IV. The Inheritance of God's Son
神の子が継承したもの
1. Never forget that the Sonship is your salvation, for the Sonship is your self.
- forget [fərgét] : 「〜を忘れる、見落とす」
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い」
❖ "Never forget that ~ "「神の子であることが、あなたの救いであることを決して忘れないようにしなさい」。"for the Sonship ~ "「なぜなら、神の子であるということは、あなた自身なのだから」。本当のあなた自身である神の子に目覚めることが、あなたの本当の救いだ。
As God's creation it is yours, and belonging to you it is his. Your self does not need salvation, but your mind needs to learn what salvation is.
- creation [kriéiʃən] : 「創造、創作、創作物」
- belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、習う、〜を知る」
❖ "As God's creation ~ "「神が創造したものであるから、神の子であるということはあなたのものである」。直訳すると変な意味になるが、要するに、神はあなたを創造したので、あなたは神の子だということ。"and belonging to ~ "分詞構文、理由、「そして、神の子であることはあなたに属しているので、それは神のものでもある」。ここも直訳すると意味がとりにくいのだが、あなたが神の子という身分を有している事実は、元をたどれば神にその起源がある、つまり、神があなたの父である、ということ。あなたが神の子である(Sonship)と同時に、神はあなたに対して父性(Fatherhood)をもっているということだ。"Your self does ~ "「(本当の)あなた自身は、救いを必要としていない」。本当のあなた自身はすでに真実に目覚めているからだ。ここの"Your self"は、ハイヤー・セルフ(高我)と考えてもいいかもしれない。実相に存在するあなた自身のことだ。"but your mind ~ "「しかし、あなたの心は、救いとは何であるか、学ぶ必要がある」。ここのあなたは、目覚めていないあなた。夢(幻想)の中でエゴを演じている自己である。分裂した心の断片が投影した自己。その分裂した断片の心は、救いを必要としている。救いとは目覚めのことである。
You are not saved from anything, but you are saved for glory.
- save [séiv] : 「救う、助ける」
- glory [glɔ́ːri] : 「栄光、名誉、誇り」
❖ "You are not ~ "「あなたは何かから救われるのではない」。"but you are ~ "「栄光のために救われるのである」。さて、難解である。本当のあなた自身(ハイヤー・セルフ)は実相の世界に存在しているので救いの必要はない。しかし、夢(幻想)の中で自己(エゴ)を演じているあなたの心は救いを必要としている。救いとは、夢(幻想)から目覚め、真実の実相に回帰することである。夢や幻想は実在ではないから、その意味では実体をもった何かから救われるわけではない。単に目を覚ませばいいだけの話しだ。では、目を覚ますとは具体的にどういうことか? 文章の流れから判断すると、それは、あなたが神の子としての栄光(glory)をもっているという事実を受け入れることだ。あなたを創造した父なる神の栄光と、それを継承したあなた自身の栄光を受け入れることだ。したがって、あなたの心の救いは、具体的な何からか逃げ出すことではなく、本来備わっている栄光に向かって歩き出すことなのである。
Glory is your inheritance, given you by your creator that you might extend it.
- inheritance [inhérətəns] : 「継承、受け継いだもの」
- creator [kriéitər] : 「創造者、創作者」
- so that : 「〜できるように」
- extend [iksténd] : 「広げる、拡張する、拡大する」
❖ "Glory is your ~ "「栄光はあなたが(神から)継承したものだ」。"given you by ~ "分詞構文、理由、beingを先頭に補えばいい、「あなたが栄光を拡張できるように、あなたの創造主から与えられたものだからだ」。ここの"that"は"so that"の省略形。ACIMではよく用いられている。
Yet if you hate part of your Self all your understanding is lost, because you are looking on what God created as yourself without love.
- hate [héit] : 「嫌がる、嫌悪する、憎む」
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、喪失する、なくす」
- look on A as B : 「AをBと見なす」
❖ "Yet if you hate ~ "「しかし、もしあなたが、真のあなた自身の一部でも嫌うのであれば、」"all your understanding ~ "「あなたは理解のすべてを失うことになる」。ここの"your Self"は実相世界の真のあなた自身、ハイヤー・セルフと考えていいだろう。ACIMでは、一部の否定は全体の否定を意味する。真の自分の一部でも否定すれば(嫌悪すれば)、自分のすべてを否定したことになる。自己を否定しておいて、それが自分を理解したとことになるだろうか。 "because you are ~ "「なぜなら、あなたは、神が創造したものを、愛を持たずに、自分自身だと見ているからだ」。神は愛の延長上に神の子を創造した。本当のあなたは神の子であると理解できれば、神の愛を知ることになる。愛は理解につながるが、憎悪が愛を育むことはない。
And since what he created is part of him, you are denying him his place in his own altar.
