●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-29.VIII.7:1 ~ T-29.VIII.8:13

7. Where is an idol? Nowhere! Can there be a gap in what is infinite, a place where time can interrupt eternity?
  • idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
  • nowhere [nóuhwὲər] : 「どこにも〜ない」
  • gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
  • infinite [ínfənət] : 「無限の、計り知れない、果てしない、莫大な」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
  • interrupt [ìntərʌ́pt] : 「割り込む、妨げる、妨害する、邪魔する」
  • eternity [itə́ːrnəti] : 「永遠、無限」
❖ "Where is ~ "「偶像は、どこにいるだろう」。"Nowhere!"「どこにもいない!」。"Can there be a gap ~ "「無限なるものの中に、時間が永遠に割り込める場所、つまり、ギャップなど存在出来るだろうか」。無時間無空間、永遠無限の実相世界に、時間と空間をもつ幻想が割り込める可能性はない。したがって、幻想の偶像が、実相に割り込んで実相を脅かすことは不可能なのだ。なお、ここの"gap"「ギャップ」とは、あなたと同胞の間のギャップという意味ではなく、永遠性に割って入った幻想という亀裂、といった意味合い。



A place of darkness set where all is light, a dismal alcove separated off from what is endless, has no place to be.
  • darkness [dάːrknis] : 「暗さ、暗がり、暗闇、夜の帳」
  • set [sét] : 「整える、定める、配置する、設定する」
  • light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
  • dismal [dízml] : 「憂うつな、陰気な、陰うつな、暗い」
  • alcove [ǽlkouv] : 「アルコーブ、壁のくぼみ、小部屋、あずまや」
  • separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す」
  • separate off : 「分離する、引き離す、切り離す」
  • endless [éndləs] : 「終わりのない、永遠の、絶え間のない」
❖ "A place of darkness ~ "「あらゆるものが光であるという場所にセットされる闇の居場所、」"a dismal alcove ~ "「それは、永遠なるものから乖離させられた陰鬱な窪(くぼ)みであるのだが、そんな居場所は、」"has no place ~ "「場所として存在しない」。"light"「光」が実相であり、"darkness"「闇」が幻想である。永遠性のない幻想、光を失った幻想は、永遠に光り溢れる実相世界に、その居場所はない。実相に幻想が侵入することは不可能だのだ。



An idol is beyond where God has set all things forever, and has left no room for anything to be except His Will.
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
  • forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
  • left [léft] : 「leave の過去・過去分詞形」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、置き忘れる」
  • room [rúːm] : 「機会、余裕、場所、空間、余地」
  • except [iksépt] : 「〜を除いて、〜以外に」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
❖ "An idol is beyond ~ "「偶像は、神があらゆるものに永遠を与え、神の意思以外に何に対しても存在の余地を与えないような所を越えた場所にある」。神の存在する天の王国(実相世界)を越えた場所にしか、偶像は存在出来ない。神は、幻想の偶像が存在出来る場所を天の王国に作ることはなかった。



Nothing and nowhere must an idol be, while God is everything and everywhere.
  • while [hwáil] : 「そして一方、〜に反して」
  • everywhere [évrihwèər] : 「どこでも、どこにも」
❖ "Nothing and nowhere ~ "「偶像は、無であり、決してどこにも存在しない」。"while God is ~ "「一方、神はすべてのものであり、あらゆる所に存在する」。偶像は単なる夢、幻想であり、したがって、無であり、実相のどこにも存在しない。一方、神は、"all-encompassing"「すべてを包摂するもの」であり、実相的に存在するものすべては、神の創造であって、神の愛の息吹を注がれたものである。



8. What purpose has an idol, then? What is it for? This is the only question that has many answers, each depending on the one of whom the question has been asked.
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答、正解、解答」
  • depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第である」
  • ask [ǽsk] : 「尋ねる、質問する、求める、要求をする」
❖ "What purpose has ~ "「ならば、偶像は、どんな目的を持っているのか」。"What is it ~ "「偶像は、何のためにあるのか」。"This is the only question ~ "「これは、多くの答えを有する唯一の問いかけだ」。"each depending on ~ "「多くの答えの一つ一つは、問題が問いかけられた者に依存する」。偶像の目的、存在意義は、偶像を信じる者一人一人によって、異なるものである。したがって、偶像は多種多様なのだ。ある者にとっては、金が偶像であり、ある者にとっては権力が、ある者にとっては情欲が、ある者にとってはギャンブルが、それぞれ偶像になる。そして、その目的も、多種多様に変化するのだ。しかし、突き詰めれば、どれも夢の中の『欲』であって、欲という化けの皮をまとった偶像なのだ。あるいは偶像という化けの皮をまとった欲である。



