3. An idol is a false impression, or a false belief; some form of anti-Christ, that constitutes a gap between the Christ and what you see.
- idol [áidl] : 「アイドル、偶像、崇拝される人、神像」
- false [fɔ́ːls] : 「正しくない、誤った、うその、虚偽の」
- impression [impréʃən] : 「印象、感じ、感想」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、、信仰、信条、信用、信頼」
- form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、現れ」
- constitute [kάnstətjùːt] : 「〜の構成要素となる、〜を構成する」
- gap [gǽp] : 「割れ目、すき間、隔たり、ギャップ」
- between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間に」
❖ "An idol is a false ~ "「偶像とは、誤った印象、あるいは、誤った信念である」。あなたは同胞を見て印象を得るのだが、たとえば、社会的な高地位についてる権力者を見て、その権力に憧れ、権力をあなたの偶像とするわけである。そういう印象を得ることは誤ったことであり、権力などに対して憧れや信仰、信念を持つことも誤りなのだ。なぜなら、実体のない幻想を信じ、信仰することは誤りだからだ。そこで、偶像とは、誤った印象、誤った信念、ということになるのである。"some form of anti-Christ ~ "「偶像は、反キリストの形をとるものであり、キリストと、あなたが目にするものとの間にギャップを構成する」。キリストは実相世界の実在であり、ここでは実相的な真実のことだと思っていい。偶像は、幻想世界であなたが勝手に思い込んだイメージであって、幻想そのものである。したがって、偶像を固く信じてしまえば、真実の実相(キリスト)と幻想世界の間に、深いギャップを作ってしまい、あなたは、ギャップのこちら側、すなわち、あなたが目にする幻想世界に、完全に捕らわれた囚人になってしまうのだ。これが、今のあなたの状態である。
An idol is a wish, made tangible and given form, and thus perceived as real and seen outside the mind.
- wish [wíʃ] : 「願い、望みのもの、願望、希望」
- make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- tangible [tǽndʒəbl] : 「目に見える、実体のある、形を成す、具体的な」
- given [gívn] : 「give の過去分詞形」
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
- outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
❖ "An idol is ~ "「偶像は、望みである」。たとえば、あなたが権力者を見て、その権力に憧れ、権力を偶像にするとき、権力を得たいという望みが、すなわち偶像なのだ。"made tangible and ~ "「偶像は、実体があるかのように作られ、形が与えられる」。偶像は、幻想であるから、本来は実体などないのだが、実体のない偶像を強く信じることで、あたかも実体をもったものように(made tangible)、形を伴ったもののように(given form)見えてくるのである。"and thus perceived as ~ "「こうして偶像は、実在するかのように知覚され、心の外側に見て取れるものとなる」。偶像は、幻想であるから、あなたの心が作り出しているのだが、偶像に対する思い入れが強すぎると、その思いが現実化して、あたかも実体をもったもののように知覚されるのだ(perceived as real)。そして、偶像はあなたの心から抜け出て(seen outside the mind)、独り歩きを始めるのである。
Yet it is still a thought, and cannot leave the mind that is its source.
- still [stíl] : 「まだ、今でもまだ、いまだに、今もなお」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
- leave [líːv] : 「〜から離れる、〜から撤退する、〜と別れる」
- source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起点、原因」
❖ "Yet it is still ~ "「とは言え、いつまで経っても、偶像は思考に過ぎない」。偶像が現実化されてしまうと言っても、それは幻想であることに変わりはなく、あなたの心が描いたイメージ、単なる思考である。"and cannot leave ~ "「したがって、偶像の源である心を離れることは出来ないのだ」。偶像を作り出しているのは、あなたの無意識であり、正気を失った心なのだ。偶像は、あなたの心が作り出し、皮肉にも、あなたの心を支配する。しかも、自分の心が偶像の奴隷になっていることを、あなたは気付かないのだ。こんな状況を、悲劇と呼ぼうか、喜劇と呼ぼうか。
Nor is its form apart from the idea it represents. All forms of anti-Christ oppose the Christ.
- apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
- idea [aidíːə] : 「考え、着想、発想、思い付き、意図、狙い」
- represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、意味する、象徴する、示す」
- oppose [əpóuz] : 「反対する、反抗する、対抗する、敵対する」
❖ "Nor is its form ~ "「また、偶像のもつ形は、偶像が表す思いから離れることはない」。たとえば、権力という偶像は、国家権力という形をとったり、社会的な高地位という形をとったり、家庭の中ですら親の権力、あるいは、社会の中の男の権力といった形をとる。形は様々だが、権力という偶像の表す『権力性』という思いは、その偶像から離れることはなく、常に『支配』という力を表すのだ。"All forms of anti-Christ ~ "「反キリストという形はすべて、キリストに対抗するものである」。反キリストとは、反真実、反実相のことだと思っていい。したがって、反真実、反実相は、ことごとく、真実や実相に対抗するものである。言い換えれば、幻想は、常に、実相に対抗して作り出されるものなのだ。
And fall before His face like a dark veil that seems to shut you off from Him, alone in darkness. Yet the light is there.
- fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、落下する」
- before [bifɔ́ːr] : 「〜の前に、〜に先立って、〜を前にして」
- like [láik] : 「〜のように」
- dark [dάːrk] : 「暗い、闇の、暗黒の」
- veil [véil] : 「ベール、覆い、覆い隠すもの、とばり」
- shut [ʃʌ́t] off : 「遮断する、切り離す、除外する」
- alone [əlóun] : 「独りで、単独で」
- darkness [dάːrknis] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
❖ "And fall before ~ "「そして、偶像は、暗闇の中で一人ぼっちのあなたからキリストを遮断するかのように見える暗いベールのように、キリストの顔の前に、降り立つのである」。"Yet the light is
~ "「しかし、そんな闇にあっても、光は存在するのだ」。偶像の支配する闇の幻想世界にあって、あなたの目は幻想のベールに覆われて、真実が見えない。キリストの顔が見えないのだ。しかし、それは、あなたの目に見えないだけであって、キリストという光は、ちゃんとあなたの目の前に輝いている。だから、あなたは、その幻想というベールを持ち上げさえすればいいのだ。そうすれば、自ずから、光輝くキリストの顔が見えてくるのである。
A cloud does not put out the sun. No more a veil can banish what it seems to separate, nor darken by one whit the light itself.
- cloud [kláud] : 「雲」
- put out: 「消す」
- no more : 「もはや〜しない」
- banish [bǽniʃ] : 「追い出す、追放する、払いのける」
- separate [sépərèit] : 「分かれる、分離する、別居する」
- darken [dάːrkən] : 「〜を暗くする」
- whit [hwít] : 「わずか、微量」
❖ "A cloud does not ~ "「雲が、太陽を消すことはない」。"No more a veil ~ "「ましてや、ベールが、分離しているかに見えるものを追い払うことなど出来ないのだ」。幻想というベールもまた、あなから分離しているかに見えるキリストを、たとえ隠蔽したとしても、追い払うことなど出来ない。実相的な視点に立って見れば、あなたたの目の前の光り輝くキリストこそ、実は、あなた自身なのだ。あなたは、キリストと分離して存在することなど出来ないのだから。"nor darken by one ~ "「そして、ベールは、ほんの少しでも、光自体を暗くすることも出来ないのだ」。幻想が、実相の光を暗くすることも出来ない。実相の光も、実体をもった実在なのである。愛の光、喜びの光、慈悲の光、総じて、キリストの光である。
4. This world of idols is a veil across the face of Christ, because its purpose is to separate your brother from yourself.
- across [əkrɑ́s] : 「〜を横切って、〜を横断して」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- separate [sépərèit] : 「ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
❖ "This world of idols ~ "「偶像のこの世界は、キリストの顔を横切るベールである」。偶像が支配するこの幻想世界は、真実の実相、すなわちキリストの顔を覆い隠すベールのようなものである。キリストの光を遮るのだ。"because its purpose is ~ "「なぜなら、この世界の目的は、あなたの同胞をあなた自身から分離させることだからである」。神の子が神から分離した後、神の子は自らを乖離して、自己を分離分裂し、多数の別人格を作り出した。その分離分裂した多数の自己を、心の外に投射して作り出した幻想のこの世界に住まわせたのだ。したがって、この世界は分離の象徴であり、世界のもつ目的は、あなたと同胞の分離分裂、すなわち神の子の分離分裂を維持することなのである(its purpose is to separate your brother from yourself)。もちろん、真実は、あなたと同胞は自他一如であり、分離も分裂もしていない。神の子は、実相的には、単一の存在である。そういう真実(キリスト)を、この幻想世界というベールはひた隠しに隠しているのだ。
A dark and fearful purpose, yet a thought without the power to change one blade of grass from something living to a sign of death.
- fearful [fíərfəl] : 「恐ろしい、怖い」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、思考、思索、熟考」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
- change [tʃéindʒ] : 「〜を変える、〜を変更する、〜を変換する」
- blade [bléid] : 「葉身、葉、刃、羽根」
- grass [grǽs] : 「草、草地、芝生」
- living [líviŋ] : 「生きている、現存する、活気のある、生命のある」
- sign [sáin] : 「標示、サイン、標識、表れ、兆し、兆候、印」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "A dark and fearful ~ "「偶像のこの世界がもつ目的は、暗く恐ろしげな目的ではあるが、」"yet a thought without ~ "「しかし、葉っぱ一枚を、生きているものから死の印へと変えるパワーなど持たない思考に過ぎないのだ」。偶像のこの世界も、単なる幻想であり、命の実在を死へと向かわせる力など持っていない。幻想が実相に勝てる分けがないのだ。夜見る夢が、あなたを殺す力を持っているだろうか。ところがあなたは、夢の中のモンスター(偶像)を恐れ、崇拝し、信仰しているのだ。そんな愚かな自分を、あなたは笑わないでいられるだろうか。
Its form is nowhere, for its source abides within your mind where God abideth not.
