●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-2.VI.1:1 ~ T-2.VI.2:7

VI. Fear and Conflict
恐れと葛藤



1. Being afraid seems to be involuntary; something beyond your own control. 
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • involuntary [invɑ́ləntèri] : 「無意識の、何気なしの、不随意の」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
  • control [kəntróul] : 「支配、コントロール、統制、制御」
❖ "Being afraid seems ~ "「恐れていることは、意識されていないように見える」。人は無意識のうちに恐れている、ということ。"something beyond ~ "「それは、あなた自身の制御を越えたものである」。意識されないのだから、あなたが対処出来るものではないのだ。恐れはあなたのコントロールの範囲を越えている。



Yet I have said already that only constructive acts should be involuntary.
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • constructive [kənstrʌ́ktiv] : 「建設的な、前向きの、積極的な」
  • act [ǽkt] : 「行為、活動、言動」
❖ "Yet I have said ~ "「しかし、私はすでにthat以下を述べている」。"that only constructive ~ "「建設的な行為だけが無意識的であるべきだと」すでに述べている。"constructive acts"「建設的な行為」とは、正しい心がなす行為のこと。その最高峰は実相的創造である。正しい心がなすことこそ、無意識であるべきであって、幻想に過ぎない恐れなどは、むしろ意識的にそれが夢に過ぎないと見破るべきなのだ。



My control can take over everything that does not matter, while my guidance can direct everything that does, if you so choose.
  • take over : 「引き継ぐ、受け継ぐ、継承する、譲り受ける」
  • matter [mǽtər] : 「重要である、問題である、大きな違いがある」
  • while [hwáil] : 「〜なのに、〜ではあるものの、〜とはいえ、しかし一方」
  • guidance [gáidns] : 「指導、手引き、案内、指図」
  • direct [dərékt] : 「〜を方向づける、命令する、指図する」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
❖ "My control can ~ "「重要でないものすべては、私のコントロール下に受け入れることが出来る」。" while my guidance ~ "「一方、もし、あなたがそれを選ぶなら、重要なことはすべて私の指導で導くことが出来る」。重要なことも重要でないことも、ホーリー・スピリットとしてのイエスに任せておけばいい。重要でないことは、イエスは消滅させる方向でコントロールしてくれるだろうし、重要なことは建設的に現実化させてくれるだろう。建設的な行為のためには、ホーリー・スピリットにすべてを一任して、無意識的に行動すればいいのだ。
これが、ACIMの言う絶対他力性である。ACIMは、何が何でも自力でがんばれなどと言わない。夢の中でモンスターと戦っている者に、がんばれと声をかけることは滑稽である。夢にうなされる子供を母親がやさしく目覚めさせるように、ホーリー・スピリットはあなたを悪夢から目覚めさせてくれる。悪夢の中で戦い抜くことなど意味がないのだ。



Fear cannot be controlled by me, but it can be self-controlled. Fear prevents me from giving you my control.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • control [kəntróul] : 「操作する、制御する、支配する、統制する」
  • self-control : 「セルフコントロールする、自制する」
  • prevent [privént] A form B : 「AにBをさせない」
❖ "Fear cannot be ~ "「恐れは私によってコントロールされ得ない」。"but it can be ~ "「しかし、恐れは自分でコントロールされ得る」。"Fear prevents me ~ "「恐れは、私があなたをコントロールすることを許さない」。前文で、重要なことも重要でないこともイエスに一任していいと言っているのだが、恐れだけはイエスのコントロール下に置けない。自分でコントロール(self-control)しなくてはならない。
もっとも、イエスは恐れを消滅させる方法は教えてくれる。このACIMがそれである。しかし、それを実行するのはあなたであり、あなたがそれを自由選択しなくてはいけない。あなたが自分で恐れを払拭出来たなら、イエスはあなたをどんどんリードしてくれるのだ。もちろん、イエスと書いたが、ホーリー・スピリットそのものである。



The presence of fear shows that you have raised body thoughts to the level of the mind.
  • presence [prézns] : 「存在すること、存在」
  • show [ʃóu] : 「示す、表す、表示する」
  • raise [réiz] : 「引き上げる、上げる、つり上げる」
  • thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思想、思考」
  • level [lévəl] : 「地位、階級、段階、レベル、高さ、高度、深さ」
❖ "The presence of ~ "「恐れの存在はthat以下を示している」。"that you have ~ "「あなたは肉体的な思考を心のレベルまで引き上げてしまっている」ということを示している。夢の中で何か怖いものを感じている場合を思い起こそう。恐れは夢の中だけだ。夢から覚めれば恐れは嘘のように消えている。なぜなら、それは単なる夢だから。同じように、あなたが感じている恐れは幻想の世界における恐れであって、夢の中の恐れと何ら変わりない。恐れそれ自体も幻想なのだ。ところが、幻想にどっぷりとつかったあなたは、幻想の恐れをあたかも実在のように、つまり真に存在する世界、心のレベルに引き上げてしまって、ますます恐れおののくのである。



