II. The Answer to Prayer
祈りへの答え
1. Everyone who ever tried to use prayer to ask for something has experienced what appears to be failure.
- prayer [préər] : 「祈り、祈りの言葉」
- ask for : 「 〜を求める、〜を要求する」
- experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
- appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜らしい」
- appear to be : 「〜であるように見える」
- failure [féiljər] : 「失敗、不成功」
❖ "Everyone who ~ "「何かを求めるために、祈りを利用しようと努力してみた人は誰でも、それが失敗してしまったかのように思える経験をしたことがあるだろう」。残念ながら、この世のレベルでの祈りはほとんど叶うことはない。
This is not only true in connection with specific things that might be harmful, but also in connection with requests that are strictly in line with this course.
- not only A but also B : 「AだけでなくBも、AのみならずBも」
- connection [kənékʃən] : 「つなぐこと、つながり」
- in connection with : 「〜に関連して」
- specific [spəsífik] : 「具体的な、詳しい、特定の」
- harmful [hɑ́ːrmfl] : 「有害な、害を及ぼす、害になる」
- request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
- strictly [stríktli] : 「厳重に、正確に、完全に」
- in line with : 「〜と一致して」
❖ "This is not ~ "「このことは、害を与えるかもしれない具体的なことに関係したときにそうでばかりでなく、」"but also in ~ "「この奇跡のコースに厳密にそった要求をしたときもそうだ」。奇跡のコースにそった要求や望みさえ、叶えられないときがある。ACIM学習者にとって、これが一番つらい。Judy Allenが書いた『Healing and A Course in Miracles』という短い手記を思い出す。奇跡のコースに裏切られたという思いの彼女が内奥の声に耳を傾け、最後の最後に奇跡のコースに救われる。3度も転移した癌が一夜にして消滅する。是非、読んでもらいたい。
The latter in particular might be incorrectly interpreted as "proof" that the course does not mean what it says.
- latter [lǽtər] : 「後者の、あとの」
- in particular : 「特に、とりわけ」
- incorrectly [ìnkəréktli] : 「間違って、不適切に」
- interpret [intə́ːrprət] : 「解釈する、説明する」
- proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明」
❖ "The latter in ~ "「特に後者は、このコースは言っていることを(正しく)意味していないという『証拠』だと、不適切に解釈されるかもしれない」。コースに書いてあることを願っても叶えられないのは、コースが嘘をついてるからだと思われる危険性はある。実際、多くのACIM学習者はこのコースを離れて行く。
You must remember, however, that the course states, and repeatedly, that its purpose is the escape from fear.
- remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
- state [stéit] : 「述べる、はっきり言う」
- repeatedly [ripíːtidli] : 「繰り返して、たびたび」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、意向」
- escape [iskéip] : 「逃亡、脱出、逃避、回避」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "You must remember ~ "「しかしあなたは、奇跡のコースが再三にわたり、その目的は恐れからの脱出であると述べていることを思い出さなくてはならない」。このことに関して発言できる立場ではないが、あえて私見を言わせてもらえば、恐れと疑いをもたない正当な(真実の)思いは叶えられる。しかし、問題はタイムラグである。思いが瞬時に叶うわけではなく、一週間後、一ヶ月後、あるは一年後、十年後というように、なぜか時間のズレがつきまとう。あたかもホーリー・スピリットがタイミングの見極めを行っているかのように感じる。この見極めは私達の仕事ではなく、判断はすべてホーリー・スピリットに任せてしまうべきだろう。ACIMの絶対他力である。
2. Let us suppose, then, that what you ask of the Holy Spirit is what you really want, but you are still afraid of it.
- suppose [səpóuz] : 「思う、仮定する、〜と想像する」
- ask of : 「〜に要求する」
- be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "Let us suppose ~ "「そこで、あなたがホーリー・スピリットに要求することが本当にあなたが望むものであって、しかし、まだあなたはそれを恐れていると仮定してみよう」。恐れを抱きながら望むのだから、その望みには虚偽が含まれている可能性がある。
Should this be the case, your attainment of it would no longer be what you want.
