●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-29.II.10:1 ~ T-29.III.1:10

10. As "something" is the body asked to be God's enemy, replacing what He is with littleness and limit and despair.
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • replace [ripléis] : 「〜を取り換える、交換する、差し替える、置き換える」
  • littleness [lítlnis] : 「小さいこと、卑小さ」
  • limit [límit] : 「制限、極限、限度」
  • despair [dispέər] : 「絶望、失望、落胆」
❖ "As "something" is the body ~ "「その『何か』として、肉体は、神の敵になることを求められる」。"replacing what He ~ "「そして、神であるところのものを、卑小さや制限や絶望で置き換えるのである」。ここの"something"は、前段落の、"As something, it can be perceived and thought to feel and act, and hold you in its grasp as prisoner to itself."「実体をもった何かとして、肉体は、知覚される可能性があり、感じ行動出来るものと思われるのだ」この部分を受けている。本文は、肉体が神の代わりになって神の座に据えられ、神を敵に回すように仕向けられた、ということ。その結果、卑小さと制限と絶望が、この幻想世界に蔓延(はびこ)ることとなったのだ。なぜなら、卑小さと制限と絶望は、肉体のもつ属性だからだ。



It is His loss you celebrate when you behold the body as a thing you love, or look upon it as a thing you hate.
  • loss [lɔ́s] : 「敗北、敗戦、失うこと、紛失、損失、喪失」
  • celebrate [séləbrèit] : 「祝う、祝賀する、記念する」
  • behold [bihóuld] : 「見守る、注視する」
  • look upon : 「〜を見る」
  • hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
❖ "It is His loss you ~ "「あなたが肉体を、あなたの愛するものと見たり、あるいは、あなたの嫌うものと見たりしたときは、あなたは、神の敗北を祝っていることになる」。肉体を実在だと信じて、愛したり憎んだりしている限り、神の存在は疎(おろそ)かになり、いわば、神が肉体に敗北したことを、あなたは祝っているようなものなのだ。



For if He be the sum of everything, then what is not in Him does not exist, and His completion is its nothingness.
  • sum [sʌ́m] : 「合計、和、計、金額」
  • exist [igzíst] : 「存在する、生きている、生存する、存続する」
  • completion [kəmplíːʃən] : 「完成、完了、終了」
  • nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
❖ "For if He be ~ "「もし神が、あらゆるものの総体であるなら、」"then what is not ~ "「その時は、神の中にないものは、どこにも存在しないのであり、」"and His completion ~ "「神の中にないものは無であるということが、神の完成を意味している」。神は、実相世界のあらゆるものを包摂する存在である(all-encompassing)。したがって、その中に含まれていないものは、実相世界には存在しないのであり、あらゆるものがそうである限り、神は完成していると言える。では、肉体は神の中に存在しているだろうか? 存在していないのだ。だから、肉体は実相的には無であり、幻想に過ぎないのである。その無なる肉体に神の座を譲ることが、いかに馬鹿馬鹿しいか、論ずるのも馬鹿馬鹿しい。



Your savior is not dead, nor does he dwell in what was built as temple unto death.
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • dead [déd] : 「死んでいる、生命のない、終わってる」
  • dwell [dwél] : 「住む、居住する、存在する」
  • built [bílt] : 「build の過去形、過去分詞形」
  • build [bíld] : 「建てる、建造する、構築する、架設する」
  • temple [témpl] : 「神殿、寺院、教会、殿堂」
❖ "Your savior is ~ "「あなたの救い主は死んではいないし、」"nor does he dwell ~ "「死の寺院として建てられたものの中に住んでもいない」。あなたを幻想世界から救ってくれる救い主は、無という死の世界に存在しているのではない。したがって、救い主は、死の寺院(temple unto death)である肉体を持たない。幻想を住み家としていないのだ。



He lives in God, and it is this that makes him savior unto you, and only this.
  • make : 「〜を〜の状態にする、〜に〜させる」
❖ "He lives in ~ "「救い主は、神の中に生きている」。"and it is this that ~ "「そして、神の中に生きていることが、彼を、あなたの救い主にしているのであって、ただそれしかない」。神の中に生きるとは、簡単に言えば、実相世界に生きるということ。実相世界に目覚めて、実相世界に生きることが、その人を救い主にするのである。幻想世界に、幻想を抱いたまま生きている者が、どうして他者を実相世界に目覚めさせることが出来るだろう。他者を救うことが出来るだろうか。



His body's nothingness releases yours from sickness and from death. For what is yours cannot be more or less than what is his.
  • release [rilíːs] : 「解放する、自由にする、放つ、離す」
  • sickness [síknəs] : 「病気」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
❖ "His body's nothingness ~ "「救い主の肉体が無であるということが、あなたの肉体を病や死から解放するのだ」。肉体が幻想に過ぎず、無であるということを認識出来たとき、そして、それを受け入れ受け流し、赦す事が出来たとき、幻想の肉体は消滅し、病と死から解放されるのだ。救い主は、自らの肉体の幻想性、つまり、無であることに気付き、肉体から解放された。その、肉体から解放された救い主が、今度はあなたを解放してくれるのである。"For what is yours cannot ~ "「なぜなら、あなたのものであるものは、彼のものであるものより、多いこともなければ少ないこともないからだ」。自他一如。救い主も、あなたも同じなのである。だから、救いも、平等に実現するのだ。
 
