●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-9.I.7:1 ~ T-9.I.8:9

7. You may insist that the Holy Spirit does not answer you, but it might be wiser to consider the kind of questioner you are. 
  • insist [insíst] : 「強く主張する、しつこく断言する」
  • answer [ǽnsər] : 「〜に答える、答えて言う」
  • wise [wáiz] : 「賢い、賢明な」
  • consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜と認める」
  • questioner : 「質問者、尋問者」
  • kind [káind] : 「種類、質、性質」
❖ "You may insist ~ "「あなたは、ホーリー・スピリットはあなたに答えてくれないと強く主張するかもしれないが、」"but it might ~ "「あなたはいったいどんな種類の質問者なのか、考えてみる方がより賢明かもしれない」。あなたがホーリー・スピリットに何を頼み、何を手に入れようとしているのか、それをじっくり考えてみよ、ということ。棚からぼた餅が落ちて来てほしいと頼んでみても、ホーリー・スピリットがそれに応えてくれるわけがない。



You do not ask only for what you want. This is because you are afraid you might receive it, and you would. 
  • ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "You do not ask ~ "「あなたは、あなたの欲しいものだけを要求してはいない」。あなたは本当に欲しいものを要求していない。実相的に正しいもの、真実なものを欲していない。"This is because ~ "「これは、あなたが、本当に欲するものを受け取るかもしれないし、確かに受け取ることになるだろうと恐れているためだ」。ここの"and you would"は"and you would receive it"のこと。たとえば、あなたがホーリー・スピリットに宝くじに当たるように頼んだとしよう。しかし、ホーリー・スピリットはそれに応えてくれない(the Holy Spirit does not answer you)。なぜなら、あなたは本当に欲しいものをホーリー・スピリットに頼んでいないからだ(You do not ask only for what you want)。宝くじに当たりたいと望むことは、お金を手に入れて喜びを感じたいということ。結局、本当は喜びと心の平和を望んでいるのだ。その、本当に手に入れたいものをホーリー・スピリットに頼めば、ホーリー・スピリットは喜びも心の平和も与えてくれるだろう(and you would)。しかし、あなたはそれを恐れている(you are afraid you might receive it)。なぜなら、喜びと平和を与えられることで、何かを奪われるに違いないと思っているからだ。しかし、本当は、ホーリー・スピリットは喜びと平和を与えるのではなく、あなたが既にそれを持っているという真実を教える。あなたは真実を恐れる。真実が虚偽を曝くことを恐れる。なぜなら、あなたは、エゴの思考システムで物事を考えているからだ。



That is why you persist in asking the teacher who could not possibly give you what you want. 
  • persist [pərsíst] : 「しつこく主張する、言い張る」
  • persist in : 「〜に固執する」
  • possibly [pɑ́səbli] : 「たぶん、もしかすると」
❖ "That is why ~ "「それは、あなたが、あなたの欲しいものをあなたに与えることが多分出来ない教師に、執拗に頼んでいる理由である」。喜びや心の平和を、それを叶える可能性のないエゴに頼んでみたところで、まったくの無駄である。本当に欲しいものをホーリー・スピリットに頼めば必ず与えてくれることを知っていても、そのために何かを奪われるのが怖くてホーリー・スピリットに頼めないでいる。そこで、欲しいものを与えてくれそうにもないエゴに何度も何度も頼む。エゴは与えることが出来ないので、あなたは何かを奪われることを心配することなく、エゴと共存できる。まさに、エゴの思考システムで考える生き方だ。



Of him you can never learn what it is, and this gives you the illusion of safety. 
  • learn [lə́ːrn] : 「 〜を学ぶ、習う」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • safety [séifti] : 「安全、無事、無難」
❖ "Of him you can ~ "「エゴからは、あなたは決してそれが何であるか学ぶことは出来ない」。" and this gives ~ "「そして、このことが、あなたに幻想の安全性を与えている」。あなたは本当は何を欲しているか、何が本当は必要なのか、エゴは決してあなたに教えることは出来ない。なぜなら、エゴ自身も知らないからだ。しかし、ホーリー・スピリットを無視して、エゴに要求を繰り返し突きつけることで、要求が叶えられない代わりに何も奪われないので、あなたはエゴとの付き合いに安全性を感じてしまう。しかし、その安全性は幻想に過ぎない。



Yet you cannot be safe from truth, but only in truth. Reality is the only safety. 
  • safe [séif] : 「安全な、無事な」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真理」
  • reality [riǽləti] : 「現実、実在、現実のこと」
❖ "Yet you cannot ~ "「しかし、あなたは真実から離れて安全でいることは出来ない」。"but only in ~ "「真実の中にいるときだけ安全なのだ」。"Reality is ~ "「実相は、唯一安全である」。実相、つまり、幻想の世界ではなく神の住む実相世界であるからこそ、そこは安全であり、それ以上に安全な場所はない。



Your will is your salvation because it is the same as God's. The separation is nothing more than the belief that it is different.
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
  • be the same as : 「〜と同じである、〜も同然である」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、離脱」
  • nothing more than : 「〜にすぎない、〜でしかない」
  • different [dífərənt] : 「相違する、異なる」
❖ "Your will is ~ "「あなたの意志はあなたの救いである」。"because it is ~ "「なぜなら、あなたの意志は神の意志と同じだからだ」。"The separation is ~ "「分離とは、あなたの意志と神の意志が異なると信じる、その信念に過ぎない」。神から心が分離し、深い眠りの中で幻想の世界を外部に投影して、エゴの思考システムで生きている私達だが、その眠りから目覚めようとする意志こそが、この幻想の世界から脱出できる救いの鍵となる。心を一つにして、神の元に回帰しようとする意志こそが、命の復活という救いになる。その意志は、私達の心の中で眠り続けており、それが目覚めたとき、その意志は、本当は神の意志と同じであったと気付く。



