6. (3) Remember once again the day you want, and recognize that something has occurred that is not part of it.
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- once again : 「またしても、再度、またもや、もう一度、今一度」
- recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
❖ "Remember once ~ "「もう一度、あなたが望む一日を思い出しなさい」。"and recognize that ~ "「そして、望む一日の一部ではない何かが起こってしまったことを認識しなさい」。望んだ一日と異なることが起きたかどうか内省し、それが見つかったら、はっきりと認識し直しなさい。むしろ、必ず見つかるものだから、見逃さないように注意しなさい、という意味合いが込められている。
Then realize that you have asked a question by yourself, and must have set an answer in your terms. Then say:
I have no question. I forgot what to decide.
- realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する」
- question [kwéstʃən] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
- ask a question : 「質問をする」
- by oneself : 「自分だけで、一人で、独りで、独力で」
- set [sét] : 「〜を決める、整える、定める、配置する、設定する」
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語、術語、表現」
- forgot [fərɡάt] : 「forget の過去・過去分詞形」
- forget [fərɡét] : 「〜を忘れる、見落とす」
- decide [disáid] : 「決定する、決心する、決意する」
❖ "Then realize that ~ "「そして、あなた自身で問いを発し、自分の言葉でそれに答えてしまったに違いないと自覚しなさい」。"Then say: ~ "「そして、次のように言いなさい」。"I have no ~ "「私には問いかけがない」。"I forgot what ~ "「私は、決めるべきことを忘れてしまった」。頭脳による理性的判断を放棄した一日であるべきはずだったが、ついつい、自分に問いを発し、自分の理性で判断し、その問いに答えてしまったのだ。そんな時は、自分には頭脳が発する問いかけなどないし、ついつい決定したことなど忘れてしまったと自分に言い聞かせなさい。具体的に、たとえばあなたは、自信の持てる悠々とした一日を願ったとしよう。その気持ちをホーリー・スピリットに委ねてしまえばいいものを、ついつい、自分に問いを投げかけてしまうのだ。そして、その問いに、自分で答えてしまうのである。自信の持てる悠々とした一日を過ごすにはどうすればいいかと自問し、そのためには他者の優位に立ち、他者を支配すればいいと自答する。これがつまずきのもとなのだ。そんなときは、つまずく前に、私には問いかけはないし、決めるべきことも忘れてしまったと、言い聞かせればいい。
This cancels out the terms that you have set, and lets the answer show you what the question must have really been.
- cancel [kǽnsəl] out : 「取り消す、消す、相殺する、無効にする」
- term [tə́ːrm] : 「条項、条件、規約」
- show [ʃóu] : 「見せる、示す、表す、表示する」
- really [ríːəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "This cancels out ~ "「こう自分に言い聞かせることで、あなたが設定した条件はキャンセルされ、」"and lets the answer ~ "「実際、その問いかけは何であったのか、その答えがあなたに示される」。難解な部分である。"the terms that you have set"「あなたが設定した条件」とは、ついつい自分に問いを発し、自分の理性で判断した内容ということ。今日一日、自分はどうすべきか自問し、自分はこうあらねばならないとか、こうしなければならないとか、理性で判断し取り決めたことである。そうしたことが、"I have no question. I forgot what to decide."と声に出して自分に言い聞かせることで、キャンセルされる。つまり、頭脳による理性的判断が取り消されるのだ。さらに、内省を深めることで、自分が自分に問いを発したことの実際の意味(what the question must have really been)があなたに理解されるようになる。自分で問いを発し自分で決定するという行為は、頭脳的理性に依存することであって、エゴの支配下に入ることを意味する。つまり、エゴの思考システムによって生きることを意味し、結局は幻想の生活を持続させてしまうのである。これは、本来の目的に逆行することだ。幻想の頭脳から離れ、エゴの支配、エゴの思考システムから解放されることが目的であったはずなのだ。そのために、頭脳による理性的判断を停止し、ホーリー・スピリットの思考システムに決定を委ねたはずだったのである。
