●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-2.I.2:1 ~ T-2.I.2:7

2. These related distortions represent a picture of what actually occurred in the separation, or the "detour into fear. "
  • related [riléitid] : 「 関係のある、関連した」
  • distortion [distɔ́ːrʃən] : 「ゆがみ、ねじれ、歪曲、ねじ曲げ」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する」
  • picture [píktʃər] : 「絵、像、絵画、光景、見物」
  • actually [ǽktʃuəli] : 「実際は、本当は、実は、実のところ」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
  • separation [sèpəréiʃən] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • detour [díːtuər] : 「迂回路、回り道」
❖ "These related distortions ~ "「これらの関連するねじ曲げは、分離するときに実際に起きた事柄を図式的に示している」。"or the detour ~ "「あるいは、『恐れへと向かう紆余曲折』で実際に起きたことを図式的に示している」。"These related distortions"「これらの関連するねじ曲げ」とは、前文の四段階に分けた真実の歪曲のこと。この関連し合う真実の歪曲の上に立って、神からの分離後、神の子はこの幻想世界を偽創造した。四段階は、その過程を図式的に示してる、というわけである。神からの分離後、神の子は神への裏切りという罪の意識を抱き、神の報復を恐れるようになった。そういう、恐れへと向かう紆余曲折の途中で起きたことも、四段階は、その過程を図式的に示してる。



None of this existed before the separation, nor does it actually exist now. 
  • exist [iɡzíst] : 「存在する、生きている、生存する」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
❖ "None of this ~ "「こんなことは、分離前は存在しなかったし、」"nor does it ~ "「実際、今も存在してはいない」。真実の歪曲など、神の子が神から分離する以前は存在しなかった。もっとも、神の子の神からの分離は、神の子の夢の中の出来事であって、実相的に起きたことではない。したがって、神からの分離も真実の歪曲も、実際は昔も今も存在はしない。幻想は、存在していると錯覚しているだけで、本当は存在していないのだ。



Everything God created is like Him. Extension, as undertaken by God, is similar to the inner radiance that the children of the Father inherit from Him.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • like [láik] : 「〜に似た、〜のような、〜のように」
  • extension [iksténʃən] : 「拡張、伸長、延長、伸展」
  • undertaken [ʌ̀ndərtéikn] : 「undertakeの過去分詞形」
  • undertake [ʌ̀ndərtéik] : 「企てる、始める、〜に着手する、〜に取り掛かる」
  • similar [símələr] : 「似ている、よく似た、同じような」
  • inner [ínər] : 「 内部の、内面的な、精神的な」
  • radiance [réidiənsi] : 「輝き、光輝」
  • inherit [inhérət] : 「相続する、〜を引き継ぐ、受け継ぐ」
❖ ここからの文章は、前の文章と整合性はない。"Everything God ~ "「神が創造したものはすべて、神に似ている」。神は、神に似せて神の子を創造した。それが、神の拡張である。"Extension, as undertaken ~ "「拡張は、神によってなされたように、神の子が神から継承した内面の輝きとよく似ている」。神は、神の内面からの輝きを放つように、神自身を拡張し、神の子を創造した。その輝きは神の子によって継承され、神の子も心の光を拡張する。光り輝く真実の創造が出来るのだ。
"radiance"「輝き、光輝」はACIMのキーワードの一つ。ACIMでは、光は神の拡張を象徴している。光は真実の発散である。神の子も、また、光のエピソードにしばしば遭遇する。光のエピソードについては、Workbookの中で詳しく述べられる。



Its real source is internal. This is as true of the Son as of the Father. 
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • source [sɔ́ːrs] : 「もと、源、起源」
  • internal [intə́ːrnl] : 「内部にある、内の、内部の、内的な、内在的な」
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
❖ "Its real source ~ "「その真の源は内部的である」。光の源は心の内部にあり、したがって、拡張性も心の内部を源とする。つまり、実相世界は、あなたの心の中にあるのだ。天の王国は、手の届かない天の彼方にあるのではない。"This is as true of ~ "「このことは神においても神の子においても同様に真実である」。



In this sense the creation includes both the creation of the Son by God, and the Son's creations when his mind is healed.
  • sense [séns] : 「感覚、正気、意味、意義」
  • in this sense : 「この意味で、この意味において」
  • creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
  • include [inklúːd] : 「 〜を含める、〜を含有する、包含する」
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも、ABいずれも」
  • heal [híːl] : 「癒やす、救う、治す、治癒する、治療する」
❖ "In this sense the creation ~ "「この意味で、創造は、神による神の子の創造も、神の子の心がヒーリングされた時になされる神の子による創造も共に含んでいる」。神が神の子を創造する時、内面の輝きで象徴される拡張によって神の子を創造した。同様に、神の子が幻想から実相へと目覚めるヒーリングを行うとき、真実の輝きを放つ奇跡を創造するのである。