8. No right mind can believe that its will is stronger than God's. 
  • right [ráit] : 「正しい、正当な」
❖ "No right mind ~ "「正しい心が、その心の意志が神の意志より強いと信じる可能性はない」。エゴの意志が神の意志より強いと思うなら、それは正しい心が考えていることではない。



If, then, a mind believes that its will is different from his, it can only decide either that there is no God or that God's Will is fearful. 
  • different from : 「〜と異なる、〜と違う」
  • decide [disáid] : 「〜だと確信する、きっと〜だと思う」
  • either [íːðər] A or B : 「AかそれともB」
  • fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
❖ "If, then, a mind ~ "「では、もし心が、その意志が神の意志と違っていると信じているならば、」"it can only ~ "「心は、神が存在しないか、神の意志は恐ろしいか、どちらかを確信できるだけだ」。どちらも誤っており、あなたの意志は神の意志と同じである。エゴの意志を信奉する心は、恐ろしい神をでっち上げたり、神は存在しないはずだと宣言したりする。



The former accounts for the atheist and the latter for the martyr, who believes that God demands sacrifices. 
  • the former [fɔ́ːrmər] : 「前者」
  • account [əkáunt] : 「説明する、〜を…と見なす」
  • account for : 「〜の主な原因となる、〜を説明する」
  • atheist [éiθiist] : 「無神論者、不信心者」
  • the latter [lǽtər] : 「後者」
  • martyr [mɑ́ːrtər] : 「殉教者、犠牲者」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
❖ "The former accounts ~ "「前者は無神論者を生み出す原因となり」"and the latter ~ "「後者は殉教者を生み出す原因となる」。"who believes that ~ "「その殉教者は、神は犠牲を要求していると信じている」。もちろん、どちらも正しいことではない。とりわけ、神は殉教者になることを求めてはいない。伝統的キリスト教の価値観を否定する部分である。



Either of these insane decisions will induce panic, because the atheist believes he is alone, and the martyr believes that God is crucifying him. 
  • either : 「どちらの〜も」
  • insane [inséin] : 「正気でない、狂った」
  • decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心」
  • induce [indjúːs] : 「〜を生じさせる、引き起こす」
  • panic [pǽnik] : 「恐慌、恐怖、パニック」
  • alone [əlóun] : 「独りで、ただ〜だけで」
  • crucify [krúːsifài] : 「〜を十字架にかける、磔刑に処す」
❖ "Either of these ~ "「正気とは思えないどちらの決定も、パニックを引き起こす」。"because the atheist ~ "「なぜなら、無神論者は彼がたった一人だと信じているし、」"and the martyr ~ "「また、殉教者は神が彼を磔刑に処すと信じているからだ」。どちらも、心の平和、喜びから遠い距離にある。すなわち真実からほど遠い所に自らを置いている。



Yet no one really wants either abandonment or retaliation, even though many may seek both. 
  • abandonment [əbǽndənmənt] : 「見捨てること、放棄」
  • retaliation [ritæ̀liéiʃən] : 「仕返し、報復」
  • even though : 「〜であるけれども」
  • seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す」
  • both [bóuθ] : 「両方、双方」
❖ "Yet no one ~ "「しかし、誰一人、本当は見捨てられることも報復されることも望んではいない」。"even though ~ "「たとえ、多くの者が両方を探し求めているかもしれないが」。ここの"both"であるが"abandonment"と"retaliation"であるととると意味が不鮮明になってしまう。"atheist"と"martyr"の二つである。つまり、多くの人たちが無神論者や殉教者になろうとしているが、しかし、誰も神から見捨てられることも、神から報復を受けることも望んではいない。実際、神自身、見捨てることも報復することもない。



Can you ask the Holy Spirit for "gifts" such as these, and actually expect to receive them? He cannot give you something you do not want. 
  • actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実のところ」
  • expect [ikspékt] : 「楽しみにする、要求する」
  • receive [risíːv] : 「〜を受ける、受け取る」
❖ "Can you ask ~ "「あなたは、このような『贈り物』をホーリー・スピリットに要求し、しかも実際にそれを受け取ることを期待できるであろうか」。神から見捨てられることと神から報復を受けることを贈り物に例えている。"He cannot give you ~ "「ホーリー・スピリットは、あなたが望まないものをあなたに与えることは出来ないのだ」。



When you ask the Universal Giver for what you do not want, you are asking for what cannot be given because it was never created. It was never created, because it was never your will for you.
  • universal [jùːnəvə́ːrsl] : 「普遍的な、一般的な」
  • giver [gívər] : 「与える人」
  • create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を創る」
❖ "When you ask ~ "「あなたが普遍的な与え手に、あなたの望まないものを要求したとき、」"you are asking ~ "「あなたは与えられ得ないものを頼んでいることになる」。"because it was ~ "「なぜなら、それは決して創造されたことはないのだから」。"It was never created ~ "「それは決して創造されたことはなかった」。" because it was ~ "「なぜなら、それは決して、あなたのためのあなたの意志ではなかったからだ」。ここで初めて、"the Universal Giver"という言葉が出てきた。「普遍的与え手」と訳すと奇異な響きがするので、そのまま「ユニバーサル・ギヴァー」としておいた方がいいかもしれない。誰にでも、何でも与えてくれる存在、すなわち創造主、神のことなのだが、あなたが本当に望んでいるものでなければ与えてくれない。望んでいないものを要求しても、神は創造すらしてくれない。神は既に真実のすべてを創造し終わっている。その中に、神の子を捨てることや報復することは含まれていない。真実ではないからだ。神は真実以外を意志しない。






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