●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-9.I.11:1 ~ T-9.I.12:8

11. You do not recognize the enormous waste of energy you expend in denying truth. 
  • recognize [rékəgnàiz] : 「認める、受け入れる」
  • enormous [inɔ́ːrməs] : 「非常に大きい、巨大な」
  • waste [wéist] : 「浪費、無駄、消耗」
  • energy [énərdʒi] : 「活動力、活力、行動力」
  • expend [ikspénd] : 「〜を費やす、消費する」
  • expend in : 「〜に費やす」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • truth [trúːθ] : 「現実、真相、真理」
❖ "You do not ~ "「あなたが真実を否定するために使っている莫大なエネルギーの浪費を、あなたは認識していない」。



What would you say of someone who persists in attempting the impossible, believing that to achieve it is to succeed? 
  • of : 「〜について、〜に関して」
  • persist [pərsíst] : 「しつこく主張する、言い張る」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、あり得ない」
  • achieve [ətʃíːv] : 「成し遂げる、達成する」
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
❖ "What would you ~ "「不可能なことを試みようと執着している人に、あなたは何と言えるだろう」。"believing that to ~ "「その人は、不可能なことを成就することが成功することだと信じているに」。"the impossible"は"the + (形容詞)"の形で、「〜なもの、〜な人」の意。たとえば、幸せはお金で買えると信じている人に向かってあなたは何と言うだろうか。その人は、あり余るお金を儲けることがこの世の成功だと信じているのに。



The belief that you must have the impossible in order to be happy is totally at variance with the principle of creation. 
  • in order to: 「〜するために」
  • totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に」
  • variance [véəriəns] : 「矛盾、相違、不一致、変化」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、法則」
❖ "The belief that ~ "「あなたが幸せになるために不可能なものを手に入れなくてはならないと信じることは、創造の原理と完全に矛盾する」。形のあるもの(幻想)によって形のないもの(実相)を手に入れることは原理的に不可能だ。幸せ(実相)を、たとえば物やお金や社会的地位(幻想)で手に入れることは不可能だ。創造の原理と書かれているが、真実を拡張することが創造であり、たとえば、愛を拡張すること、喜びを分かち合うこと、それが創造であって、それが幸せをもたらす、という意味合い。



God could not will that happiness depended on what you could never have. 
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
  • depend [dipénd] : 「〜に依存する、〜次第である」
  • depend on : 「〜によって決まる、〜次第である」
❖ "God could not ~ "「神は、幸せはあなたが持ち得ないものを持つことに依存すると意図するはずがない」。幸せになりたいなら、手に入れることが原理的に不可能な物を手にれなければならないと、神が命ずるわけがない。本当の神は私達に無理難題を突きつけることはしない。
 余談になるが、無理難題を執拗に私達に科すのは旧約聖書の神である。ACIMの神は旧約聖書の神とは似ても似つかない。グノーシスを学べば面白いことに出会うのだが、グノーシスでは旧約聖書の神(創造神)をデミウルゴスと呼んで、低劣な神と位置づけている。プラトン思想の影響と思える。この時期は、東洋思想とギリシャ思想が東西から流れ込んで来ており、形骸化したユダヤ思想はその影響を受けていた。イエスが生きていた時代は、いわば、ギリシャ思想や東洋思想の新思想と伝統的ユダヤ思想の葛藤の時代であった。



The fact that God is Love does not require belief, but it does require acceptance. 
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める」
  • acceptance [əkséptəns] : 「承諾、承認、容認」
❖ "The fact that ~ "「神は愛であるという事実は、それを信じることを求めてはいない」。"but it does require ~ "「それを受け入れることを求めているのだ」。なぜなら、神が愛であるということは事実であって、信じるか信じないかというレベルの話ではない。事実は、それを受け入れるか受け入れないか、そのどちらかを要求する。



It is indeed possible for you to deny facts, although it is impossible for you to change them. 
  • indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに」
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • although [ɔːlðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが」
❖ "It is indeed ~ "ここは"It ~ to do ~"の構文、「あなたにとって、事実を否定することは、確かに可能である」。"although it is ~ "「しかし、事実を変えることは、あなたにとっては不可能だ」。エゴは真実(神)を否定しているが、真実を変えることはエゴには出来ない。



If you hold your hands over your eyes, you will not see because you are interfering with the laws of seeing. 
  • hold [hóuld] : 「維持する、保持する」
  • interfere [ìntərfíər] : 「邪魔をする、干渉する」
  • interfere with : 「〜を妨げる、〜に干渉する」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律」
❖ "If you hold ~ "「もし、あなたが目隠しをしたら、あなたは見えなくなるだろう」。"because you are ~ "「なぜなら、あなたは見る法則に干渉したからだ」。真実に対して目を閉じることは可能だ。しかし、目を閉じたからといって、真実が変わることも消滅することもない。真実に対して目を閉じるという行為は、真実を知って本当の幸せになるという神の法に反した行為だ。