This requires God's endowment of the Son with free will, because all loving creation is freely given in one continuous line, in which all aspects are of the same order.
  • require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
  • endowment [endáumənt] : 「寄付、基金、才能、資性、素質、恵み」
  • free [fríː] : 「自由な、捕われていない、独立した」
  • will [wíl] : 「意志、意欲、願望」
  • free will : 「意志の自由、自由意志」
  • loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、愛情がある、愛情あふれる」
  • freely [fríːli] : 「束縛を受けずに、制限されずに、自由に、惜しみなく」
  • given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
  • continuous [kəntínjuəs] : 「連続的な、持続的な、継続する、絶え間のない」
  • line [láin] : 「線、直線、路線、方向、方針」
  • continuous line : 「実線」
  • aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴」
  • same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
❖ "This requires God's ~ "意訳する、「心の内面の輝きは、神の恵みを必要とし、その恵みは神の子に自由意思として与えられる」。神の子の内面の輝き、つまり、創造性と拡張性は、神の子の自由意思が必要で、それは神からの恵みである。神の子の自由意思、自由選択は、神が神の子に与えた恵みである。"because all loving ~ "「なぜなら、あらゆる愛のある創造は、連続する一本のラインにそって自由に与えられるからだ」。"in which all aspects ~ "「その中においては、すべての側面が同じ序列になっている」。ここは非常に難解な部分で、むしろ文の内容自体が曖昧である。先に『ここからの文章は、前の文章と整合性はない』と書いたが、この当たりから、文章が少々変なのだ。そこで、本文の解説はちょっと後回しにして、少し横道に逸れよう。
今、この『ACIM精読』で取り上げているACIMは1975年版で、俗に"Wapnick Standard Version (WSV)"と呼ばれているものである。一般にはFIP版と呼ばれている。Kenneth Wapnick(ケネス・ワプニック)氏が編集したものである(ヘレンの同意を得ている)。このFIP版より古いもので、"Hugh Lynn Cayce version (HLC版)"というものがある。これは、かの有名なエゴガー・ケーシーの息子であるヒュー・リン・ケイシー が編集したもので、FIP版より内容が原形をとどめていると言われている。そのために、"JESUS’ ORIGINAL DICTATION"と呼ばれることもある。そこで、ACIMの同じ箇所がHLC版ではどのように編集されているかを調べてみよう。謎が解かれる可能性がある。

HLCの同じ箇所は次のようになっている
The world, in the original connotation of the term included both the proper Creation of man by God and the proper creation by man in his right mind.
original [ərídʒənl] : 「最初の、初めての、初代の」
connotation [kὰnətéiʃən ] : 「 含意、言外の意味、暗示するもの、含蓄」
term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語、術語、表現」
include [inklúːd] : 「〜を含有する、包含する」
both [bóuθ] : 「両方の、双方の」
proper [prɑ́pər] : 「適した、適切な 」
creation [kriéiʃən]: 「創造、創作、創作物、作品」
right [ráit] : 「正しい、正当な、合っている、適切な」
❖ この世界は、元来の言葉の意味としての世界は次の2つを含んでいる。すなわち、その一つは神による人間の適正な創造。そして、正しい心をもった人間による適正な創造。

The latter required the endowment of man by God with free will, because all loving creation is freely given.
latter [lǽtər] : 「後者の、あとの」
require [rikwáiər] : 「〜を必要とする、求める、〜に要求する、命じる」
endowment [endáumənt] : 「 才能、資性、素質、天与のもの、恵み」
free will : 「自由意志」
loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、愛情がある、愛情あふれる」
freely [fríːli] : 「束縛を受けずに、制限されずに、自由に、惜しみなく」
given [ɡívən] : 「giveの過去分詞形」
❖ 後者の創造には自由意思という神の恵みが必要である。なぜならば、すべての愛すべき創造は自由になされるからである。

Nothing in these statements implies any sort of level involvement, or, in fact, anything except one continuous line of creation, in which all aspects are of the same order.
statement [stéitmənt] : 「発言、供述、記述」
imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす 」
sort [sɔ́ːrt] : 「種類、性質」
level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
involvement [invɑ́lvmənt] : 「関与すること、巻き込むこと、深い関係」
in fact : 「実は、実のところ」
except [iksépt] : 「ただし、除いて」
continuous [kəntínjuəs] : 「連続的な、持続的な、継続する、絶え間のない」
line [láin] : 「線、直線、路線、方向、方針」
aspect [ǽspekt] : 「局面、状況、側面、特徴」
same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
order [ɔ́ːrdər] : 「順、順序、順番、順位、序列、系列」
❖ いま述べていることは一切のレベルと無関係である。あるいは、事実、創造は一連の出来事としてなされた事を除けば、レベルとは無関係なのである。そして、創造という一連の出来事のどの側面を見ても、そこには上下の序列はなく、みな等しい。

