●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-8.VII.9:1 ~ T-8.VII.10:7

9. In this world, not even the body is perceived as whole. 
  • even [íːvn] : 「〜でさえ、〜ですら」
  • perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "In this world ~ "「この世界においては、肉体でさえ完全なものとして知覚されない」。肉体は永遠不変のものではなく、変化し、朽ちていくものだから、完全(whole)とは言えない。



Its purpose is seen as fragmented into many functions with little or no relationship to each other, so that it appears to be ruled by chaos. 
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
  • fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「機能、作用、働き、役割」
  • relationship [riléiʃnʃìp] : 「関係、結び付き、関わり合い」
  • each other : 「お互いに」
  • so that : 「〜できるように、その結果」
  • appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる」
  • appear to do : 「〜するように見える」
  • rule [rúːl] : 「統治する、支配する」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱、混沌」
❖ "Its purpose is ~ "「肉体の目的は、互いにほとんど関連のない、あるいは全く関連のない多くの機能に細分化されているように見られている」。肉体は分離を象徴して偽創造された幻想に過ぎないので、分離を加速する方向性をもっている。一見、肉体は、肉体レベルから見れば、精密に統合された組織であるかに思われるが、内実は関係性のない諸機能が混在している。"so that it appears ~ "「その結果、肉体は混沌が支配しているように見える」。そして、混沌は崩壊に向かう。つまり、肉体は死に向かう。



Guided by the ego, it is. Guided by the Holy Spirit, it is not. 
  • guide [gáid] : 「〜を導く、〜を指導する」
❖ "Guided by the ego ~ "分詞構文、理由、Beingが省略されている、「エゴに導かれているので、」"it is"「肉体はそうなのだ」。つまり、細分化され、混沌によって支配されているように見える。"Guided by ~ "「ホーリー・スピリットに導かれていれば、そんなことはない」。



It becomes a means by which the part of the mind you tried to separate from spirit can reach beyond its distortions and return to spirit. 
  • become [bikʌ́m] : 「〜になる」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • part [pɑ́ːrt] : 「一部、部分」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、切り離す」
  • spirit [spírət] : 「霊、魂、霊魂、精霊」
  • reach [ríːt∫] : 「〜に届く、に達する、〜に至る」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがめること、歪曲、ひずみ」
❖ "It becomes a ~ "「肉体は、あなたがスピリットから分離しようとする心の一部が、その心のゆがみを越え、スピリットへ帰り着くことを可能にするための手段となる」。神から分離した一なる心(Mind)は、さらに分裂を繰り返し無数の心(mind)になった。その分裂した心は、エゴに唆(そそのか)されて本来の霊性(spirit)を失った。あなたがスピリットから分離しようとする心の部分とは、まさにエゴに支配され霊性を失った心の部分である。しかし、そのスピリットから分離し、あたかも歪んだように見える心、霊性を失ったかに見える心の一部が、肉体を手段として再びスピリットに回帰できるのだと述べられている。いったい肉体の何を利用するのか? 肉体がコミュニケーションの手段になることを思い出そう。肉体は五感を通して、美しいもの、喜ばしいものに反応する。美しい音楽に反応し、美しい絵に反応し、異性の美しさに反応する。また、人は肉体を通して愛することを実感できる。心の喜びに肉体は踊る。それはまさに心の霊性に触れる出来事であって、肉体が真なるもの、美なるもの、悦なるものに反応する時、当然、心もそれに反応し、肉体があたかも心によるコミュニケーションの出入り口になってくれるのだ。もっとも、このようなコミュニケーションが完結すれば、心と神とのコミュニケーションが完成し、もはやそこには肉体によるコミュニケーションは必要なくなり、肉体は意味を失う。しかし、それまでのつなぎの段階では、つまり、心が肉体に反応する段階では、肉体は心の霊性を取り戻すためのコミュニケーションの手段となり得るのである。



The ego's temple thus becomes the temple of the Holy Spirit, where devotion to him replaces devotion to the ego. 
  • temple [témpl] : 「神殿、寺院、殿堂」
  • devotion [divóuʃən] : 「献身的愛情、情熱、専念」
  • replace [ripléis] : 「〜の後を継ぐ、取って代る」
❖ "The ego's temple ~ "「このように、エゴの寺院はホーリー・スピリットの寺院になる」。"where devotion ~ "「そこでは、エゴへの専心はホーリー・スピリットへの専心に取って代わられる」。エゴの寺院とは肉体のこと。肉体がホーリー・スピリットの寺院に変身し、エゴへの関心と専心がホーリー・スピリットへと移行する。



In this sense the body does become a temple to God; his voice abides in it by directing the use to which it is put.
  • sense [séns] : 「意味、意義、感覚」
  • abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
  • direct [dərékt] : 「案内する、命令する」
  • put to use : 「使う、利用する」
❖ "In this sense ~ "「こういう意味で、肉体は神の寺院になる」。"his voice abides ~ "「神の声は、肉体の使い方を指導することで、肉体の内に住む」。神の声とは、ホーリー・スピリットの声のこと。地上的な視点から見れば、心は肉体に宿り、その心にホーリー・スピリットが宿っている。いわば、ホーリー・スピリットは肉体を仮の宿にしているようなものだ。しかも、その仮の宿である肉体を、心を肉体から解放するための手段としてホーリー・スピリットは利用しているわけだ。