- attainment [ətéinmənt] : 「獲得、到達、実現」
- no longer : 「もはや〜でない」
❖ "Should this be ~ " ここは"If this should be the case ~ "のこと、「こういう場合であったら、あなたがそれを獲得することは、もはやあなたが望むものではない」。ホーリー・スピリットに要求はしたものの、心に恐れがくすぶっていたら、その望みを叶えることは真実ではない。恐れからの脱出がACIMの主要テーマなのだから、ホーリー・スピリットは恐れを温存する要求には応えない。
This is why certain specific forms of healing are not achieved, even when the state of healing is.
- certain [sə́ːrtn] : 「特定の、ある種の」
- specific [spəsífik] : 「特定の、具体的な」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
- achieve [ətʃíːv] : 「獲得する、得る、成就する」
- state [stéit] : 「状態、情勢、状況」
❖ "This is why ~ "「これは、ある種の特定な形のヒーリングがなされない理由である」。"even when ~ "「たとえ、ヒーリングできる状態が整ったとしても」。ヒーリングの条件がそろっても、ヒーリングされない時がある。心に恐れが生じる可能性のあるときであろう。先に紹介したJudy Allenの場合もこれに当たる。神の意志への恐れである。あるいは、命と死に関する真実への恐れである。
An individual may ask for physical healing because he is fearful of bodily harm.
- individual [ìndəvídʒuəl] : 「個人、特定の人」
- physical [fízikəl] : 「身体の、肉体の、物質の」
- bodily [bɑ́dəli] : 「身体上の、肉体の」
- harm [hɑ́ːrm] : 「害、損害、危害、悪意、被害」
❖ "An individual may ~ "「ある人は、肉体的な害を恐れて、肉体的なヒーリングを要求するかもしれない」。病や死への恐れから、ヒーリングを求めるかもしれない。
At the same time, if he were healed physically, the threat to his thought system might be considerably more fearful to him than its physical expression.
- at the same time : 「同時に、一緒に、加えて」
- physically [fízikəli] : 「肉体的に、身体的に」
- threat [θrét] : 「脅迫、脅し」
- considerably [kənsídərəbli] : 「かなり、相当に」
- expression [ikspréʃən] : 「表出、表現、発現」
❖ "At the same ~ "「もし彼が肉体的にヒーリングされたなら、同時に、彼の思考システムに対する脅威は、肉体的に表れるよりもかなり強く、彼にとって恐ろしいものになるかもしれない」。一時的に肉体的なヒーリングがうまくいったとしても、心の恐れ自体が消滅したわけではないから、恐れを生み出している思考システムが再び病という形で攻撃されるかもしれないという脅威(恐れ)は増加してしまう。それは、肉体的に表れる恐れよりもずっと大きな恐れかもしれない。
In this case he is not really asking for release from fear, but for the removal of a symptom that he himself selected. This request is, therefore, not for healing at all.
- in this case : 「この場合は、もしそうなら」
- release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと」
- removal [rimúːvl] : 「除去、取り除くこと」
- symptom [símptəm] : 「症状、症候、兆候」
- select [səlékt] : 「〜を選ぶ、選び出す」
- request [rikwést] : 「頼むこと、依頼、要求」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない」
❖ "In this case ~ "「この場合、彼は恐れからの解放を本当に要求したのではなく、」"but for the removal ~ "「彼自身が選択した症状を取り除いてほしいと要求したことになる」。以前に紹介した『腰痛は怒りである』というサーノ博士の言葉を思い出そう。怒りと腰痛の2つのうち、腰痛という症状(symptom)だけを選択して(selected)ヒーリングを望んだとしたら、怒り(anger)と恐れ(fear)からの解放(release)を要求したことにはならない(not really asking for)。"This request is ~ "「したがって、この要求は、まったくヒーリングを求めたものとは言えない」。腰痛を治したいなら、まず第一に、無意識領域に潜む怒りと恐れからの解放を願わなくてはならない。その解放がヒーリングであって、結果として腰痛が消える。
怒りや恐れは断じて神の意志ではない。神は、怒りや恐れという幻想を捨てよと言う。それが神の意志だ。その意志を自分の意志とするこなく、形として現れた幻想だけに関心を向けても、真実は何も実現しないのだ。