If you deny love, you will not know it because your cooperation is the law of its being. 
  • cooperation [kouὰpəréiʃən] : 「協力、協調、連携」
❖ "If you deny love ~ "「もし、あなたが愛を否定したなら、」"you will not ~ "「あなたは愛を知ることがないだろう」。"because your ~ "「なぜなら、あなたの協力が、愛の存在のための法則なのだから」。愛が存在するにはあなたの協力が必要だ、ということ。神が神の子であるあなたを愛し、幸せになってほしいと望んでいることは事実だ。しかし、それが成就されるには、あなたが神の愛を受け入れることが必要であり、本当の幸せとは何なのか、あなたがその真実を知る必要がある。神の法は、神の子であるあなたなしでは成就しない。



You cannot change laws you did not make, and the laws of happiness were created for you, not by you.
  • change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、作り出す」
❖ "You cannot change ~ "「あなたが作ったものではない法則を、あなたは変えることは出来ない」。神が創造した愛の法則をあなたは変えることは出来ない。"and the laws of ~ "「そして、愛の法則はあなたのために創造されたのであって、あなたが作ったのではない」。



12. Any attempt to deny what is must be fearful, and if the attempt is strong it will induce panic. 
  • attempt [ətémpt] : 「試み、企て」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、恐怖の」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
❖ "Any attempt to ~ "「存在するものを否定する試みはどんなものであれ、恐ろしいことに違いない」。ここの"what is"は「そこにあるもの、存在するもの、ありのままにあるもの」そんなニュアンス。実相的な真実はすぐ目の前にあるのに、わざわざ目隠しをして、そんなものはないと主張するのだ。目隠しをするので、そこに恐れが生じる。"and if the attempt ~ "「そして、試みが強引であれば、それはパニックを引き起こす」。恐れを通り越して、パニックを引き起こす。



Willing against reality, though impossible, can be made into a very persistent goal even though you do not want it. 
  • willing : 「意思すること」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実相」
  • persistent [pərsístənt] : 「いつまでも続く、しつこい」
  • goal [góul] : 「目標、目的」
  • even though : 「〜であるけれども」
❖ "Willing against ~ "「実相に対抗して意志することは、不可能なことではあるが、たとえあなたが望まないのにしても、非常に執拗な目的にされる可能性がある」。実相に逆らって意志することは叶えられないのだが、叶えられないからこそ、いつまでも執拗にそれを追求してしまう。たとえば、永遠の肉体を持ちたいと意志したところで、幻想の肉体が永遠性(実相性)をもてるわけがないのに、執拗に永遠の肉体を追求してしまう。ありもしないものに対する一種の依存症(addiction)、取り憑き(possession)である。永遠の若さを保ちたい、お金で幸福を買いたい、社会的地位を確保して尊敬されたい、人を支配して偉くなりたい、すべてレベル・コンフュージョンに起因する執拗な目的である。たとえあなたがそれを望まなくても、羨む気持ちがあれば同一だ。また、夢の中で踊り狂う連中を見て、哀れんでも甲斐はない。彼らは、鏡に映ったあなた自身である。



But consider the result of this strange decision. You are devoting your mind to what you do not want. 
  • consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜を考慮する」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、効果、成果」
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • devote [divóut] : 「〜をささげる、充てる」
  • devote A to B : 「AをBに充てる、ささげる」
❖ "But consider the ~ "「しかし、こんな奇妙な決定の結果をよく考えてみなさい」。奇妙な決定とは、望んでもいないことやありもしないことを執拗に追い求める決定。"You are devoting ~ "「あなたは、あなたが望んでもいないことにあなたの心をささげているのだ」。心を犠牲にしている。あるいは心のパワーを空回りさせている。



How real can this devotion be? If you do not want it, it was never created. 
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の」
  • devotion [divóuʃən] : 「情熱、没頭、専念」
❖ "How real can ~ "「この情熱的な入れ込み方は、いったいどれほど現実的であるか」。望んでもいないことに情熱をもって心をささげたところで、それが現実化されることはない、ということ。"If you do not ~ "「もし、あなたがそれを望まないのなら、」"it was never ~ "「それは決して創造されなかったのだ」。あなたは幸せになりたいと望む。ここまでは良い。しかし、あなたは幸せになるには、お金や物や社会的な地位、名声が必要だと思い、それを熱望する。では、その望みが叶ってあり余るお金を手に入れたとしよう。さて、あなたは本当に幸せを現実化できたのだろうか? 本当に望んでいること(幸せ)を得るために、その方向を誤って本当は望んでいないこと(お金)を得たとしても、本当に望んでいたこと(幸せ)は創造されないのだ。簡単に言うなら、幻想レベルで何かを望んだところで、実相的なレベルでそれが実現することはない、ということ。実相レベルで望むことだけが、本当に現実化し創造される。



If it were never created, it is nothing. Can you really devote yourself to nothing?
  • nothing [nʌ́θiŋ] : 「無、何もないこと」
❖ "If it were never ~ "「もし、決して創造されなかったなら、それは無である」。"Can you really ~ "「いったい、あなたは、無に対して自分自身を本当にささげることが出来るだろうか」。お金や物や社会的な地位や名声を手に入れたのに幸せになれないなら、お金や物や社会的な地位や名声は無に等しい。あなたは幸せになりたいと実相的なレベルで望みながら、それを幻想レベルに求めた結果、それは無に対して自分を投資したことになるのだ。夢の中で自分の望みに対してどんなにあがき、自己をささげても、目覚めたあなたの目の前に、その望みが現実のものとして現れることはない。






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