Chapter 9
The Acceptance of the Atonement
贖罪の受け入れ
I. The Acceptance of Reality
実相の受け入れ
1. Fear of the Will of God is one of the strangest beliefs the human mind has ever made.
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- will [wíl] : 「意志、精神力」
- strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念」
- human [hjúːmən] : 「人の、人間の」
❖ "Fear of the Will ~ "「神の意志への恐れは、人間の心がこれまで作った中で一番奇妙な思い込みの一つである」。旧約聖書の神を見ればわかるように、その神は怒れる神であり、復讐する神、疑う神、裁く神、罰する神である。至上の愛のみを抱く神が、愛とは真逆の驚くほど奇妙な神として描かれている。
It could not possibly have occurred unless the mind were already profoundly split, making it possible for it to be afraid of what it really is.
- possibly [pɑ́səbli] : 「たぶん、あるいは」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り」
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、もう」
- profoundly [prəfáundli] : 「深く、心から」
- split [splít] : 「割れた、分割した、分裂した」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
- be afraid [əfréid] of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- really [ríəli] : 「実際には、本当は」
❖ "It could not ~ "「心がすでに深く分裂し、神の意志が実際は何なのかということを恐れることを可能にしなかったら、神の意志への恐れは起きなかったであろう」。"making it possible for ~"の初めの"it"は仮主語で"to be afraid of ~ "が本主語。次の"for it"の"it"は「心」。"what it really is"の"it"は「神の意志」。少々複雑なのだが、そもそもの原因は心が深く分裂したことにある。その心の分裂の原因は、もちろん、心が神から分離したことである。心は罪の意識を無意識の領域にもつことになる。神の報復と罰を恐れる。つまり、神の本当の意志が何たるかを知る以前に、すでに、神の意志を恐れてしまっているのだ。神の意志が報復と罰であると勝手に決めつけているわけだ。ちょうど、悪さをした子供が、しでかした事態が親に発覚する前に、きっと親に怒られるに違いないと決めつけるようなものだ。
Reality cannot "threaten" anything except illusions, since reality can only uphold truth.
- reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
- threaten [θrétn] : 「〜を脅す、脅迫する」
- except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
- uphold [ʌphóuld] : 「支持する、支える」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
❖ "Reality cannot ~ "「実相は、幻想を除いて、何ものも『脅かす』ことは出来ない」。"since reality can ~ "「なぜなら、実相は真実を保持することしか出来ないのだから」。実相は真実を保持し、幻想を排除する。神の子が神を裏切って神から分離したことは、神の子が抱いた幻想である。その幻想をもって、神が神の子を罰するなどと脅すわけがない。何か悪いことをしでかした夢を見て恐れを抱いている子供を、いったいどこの親が叱るだろう。
The very fact that the Will of God, which is what you are, is perceived as fearful, demonstrates that you are afraid of what you are. It is not, then, the Will of God of which you are afraid, but yours.
- very [véri] : 「まさに、まさしく」
- fact [fǽkt] : 「事実、現実、真実」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く」
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
- demonstrate [démənstrèit] : 「はっきり示す、明らかにする」
❖ "The very fact ~ "「神の意志、それは本当のあなたなのだが、それが恐ろしく知覚されるというまさにその事実は、あなたが本当のあなたを恐れていることを示している」。"what you are"は「あなたが何であるかということ、あなたであるところのもの、本当のあなた、あなた自身であるところのあなた」等々の意味合い。"It is not, then, ~ "「したがって、あなたが恐れているのは神の意志ではなく、あなた自身の意志である」。神は恐ろしい存在なのではなく、あなたが勝手に神は恐ろしい存在だと思い込んでいるだけなのだ。
2. Your will is not the ego's, and that is why the ego is against you. What seems to be the fear of God is really the fear of your own reality.
- against [əgénst] : 「対抗して、〜に反対して」
- seem [síːm] : 「〜のように見える、〜するように思われる」
❖ "Your will is ~ "「あなたの意志はエゴのものではない」。あなたの心はエゴに支配されているとは言え、エゴのものではない。"and that is ~ "「それは、エゴがあなたに逆らっている理由である」。あなたの本当の心はエゴからの解放を求めている。だから、エゴはあなたの本心に逆らうのだ。"What seems to ~ "「神への恐れと見えるものは、実際は、あなた自身の実相への恐れである」。神からの分離後、神の報復と罰を恐れて、心は外部にその分離と恐れを投影(projection)した。そこに幻想(illusion)の世界が偽創造された。その幻想の世界で、分裂した心はあたかも個(individuality)を持ち、肉体(body)を持ち、個別に存在しているかのように知覚(perception)している。しかし、実相(reality)はまったく違う。投影した幻想の世界に住む心は、その心自体の実相を恐れているのだ。なぜ恐れるのか? 真実を知らないからである。神への恐れが、実相の自己を見ることを拒絶させている。したがって、実相の自己を思い出すことがすべての出発点となり、このコースの学習目的の最重要課題の一つとなるわけだ。
It is impossible to learn anything consistently in a state of panic.
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、習う」
- consistently [kənsístəntli] : 「一貫して、常に」
- state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
- in a state of : 「〜の状態で」
- panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "It is impossible ~ "ここは"It ~ to do ~ "の構文、「恐怖を感じる状態で、何かを首尾一貫して学ぶことは不可能である」。本当のあなた自身を知るには、あるいは真実を知るには、知ることを躊躇させている恐れを排除する必要がある。
If the purpose of this course is to help you remember what you are, and if you believe that what you are is fearful, then it must follow that you will not learn this course.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
- course [kɔ́ːrs] : 「コース、課程、講座」
- remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
- follow [fɑ́lou] : 「〜に続く、〜の次に来る」
❖ "If the purpose ~ "「もし、この奇跡のコースの目的が、あなたが本当のあなたを思い出す手助けになることであり、」"and if you believe ~ "「さらに、もし、あなたが、本当のあなたは恐ろしいものだと信じているなら、」"then it must follow ~ "「その時は、あなたはこのコースから何も学ぼうとしていないと結論されるに違いない」。この奇跡のコースをきちんと学べば、本当の自分が恐ろしいなどと思うはずがない。そして、当然の帰結として、神の意志も恐ろしいものではないと分かる。神の辞書には報復という文字も、罰という文字もないのだ。それは神の法に反する概念であるからだ。結局、真実が恐ろしいのではなく、真実を知ることで虚偽がバレるのを恐れているだけだ。
Yet the reason for the course is that you do not know what you are.
- reason [ríːzn] : 「理由、原因、根拠」
- reason for : 「〜の理由」
❖ "Yet the reason ~ "「しかし、このコースを学ぶ理由は、あなたが本当のあなたを知らないからである」。コースを学び始める段階で、本当の自分を知っている必要はない。本当の自分を知ることが、このコースの目的なのであり、コースを終えるときに、本当の自分が分かるようになっていればいい。本当の自分を知るには夢からの目覚めが必要であって、夢からの目覚めは恐ろしくないのだと知る必要がある。第一に取り組むべきは、恐れという幻想の排除である。