7. Let us forget the purpose of the world the past has given it.
- forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、見落とす」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- past [pǽst] : 「過去、昔」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "Let us forget ~ "「過去が世界に与えた、世界の目的を忘れようではないか」。遠い昔、神の子が神から分離した後、その罪の意識と神からの罰の恐れに耐えかねて、神の子は自己を乖離し、まったく別人格の、エゴを主体にした自分を作り出した。そして、心の外部に、神との分離を象徴する世界を投射して、この幻想世界を偽創造し、その世界にエゴの自己を住まわせたのだ。したがって、本文の、過去が与えた世界の目的とは、神との分離を維持することであり、実相への回帰を拒否して幻想に留まることである。そんな、狂気じみた目的など忘れてしまえ、というわけである。
For otherwise, the future will be like the past, and but a series of depressing dreams, in which all idols fail you, one by one, and you see death and disappointment everywhere.
- otherwise [ʌ́ðərwàiz] : 「さもなければ、そうしないと」
- future [fjúːtʃər] : 「未来、将来、今後、先行き」
- like [láik] : 「〜に似た、〜のような、〜のように」
- a series [síəriːz] of : 「一連の〜、ひと続きの〜」
- depressing [diprésiŋ] : 「元気を失わせる、憂鬱な、意気消沈させる」
- idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
- fail [féil] : 「裏切る、〜を失望させる、〜の役に立たない」
- one by one : 「一つずつ、一人ずつ」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- disappointment [dìsəpɔ́intmənt] : 「失望、失意、落胆」
- everywhere [évrihwèər] : 「どこでも、どこにも」
❖ "For otherwise, the future ~ "「なぜなら、さもなければ、未来は過去と似たものとなり、一連の憂鬱な夢になってしまうからだ」。"in which all idols ~ "「その憂鬱な夢の中では、あらゆる偶像が、一つまた一つと、あなたを失望させ、」"and you see death ~ "「あなたは、あらゆる場所に、死と失望を見ることになるからだ」。あなたが価値を置いた、この世界の幻想が、あなたの崇拝する偶像である。あなたは、その偶像を崇拝することで、幸せや富を得ることが出来ると考えたわけだが、すべての偶像は次々にあなたを裏切り、絶望へと追いやってしまうのだ。あなたが、今、過去が世界に与えた目的を放棄しない限り、過去がそうであったように、あなたの未来もそうなるのである。
8. To change all this, and open up a road of hope and of release in what appeared to be an endless circle of despair, you need but to decide you do not know the purpose of the world.
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- open up : 「開ける、切り開する、開く、開通させる」
- road [róud] : 「道、主要道路、道路」
- hope [hóup] : 「希望、望み」
- release [rilíːs] : 「解放、解き放すこと、解除、免除」
- appear [əpíər] : 「〜のように見える、〜と思われる、〜らしい」
- endless [éndləs] : 「終わりのない、永遠の、絶え間のない」
- circle [sə́ːrkl] : 「円、円周、軌道、循環」
- despair [dispέər] : 「絶望、失望、落胆」
- decide [disáid] : 「〜を決める、〜を決心する、〜だと確信する、きっと〜だと思う」
❖ "To change all this ~ "「このすべてを変えるために、」"and open up ~ "「そして、終わりのない絶望の輪のように見えるものから解放される希望の道を開くために、」"you need but to decide ~ "「あなたは、この世界の目的など知らないのだと決意する必要がある」。"an endless circle of despair"「終わりのない絶望の輪」とは、この幻想世界で生きていく様(さま)、そのものである。深読みするなら、輪廻転生して、再びこの幻想世界に生まれ出ても、絶望の輪は延々と続くのだ。ある時点で、勇気をもって終わりのない絶望の輪を立ち切らねばならない。それが、解放への道であり、つまり輪廻の輪を切る道であり、ある時点とは、今である。今しかないのだ。そのためにも、世界の目的を忘れなくてはならない。つまり、分離を維持する幻想を幻想として認識し、受け入れ受け流し、赦して消滅させねばならないのである。
You give it goals it does not have, and thus do you decide what it is for.