 
 
 
 
 
III. God's Witnesses
神の証人
 
 
 
1. Condemn your savior not because he thinks he is a body. For beyond his dreams is his reality.
  • condemn [kəndém] : 「〜に有罪の判決を下す、〜を非難する、責める」
  • savior [séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
  • reality [riǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "Condemn your savior ~ "「あなたの救い主となるべき者が、(まだ)、自分は肉体だと思っているからといって、彼を責めてはいけない」。"For beyond his ~ "「なぜなら、彼の見ている夢の向こうに、彼の実相があるからだ」。その夢から覚めて、夢の向こうの実相に気付いたとき、彼は、あなたの救い主となるのだ。だから、今はまだ、自分の存在を肉体だと思っている彼を責めることはない。時が満ちるのを待てばいいのだ。段取りはすべて、ホーリー・スピリットが整えてくれる。ただし、あなたは、救われたいという意思を表示しておく必要はある。救いを選択しなくてはならないのだ。



But he must learn he is a savior first, before he can remember what he is. And he must save who would be saved.
  • learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
  • first [fə́ːrst] : 「初めて、最初に、まず第一に」
  • before [bifɔ́ːr] : 「〜する前に、〜より前に、〜より先に」
  • remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "But he must learn ~ "「しかし彼は、〜する前に、まず初めに、自分が救い主であることを学ばなくてはいけない」。"before he can ~ "「彼が、本当の自分を思い出すことが出来る前に、」自分が救い主であることを学ばなくてはいけない。"And he must save ~ "「そして、救われたいと願っている者を、彼は救わなくてはならないのだ」。あなたの救い主になってくれる者は、彼が神の子であるという事実を思い出す前に、まず、自分が同胞を救う役割を持っていることを学び、あなたを救うことになるだろう。そして、あなたを救うことで彼も救われ、共に実相に目覚めて、自分が神の子であることを思い出すのである。ここでは、彼があなたを救うという表現をしているが、彼とあなたをすっかり入れ替えてもいい。自他一如なのだから、どっちが先でどっちが後でも同じなのだ。



On saving you depends his happiness. For who is savior but the one who gives salvation?
  • depend [dipénd] : 「〜次第である、依存する、〜による」
  • happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ 」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "On saving you ~ "「彼の幸せは、あなたを救うことに依存している」。固い言い回しだが、要するに、あなたを救うことで、彼は幸せになれる、ということ。"For who is savior but ~ "「なぜなら、救いを与える者が、救い主でなくて何だろうか」。救いという役割を与えられた救い主は、救うことでこそ幸せになれるのだ。それは同時に、自らを救うことでもあり、救いを分かち合うことでもある。だから、必ず、幸せになるのだ。



Thus he learns it must be his to give. Unless he gives he will not know he has, for giving is the proof of having.
  • thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
  • unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
  • proof [prúːf] : 「証拠、立証、証明、証し」
❖ "Thus he learns it ~ "「こうして彼は、(救いを)与えることが彼の(役割に)違いないと学ぶのである」。"Unless he gives ~ "「彼が救いを与えない限り、彼が救いという役割をもっていることを知ることはないだろう」。言い換えれば、救うことで、自分が救い主だとわかるのだ。ちょうど、愛することで、自分に愛があることが分かるのと同じである。実は、救いと愛は、ほとんど同一なのだ。愛とヒーリングもほとんど同一である。"for giving is ~ "「なぜなら、与えることは、持っていることの証拠であるからだ」。救いを与えることは、救うパワーを持っていることの証拠である。



Only those who think that God is lessened by their strength could fail to understand this must be so.
  • those who : 「〜する人々」
  • lessen [lésn] : 「〜を減少させる、少なくする、小さくする」
  • strength [stréŋkθ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
  • understand [ʌ̀ndərstǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Only those who ~ "「力によって神の影響力を減少させることが出来ると考える者達だけが、」"could fail to understand ~ "「救いを与えることが、救いを与えるパワーを持っている証拠なのだということを理解出来ないのである」。力ずくで神からパワーを奪ってやろうなどと考える者達にとっては、パワーが始めから自分に備わっているという事実を理解出来ないのだ。ましてや、そんな輩(やから)にとっては、与えることと得ることが同一なのだという真実は理解出来ない。



For who could give unless he has, and who could lose by giving what must be increased thereby?
  • lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
  • increase [inkríːs] : 「〜を増やす、増大させる、増加させる」
  • thereby [ðὲərbái] : 「それによって、その結果、従って」
❖ "For who could ~ "「なぜなら、いったい誰が、持ってもいないのに、与えることが出来るだろう」。"and who could lose ~ "「いったい誰が、与えることで増やされるものを与えることで、失うことが出来るだろう」。与えることと得ることは同一なのである。これは神の法であって、実相世界の基本法則である。真実はすべて、この法に従う。したがって、与えて減るようなものは真実ではなく、クズであり、幻想に過ぎない。愛は、与えれば与えるほど増えるのだ。救いは、救えば救うほど、救われるのである。ヒーリングは、ヒーリングすることでヒーリングされるのだ。奇跡は、与えることで奇跡を得る。パワーは、与えることで増大していくのである。巷の似非ヒーラーは、エネルギーを与え過ぎて疲れてしまった、などと言っているが、だから、偽物なのである。
 
 
 



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