以上がHLCの記述である。どうであろう、ずいぶんイメージがはっきりして来たはずだ。残る問題は、"one continuous line of creation"「創造は一連の出来事」という箇所である。旧約聖書の創世記には、神は始めに天地や物質、動物を創り、最後に人を創ったと記されている。一連の創造である。一連性をそのように考えてもいいが、ここは単純に、神が愛の延長線上に神の子を創造したのだから、神と神の子は一本の線でつながっており、創造とはそういう一連性をもった出来事だと、とらえておこう。いわゆる、連続した拡張である。同様に、この世で親が子をもうける場合も、親から子へと遺伝子を伝え、一連性を保った形で肉体的生命を創造する。これもまた、連続した拡張である。



This requires God's endowment of the Son with free will, because all loving creation is freely given in one continuous line, in which all aspects are of the same order.
❖ 「これには神の子にとって自由意思という神の恵みが必要である。なぜなら、愛すべき創造は一連の出来事として自由になされねばならないからだ。しかも、その一連の創造という出来事のあらゆる側面において、すべてが平等に創られねばならない」。意味は意味として、お分かりになるだろうが、ACIMのイエスは旧約聖書の神と対立しているのである。旧約聖書の神は、人に向かって『地の上を這う生き物をすべて支配せよ』と言った。旧約聖書の創造神は創造物に序列をつけたのだ。一番上に人を置き、他の動物たちを支配させ、動物たちの下に植物や魚を置いた。創造のあらゆる側面で上下の序列をつけたのである。しかしイエスは、不平等の神は偽物であり、真の創造神、創造者は完全な平等性をもって創造しなくてはならない、と述べているのである。

1945年、エジプトのナグ・ハマディで発見されたトマスによる福音書の中に、イエスがトマスだけに秘密を教えるシーンが記されている。トマスが他の弟子達の所に戻ると、他の弟子達はイエスがトマスに教えた秘密を知りたがる。しかし、トマスは秘密を明かさない。なぜなら、そんなことをしたら、他の弟子達はトマスを石をもってなぶり殺しにしてしまうからだと答える。石をもってなぶり殺しにするという意味は、石打の刑は当時のユダヤ教の処刑の方法で、神への冒涜罪に匹敵するということである。つまり、イエスがトマスに教えた秘密とは、神への冒涜と捉えられるべきものだったことがわかる。明らかに、イエスはユダヤ教の伝統的な創造神を偽物だと看破して、それをトマスに教えたのだ。序列を与える不平等な神は本物ではない。序列を与える神は偽物であり、偽の神が一連の創造を行ってこの世界を作ったというのも嘘だ、ということである。なお、他のグノーシス文書の中に、この世界の創造神はデミウルゴスという名の下級の神であること記されている。怒れる神、嫉妬する神、裁く神、復讐する神、それがデミウルゴスであって、知恵の化身であるソフィア神によってデミウルゴスは強く批判される。

余談になるが、ACIMを学ぶ上で、グノーシスを学ぶことは、特にキリスト教徒にとっては、非常に有益である。多少信仰心が揺らぐことを覚悟の上、勇気をもってグノーシスを学んでほしい。グノーシスがすべて正しいなどと言うつもはない。玉石混交の中から、真実をつかみ取ればいいのだ。お勧めは、エレーヌ・ペイゲルスの『ナグ・ハマディ写本―初期キリスト教の正統と異端』である。エレーヌが命を注ぎ込んだ名著である。是非、彼女の研究の成果を熟読されたい。

さらに余談。なぜ、Kenneth Wapnick(ケネス・ワプニック)氏がヘレンと供に、編集という名のもとにオリジナルのACIM(あるいはHLC版)に手を加えたのか、その本当の理由はわからない。コース学習用に最適化したと言われているが、FIP版とHLC版を比較すると、その改竄の多さに驚く。原典であるUrtext(ウテクスト)には、ヘレンとビルに関するイエスとの個人的なやり取りの記述が多々あって、イエスの同意の下でそれを削除したとケネス氏は述懐している。プライバシー保護と、コース学習には不必要だという判断である。Urtextには、セックスに関する記述が多々あるが、FIP版ではセックスに関する記述はすべて切り捨てられた。アカシック・レコードを思わせる"Records"という言葉もすべて削除された。フロイト心理学に関する記述も多数カットされた。

なお、HLC版や1975年版ACIMは著作権がフリーである。2004年5月28日、1975年版ACIMの版権はアメリカにおける裁判によって破棄された。ケネス氏の編集による現在のFIP版は、もちろん、著作権がある。むしろ、著作権を得るために新たな編集を行った、と言った方がいいかもしれない。彼は『Foundation for Inner Peace』という財団組織を継承し、ACIM正統派を自認して、翻訳等の承認権、あるいは公認権を確保している。そのケネス氏も、今は亡き人となった。

 
 
 


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