This removes them from my control, and makes you feel personally responsible for them. This is an obvious confusion of levels.
  • remove [rimúːv] : 「〜を移動させる、移す」
  • feel [fíːl] : 「感じがする、感じる」
  • personally [pə́ːrsənəli] : 「 個人的に、自分自身で」
  • responsible [rispɑ́nsəbl] : 「責任がある、責任を負うべき」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「明らかな、明白な」
  • confusion [kənfjúːʒən] : 「混乱状態、混乱、混同、当惑」
❖ "This removes them ~ "「このことが、恐れを私のコントロールの外へ移動させる」。このこととは、肉体レベルの恐れを心のレベルまで引き上げること。そんなことをすれば、恐れはイエスのコントロール圏内から外れてしまう。"and makes you ~ "「そして、あなたに、恐れに対する個人的な責任感を感じさせる」。恐れているのは自分の責任だと自分を責める。"This is an obvious ~ "「これは明らかなレベルの混乱である」。肉体レベルとは幻想レベルのことであり、心のレベルとは実相レベルのこと。恐れは、幻想(非実在)を実相(実在)だと勘違いさせてしまうのだ。
実相への目覚めを選択することを阻害しているのが恐れである。その恐れを自分でコントロールして払拭し、あなたが実相への目覚めを選択したなら、ホーリー・スピリットであるイエスはあなたを実相へと目覚めさせるためにあなたの心をコントロール出来るいうわけだ。



2. I do not foster level confusion, but you must choose to correct it. 
  • foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、育成する、助長する、促進させる 」
  • choose [tʃúːz] : 「 〜を選ぶ、〜を選択する」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "I do not foster ~ "「私はレベルの混乱を助長するようなことはしないが、それを修正することをあなたは選択しなくてはいけない」。あなたが恐れを抱いているうちは、もしイエスがそれに手を出せばますますあなたのレベルの混乱を助長することになるので、イエスは手を出さない。あなたが恐れを払拭してレベルの混乱を修正しようと選択した段階で、イエスはあなたを助けてくれるのである。



You would not excuse insane behavior on your part by saying you could not help it.
  • excuse [ikskjúːs] : 「言い訳をする、弁解をする」
  • insane [inséin] : 「正気でない、精神障害の、非常識な」
  • behavior [bihéivjər] : 「ふるまい、行動、行為」
  • on one's part : 「 : 〜としては、〜にとってみれば、〜の側では」
  • help : 「〜を避ける、抑える、制する、禁じる」
❖ "You would not ~ "「あなたは、そうせざるを得なかったと言って、あなたの側の気違いじみた振る舞いを弁解しようとはしない」。"insane behavior"「気違いじみた行為」とは、肉体レベルの恐れを心のレベルまで引っ張り上げた行為であり、レベル・コンフュージョンのこと。"saying you could not help it"「そうせざるを得なかったと言って」とは、選択の余地なく行った、無意識のうちにレベル・コンフュージョンを起こしていた、ということ。無意識のうちに誤りを犯したのだから、自分の行為を弁解する気になれないのだ。



Why should you condone insane thinking? There is a confusion here that you would do well to look at clearly.
  • Why should : 「一体何でまた〜なのか、どこをどう押したら〜になるのか」
  • condone [kəndóun] : 「〜を大目に見る、容赦する、許す、見逃す 」
  • do well to : 「〜するのが良い、〜するのが賢明である」
  • clearly [klíərli] : 「はっきりと、明らかに、明瞭に、疑いもなく」
❖ "Why should you ~ "「なぜ、気違いじみた思いを大目に見るべきだろう」。いや、恐れを心のレベルまで引っぱり上げることを見過ごしてはいけない、ということ。"There is a confusion ~ "「ここに、あなたが明白に見るべき混乱がある」。この気違いじみた思いにこそ、レベル・コンフュージョンの原因があり、それをあなたはしっかりと認識しなくてはいけない。



You may believe that you are responsible for what you do, but not for what you think.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • responsible [rispɑ́nsəbl] : 「責任がある、責任を負うべき、責任を伴う」
❖ "You may believe ~ "「あなたはthat以下を信じているかもしれない」。"that you are  ~ "「やったことには責任はあるが、思っただけのことには責任がないと」信じているかもしれない。たとえば、殺人を犯したら罪なるが、殺人を思っただけでは罪にならない、とあなたは思っているかもしれないが、それは、実相的な視点から見れば正しくない。



