、ということ。
His will does not vacillate, being changeless forever. When you are not at peace it can only be because you do not believe you are in him.
- vacillate [vǽsəlèit] : 「揺れる、揺れ動く、動揺する」
- changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- at peace : 「平和に、心穏やかで」
❖ "His will does ~ "「神の意思は不動であり、」"being changeless ~ "「永遠に不変である」。"When you are ~ "「あなたが平和でないなら、」"it can only be because ~ "「それは、あなたが神の中にいると信じていないことが唯一の理由である」。
Yet he is all in all. His peace is complete, and you must be included in it. His laws govern you because they govern everything.
- include [inklúːd] : 「〜を含める、〜を包含する」
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規」
- govern [gʌ́vərn] : 「支配する、統治する、決定する」
❖ "Yet he is ~ "「しかし、神はすべての中に存在するすべてである」。神はすべてを包摂している(all-encompassing)。"His peace ~ "「神の平和は完全である」。"and you must ~ "「そして、あなたはその中に含まれていなくてはならない」。"His laws govern ~ "「神の法はあなたを律している」。"because they ~ "「なぜなら、神の法はすべてを律しているからだ」。ここだけを切り出せば、あたかもあなたは神の法に支配され、神に命じられたままに束縛的な行動をとらなくてはいけないように見えるかもしれないが、それは違う。神とあなたの意志は同一であり、神の法にしたがって存在することは自然なことだという意味である。
You cannot exempt yourself from his laws, although you can disobey them.
- exempt [igzémpt] : 「免除する」
- exempt someone from : 「〜を〜から免除する」
- although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
- disobey [dìsəbéi] : 「服従しない、違反する、背く」
❖ "You cannot exempt ~ "「あなたは、あなた自身を神の法から免除させることは出来ない」。"although you can ~ "「神の法に違反することは出来たとしても」。神の法は真実の摂理である。あなたは真実を拒否することは出来るが、真実を虚偽に変えることは出来ない。
Yet if you do, and only if you do, you will feel lonely and helpless, because you are denying yourself everything.
- only if : 「〜の場合に限り」
- lonely [lóunli] : 「寂しい、孤独の、孤立した」
- helpless [hélpləs] : 「無力な、助けを得られない」
- deny A B : 「AにBを与えない」
❖ "Yet if you do ~ "「もし、あなたが神の法に違反したなら、違反した場合に限るのだが、」"you will feel lonely ~ "「あなたは孤独感と無力感を感じることだろう」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたはあなた自身に何も与えていないからだ」。ここの"denying yourself everything"は、自分自身に対してすべてを拒絶していることを意味しているのだろう。神の法も拒絶し、喜びも拒絶し、平和も拒絶している。与えることも、得ることも拒み、もちろん分け合うことも拒んでいるから孤独感と無力感にさいなまれる。一言で言えば、愛を拒絶しているのだ。
2. I am come as a light into a world that does deny itself everything.
- light [láit] : 「光、明かり、知識、認識」
❖ "I am come as ~ "「私は、自らに対してすべてを拒絶するこの世界に、光としてやって来た」。ここの"am come"は"be + (自動詞の過去分詞)"の形で、状態を表している。受動態ではない。意味は、現在完了形とほぼ同じ。したがって、"I am come"は「私はやってきて、今ここにいる」といったニュアンスになる。
It does this simply by dissociating itself from everything.
- simply [símpli] : 「簡単に、単に」
- dissociate [disóuʃièit] : 「引き離す、解離する」
❖ "It does this ~ "「世界は単に〜することで拒絶する」。"by dissociating itself ~ "「自らをすべてから引き離すことによって」拒絶する。この世界の物の存在形態を簡単に述べている。たとえば、この石はあの石と異なる。私とあなたは異なる。このように、この世界の存在は、他の存在から自らを切り離し、個別化、差別化して個として成り立っている。有形のものに限らず、無形の存在も個別化、差別化される。たとえば、私の愛とあなたの愛は異なる。しかし、不二一元のACIMでは、神の世界において、あなたの心と私の心は個別化、差別化されない。私の愛もあなたの愛も、神の愛の中に溶けて究極的に統一される。これが、存在の真の姿だとACIMは教える。それ以外の存在形態は幻想であるとするのである。
It is therefore an illusion of isolation, maintained by fear of the same loneliness that is its illusion.
- illusion [ilúːʒən] : 「錯覚、幻想、幻覚」
- isolation [àisəléiʃən] : 「孤立、分離、隔離、遊離」
- maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、孤独感、寂しさ」
❖ "It is therefore ~ "「したがって、それは分離の幻想である」。"maintained by fear ~ "分詞構文、beingが省略されている、「そして、それは、幻想であるところの同様の孤独への恐れによって維持されている」。この世界の存在は、自己をすべてから乖離させて、個別化差別化して、拒絶の存在形態をとっているのだが、それは分離という幻想だと言っている。私達の一なる心(Mind)は神から分離した後、自らも分裂して無数の心(mind)を生み出した。心の第二の分離と考えていい。しかしそれは、眠りに陥った心が見ている幻想(夢)であるとACIMは言う。神から分離したことで神に罰せられるに違いないという恐れと、散り散りになったことで覚える孤独感に対する恐れが襲いかかる。その恐れがあまりにも大きいために、耐えきれなくなった心は自己を乖離してエゴをでっち上げ、華やかな幻想の世界を心の外部に投影した。心はその幻想世界に逃げ込み、真実から目を背けて急場をしのぐのである。
I said that I am with you always, even unto the end of the world. That is why I am the light of the world.
