5. What is an idol? Nothing! It must be believed before it seems to come to life, and given power that it may be feared.
- idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- come to life : 「生き返る、息を吹き返す、復活する、目覚める、活動的になる」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- fear [fíər] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
❖ "What is an ~ "「偶像とは、何か」。"Nothing!"「無である!」。偶像は幻想であるから、実在してはおらず、したがって、実相的な視点に立って見れば、無である。"It must be believed ~ "「偶像が生き返り、恐れられるようなパワーを与えられる前に、偶像は信じられる必要がある」。偶像は無なのだが、あなたが無なる偶像を信じてしまえば、その偶像は復活して命を得、あなたを恐れさせる存在になる。あなたの心が偶像を作り出し、偶像に命を与え、そして、その偶像を恐れるようになるのだ。
Its life and power are its believer's gift, and this is what the miracle restores to what has life and power worthy of the gift of Heaven and eternal peace.
- believer [bilíːvər] : 「信じる人、信奉者、信者」
- gift [gíft] : 「贈り物、プレゼント」
- restore [ristɔ́ːr] : 「回復させる、修復する、復活させる」
- worthy [wə́ːrði] : 「〜に値する、〜するに足りる」
- eternal []itə́ːrnl : 「遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "Its life and power ~ "「偶像のもつ命とパワーは、信じる者が与える贈り物である」。偶像の命とは、偶像が実在しているかに見える、その存在感。偶像のパワーとは、偶像があなたに与える影響力。しかし、偶像は、あなたが信じなければ無に等しい。したがって、偶像の命もパワーも、あなたが信じることで偶像に与える、いわば贈り物なのだ。"and this is what ~ "「そして、これこそ、天の王国の贈り物と永遠の平和に値する命とパワーへと、奇跡が修復するものなのである」。信じる力は実相であり、あなたは信じる対象を誤って偶像を作ってしまったのだ。しかし、奇跡は、その信じる力を利用して、信じる対象を変えてくれるのだ。奇跡が、あなたが天の王国の贈り物(真実)や永遠の平和(心の静寂)を信じるように仕向け、あなたが信じることで、天の王国の贈り物、すなわち真実に、命とパワーが与えられ、永遠の平和が実体を持つようになる。奇跡は、幻想に向かう信心を、実相に向かうように修復してくれるのである。
The miracle does not restore the truth, the light the veil between has not put out.
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
- veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの」
- between [bitwíːn] : 「中間に、両者間に」
- put out : 「消す」
❖ "The miracle does not ~ "「奇跡は、真実を、そして、(真実と虚偽の)間にあるベールでさえ消すことの出来ない光を、修復するのではない」。真実や真実の光は実在であって、虚偽ではない。したがって、修復する必要などないのだ。奇跡が修復するのは、過ちであり、誤りである。つまり、幻想と虚偽を奇跡は修復し、それを実相や真実に修復してくれるのだ。ところで、"veil"「ベール」であるが、これが幻想であり、真実の光を覆い隠している。しかし、決して真実の光を消すことは出来ない。
It merely lifts the veil, and lets the truth shine unencumbered, being what it is.
- merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
- lift [líft] : 「持ち上げる」
- shine [ʃáin] : 「輝く、光る」
- encumber [inkʌ́mbər] : 「〜に重荷を負わせる、邪魔する、阻害する」
- unencumbered : 「重荷がなくなった、邪魔を取り除いた」
❖ "It merely lifts ~ "「奇跡は、単にベールを持ち上げるだけだ」。幻想のベールを持ち上げれば、真実の光が差してくる。"and lets the truth ~ "「そして、奇跡は、真実が邪魔されることなく輝くようにし、真実本来の姿が見えて来るようにしてくれるのである」。ベールを持ち上げるとは、幻想を払拭する、ということ。幻想が消滅し、実相が見えてくる。真実の輝きが見えて来るのだ。
It does not need belief to be itself, for it has been created; so it is.
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- create [kriéit] : 「〜を創造する、創り出す」
❖ "It does not need belief ~ "「真実は、真実であるために信じてもらう必要はない」。幻想の偶像が、信じてもらえなければ存在出来ないのと対照的に、真実は、信じてもらおうが信じてもらえなかろうが、その存在に変わりはない。"for it has been ~ "「なぜなら、真実は(神によって)創造されたからだ」。"so it is"「だから、真実は真実なのだ」。幻想は、あなたの心が想像したもの。真実は、神の心が創造したもの。前者は虚構であり、後者は実在である。実在するものは、信じられようが信じられまいが、そこに実在するのだ。真実は真実として、そこに実在するのみ。
6. An idol is established by belief, and when it is withdrawn the idol "dies."
- establish [istǽbliʃ] : 「確立する、成立させる」
- withdrawn [wiðdrɔ́ːn] : 「withdraw の過去分詞形」
- withdraw [wiðdrɔ́ː] : 「引っ込める、取り消す、取り下げる」
- die [dái] : 「死ぬ、死亡する」
❖ "An idol is established ~ "「偶像は、信じられることで、(存在が)確立する」。信じられなければ、偶像は無である。つまり、"and when it is withdrawn ~ "「信じる気持ちが取り下げられたとき、偶像は『死ぬ』のだ」。と言うことは、あなたを支配する偶像を、あなたは信じないことで、簡単に殺すことが出来るのである。殺すという言葉が野蛮なら、消滅させることが出来ると言い直そう。
This is the anti-Christ; the strange idea there is a power past omnipotence, a place beyond the infinite, a time transcending the eternal.
- strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
- idea [aidíːə] : 「考え、発想、着想」
- past [pǽst] : 「越えて、越して」
- omnipotence [ɑmnípətəns] : 「全能」
- place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
- beyond [bijάnd] : 「〜を越えて、〜を過ぎて、〜のかなたに」
- infinite [ínfənət] : 「無限の、計り知れない、果てしない、莫大な」
- transcend [trænsénd] : 「超える、〜を超越する、しのぐ」
- eternal [itə́ːrnl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
❖ "This is the anti-Christ ~ "「これが、反キリストである」。幻想を信じることで命とパワーが与えられるものが、反キリストである。つまり、反真実であり、反実相である。"the strange idea ~ "「それは、全能を超越したパワーが存在するという奇妙な思想であり、」つまり、全能の神をも凌ぐパワーが偶像にはあると信じることであり、"a place beyond ~ "「無限を超越する広さの場所があるという奇妙な思考であり、」"a time transcending ~ "「永遠を超越する時間が存在するという奇妙な想念なのだ」。永遠無限の実相世界を、つまり、無時間無空間の実相世界を、時空間を有する幻想世界が超越していると考えることの奇妙さ。しかし、偶像を信仰するとは、そういうことなのだ。実相を排して、幻想を信じれば、どんな奇妙なことも起こり得る。つまり、嘘が真実を呑み込んでしまえると思ってしまうのだ。嘘を大風呂敷と言う所以(ゆえん)であろうか。
Here the world of idols has been set by the idea this power and place and time are given form, and shape the world where the impossible has happened.
- set [sét] : 「整える、定める、配置する、設定する」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造」
- shape [ʃéip] : 「〜を形作る、成形する、形成する」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
❖ "Here the world of idols ~ "「ここに、こんなパワー、場所、時間が形を与えれ、不可能なことが起こり得る世界を形作るという思考によって、偶像の世界がセットされたのだ」。心が勝手にイメージする幻想を信じることで、幻想にパワー(影響力)を与え、しかも、本当は存在しない空間や時間までもイメージして、幻想に居場所を与え、こうして、この幻想世界が出来上がったのだ。その幻想の時空世界を、自由気ままに、偶像が跋扈(ばっこ)しているわけだ。
Here the deathless come to die, the all-encompassing to suffer loss, the timeless to be made the slaves of time.
- deathless [déθlis] : 「不死の、不滅の」
- come to do : 「結果として〜になる、結局〜となる、〜するようになる」
- encompass [enkʌ́mpəs] : 「〜を包み込む、包囲する、取り囲む」
- suffer [sʌ́fər] : 「苦しむ、被る」
- loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
- timeless [táimlis] : 「永久の、永遠の、時間を超越した」
- slave [sléiv] : 「奴隷、捕らわれている人」
❖ "Here the deathless ~ "「ここでは、不死なるものが死ぬこととなる」。実相世界の永遠不変性、不死性が、この幻想世界では通用しない。"the all-encompassing ~ "「すべてを包摂するものが、喪失に苦しみ、」"all-encompassing"「すべてを包摂するもの」とは、神のこと。つまり、この幻想世界では、神さえも喪失に苦しむとされ、"the timeless to be made ~ "「無時間性は、時間の奴隷にされてしまうのだ」。"timeless"「無時間性」とは、実相の永遠性のこと。実相世界の永遠不変性、不死性、無時間性、さらに、すべてを包み込む神さえも、この幻想世界では忘れられ、変化流動し、崩壊と死に向かう世界が形成されたのだ。ここまで読み進むと分かるだろうが、この世界こそ、巨大な偶像なのである。
Here does the changeless change; the peace of God, forever given to all living things, give way to chaos.
- changeless [tʃéindʒlis] : 「変化のない、不変の」
- change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- living thing : 「生物、生けるもの」
- give way to : 「〜に取って代わられる、〜に移行する」
- chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱、混沌」
❖ "Here does the changeless ~ "「ここでは、不変性が変化する」。"the peace of God ~ "「生きるものすべてに永遠に与えられた神の平和さえ、渾沌に道を譲ってしまった」。この幻想世界では、すべてが変化流動し、崩壊と死に向かう。まさに、渾沌の世界である。実相的な平和、神の平和は存在出来ない。
And the Son of God, as perfect, sinless and as loving as his Father, come to hate a little while; to suffer pain and finally to die.
- perfect [pə́ːrfikt] : 「完璧な、完全な」
- sinless [sínlis] : 「罪のない、潔白な」
- loving [lʌ́viŋ] : 「誠実な、愛情のある、愛情に満ちた、愛情のこもった」
- hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
- a little while [hwáil] : 「しばらくの間」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛」
- finally [fáinəli] : 「ついに、最後に、最終的に」
❖ "And the Son of God ~ "「そして、父なる神と同様に完璧であり、潔白であり、愛に溢れた神の子さえも、」"come to hate ~ "「しばらく間は、嫌悪したりすることになる」。実相世界には、嫌悪という概念はないが、無辜なる神の子が幻想世界に生きるしばらく間は、嫌悪という感情に引きずられてしまう。"to suffer pain ~ "「そして、痛みを苦しみ、ついには死を迎えるのだ」。幻想世界に生き、偶像を信じて生きていく限り、憎悪や嫌悪は付きまとい、苦と悲しみに打ちひしがれて、最後は死んでいくしかない。しかし、そう幻想しているのは、外でもない、あなたの心なのだ。偶像に支配された心を、奇跡によって修復しない限り、あなたのこの世界での運命は決まっている。死という運命なのだ。