VII. Seek Not Outside Yourself
あなた自身の外に求めてはいけない
1. Seek not outside yourself. For it will fail, and you will weep each time an idol falls.
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する、探求する」
- outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
- fail [féil] : 「失敗する、しくじる、破産する」
- weep [wíːp] : 「シクシク泣く、すすり泣く、泣く、涙を流す」
- each time : 「〜するたびに、いちいち、毎回」
- idol [áidl] : 「偶像、崇拝される人、神像、誤った概念」
- fall [fɔ́ːl] : 「落ちる、落下する、倒れる、滅びる、壊れる」
❖ "Seek not outside ~ "「あなた自身の外に求めてはいけない」。あなたの心の外に実相的な真実を求めても、それは得られない、ということ。"For it will fail ~ "「なぜなら、それは失敗するであろうし、偶像が崩落するたびに、あなたは泣くことになるだろう」。ここの"idol"「偶像」とは、あなたが崇拝する虚偽なる真実、つまり、幻想のことである。その代表格がエゴである。エゴの策略が失敗するたびに、あなたは絶望する(涙を流す)ことになる。なぜなら、エゴの主張する真実は、ことごとく虚偽であるからだ。
Heaven cannot be found where it is not, and there can be no peace excepting there.
- found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
- find [fáind] : 「見つける、発見する、見いだす、捜し出す」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- excepting [ikséptiŋ] : 「〜を除いて、〜を例外として」
❖ "Heaven cannot ~ "「天の王国は、それが存在しない所に見出せる分けがない」。実相的な真実は、それが存在しない幻想世界に見出せるわけがない。"and there can be ~ "「そして、天の王国以外に、平和は存在出来ないのだ」。もちろん、ここの"peace"「平和」は、実相的な平和、ということ。幻想世界における見せかけの平和ではない。
Each idol that you worship when God calls will never answer in His place.
- worship [wə́ːrʃip] : 「崇拝する、礼拝する、賛美する、敬愛する」
- call [kɔ́ːl] : 「叫ぶ、大声で呼ぶ」
- answer [ǽnsər] : 「答える、返事する」
- in one's place : 「〜の代わりに」
❖ "Each idol that you ~ "「神が呼び求めたとしても、あなたが崇拝する偶像はどれも、神に代わって答えることは出来ないだろう」。神があなたに、真実を知るように求めてたとしても、あなたはその神を信じる代わりに偶像を崇拝しているので、その愚像はあなたに真実を答えることなど出来ない。なぜなら、虚偽なる真実を主張する偶像は、答えるべき実相の真実など知らないからだ。エゴに神の役割は果たせない。エゴは、実相的真実を知らないのだ。
There is no other answer you can substitute, and find the happiness His answer brings. Seek not outside yourself.
- answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
- substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「〜を代わりにする、代用する、置き換える」
- happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
- bring [bríŋ] : 「〜をもたらす、〜を持って来る」
❖ "There is no other ~ "「あなたが代用出来るような他の答えなどないし、神の答えがもたらすような幸せを見つけることも出来ない」。神の答えの代わりになるような答えは、偶像のどこを探しても見つからない。幻想世界に真実は存在しないのだ。真実の答えが得られないのだから、偶像の世界には真実の幸せもない。"Seek not outside ~ "「あなた自身の外に求めてはいけない」。
For all your pain comes simply from a futile search for what you want, insisting where it must be found.
- pain [péin] : 「痛み、痛覚、疼痛、苦痛」
- simply [símpli] : 「絶対に、どうしても、断じて、簡単に」
- futile [fjúːtl] : 「役に立たない、効果のない、無益な、無駄な、不毛な」
- search [sə́ːrtʃ] : 「捜査、捜索、探索、検索、探求、追求」
- insist [insíst] : 「〜を強く主張する」
❖ "For all your pain ~ "「なぜなら、あなたのあらゆる痛みは、あなたが欲しいと思うものが必ず見つかるに違いないと主張して、無益な追求をすることから、単純に生じるのだから」。実相的な真実は、この幻想世界に存在しないにも関わらず、あなたは絶対見つかるはずだと信じ込んで、必死に探すわけだ。しかし、見つかる分けもなく、追求は徒労に終わり、心の痛みだけが残る。
What if it is not there? Do you prefer that you be right or happy?
- what if : 「もし〜だったらどうなるか、もし〜としたらどうなるだろうか」
- prefer [prifə́ːr] : 「 〜を好む、むしろ〜の方を好む、〜の方を選ぶ」
- right [ráit] : 「正しい、正当な」
- happy [hǽpi] : 「幸福な、満足な、幸せな」
❖ "What if it is not ~ "「もし、それがなかったらどうするか」。実相的な真実が、この幻想世界になかったらどうするか。もちろん、ないのだ。"Do you prefer ~ "「あなたは、自分が正しいか、自分が幸せか、どちらを好むのか」。実相的な真実がこの幻想世界にあると信じて探し求め、それが正しいと証明することを目的として生きるのか、あるいは、ありもしない場所を探すことを止めて、真実が確実に存在する実相世界を目指し、そこで幸せを得て生きるか、そのどちらをあなたは選択するのか。
Be you glad that you are told where happiness abides, and seek no longer elsewhere. You will fail.