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
❖ "You give it goals ~ "「あなたは、世界がもっていない目的を、世界に与えている」。"and thus do you ~ "「こうして、あなたは、世界が目指すべきものを決定しているのだ」。幻想世界は、文字通り幻想であり、幻想する主体の意のままに変えられる。あなたが目にするこの世界は、あなたがそう幻想しているからであり、いわば、あなたが世界の目的を決定しているのである。分離によって生み出される苦と痛みは、あなたが無意識のうちに世界に望んだものなのだ。苦と痛みは、世界があなたに与えたものではなく、あなたが世界に苦と痛みを与えたのである。
You try to see in it a place of idols found outside yourself, with power to make complete what is within by splitting what you are between the two.
- try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる
- place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
- found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
- outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、完全な、全くの」
- within [wiðín] : 「内部で、内側は、心の中に」
- split [splít] : 「裂く、割る、引き裂く、分ける」
- between [bitwíːn] : 「〜の間に」
❖ "You try to see ~ "「あなたは世界の中に、あなた自身の外で見つかる偶像の居場所を見つけようとしている」。あなたは、あなたの心の内ではなく、心の外に、望みを叶えてくれそうな偶像を求めている。偶像の居場所を心の外に探しているのだ。"with power to make ~ "「そんなあなたは、あなたであるところのものを二つに引き裂くことで、内なるものを完全なものにするパワーをもっているのだ」。ここは、あなたは、あなたの心の中に住む本当の自分を実相的に完全なものにするパワーをもっているのだが、自分自身を内を外に引き裂いて、外ばかりに目を向けている、といった意味合い。
You choose your dreams, for they are what you wish, perceived as if it had been given you.
- choose [tʃúːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
- wish [wíʃ] : 「望む、願う」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する、〜を把握する」
- as if : 「あたかも〜かのように、まるで〜であるかのように」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "You choose your ~ "「あなたは、あなたの夢を選択している」。あなたは見たいと思う夢を見ているのだ。"for they are what ~ "「なぜなら、夢とは、あなたが望むものであり、あたかも、夢があなたに与えられているかのように知覚されているだけだ」。夢は、あなたの願いや意思とは無関係に、あなたに無理やり与えられているように感じるだろうが、本当はそうではなく、あなたの無意識が望むとおりに、夢はあなたの目の前に展開するのである。幻想は与えられるものではなく、あなたの無意識が作り出しているのだ。
Your idols do what you would have them do, and have the power you ascribe to them.
- have : 「〜に〜させる」
- ascribe [əskráib] : 「帰する、属するものとみなす」
- ascribe A to B : 「AをBに帰す、AをBのせいにする、AをBのものだとする」
❖ "Your idols do what ~ "「あなたの偶像は、あなたが偶像にさせたいと思うことをやっている」。"and have the ~ "「そして、偶像は、あなたが偶像のものだと思っているパワーをもっているのだ」。偶像もまた、幻想であるから、あなたが望む通りの偶像を、あなたは幻想しているのである。そして、偶像のもつパワーも、あなたが偶像に与えた幻想のパワーなのだ。
And you pursue them vainly in the dream, because you want their power as your own.
- pursue [pərsúː] : 「〜を追跡する、〜を追いかける」
- vainly [véinli] : 「無駄に、むなしく」
❖ "And you pursue them ~ "「そして、あなたは夢の中で、むなしく偶像を追い求める」。"because you want ~ "「なぜなら、あなたは、偶像のもつパワーをあなたのものとしたいからだ」。あなたは、あなたの無意識が望む偶像を勝手に幻想し、その偶像に、あなたが無意識で望むパワーを与えているのだが、あなたの意識は、その逆を知覚している。すなわち、偶像は、あなたにはないパッワーを有し、あなたが偶像を追い求めて願いを掛ければ、偶像はあなたの願いを叶えてくれると思っているのである。意識と無意識の、この矛盾は明白であり、偶像を追い求めて、偶像のパワーを得ることは確実に絶望に終わることが理解出来る。こうして、結局、主題に戻るのだ。すなわち、あなたの外に求めてはいけない。