- nowhere []nóuhwὲər : 「どこにも〜ない、無意味な」
- abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
- within [wiðín] : 「〜の中に、〜の内側に」
- -eth : 「動詞の三人称単数直説法現在を作る語尾」
❖ "Its form is ~ "「偶像の形など、どこにもない」。偶像はいろいろな形をとってあなたの目の前に現れるが、そもそも偶像自体も存在せず、その形も幻想であって、存在しない。すべては、あなたの心が生み出した夢なのだ。"for its source abides ~ "「なぜなら、偶像の源は、あなたの心の内側にあるのだが、そこには神は住んでいないからだ」。あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分、すなわち正気さを保った心の部分に、神(ホーリー・スピリット)は住んでいる。しかし、あなたの心の大半は偶像を信奉するエゴの支配を受け、まさに狂気の心と化している。偶像を生み出す源は、その狂気の心の部分であり、実相的な視点に立ってみれば、狂気の心自体が幻想であり、本当は存在していないのだ。いわば、あなたの心の大半は夢を見ているのであって、その夢がエゴを生み出し、偶像を生み出しているのである。もちろん、夢を見ていない部分が、心の中の最も純粋で神聖な部分、ホーリー・スピリットが住まう正気な心の部分である。
Where is this place where what is everywhere has been excluded and been kept apart?
- place [pléis] : 「場所、個所、住所、席」
- everywhere [évrihwèər] : 「どこでも、どこにも」
- exclude [iksklúːd] : 「〜を除く、除外する、抜かす」
- kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
- keep : 「〜の状態にしておく、保つ、〜にしておく」
- apart [əpάːrt] : 「離れて、離ればなれで、バラバラに、別々に」
❖ "Where is this place where ~ "「あらゆる所に存在するものが排除され、分離させられている、こんな所とは、いったいどんな所だろうか」。下手な訳で申し訳ない。"what is everywhere"「あらゆる所に存在するもの」とは、要するに、神のことである。したがって、あらゆる所に存在する神が排除され、神から分離した場所など、いったいどこにあるのか、という意味合いである。神を実相に置き換えてもいい。実相の存在しない所など、どこにあるか。そんな所は実在しないのだが、あえて突き詰めれば、神も実相も存在しない場所は一箇所しかない。すなわち、幻想である。
What hand could be held up to block God's way? Whose voice could make demand He enter not?
- hand [hǽnd] : 「手」
- held [héld] : 「hold の過去形」
- hold up : 「持ち上げる、支持する」
- block [blάk] : 「ふさぐ、封鎖する、閉鎖する、妨害する、阻む」
- voice [vɔ́is] : 「声」
- demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望、ねだり」
- enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
❖ "What hand could ~ "「いったいどんな手が、神の道を遮断するために持ち上げることが出来よう」。"God's way"「神の道」とは、もちろん、神の歩む道、という意味であるが、ここでは、真実を知る道、と考えていいだろう。真実を知る道を妨害することなど、幻想には出来ない、という意味合いである。"Whose voice could make ~ "「いったい誰の声が、神に対して入ってきてはいけないと要求出来るだろうか」。真実があなたの心に入って来ることを、誰も止めることは出来ない。
The "more-than-everything" is not a thing to make you tremble and to quail in fear.
- more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る、〜より大きい」
- make : 「〜を〜の状態にする、〜に〜させる」
- tremble [trémbl] : 「震える、身震いする、おののく」
- quail [kwéil] : 「おじけづく、ひるむ、気落ちする、気後れする」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "The "more-than-everything" is ~ "「『すべて以上のもの』は、あなたを震えさせたり、恐れでひるませたりするものではない」。 "more-than-everything"「すべて以上のもの」とは、"what is everywhere"「あらゆる所に存在するもの」と同一であって、神のこと。実相、それ自体と考えてもいい。実相であり、神であるものは、あなたを恐れさせるものではない。その逆である。それは、愛であり、平和であり、慈しみ、慈悲、喜び、美、静けさである。
Christ's enemy is nowhere. He can take no form in which he ever will be real.
- enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
- take form : 「具体化する、形を成す、体を成す、目鼻がつく」
- real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
❖ "Christ's enemy is ~ "「キリストの敵は、どこにも存在しない」。"He can take no ~ "「キリストの敵は、それが実在するような形をとることなど出来ないのである」。キリストの敵とは、真実の敵ということであり、つまり、虚偽であり偶像であり幻想である。虚偽や偶像や幻想は、実体を持たず、形を持って実在することなど出来ない。したがって、キリストの敵はどこにも存在しないのだ。キリストの敵は、あなたの狂った心が夢に見ているだけのものなのである。だから、キリストの敵を恐れる必要はない。夢の中のモンスター同様、恐れることは、滑稽なことなのだ。