- glad [glǽd] : 「うれしい、満足して、うれしく思う」
- told [tóuld] : 「tell の過去・過去分詞形」
- tell [tél] : 「言う、告げる、教える、伝える」
- happiness [hǽpinəs] : 「幸福、喜び、幸せ」
- abide [əbáid] : 「とどまる、居住する」
- no longer : 「もはや〜でない」
- elsewhere [élshəwὲər] : 「ほかの場所に、ほかのどこかで、ほかの所へ」
❖ "Be you glad that ~ "「あなたが、幸せがどこに住んでいるか教えられたことを、喜びなさい」。"and seek no longer ~ "「そして、もはや、その他の場所を探すようなことは止めなさい」。"You will ~ "「他の場所を探しても、失敗するのがおちだ」。実相的な幸せは、実相世界に、天の王国にしか存在しないと知ったことを喜ぶべきであり、もはや、この幻想世界に虚偽の幸せを探すことを止めるべきだ。
But it is given you to know the truth, and not to seek for it outside yourself.
- given [ɡívən] : 「give の過去分詞形」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
❖ "But it is given you ~ "「しかし、あなたは、真実を知ること、そして、あなたの外に真実を求めてはならないことを教えられたのだ」。実相的な真実は、あなたの外の世界にあるのではない。あなたの心の中の最も純粋で神聖な部分にあるのだ。そこには神の祭壇があり、そこが天の王国とのチャンネルになっている。神のメッセージが届く場所であり、ホーリー・スピリットが住んでいる場所なのだ。
2. No one who comes here but must still have hope, some lingering illusion, or some dream that there is something outside of himself that will bring happiness and peace to him.
- still [stíl] : 「それでも、それでもやはり」
- linger [líŋɡər] : 「長居する、居残る、ぐずぐずする、いつまでもふける」
- illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
❖ "No one who comes ~ "「この幻想世界にやって来る者は誰でも、いまだに、希望を持っているに違いない」。"some lingering ~ "「ある者は、幻想にしがみつき、」"or some dream ~ "「またある者は、彼に幸せと平和をもたらしてくれる何かが、彼の外にあるに違いないと夢見ている」。これが、この現世で生きている我々の一般的な姿である。その夢が果たされないところに、痛みが生じ、痛みは苦へと変わるのだ。
If everything is in him this cannot be so. And therefore by his coming, he denies the truth about himself, and seeks for something more than everything, as if a part of it were separated off and found where all the rest of it is not.
- therefore [ðέərfɔ̀ːr] : 「それ故に、そのために、従って」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
- as if : 「あたかも〜かのように、〜と言わぬばかりに、〜のように」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- separate [sépərèit] : 「分ける、分離する、隔てる、引き離す、切り離す」
- found [fáund] : 「find の過去・過去分詞形」
- rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余、」
❖ "If everything is ~ "「もし、あらゆるものが彼の心の中にあるなら、そうはいかない」。実在のすべてが彼の心の中にあるなら、心の外を探しても見つかるはずはない。"And therefore ~ "「したがって、彼は、この世界に生まれることで、彼自身についての真実を否定したことになり、」幻想世界に生まれ出ることで、実相世界に住む神の子という自分を否定したことになり、"and seeks for something ~ "「すべてのもの以上のものを探し求めているのだ」。実相世界にはすべてがあるにも関わらず、わざわざ幻想世界に生まれ出て、そのすべてを越える何かを得ようと企んでいるのだ。"as if a part of it ~ "「あたかも、すべてのものの一部が切り離され、その他の残りのすべてが存在する場所ではない所に、それが見出せると思っているかのようだ」。真実のすべてが存在する実相世界から、一部の真実を切り取って幻想世界に隠し、それを探しているようなものだ。しかし、実相的な真実が切り離されて、幻想世界に持って来ることなど不可能である。この世界で、真実を探し求めることは徒労なのだ。無意味なのである。あたかも、雲の中に釣り糸を垂れて、魚を釣ろうとしているようなものである。
This is the purpose he bestows upon the body; that it seek for what he lacks, and give him what would make himself complete.
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- bestow bistóu[] : 「〜を授ける、与える、贈る」
- lack [lǽk] : 「足りない、不足している、欠いている」
- complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、完全な、全くの」
❖ "This is the purpose ~ "「これが、彼が肉体の上に与えた目的である」。実相的な真実が存在し得ない幻想世界に、その真実を求めるということを、彼は、自らの肉体に課した。肉体は幻想であるから、言い換えれば、幻想に実相の追求を課した、ということになる。"that it seek for ~ "ここは"so that it shoould seek for ~ "のこと、「それは、肉体に、彼の持っていないものを探させようとさせることであり、」"and give him what ~ "「彼自身を完璧にするものを、彼に与えようと意図したようなものなのだ」。幻想が実相を追い求めるという無謀な目的を、肉体に負わせたようなものである。
And thus he wanders aimlessly about, in search of something that he cannot find, believing that he is what he is not.
- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、このようにして」
- wander [wάndər] about : 「歩き回る、浮浪する、遍歴する、放浪する」
- aimlessly [éimlisli] : 「目的もなく、あてどなく」
- in search of : 「〜を探し求めて」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
❖ "And thus he wanders ~ "「こうして、彼は、〜しながら、あてどもなく彷徨(さまよ)うことになる」。"in search of ~ "「見つけることが不可能な何かを探し求め、自分は本当の自分ではないと信じながら、」あてどもなく彷徨うことになる。ここの"what he is not"は、「彼でないところのもの、本来の彼ではないもの」という意味合い。簡単に言えば、神の子であるという本当の自分を否定し、それ以外の自分であると信じて、ということ。つまり、自分が実相的な心の存在であると信じられず、幻想の肉体的な自分が本当の自分だと信じているわけだ。その上で、幻想世界を彷徨いながら、そこには決して存在しない実相的な真実を探し求めているのである。これは悲劇だろうか、喜劇だろうか。