A Course in Miracles
Text - Chapter 30
The New Beginning
旅立ち
Introduction
1. The new beginning now becomes the focus of the curriculum.
- new beginning [bigíniŋ] : 「旅立ち」
- become [bikʌ́m] : 「〜になる」
- focus [fóukəs] : 「焦点、中心、的」
- curriculum [kəríkjələm] : 「カリキュラム、教育課程、教科課程、履修過程」
❖ "The new beginning ~ "「旅立ちが、今やカリキュラムの焦点になった」。今や『旅立ち』が、ACIMのカリキュラムの焦点となった。この第30章から、実相世界への目覚め(旅立ち)の実践論を論ずることとなった、という意味合い。旅立ちはまた、赦しの夢の瞬間でもある。
The goal is clear, but now you need specific methods for attaining it.
- goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
- clear [klíər] : 「明らかな、明瞭な」
- need [níːd] : 「〜する必要がある、〜を必要とする」
- specific [spisífik] : 「特有の、固有の、特定の、具体的な、詳しい」
- method [méθəd] : 「方法、方式、手法、方途」
- attain [ətéin] : 「手に入れる、獲得する、達成する、実現する、成就する」
❖ "The goal is ~ "「目的は明白である」。赦しを実行し、幻想から目覚めて、実相世界へ回帰すること、それが最終目的である。"but now you need ~ "「しかし今、あなたは、目的達成のための特別なメソッドを必要とする」。幻想を赦し、実相に目覚めるために、闇雲(やみくも)にその方法を追求するのではなく、それ特有のやり方、メソッドがある。
The speed by which it can be reached depends on this one thing alone; your willingness to practice every step.
- speed [spíːd] : 「スピード、速度、速さ、速力」
- reach [ríːtʃ] : 「〜に達する、〜に至る」
- depend [dipénd] on : 「〜によって決まる、〜次第であ」
- alone [əlóun] : 「独りで、単に」
- willingness [wíliŋnis] : 「意欲、いとわずにすること、やる気」
- practice [prǽktis] : 「〜を練習する、〜を実行する、実践する」
- step [stép] : 「階段、段、階、段差」
❖ "The speed by which ~ "「目的が達成されるスピードは、ただ次の一つことに依存している」。それは、"your willingness to ~ "「すべてのステップを、あなたが意欲的に練習すること」に依存している。目的達成のために、カリキュラムの一つ一つのステップをいかに意欲的に、あるいは意思的に練習しようとするか、目的達成までのスピードはそれにかかっている。
Each one will help a little, every time it is attempted. And together will these steps lead you from dreams of judgment to forgiving dreams and out of pain and fear.
- help [hélp] : 「役立つ、役に立つ、助けになる」
- every time : 「毎回〜するたびに」
- attempt [ətémpt] : 「〜を試みる、〜を企てる」
- together [təɡéðər] : 「一緒に、同時に」
- lead [líːd] : 「〜を導く、案内する、〜を連れていく」
- judgment [dʒʌ́dʒmənt] : 「判断、判断力、意見、分別」
- forgive [fərɡív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
- out of : 「〜から外へ、〜から抜け出して」
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
❖ "Each one will help ~ "「一つ一つのステップは、それが試みられる度に、少しずつ役に立つことになる」。カリキュラムを実践していく課程の一つ一つのステップは、それを実践していく度に、少しずつではあるが、目的達成のための役に立つ。目的に一歩一歩近づいていくのだ。"And together will ~ "「その一つ一つのステップを一緒にすれば、それは、あなたを判断の夢から赦しの夢へと導き、痛みと恐れから抜け出させてくれる」。ここの"dreams of judgment"「判断の夢」が幻想世界であり、"forgiving dreams"「赦しの夢」が実相世界である(厳密には、実相世界へ目覚めるための橋渡しの夢)。判断の夢とは、肉体的な頭脳による理性的価値判断、すなわち分別による判断で作り上げられた幻想のこと。赦しの夢とは、その幻想を幻想として認識し、受け入れ受け流し、赦すことで幻想を消滅させる瞬間のこと。赦しの夢は、夢とはあるが、実相的な夢であり、幻想ではない。幻想が消滅すれば、幻想世界を支配していた偶像も消滅し、偶像によってもたらされる痛みや苦や恐れも消滅するのである(out of pain and fear)。
They are not new to you, but they are more ideas than rules of thought to you as yet.
