8. Sickness is a demand the body be a thing that it is not. Its nothingness is guarantee that it can not be sick.
- sickness[síknəs] : 「病気」
- demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望、ねだり」
- nothingness [nʌ́θiŋnis] : 「存在しないこと、無、非実在、無価値」
- guarantee [ɡæ̀rəntíː] : 「保証する、請け合う、約束する」
- sick [sík] : 「病気で、病気の、不健全な、調子が悪い」
❖ "Sickness is a demand ~ "「病は、肉体を、肉体ではないものにする要求である」。肉体は、本来、何の影響力ももたない幻想に過ぎないのだが、肉体を、大きな影響力をもつように改ざんしようとしたものが病である。"Its nothingness is ~ "「肉体は無であるということが、肉体は病になることは不可能だということを保証している」。肉体は単なる幻想であり、いわば、無という存在である。実体をもたないのだから、本来は病などという現象を起こすことはないのだ。しかし、正気さを欠いた心は、無である肉体を利用して、あたかも肉体が病を発症したかのように、肉体の上に病という幻想を展開して見せるのである。病んだ心は、肉体の病に影響力を、いわば魔力を、持たせるのだ。
In your demand that it be more than this lies the idea of sickness. For it asks that God be less than all He really is.
- more than : 「〜を超える、〜より多い、〜を上回る」
- lie [lái] : 「ある、存在する」
- idea [aidíːə] : 「考え、着想、アイデア、発想、思い付き」
- ask [ǽsk] : 「〜を頼む、依頼する、〜を求める」
- less than : 「〜未満の、〜に満たない、決して〜でない」
- really [ríəli] : 「実際には、ほんとうは、確かに、本当に」
❖ "In your demand that ~ "「肉体に対して、それ以上のものになるように求めるあなたの要求の中に、病という概念が存在する」。肉体は無であり、実体はないのだが、あなたは肉体に対して、実体があり実在して欲しいという要求を突きつける。肉体に対して、過分な要求をしているのだ。そこに、歪みやひずみが生じて、病が発生する。と言うより、過分な要求によって心の歪みやひずみが生じ、それを病という形で肉体の上に反映させてしまうのだ。"For it asks that God ~ "「なぜなら、それは神に対して、実際の神であるところもの以下を求めていることだからである」。意味が取りにくい箇所であるが、『神』という言葉を『実相』に置き換えると理解しやすいだろう。実相は、本来、実在する真実だけで構成されているのだが、正気さを欠いた心は、実相的な完全性を崩して、非実在の幻想である肉体を作り出したり、無である肉体にさらなる幻想の病を押し付けたりして、心を、実相以下のものに改竄(かいざん)しているのだ。肉体と病の存在を信じるとは、神に直結する心を、それ以下のものに、つまり、幻想で汚された心に改竄しようとする要求なのである。
What, then, becomes of you, for it is you of whom the sacrifice is asked?
- become of : 「〜はどうなるのか」
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ」
- ask of : 「〜に要求する」
❖ "What, then, becomes ~ "「そこで、あなたはどうなるのか」。"for it is you of whom ~ "「なぜなら、犠牲を求められているのはあなただから」。あなたの幻想の肉体が病によって苦しめられ、痛めつけられるのだ。あなたが犠牲を強いられるのである。つまり、正気さを失って歪んだ心は、その歪みを肉体の上に投射し、肉体的な病を発生させて、あなたの関心を肉体とその病に向けるのである。あなたは苦と痛みを強いられて、病の犠牲者となるわけだが、歪んだ心は、あなたが肉体とその病に苦しめられて、そこに関心を向けている限りは、安泰なのだ。いわば、歪んだ心が自己防御しているのである。歪んだ心とは、エゴに支配された心のことだ。そして、これが、エゴの支配の実体なのである。
For He is told that part of Him belongs to Him no longer.
- told [tóuld] : 「tell の過去・過去分詞形」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- belong [bilɔ́ːŋ] to : 「〜に属する、〜の所有物である」
- no longer : 「もはや〜でない」
❖ "For He is told that part ~ "「なぜなら、神は、神の一部はもはや神に属していないと告げられるからだ」。実相の真実だけで構成されていた神の子は、自ら進んで幻想を身にまとい、真実から虚偽へと身をやつしたのだ。神の子は、神と分離してしまったのである。神の子は、神から分離した神の子自身を、今、夢に見ているのである。
He must sacrifice your self, and in His sacrifice are you made more and He is lessened by the loss of you.
- sacrifice [sǽkrəfàis] : 「〜を犠牲にする、〜をいけにえにする」
- lessen [lésn] : 「〜を減少させる、少なくする、小さくする」
- loss [lɔ́s] : 「失うこと、紛失、損失、喪失」
❖ "He must sacrifice ~ "「神は、あなたの自己を犠牲にしなくてはならず、」"and in His sacrifice ~ "「神があなたを犠牲にすることで、あなたはますます膨れ上がるだろうが、」"and He is lessened ~ "「神は、あなたを失うことで小さくなってしまうのだ」。本来、神と神の子は一体であり同体であったのだが、神の子が神から分離し、幻想世界を打ち立ててしまった。その意味では、神は、神の子を幻想に譲ってしまった、あるいは、神の子を犠牲にしてしまったのだ。こうして、神の子であるあなたは、幻想に幻想を重ねてますます肥大化し、神は神の子を失って小さくなってしまったのだ。小さくなるとは、神の子を偲んで寂しがっているということ、あるいは、神の子に対する愛の行き場を失っている、ということ。
And what is gone from Him becomes your god, protecting you from being part of Him.
