2. Consider, then, that in this joint will you are all united, and in this only.
- consider [kənsídər] : 「〜と考える、〜を考慮する」
- joint [dʒɔ́int] : 「結合、接合、継ぎ目」
- unite [junáit] : 「結合する、一体となる」
❖ "Consider, then ~ "「そこで、that以下をよく考えてみなさい」。"that in this ~ "「この結合された意志の中に、唯一この中にこそ、あなた方すべてが統一される」。今この瞬間に、喜びと幸福を感じたいというあなたの意志と同胞の意志が結合し、シンクロナイズすることでみんなの心が統一されていく。喜びと幸福を感じるとは神の世界に回帰したときの状態であるから、これは、一なる心(Mind)に向けた第一歩。
There may be disagreement on anything else, but not on this. This, then, is where peace abides.
- disagreement [dìsəɡríːmənt] : 「意見の相違、不一致」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏」
- abide [əbáid] : 「居住する、とどまる」
❖ "There may be ~ "「これ以外に関しては、意見の相違はあるかもしれないが、」"but not on ~ "「しかし、これ(喜びと幸福を感じたいという意志が結合して神の子が統一されるという意見)に関しては相違はない」。今この瞬間、喜びと幸福を感じたいという意志以外に、合意されるべき意志はないし、それによってのみ神の子は再統一される。"This, then, is ~ "「そこで、これこそが、平和の住む所なのだ」。
And you abide in peace when you so decide. Yet you cannot abide in peace unless you accept the Atonement, because the Atonement is the way to peace.
- decide [disáid] : 「決定する、決心する」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り」
- accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
- atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし」
❖ "And you abide ~ "「そして、あなたがそう決心すれば、あなたは平和の内に住むこととなる」。"Yet you cannot ~ "「しかし、あなたが贖罪を受け入れない限りは、平和の内に住むことは出来ない」。"because the Atonement ~ "「なぜならば、贖罪は平和への道であるからだ」。ACIMの贖罪という概念をおさらいしておこう。私達の心が神から分離し、分離したことで神を裏切ったという罪の意識を心の奥底に持つことになった。裏切りという罪への報復として、神はいつか神の子を罰するに違いないという恐れも同時に抱え込んでしまった。その罪と罰の恐怖から自らを解放することがACIMの贖罪である。究極的には、神との分離は単なる夢であったと見抜き、私達は実は神から一歩も離れていなかったこと、私達には罪など一つも無かったこと、完璧な無辜(むこ)の神の子であること、等々を叡知をもって知ることが実相的な贖罪である。その贖罪を果たさない限り、心の奥底にいつまでも罪を抱えていることになり、真の心の平和を得ることは出来ない。
The reason is very simple, and so obvious that it is often overlooked.
- reason [ríːzn] : 「理由、原因、根拠」
- simple [símpl] : 「簡単な、単純な、容易な」
- obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な」
- often [ɔ́ːfn] : 「しばしば、たびたび」
- overlook [òuvərlúk] : 「見落とす、見逃す」
❖ "The reason is ~ "ここは"~ so ~ that ~ "の構文、「(贖罪が必要だという)その理由は、とても簡単であまりにも明白であるため、時々見落とされてしまう」。罪の意識をもっていたのでは真に平和の内に暮せないということはあまりにも明白だ。したがって、平和の内に暮すためには、幻想の罪を消滅させること(贖罪)が必要であることも明白だ。しかし、あまりにも単純明快な論理なので、見落とされる可能性が大きい。
The ego is afraid of the obvious, since obviousness is the essential characteristic of reality.
- be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- obviousness [άbviəsnis] : 「自明性、明らかなこと」
- essential [isén∫l] : 「絶対必要な、必須の」
- characteristic [kæ̀rəktərístik] : 「特徴、特性、特色」
- reality [riǽləti] : 「現実、真実、実相」
❖ "The ego is afraid ~ "「エゴは明白なことを恐れる」。"since obviousness ~ "「なぜなら、明白であることは、実相の必須な特徴だからだ」。エゴとは、私達の心が投影によって作り出した幻想である。幻想のエゴは幻想の世界にしか住むことは出来ず、真の現実、実相を恐れる。なぜなら、自分の化けの皮が剥がされる危険性があるからだ。ところで、実相とはおのずから明白であるという特徴をもつ。奇怪千万な実相など、神が創造するわけがない。そこで、エゴは実相の特徴である明白性を恐れるのだ。
エゴは私達の心が投影によって作り出した幻想であると述べたが、いい機会なので、もう少し詳しく説明しよう。一なる心が神と一体であったとき、その状態こそ純粋一元論の世界であった。ところが、その一なる心が、ひょっとして、自分は神なしで神のように存在できるのではないか、と思った瞬間、心は神から分離する。それは純粋一元論の破綻であった。心は純粋一元論から離反し、二元論世界を構築する。つまり、あらゆるものがその対極をもたざるを得なくなる。心の正しい部分がホーリー・スピリットの住む場所であり、対極の、心の誤った部分にエゴを作り出した。まさに、作り出したのであって、実相の実在としてエゴが存在するわけではない。こうして、実相の外に、幻想としてのエゴがでっち上げられ、投影という形で世界、宇宙、身体が幻想されるようになった。ACIMの目的は、その幻想をかき消して、元の、神と一体である純粋一元論の世界に回帰することである。
Yet you cannot overlook it unless you are not looking.