- idea [aidíːə] : 「考え、知識、発想」
- rule [rúːl] : 「規則、ルール、規定、法則、規範」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、思想、思考、思索、熟考」
- as yet: 「今のところは」
❖ "They are not new ~ "「このようなことは、あなたによって目新しことではない」。"but they are more ~ "「しかしそれは、今のところ、あなたにとって、思考のルールというよりは、思想に近いものである」。難解な箇所であるが、赦しの夢というものが、今のあなたにとっては、実践論というよりは単なる思想として馴染んでいるに過ぎない、という意味合い。赦しの夢という思想(ideas)を踏まえた上で、思想を実践していくためのルール(rules)作りをしなくてはならないのだ。ルールというと誤解しかねないが、思想を実践化するために、カリキュラムを作り、ステップ(段階)に分けていく作業のことだと考えていいだろう。いわゆる、レールを作るのである。レール(カリキュラム)を作り、駅(ステップ)を作っていくのだ。
So now we need to practice them awhile, until they are the rules by which you live.
- awhile [əhwáil] : 「しばらくの間」
- until [əntíl] : 「〜する時まで」
- live [lív] : 「生きる、生存する、生きている」
❖ "So now we need to ~ "「作られたルールが、あなたが生きていく上でのルールとなるまで、しばらくの間、私たちはそれを練習する必要がある」。赦しの夢の瞬間、実相世界への目覚めに向けて、ルール作りをしていくのだが、それが日常生活に馴染むまで、しばらくは訓練する必要がある。いわば、日常生活自体が、目覚めのための実践の場にならなくてはならない。
We seek to make them habits now, so you will have them ready for whatever need.
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める」
- make : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- habit [hǽbit] : 「習慣、傾向、癖」
- ready [rédi] : 「用意ができている、支度が整った」
- whatever [hwʌtévər] : 「〜するのは何でも、どんなことが〜でも」
❖ "We seek to make ~ "「私たちは今や、実践のルールを習慣にするように求めなくてはならない」。実戦訓練を日常生活の習慣にする必要がある。"so you will ~ "「そうすれば、何が必要とされても、あなたは用意が整っていることになろう」。赦しが必要とされても、目覚めが必要とされても、幻想の見極めが必要とされても、心の準備も、実践の準備もすべて整っていることになる。そのために、日常生活をACIMの実践のための練習の場にせよ、ということ。
I. Rules for Decision
決断のルール
1. Decisions are continuous. You do not always know when you are making them.
- decision [disíʒən] : 「解決、決定、決意、決心、決議、裁決」
- continuous [kəntínjuəs] : 「連続的な、持続的な、継続する」
- always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、常に」
❖ "Decisions are ~ "「決定とは、継続的である」。決定は瞬間的なもののように見えるだろうが、決定しそれを実行していく課程を考えれば、決定は継続的なものだと捉えた方が正しい。"You do not always ~ "「あなたがいつ決定を下しているのか、いつもいつも知っているわけではない」。知らず知らずのうちに、決定していることもある。無意識のうちに、決定が次の決定を生み、その決定がまた次の決定を生み出す、というように、決定が知らず知らずのうちに継続していくこともあるのだ。
But with a little practice with the ones you recognize, a set begins to form which sees you through the rest.
- practice [prǽktis] : 「練習、訓練、演習、実践、実行、履行」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、受け入れる」
- set [sét] : 「一組、ひとそろい、一式」
- begin [bigín] : 「〜を始める、〜するようになる」
- form [fɔ́ːrm] : 「形を成す、生じる、できる」
- through [θrúː] : 「〜を通じて、〜を経て」
- see through : 「〜を助けて切り抜けさせる、最後まで助ける、実現するまで捨てない」
- rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分」
❖ "But with a little ~ "「しかし、あなたが認識出来る決定を、少しでも実践することで、」"a set begins to form ~ "「一つのセットというものが形成され、」"which sees you ~ "「そのセットが、あなたが残りのセットを切り抜けるまで助けてくれる」。ここの"set"「セット」は、実践における"step"「段階」と考えればいいだろう。一つの決定を実践することで一つのステップが出来、その助けで、残りのステップをクリアー出来るようになる、という意味合い。計画全体を一度に決定し、一度に実践していくというのではなく、段階を踏んで、少しずつ決定し、その一つ一つを少しずつ実践していくべきだ、ということ。
It is not wise to let yourself become preoccupied with every step you take.