- gone [ɡɔ́ːn] : 「go の過去分詞形」
- protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "And what is gone from ~ "「そして、神から去ったものが、あなたの神となった」。神の子は、神から分離して、幻想の神を打ち立てたということ。今や、物質が神であり、お金が神であり、肉体が神となった。あるいは、神の子を裁いたり罰っしたりする奇っ怪な偽の神を打ち立てた。ここでは、肉体に焦点をあてて、幻想の肉体が神として打ち立てられた、ということ。"protecting you from ~ "「こうして、あなたを神の一部であることから引き離して守ろうというわけである」。幻想世界に逃げ込んだ神の子は、実相世界から隠れて生きて行くことになったのだ。神から隠れて生きているのである。具体的には、神と直結する心の最も純粋で神聖な部分の存在を忘れて、エゴに支配され正気を失った心の暗い部分だけを心のすべてだと思い込んだのだ。
9. The body that is asked to be a god will be attacked, because its nothingness has not been recognized. And so it seems to be a thing with power in itself.
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- power [páuər] : 「力、能力、勢力」
❖ "The body that is asked ~ "「神になるように求められた肉体は、攻撃されることになろう」。神から分離して、その分離を象徴するものが肉体なので、分離の必然として、他者からの攻撃に曝(さら)されることになる。"because its nothingness ~ "「なぜなら、肉体が無であることが、認識されないからなのだ」。肉体は実体を持たない幻想で、単なる無に過ぎないのだが、あたかも実体をもって分離して存在しているかのように見られるので、他者の攻撃の目標になる。逆に、あたなは、他者の肉体を攻撃目標にしてしまうのだ。"And so it seems to be ~ "「肉体は無であると認識されないから、肉体はそれ自体にパワーをもったもののように見えるのである」。しかも、そのパワーは、他者を攻撃する暴力として位置づけられるのである。
As something, it can be perceived and thought to feel and act, and hold you in its grasp as prisoner to itself.
- perceive [pərsíːv]] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
- thought [θɔ́ːt] : 「think の過去・過去分詞形」
- feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
- act [ǽkt] : 「行動する、振る舞う」
- hold [hóuld] : 「〜の状態にしておく」
- grasp [ɡrǽsp] : 「保持、支配、掴むこと、把握、理解」
- prisoner [prízənər] : 「囚人、捕虜」
❖ "As something, it can be ~ "「実体をもった何かとして、肉体は、知覚される可能性があり、感じ行動出来るものと思われるのだ」。肉体は幻想であり無であるのだが、あたかも、肉体が独立して存在し、肉体が自立して感じ、自立して行動しているかのように知覚されるのである。我々は、それにすっかり騙されている。実在の心の存在を疎(おろそ)かにしてしまうのだ。
And it can fail to be what you demanded that it be.
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる、破産する、倒産する」
- demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
❖ "And it can fail to be ~ "「そして、肉体は、あなたが肉体に対してそうあって欲しいと要求することを、しくじる可能性がある」。あなたは無の肉体に対して、あたかも実在しいるかのように幻想し、肉体が攻撃のパワーをもって他者を圧倒し、肉体がすべての問題を解決すべきだと、多くを肉体に求めるのだが、しかし、肉体はそれに応えられずに、逆に、他者からの攻撃を受けたり、意に反して病に犯され、衰え、死に至るのである。肉体は、あなたの思惑(おもわく)通りには、その役割を全(まっと)うしてくれない。
And you will hate it for its littleness, unmindful that the failure does not lie in that it is not more than it should be, but only in your failure to perceive that it is nothing.
- hate [héit] : 「〜を憎む、〜をひどく嫌う」
- littleness [lítlnis] : 「小さいこと、卑小さ」
- unmindful [ʌnmáindfəl] : 「不注意な、無頓着な」
- failure [féiljər] : 「失敗、不成功」
- not more than : 「せいぜい〜、多くて〜、〜より多くない」
❖ "And you will hate ~ "「こうして、あなたは、肉体の卑小さゆえに、肉体を憎むのである」。"unmindful that ~ "「そして、あなたは、that以下に気付きもしない」。"that the failure ~ "「肉体があなたの要求に失敗することは、肉体があるべきもの以上のものではないということの上に原因があるのではなく、」肉体があなたの要求に応えられない原因は、肉体のもつ能力以上のことを要求されたということにあるのではなく、"but only in your failure ~ "「単に、肉体が無に過ぎないとうことを、あなたが知覚し損ねたことに原因があるのだ」。あなたが、ありもしない無の肉体を、無だと知覚損ねて、その肉体に多くを要求したことにこそ、肉体の失敗の原因があるのだ。
Yet its nothingness is your salvation, from which you would flee.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- flee [flíː] : 「逃げる、逃れる、逃走する」
❖ "Yet its nothingness is ~ "「しかし、その肉体が無であるということこそ、あなたの救いである」。"from which you ~ "「その無である肉体から、あなたは逃れることになるのだ」。肉体が幻想であり、無であるという事実をしっかり認識し、その事実を受け入れ受け流し、肉体を幻想として赦すことが出来たとき、幻想の肉体は消滅し、あなたは幻想から解放され、肉体からも解放され、あなたは実相世界へと救われるのだ。