7. Try to observe this rule without delay, despite your opposition. For you have already gotten angry.
- observe [əbzə́ːrv] : 「守る、順守する」
- rule [rúːl] : 「規則、ルール、規定、法則、規範」
- delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ」
- without delay : 「遅らせることなく、遅延なしに、ぐずぐずせずに」
- despite [dispáit] : 「〜にもかかわらず、〜をよそに」
- opposition [ὰpəzíʃən] : 「反対、敵対」
- already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み、前々から」
- gotten [gɑ́tn] : 「get の過去分詞形」
- angry [ǽŋgri] : 「腹を立てて、立腹して、怒って、憤りを感じて」
- get angry : 「怒る、ムッとする、腹を立てる」
❖ "Try to observe this ~ "「あなたの気持ちが逆らったとしても、遅れることなく、このルールを守るように努めなさい」。"this rule"「このルール」とは、具体的には、"I have no ~ "「私には問いかけがない」ということと、"I forgot what ~ "「私は、決めるべきことを忘れてしまった」ということ。つまり、自分で判断決定せず、それをホーリー・スピリットに委ねるというルール。"despite your opposition"は、「あなたの気持ちが反対しても」ということ。つまり、自分で判断し決定したいと思っても、ということ。"For you have already ~ "「なぜなら、あなたはすでに怒っているからだ」。思い描いた理想の一日と異なった出来事が生じてしまい、ホーリー・スピリットに決定を委ねたのにこの有り様だ、と怒りを感じているのだ。だから、ますます自分で判断し決定したと思ってしまうのである。
And your fear of being answered in a different way from what your version of the question asks will gain momentum, until you believe the day you want is one in which you get your answer to your question.
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
- answer [ǽnsər] : 「〜に答える」
- different [dífərənt] : 「相違する、違っている、異なる」
- in a different way : 「違った方法で、違う角度から」
- version [və́ːrʒən] : 「バージョン、版、意見、見解、説明」
- gain [géin] : 「得る、獲得する」
- momentum [mouméntəm] : 「はずみ、勢い、弾み」
- gain momentum :「 勢いを増す、はずみがつく、活性化する」
- until [ʌntíl] : 「〜する時まで」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する」
❖ "And your fear of being ~ "「あなたが〜するまでは、あなたの問いが投げかける内容とは異なったものとして答えられるのではないか、というあなたの恐れは、ますます勢いを増すだろう」。"until you believe ~ "「あなたが欲する一日とは、あなたの問いかけに対してあなたの答えが得られる一日であると、あなたが信じられるまでは、」あなたの問いが投げかける内容とは異なったものとして答えられるのではないか、というあなたの恐れは、ますます勢いを増すだろう。ここは具体的な例を出して考えよう。たとえば、あなたが、今日一日を他者に対して優位に立ち、他者を支配したい一日にしたいと望んだとしよう。その答えを、ACIMの教え通りに、ホーリー・スピリットに願い、求めるわけである。ところが、その日、何時間経っても、あなたの願いの答えはホーリー・スピリットから与えられない。あなたは怒りを覚える(you have already gotten angry)。しかも、あなたが願い求めたことと異なる内容の答えが返って来るのではないかと恐れを抱くようになり、その恐れは次第に増してくる(And your fear of being answered in a different way from what your version of the question asks will gain momentum)。しかし、ホーリー・スピリットが、あなたの願いに答えていないというのは、実は、誤りなのだ。そんな一日さえ、あなたの問いに対してあなたの答えがホーリー・スピリットから与えられた一日、あなたの願う一日なのだ(the day you want is one in which you get your answer to your question)。この場合の答えとは、あなたの願ったような、他者を支配したい一日など、あなたには与えられない、というホーリー・スピリットの答えなのである。他者の優位に立って、他者を支配したいなどという願いは幻想に過ぎず、そんな一日をエゴのために費やすことは無駄である、というホーリー・スピリットの答えである。つまり、あなたがホーリー・スピリットに対して問いかけ、願ったことは、ホーリー・スピリットが判断を下して、実現するか実現させないか決めていると思えばいい。実現されるにしても、実現されないにしても、どちらも、実相的にあなたの利益に叶うように、ホーリー・スピリットは判断を下す。そう、あなたが信じることが出来ない限り(until you believe ~ )、あなたの恐れはどんどん勢いを増していくのである。
And you will not get it, for it would destroy the day by robbing you of what you really want.
- destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
- rob [rɑ́b] : 「〜から力ずくで奪う、強奪する、略奪する」
- rob A of B : 「AからBを奪う」
❖ "And you will not ~ "「あなたは、それ(あなたがホーリー・スピリットに願ったもの)を得られないだろう」。"for it would destroy ~ "「なぜなら、それは、あなたが本当に望むものをあなたから奪うことで、その一日を破壊してしまうだろうからだ」。先の例で、あなたが他者の優位に立って、他者を支配したいという願いは叶えられない(you will not get it)。なぜなら、そんなものをホーリー・スピリットがあなた与えたら、あなたが本当に望むところのもの(what you really want)、たとえば平穏な一日が破壊されるからだ(it would destroy the day)。簡単に言えば、あなたが実相的な真実を願い求めれば、ホーリー・スピリットはそれをあなたに与える時期をちゃんと見計らって、今日ではないにしても、必ず与えてくれるのだ。しかし、あなたが、幻想的な虚偽をいくら求めたとしても、それを決してホーリー・スピリットは与えてくれない。あなたは怒りを覚え、ホーリー・スピリットに委ねることは無駄だと信じて、自分で判断決定するようになるかも知れない。そして、運良く他者の優位に立つことが出来、他者を支配することに成功するかも知れない。しかし、それは決して長続きはしないのだ。幻想は必ず変化流動し、崩壊と死へ向かう。あなたの優位と支配は、確実に崩壊し死に向かう。驕(おご)れる者は久しからず、なのである。
This can be very hard to realize, when once you have decided by yourself the rules that promise you a happy day.
- hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
- once [wʌ́ns] : 「一度、一回、一旦」
- decide [disáid] : 「決定する、決心する、決意する」
- promise [prάmis] : 「〜を約束する、〜を期待させる」
❖ "This can be very ~ "「ひとたび、あなたが〜した時は、こうしたことは、悟るには難しい可能性がある」。"when once you ~ "「あなたに幸せな一日を約束してくれるルールを、ひとたび、あなたが自分で決定してしまった時は、」こうしたことは、悟るには難しい可能性がある。たとえば、他者を支配し、他者から崇められて幸福感を感じるような一日を持とうと、あなたが今日やるべきこと(ルール)を自分で決めてしまったなら、それが幻想的な虚偽であることにも気付かず、ホーリー・スピリットがそれを憂うことにも気付かず、驕り高ぶったまま、崩壊と死へ向かってしまうのだ。
Yet this decision still can be undone, by simple methods that you can accept.
- decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心、決議」
- undone [ʌndʌ́n] : 「undo の過去分詞形」
- undo [ʌndú] : 「〜を元に戻す、元どおりにする、取り消す」
- simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
- method [méθəd] : 「方法、方式、手法、方途」
- accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "Yet this decision ~ "「しかし、こんな決定はまだ、取り消しに出来る」。"by simple methods ~ "「あなたが、簡単な方法を受け入れさえすれば、取り消しに出来るのである」。あなたの望む一日が真実か虚偽かの判断さえホーリー・スピリットに委ね、そのためにどうしたらいいかという問いかけもホーリー・スピリットに投げかけることで、あなたの驕り高ぶった自己決定と自己ルールは取り消しに出来るのだ。要するに、あなたが幻想から実相に目覚め、叡智によって直覚的に自己決定出来るようになるまでは、ホーリー・スピリットに絶対他力せよ、ということである。幻想の中に眠り、夢見ているあなたには、頭脳による理性的判断は、闇の世の道に迷う最大の要因であるからだ。エゴの思考システムによって眠り続けることは出来るが、実相に目覚めることは決して出来ないのだ。光の中に目覚めたいなら、迷わず、ホーリー・スピリットの思考システムに自分のすべてを委ねるべきなのである。しかも、そのホーリー・スピリットは、天高い別世界に住んでいるのではない。あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分に、既に住んでいるのだ。