- overlook [òuvərlúk] : 「見落とす、見て見ぬふりをする」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
❖ "Yet you cannot ~ "「しかし、(あなたが見ないならともかく)見ているならば、あなたはそれを見落とすことはない」。それとは、平和の内に住むためには贖罪が必要であるということ。それほど明白なことだ、ということ。
3. It is perfectly obvious that if the Holy Spirit looks with love on all he perceives, he looks with love on you.
- perfectly [pə́ːrfiktli] : 「完全に、完璧に」
- obvious [άbviəs] : 「明らかな、明白な」
- perceive [pərsíːv] : 「知覚する、〜を理解する」
❖ "It is perfectly ~ "「that以下は完全に明白である」。"that if the Holy Spirit ~ "「もし、ホーリー・スピリットが、知覚するすべてに対して愛をもって見るならば、」"he looks with ~ "「ホーリー・スピリットは、愛をもってあなたを見ているはずだ」。
His evaluation of you is based on his knowledge of what you are, and so he evaluates you truly.
- evaluation [ivæ̀ljuéiʃən] : 「評価、見積もり、評定」
- base [béis] : 「〜の基礎を形成する」
- base on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
- knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、知恵、知見」
- evaluate [ivǽljuèit] : 「評価する、判断する」
- truly [trúːli] : 「全く、本当に、真に」
❖ "His evaluation of ~ "「ホーリー・スピリットがあなたを評価するとき、それは、真のあなたが何なのかという叡知に基礎を置いている」。"and so he ~ "「したがって、ホーリー・スピリットはあなたを正しく評価する」。ホーリー・スピリットはあなたを見掛けで評価したりしない。幻想の世界におけるあなたを見て評価することもない。実相の世界において、真実のあなた自身を愛をもって見て、その上で評価している。したがって、その評価は間違いがない。
And this evaluation must be in your mind, because he is. The ego is also in your mind, because you have accepted it there.
- accept [əksépt] : 「認める、受け入れる」
❖ "And this evaluation ~ "「そして、この評価はあなたの心の中にある」。"because he ~ "「なぜなら、ホーリー・スピリットはあなたの心の中にいるからだ」。"The ego is also ~ "「エゴもまた、あなたの心の中にいる」。"because you have ~ "「なぜならば、エゴがそこにいることを、あなたが受け入れたからだ」。ホーリー・スピリットもエゴも共にあなたの心の中にいるのだが、ホーリー・スピリットは実相の中にいる実在。エゴは幻想の中にいる錯覚。その違いを間違えないようにしなければならない。レベル・コンフュージョンを起こしてはいけない。もっとも、エゴの成立過程を考えれば、混乱は起きまいが。
Its evaluation of you, however, is the exact opposite of the Holy Spirit's, because the ego does not love you.
- exact [igzǽkt] : 「正確な、的確な」
- opposite [άpəzit] : 「反対、正反対、逆」
❖ "Its evaluation of ~ "「しかしながら、エゴの評価は、ホーリー・スピリットの評価とまったく正反対である」。"because the ego ~ "「なぜならば、エゴはあなたを愛していないからだ」。ホーリー・スピリットは愛をもってあなたを見て評価するが、エゴは愛をもってあなたを見ることはない。エゴには愛という概念がないのだ。
It is unaware of what you are, and wholly mistrustful of everything it perceives because its perceptions are so shifting.
- unaware [ʌnəwέər] : 「無意識の、気付かない」
- be unaware of : 「〜に気付いていない、〜を知らない」
- wholly [hóulli] : 「完全に、全く、全体として」
- mistrustful [mistrʌ́stfəl] : 「信用しない、不信の多い」
- be mistrustful of : 「〜に不信感を抱いている、〜を信用していない」
- perception [pərsépʃən] : 「知覚、知見、感じ方」
- shifting [ʃíftiŋ] : 「移動する、変わりやすい」
❖ "It is unaware ~ "「エゴは、本当のあなたが何であるか知らない」。"and wholly mistrustful ~ "「そして、エゴが知覚したすべてに対して、エゴは完全に信用を置くことはいない」。"because its perceptions ~ "「なぜなら、エゴの知覚は移り変わりが激しいからだ」。エゴは一貫性がなく、気まぐれである。なぜなら、あなたに対する愛がないからだ。
The ego is therefore capable of suspiciousness at best and viciousness at worst.
- capable [kéipəbl] : 「能力がある、有能な」
- be capable of : 「〜の能力がある、〜ができる」
- suspiciousness [səspíʃəsnis] : 「疑わしさ、不信感」
- at best : 「よくても、せいぜい」
- viciousness [víʃəsnis] : 「意地悪さ、悪質さ、敵意」
- at worst : 「最悪の場合、最悪の状態で」
❖ "The ego is ~ "「したがって、エゴは良くて疑い深くなるか、悪くて悪意に満ちるか、どちらかである」。
That is its range. It cannot exceed it because of its uncertainty. And it can never go beyond it because it can never be certain.
- range [réindʒ] : 「範囲、幅、程度」
- exceed [iksíːd] : 「超える、〜をしのぐ、〜に勝る」
- uncertainty [ʌnsə́ːrtnti] : 「確信のなさ、不確かさ、不確実さ」
- certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、確信して」
❖ "That is its range"「エゴのとれる態度など、そんな範囲である」。"It cannot exceed ~ "「エゴは半信半疑なので、その範囲を超えることが出来ない」。あなたに対する一貫性のある愛をもっていないので、エゴは疑いと悪意の範囲を超えることが出来ない。"And it can never ~ "「そして、エゴがそれを越え得ないというのは、エゴは決して確信というものを持てないからである」。一貫性がないとは、確信がないからだ。エゴは何ものも信じることが出来ない。エゴは自分さえ信じていない。愛なくして信じることは不可能なのだ。