- wise [wáiz] : 「賢い、博学の、博識な、賢そうな」
- preoccupied [priάkjupàid] : 「夢中になった、没頭している、気をとられている」
❖ "It is not wise ~ "「あなた自身を、あなたが取るべきあらゆるステップによって占領させることは、賢いやり方ではない」。計画全体を一度に自分に課す方法は賢くない。決定とその実践は、段階を踏んで少しずつ自分に実行させる方が賢明なのだ。
The proper set, adopted consciously each time you wake, will put you well ahead.
- proper [prάpər] : 「適した、適切な、妥当な」
- adopt [ədɑ́pt] : 「選ぶ、採用する、導入する」
- consciously [kάnʃəsli] : 「意識して、自覚して、認識して」
- each time : 「〜するたびに、いちいち、毎回」
- wake [wéik] : 「目が覚める、眼を覚ます」
- put ahead [əhéd] : 「促進する」
❖ "The proper set, adopted ~ "「あなたが目覚める度に、意識的に適切なセットを採用すれば、それは、あなたをうまく前進させるだろう」。毎朝目が覚めたら、今日行うべき実践ステップ(セット)を意識的に決定し、それを実践していくことで、あなたは目的にどんどん近づいていく。こういう理論を踏まえて、ACIMは、この"Text"の次に、365日分の"Workbook for Students"を用意してくれているわけだ。ACIMが、単なる思想書ではなく、実践の書であると言われる所以(ゆえん)である。
And if you find resistance strong and dedication weak, you are not ready. Do not fight yourself.
- find [fáind] : 「見つける、発見する、〜に気付く、〜と思う、〜と感じる」
- resistance [rizístəns] : 「抵抗、反対、妨害、抵抗力」
- strong [strɔ́ːŋ] : 「強い、力がある、強固な」
- dedication [dèdikéiʃən] : 「献身、専念、熱心さ、専心」
- weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
- ready [rédi] : 「用意ができている、支度が整った、覚悟ができた」
- fight [fáit] : 「〜と戦う、〜に対抗する」
❖ "And if you find ~ "「もしあなたが、強い抵抗感を感じたり、まだ熱意が足りないと思ったら、あなたの(心の)準備は整っていない」。こんな時は、"Do not fight ~ "「自分自身と戦ってはいけない」。時が満ちるまで、つまり準備が出来るまで待たなくてはならないのだ。ACIMの"Workbook for Students"にいきなり取り組んだ人達の多くが失敗する原因がここにある。"Text"による理論付けも知らず、準備が出来ていない段階で、まるで魔法の書を読むように"Workbook"を読んで、たなぼた式に成果を期待するのは誤った実践方法である。ACIMは、書店のあちこちに転がっているハウ・ツー本(How to Book)ではないのだ。
But think about the kind of day you want, and tell yourself there is a way in which this very day can happen just like that. Then try again to have the day you want.
- think about : 「〜について考える」
- kind [káind] : 「種類、質、性質、本質」
- tell [tél] : 「〜に話す、言う、告げる、教える、伝える」
- way [wéi] : 「方法、やり方、手段、方途、様式」
- happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
- try again [əɡéin] : 「再試行する、さらに試みる」
❖ "But think about ~ "「ただ、あなたがどんな一日になって欲しいのか、それを考えなさい」。毎朝目覚めたら、どんな一日になって欲しいか考えて、"and tell yourself ~ "「まさに今日を、ちょうどその様なことが起きる日にすることが出来る方法があるのだと、あなた自身に言いなさい」。その方法を教えてくれるが、ACIMの"Workbook for Students"である。"Then try again ~ "「そして、再び、あなたの望む一日がもてるように努力しなさい」。ACIMを学ぶにしても実践するにしても、一番大切なのは、あなたの意欲であり、強い意思力である。あなたの願いと努力である。テレビを何となく見ているような、そんな態度では、ACIMはものにならないだけでなく、無駄を通し越して害にさえなりかねない。今のままテレビを見ながら幻想世界で眠っていたいなら、ACIMは害にさえなるのだ。逆に、幻想世界から目覚めたいと強く望むのなら、迷うことなく、ACIMを意欲を持って学び実践していけばいい。実りは豊かであり、イエスがそれを保証してくれているのだから。