10. Healing is the result of using the body solely for communication. 
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末」
  • solely [sóulli] : 「もっぱら、単に」
❖ "Healing is the result ~ "「ヒーリングは、肉体をコミュニケーションのためだけに使用した結果である」。肉体を真実とのふれ合いのためだけに利用するとき、そこにヒーリングという奇跡が生まれる。



Since this is natural it heals by making whole, which is also natural. 
  • natural [nǽtʃərəl] : 「自然の、ありのままの」
  • heal [híːl] : 「癒える、治る」
  • whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "Since this is ~ "「肉体をコミュニケーションのために使うことは自然なことなので、肉体が完全にされることで、それは癒えるのだ」。"which is also ~ "「癒えることもまた、自然なことである」。肉体を、たとえば攻撃のために利用するようでは、肉体は分離と幻想を加速するだけであって、完全とは言えない。肉体を真実に近づくための手段として利用するとき、幻想に過ぎない肉体の実相的存在意味が生み出され、肉体は完全となる。完全とは健康であるということであって、肉体は本来の姿に戻るのである。
 誤解のないように言いたいのだが、病をもった不健康な人達は、その心が不健全だということではない。健全とは光の存在する状態であり、その光が遮られたときに不健全となる。不健全は実在しない単なる影であり、真実の光が差し込めば、必然的に影は消えるのだ。それが、ACIMの唱えるヒーリングである。もしあなたが病に苦しんでいるなら、あなたは光を得るチャンスを与えられていると思えばいい。悲観することはない。悲観は幻想に騙された結果なのだから。



All mind is whole, and the belief that part of it is physical, or not mind, is a fragmented or sick interpretation. 
  • physical [fízikəl] : 「物質の、身体の、肉体の」
  • fragment [frǽgmənt] : 「砕ける、寸断する」
  • fragmented : 「崩壊した、分裂した」
  • sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な」
  • interpretation [intə̀ːrprətéiʃən] : 「解釈、説明、解説」
❖ "All mind is ~ "「すべての心は完全であり、しかも、心の一部は身体的であるとか、心ではないと信じることは、分裂した病的な解釈である」。心は肉体に依存するものではなく、その意味では自己完結した存在である。それにも関わらず、心が肉体に依存し、身体的であるとか、心であって心でないといったような矛盾した考えに捕らわれることは、心の分裂的な、病的な解釈である。



Mind cannot be made physical, but it can be made manifest through the physical if it uses the body to go beyond itself. 
  • manifest [mǽnəfèst] : 「明白な、明らかな」
  • beyond [bijɑ́nd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
❖ "Mind cannot be ~ "「心が、物質的、身体的なものにされることは不可能だ」。"but it can be ~ "「しかし、もし、心が肉体を、それを越えるために使うならば、身体的なものを通して、心は明確にされ得る可能性はある」。心は物質的なものに還元され得るものではない。心は、化学や物理で用いる機械論では解釈できないのだ。では、心は肉体と断絶した存在であるかと問えば、そうではない。肉体をそれを越えるために使うなら、つまり、肉体を身体的に使うのではなく、精神的に使うとき、具体的には、真実とのコミュニケーションの手段として使うとき、心は身体的なものを通してその心の働きを明白に出来る。美しいものを目にしたとき、愛する人を目にしたとき、私達は身体的五感を通して対象物に接し、肉体は対象物とコミュニケーションをとる。その結果として、私達は美に感動し、愛に喜びを覚え、その対象物の抽象的な精神性を心の中に取り入れることが出来る。心の崇高な働きが明白にされるのである。



By reaching out, the mind extends itself. It does not stop at the body, for if it does it is blocked in its purpose. 
  • reach [ríːtʃ] out : 「手を伸ばす、差し出す」
  • extend [iksténd] : 「広げる、拡張する、拡大する」
  • stop at : 「〜の所で止まる、〜に滞在する」
  • block [blɑ́k] : 「封鎖する、遮る、妨害する」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
❖ "By reaching out ~ "「心は手を伸ばし、自らを拡張する」。" It does not ~ "「心は肉体の中にとどまるものではない」。"for if it does ~ "「なぜなら、もし心が肉体にとどまるなら、心はその目的の達成を妨害されることになるからだ」。心は同胞へ拡張し、最終的に神に達する。それは肉体を超越した次元のコミュニケーションであり、もし心が肉体に束縛されているなら、その目的は達成できない。



A mind that has been blocked has allowed itself to be vulnerable to attack, because it has turned against itself.
  • allow [əláu] : 「〜を許す、許可する」
  • vulnerable [vʌ́lnərəbl] : 「弱い、脆弱な」
  • turn against : 「〜に敵対する」
❖ "A mind that has ~ "「ブロックされた心は、攻撃に対する脆弱性を自らに許してしまった」。"because it has ~ "「なぜなら、その心は自らに背を向けたからである」。本来、心は攻撃に対して強靭であるはずだが、その力を信じきれない弱さが心を脆弱にしてしまった。実相的な心は本来傷つき得るものではない。したがって、他者に対して防御することも攻撃することも本来無意味なのだ。しかし、心が防御のために攻撃することを自らに許したなら、傷つき得ないという心の実相的特性を放棄したことになる。ここに、心の脆弱性が生まれる。心は肉体と同様に脆く、弱く、傷つきやすいものになってしまう。いわば、心は弱々しい着ぐるみをまとってしまうのだ。みすぼらしい着ぐるみは脱ぎ捨ててしまうに限る。






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