- since [síns] : 「〜なので、〜だから」
- deny [dinái] A B : 「AにBを与えない」
- altar [ɔ́ːltər] : 「祭壇、聖餐台」
❖ "And since what ~ "「そして、神が創造したものは神の一部なので、」"you are denying ~ "「あなたは、神自身の祭壇に、神の居場所を与えていないことになる」。神の栄光を讃えるべき祭壇に神の居場所を作らないとは、簡単に言えば、神を否定すること。何を言いたいのかというと、あなたが真の自分を否定することは、神があなたを創造したことを否定することにつながり、結局、神を否定することになる、ということ。自己否定は神の否定である。
2. Could you try to make God homeless and know that you are at home?
- homeless [hóumlis] : 「家のない、住む家もない」
- at home : 「くつろいで、気楽に、在宅して」
❖ "Could you try ~ "直訳すると、「あなたは、神から家を奪おうとし、その上あなたが家でくつろいでいると知ることなど出来るだろうか」。つまり、神を否定しておいて、心の真の平和を得ることなど出来ない、ということ。
Can the Son deny the Father without believing that the Father has denied him?
- deny [dinái] : 「〜を否定する、拒絶する」
❖ "Can the Son ~ "「父なる神が神の子を否定したと信じることなく、神の子が父なる神を否定することが出来るだろうか」。神を否定することは、自分がどこかで神から否定されたと信じることの表れだ。しかし、神が自分の創造した神の子を否定することなど決してない。
God's laws hold only for your protection, and they never hold in vain.
- law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規」
- hold [hóuld] : 「有効である、適用できる」
- protection [prətékʃən] : 「保護、擁護、防御」
- vain [véin] : 「無駄な、無益な、無価値な」
- in vain : 「無駄に」
❖ "God's laws hold ~ "「神の法は、あなたを防御するためだけに有効である」。"and they never ~ "「そして、神の法は、その効果が無駄になることはない」。神の法はあなたを守る。あなたの真実を守る。そんな神があなたを否定するわけがない。
What you experience when you deny your Father is still for your protection, for the power of your will cannot be lessened without the intervention of God against it, and any limitation on your power is not the Will of God.
- experience [ikspíəriəns] : 「〜を経験する、〜を体験する」
- power [páuər] : 「力、パワー、能力」
- will [wíl] : 「意志、意欲」
- lessen [lésn] : 「〜を減少させる、小さくする」
- intervention [ìntərvénʃən] : 「介入、干渉」
- limitation [lìmətéiʃən] : 「制限、極限、限定」
❖ "What you experience ~ "「あなたがあなたの父なる神を否定する時にあなたが経験することでさえ、あなたを防御するために役立つ」。"for the power ~ "「なぜなら、あなたの意志のパワーは、神があなたの意志に反して介入しない限り、減少させられることは不可能だからだ」。"and any limitation ~ "「そして、あなたのパワーが制限されるようなことは何でも、神の意志ではない」。神が神の子に継承した意志のパワーは、たとえ神の子が神を否定する立場をとったとしても、その力を弱めることはない。神の子の意志のパワーを弱めることは神の望むこと(意志)ではないからだ。したがって、神を否定する神の子でさえ、自己を防衛する自由意志というパワーをもち、またその力を確実に経験するのである。
Therefore, look only to the power that God gave to save you, remembering that it is yours because it is his, and join with your brothers in his peace.
- look to : 「〜を頼みにする、〜に目を配る」
- save [séiv] : 「救う、助ける」
- remember [rimémbər] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
- join [dʒɔ́in] : 「加わる、参加する」
❖ "Therefore, look ~ "「したがって、神があなたを救うために与えたパワーだけを頼みにしなさい」。"remembering that ~ "分詞構文、付帯状況、「そして、そのパワーは神のものであるからこそ、あなたのものでもあるのだと覚えておきながら、」"and join with ~ "「神の平和の中に、同胞とともに参加しなさい」。実相的には、神の意志と神の子の意志は同一であり、個々の神の子はこれもまた同一だ。そうであるなら、実相的な平和の中に住まうには、同胞と自分が同一であることを受け入れ、自分の意志と神の意志とが同一であることを知る必要がある。