The truth is that you are responsible for what you think, because it is only at this level that you can exercise choice.
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • exercise [éksərsàiz] : 「行使する、発動する」
  • choice [tʃɔ́is] : 「選ぶこと、選択」
❖ "The truth is ~ "「本当は、あなたは思っただけのことにも責任がある」。" because it is ~ "「なぜなら、あなたが選択権を発動出来るのはこのレベルに限られるからだ」。実行するか否かに関わらず、それを選択した時点で、あなたはあなたの思いに責任を負う。選択権を発動出来る想念の段階で、あなたは自分の思いに責任を負うのである。想念は必ず現実化するので、思いと実行は一体である。



What you do comes from what you think. You cannot separate yourself from the truth by "giving" autonomy to behavior.
  • come from : 「〜から来る、〜に由来する、源を〜に発する」
  • separate [sépərèit] : 「離す、分ける、分離する、分解」
  • autonomy [ɔːtɑ́nəmi] : 「自治、自立、自律性、自主性」
  • behavior [bihéivjər] : 「行動、態度、挙動、振る舞い、言動、素行」
❖ "What you do ~ "「あなたがなすことは、あなたが考えることに由来する」。"You cannot separate ~ "「あなたは、振る舞いに自主性を『与えること』で、あなた自身を真実から切り離すことは出来ない」。「振る舞いに自主性を与える」とは、無意識的に行動するということ。善悪や真偽の判断によって振る舞いをコントロールしない、ということ。無意識的に行動したとしても、行動の責任は本人にある。真実から逃れるわけにはいかない(cannot separate yourself from the truth)。つまり、あなたの行いが誤りであるということが真実なら、たとえあなたが無意識的にその誤りを犯したとしても、その真実からは逃れられないのだ。
建設的な行為は無意識的に行われなければならない、と述べられていたことを覚えているだろうか。しかし、ただ単に無意識的であれば何でもいいわけではない。責任ある無意識的な行動、真実の無意識的行為とは何か? 次の文章で示される。



This is controlled by me automatically as soon as you place what you think under my guidance.
  • automatically [ɔ̀ːtəmǽtikəli] : 「無意識に、思わず、自動的に」
  • as soon as : 「〜するとすぐに、〜するや否や」
  • place [pléis] : 「〜を置く、設置する」
  • under [ʌ́ndər] : 「下に、下の方に」
  • guidance [gáidns] : 「指導、手引き、案内、指図」
❖ "This is controlled ~ "「あなたが考えていることを私の指導の下に置くやいなや、これは自動的に私によってコントロールされる」。"This"「これ」と、は自主性を与えられた行動、無意識的な行為。責任ある無意識の行動、真実の無意識的行為とは、イエスをはじめとするホーリー・スピリットにそのコントロールを委ねた時になされる、ということ。あなたの理性による善悪や真偽の判断によって振る舞いをコントロールしてはいけないのだ。



Whenever you are afraid, it is a sure sign that you have allowed your mind to miscreate and have not allowed me to guide it.
  • whenever [hwènévər] : 「〜するときはいつでも、〜したときはすぐ」
  • afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
  • sure [ʃúər] : 「確かな、確実な、確固とした」
  • sign [sáin] : 「表れ、兆し、兆候、印」
  • allow [əláu] : 「 〜を許す、許可する、許容する」
  • miscreate [miskriéit] : 「 〜を誤って作る、作りそこなう」
  • guide [gáid] : 「〜を導く、〜を指導する」
❖ "Whenever you are ~ "「あなたが恐れを感じている時はいつでも、それはthat以下の確かな表われである」。" that you have ~ "「あなたがあなたの心に誤創造を許し、私に心の指導を許さなかった」確かな表われである。心が誤創造するとは、幻想の世界にあって、さらなる幻想をでっち上げること。心の欲望を投影して、疑似的な創造を弄(もてあそ)ぶこと。その典型的なものが肉体的な病である。
 
 
 



Notification

自分の写真


❖ Text精読、完了しました。4年8ヶ月、1256回の投稿でした。長期に渡ってお付き合いいただき、感謝します。
❖ 引き続き、Workbook精読をご覧下さい。場所は「http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp」です。
❖ Text精読の手直しも始めました。月日をかけて見直していきます。
❖ AmazonからKindle版の精読シリーズを出版開始しました。『どこでもAcim』をご希望の方は是非どうぞ。
❖ Google PlayとiBookstoreからepub版の精読シリーズを出版開始しました。Kindle版で窮屈さをお感じでしたら、こちらをどうぞ。
❖ Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。Urtextは非常に面白いです。臨場感は半端でありません。

oohata_mnb@yahoo.co.jp
oohata.m@coda.ocn.ne.jp

アクセスカウンター