The world believes in idols. No one comes unless he worshipped them, and still attempts to seek for one that yet might offer him a gift reality does not contain.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • worship [wə́ːrʃip] : 「崇拝する、礼拝する、賛美する、敬愛する」
  • still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに」
  • attempt [ətémpt] : 「試みる、企てる」
  • seek [síːk] for : 「〜を探し求める」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、提供する、」
  • gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
  • contain [kəntéin] : 「〜を含む、包含する、収容できる、〜が入っている」
❖ "The world believes ~ "「この世界は、偶像を信じている」。"No one comes ~ "「偶像を信じることなく、この世界にやって来る者はいない」。幻想のこの世界に生まれてくる者は、決まって偶像を信じている。偶像から解放されない者が、再び、この幻想世界に生まれてくるのだ。"and still attempts ~ "「そして、実相など入っていない贈り物を差し出してくれる偶像を、いまだに、探そうとするのだ」。実体のない空虚な贈り物しか与えてくれない偶像であるにも関わらず、再びこの世に生まれ出てては、そんな偶像を探し求め、崇拝することになる。偶像を追い求めている限り、輪廻の輪から抜けることは不可能だ。輪廻転生とは、幻想の再生に過ぎない。



Each worshipper of idols harbors hope his special deities will give him more than other men possess. It must be more.
  • worshipper [wə́ːrʃipər] : 「礼拝者、崇拝者」
  • harbor [hάːrbər] : 「心に抱く、〜に隠れ場所を提供する、〜をかくまう」
  • special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
  • deity [díːəti] : 「神、神性」
  • more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る」
  • possess [pəzés] : 「〜を所有する、保有する、持つ」
❖ "Each worshipper of ~ "「偶像を崇拝する者たちは一人一人、彼の特別な(偶像のもつ)神性さが、他の者が所有しているものよりも多くのものを彼に与えてくれるという希望を抱いている」。自分の偶像が一番優れており、望むものを他の者より多く与えてくれると信じているのだ。"It must be ~ "「それは、より多くでなければいけない」。他者が他者の偶像から得るものより、自分が自分の偶像から得るものの方が多くなければならない。もしそうでなかったら、簡単に自分の偶像を捨てて、他者の偶像に乗り換えてしまうのだ。



It does not really matter more of what; more beauty, more intelligence, more wealth, or even more affliction and more pain.
  • really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、重要になる、問題である」
  • beauty [bjúːti] : 「美、美しさ」
  • intelligence [intélədʒəns] : 「知能、知性、知力」
  • wealth [wélθ] : 「富、財、財産、裕福」
  • affliction [əflíkʃən] : 「苦痛、苦痛、不幸」
  • pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛」
❖ "It does not really ~ "「より多いものが何であるかなど、実際、問題ではない」。"more beauty, more ~ "「より多くの美しさ、より多くの知性、より多くの健康、」"or even more ~ "「あるいは、より多くの苦痛、より多くの痛みさえも」。プラスの価値があろうとマイナスの価値であっても、他者より多ければ多いほど、偶像崇拝者は安心してその偶像を崇拝するのである。



But more of something is an idol for. And when one fails another takes its place, with hope of finding more of something else.
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • take a place : 「位置を占める」
  • hope [hóup] : 「希望、望み」
  • find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす」
❖ "But more of ~ "「偶像とは、単により多くのものを得るためにある、というわけである」。"And when one fails ~ "「そして、一つの偶像が失敗すると、他の偶像がそれに取って代わる」。"with hope of finding ~ "「より多くの他のものを見つけたいという希望を抱いてそうするのだ」。まさに、『欲』には限度がなく、人は欲の奴隷となり、欲に欲を重ねて、そして自滅していくのである。偶像とは、欲が偶像の仮面をつけたものである。



Be not deceived by forms the "something" takes. An idol is a means for getting more. And it is this that is against God's Will.
  • deceive [disíːv] : 「欺く、惑わす、だます、裏切る」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ」
  • means [míːnz] : 「手段、方法、資力」
  • against [əɡéinst] : 「〜に反対して、 〜に逆らって、〜にそむいて」
❖ "Be not deceived ~ "「その『何か』がとる形に騙されてはいけない」。その何かは、金であり、地位であり、権力であり、支配欲であり、情欲であり、食欲であるかも知れない。しかし、その形に騙されてはいけない。欲がまとった偶像の仮面に騙されてはいけない。"An idol is a ~ "「偶像は、より多くのものを得るための手段なのだ」。"And it is this that ~ "「そして、これこそが、神の意思に反することなのである」。神には『欲』がないのか? ないのだ。神はすべてを包摂し、すべてを有している。不足はない。したがって、神の属性をすべて継承した神の子も、本当はすべてを有して、不足はないはずなのだ。不足しているという夢を見ているだけである。そもそもが、実相世界には、不足という概念はなく、したがって欲という概念もない。不足も欲も、偶像も偶像崇拝も、それらは幻想に過ぎないのだ。
 
 
 


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