- always [ɔ́ːlweiz] : 「常にいつでも、相変わらず」
- unto [ʌ́ntu] : 「〜の方へ」
❖ "I said that ~ "「私はthat以下を言った」。"that I am with ~ "「私は、世の終わる時までも、いつもあなたと共にいる」と言った。"That is why ~ "「それが、私が世界の光である理由である」。神聖なスピリットとしてのイエスは、神の子が一人残らず幻想から救われるまでこの世界に止(とど)まり、あなたの側にいる。あなたの側にいるということは、当然あなたの同胞の側にもいる。
If I am with you in the loneliness of the world, the loneliness is gone.
- loneliness [lóunlinəs] : 「孤独、寂しさ」
❖ "If I am with ~ "「もし、私が、孤独の中にいるあなたと共にいるなら、」"the loneliness is ~ "「あなたの孤独は消え去ってしまう」。イエスという光が孤独という闇を払拭するのである。イエスはあなたの孤独を慰めるためにいるのではない。孤独は幻想だと教えるために、あなたの側にいるのだ。
You cannot maintain the illusion of loneliness if you are not alone. My purpose, then, is still to overcome the world.
- maintain [meintéin] : 「〜を保持する、維持する」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、錯覚、幻想」
- alone [əlóun] : 「独りで、唯一の」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
- still [stíl] : 「常に、いつでも、今もなお」
- overcome [òuvərkʌ́m] : 「克服する、乗り越える」
❖ "You cannot maintain ~ "「もし、あなたが独りぼっちでなかったなら、あなたは孤独という幻想を維持し続けることは出来ない」。"My purpose, then ~ "「そこで、私の目的は、今なお、世界を克服することなのである」。世界という幻想に、あなたと共に打ち勝つことがイエスの目的。つまり、すべての神の子がこの世界の幻想性を赦し、世界を消滅させることがイエスの目的である。誤解のないように言うのだが、この世界を終末論的に破滅させることがイエスの目的ではない。ありもしない幻影を消し去ることが目的なのだ。
I do not attack it, but my light must dispel it because of what it is. Light does not attack darkness, but it does shine it away.
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する」
- dispel [dispél] : 「〜を追い払う、払拭する」
- darkness [dɑ́ːrknəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
- shine [ʃáin] : 「〜を磨く、光らせる」
❖ "I do not attack ~ "「私は世界を攻撃はしない」。"but my light must ~ "「しかし、私の光が世界を払拭しなくてはならない」。"because of what it is" この意味は取りにくいのだが、「世界が何たるか、それを利用して」とか、「世界の本質が幻想であるがゆえに」、そんなニュアンスにとらえていいだろう。したがって、"Light does not ~ "「光は闇を攻撃するわけではない」。"but it does shine ~ "「しかし、光は闇を、光り輝いて消し去るだけだ」。イエスの光はこの世界を攻撃するのではなく、闇に過ぎないこの幻想の世界をその光輝で消し去るのである。闇は実体として存在しているわけではない。光のない状態を闇と呼んでいるだけだ。光は実体であり、光がさせば闇は必然的に消滅する。
If my light goes with you everywhere, you shine it away with me.
- go with : 「〜とともに進む、〜と一緒に行く」
❖ "If my light goes ~ "「もし、私の光があなたと共にどこへでも一緒に行くのなら、」"you shine it ~ "「あなたは私と共に、闇を光でかき消す」。
The light becomes ours, and you cannot abide in darkness any more than darkness can abide wherever you go.
- abide [əbáid] : 「とどまる、辛抱する」
- not A any more than B : 「AでないのはBでないのと同じ」
❖ "The light becomes ~ "「光は私たちのものとなり、」"and you cannot ~ "「闇が、あなたの行く所のどこでも居座ることが出来ないように、あなたも、闇の中にとどまることは出来ない」。
The remembrance of me is the remembrance of yourself, and of him Who sent me to you.
- remembrance [rimémbrəns] : 「記憶、思い出」
- sent [sént] : 「send の過去・過去分詞形」
- send [sénd] : 「派遣する、送り出す」
❖ "The remembrance of ~ "「私(イエス)を思い出すことは、あなた自身を思い出すことであり、あなたの下(もと)に私を送った神を思い出すことである」。あなたはイエスと共に歩み、あなたが自身がイエスと同様のキリストとなってこの世界を闇から救うことになる。それがあなたの役割であり、あなたの実存である。なぜなら、それは神が意志したことであって、それを思い出してもらうために、神はイエス(ホーリー・スピリット)をあなたの下に遣わしたのだ。