●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-3.I.3:1 ~ T-3.I.4:7


3. The statement "Vengeance is mine, sayeth the Lord" is a misperception by which one assigns his own "evil" past to God. The "evil" past has nothing to do with God.

  • statement [stéitmənt] : 「陳述、述べたこと、発言、供述、記述」
  • vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
  • mine [máin] : 「私のもの」
  • eth : 「三人称単数現在形の動詞の語尾につける」
  • sayeth :「saysの古い形」
  • lord [lɔ́ːrd] : 「神」
  • misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
  • assign [əsáin] : 「〜を割り当てる、指定する、任命する、与える」
  • assign A to B : 「AをBに割り当てる、AをBの発明だとする」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • past [pǽst] : 「過去、昔、過ぎたこと、過去のこと」
  • have nothing to do with : 「〜と関係がない」
❖ "The statement ~ "「『主曰く、復讐するは我にあり』という発言は、ある者が自分の『邪悪な』過去を神に押し付けようとした誤認識である」。ある者が過去に抱いた邪悪な思い、たとえば、憎悪などを正当化しようとして、他者に復讐したい気持ちを抑えられずに、神の名を借りて、勝手に作り出した言葉が『主曰く、復讐するは我にあり』である。"The "evil" past ~ "「『邪悪な』過去など、神と一切関係がない」。神は幻想と一切の関わりをもたない。邪悪な過去は邪悪な幻想であり、神とは完全に無関係である。そもそも、完全な愛である神に、復讐という概念はない。憎悪という概念も、罰するという概念も、神は持ち合わせてはいない。
この文章の"past"「過去」は、"Vengeance is mine"が書かれた時代、つまり、旧約聖書(申命記)の時代、という意味が込められている。
なお、新約聖書においては、"Vengeance is mine"という記述は、パウロによって書かれた『ヘブライ人への手紙』10:30と『ローマの信徒への手紙』12:19に出てくる。参考までに載せておく。

[Hebrews 10:30~31 from New American Standard Bible]
For we know Him who said, “VENGEANCE IS MINE, I WILL REPAY.” And again, “THE LORD WILL JUDGE HIS PEOPLE.” It is a terrifying thing to fall into the hands of the living God.
「復讐は私のすること、私が報復する」と言い、また、「主はその民を裁かれる」と言われた方を、わたしたちは知っています。生ける神の手に落ちるのは、恐ろしいことであります。(新共同訳)

[Romans 12:19 from King James Bible]
Dearly beloved, avenge not yourselves, but rather give place unto wrath: for it is written, Vengeance is mine; I will repay, saith the Lord.
愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。(新共同訳)

また、パウロがこの言葉をどこから引用したかというと、『申命記』32:35にその記述がある。参考までに載せておく。

[Deuteronomy 32:35 from New American Standard Bible]
Vengeance is Mine, and retribution, In due time their foot will slip; For the day of their calamity is near, And the impending things are hastening upon them.
私が報復し、報いをする。彼らの足がよろめく時まで。彼らの災いの日は近い。彼らの終わりの日は速やかに来る。(新共同訳)



He did not create it and He does not maintain it. God does not believe in retribution. His Mind does not create that way. He does not hold your "evil" deeds against you.
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • maintain [meintéin] : 「支える、支持する、〜を保持する、〜と主張する」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • retribution [rètrəbjúːʃən] : 「 懲罰、報い、天罰、仕返し、処分、報復」
  • that way : 「そのように、あのように、あんなふうに、そんなふうに」
  • hold A against B : 「AのことでBを責める」
  • deed [díːd] : 「行為、行い、行動」
❖ "He did not create ~ "「神はそんな発言を造り出しもしなかったし、主張もしていない」。"create it"のitは"Vengeance is mine"という発言のこと。"God does not ~ "「神は報復など信じていない」。"His Mind does not ~ "「神の心はそのように創造はしない」。神は、報復や復讐など、そんなことは思いもよらない。"He does not hold ~ "「神は、あなたの邪悪な行いをもち出して、あなたを責めるようなことはしない」。"your evil deeds"は"your evil past"と同じ。



Is it likely that He would hold them against me? Be very sure that you recognize how utterly impossible this assumption is, and how entirely it arises from projection.
  • likely [láikli] :「ありそうな、あり得る、〜しそうな」
  • sure [ʃúər] :「確信して、確信している、固く信じている」
  • recognize [rékəgnàiz] :「〜を認める、認識する、認知する、承認する」
  • utterly [ʌ́tərli] :「全く、完全に、徹底的に」
  • impossible [impɑ́səbl] :「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • assumption [əsʌ́mpʃən] :「想定、仮定、前提、仮説、条件」
  • entirely [entáiərli] :「全く、完全に、全体に、ひたすら」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • projection [prədʒékʃən] : 「投影、射影、投射、映写」
❖ "Is it likely that ~ "「神が、いまわしい過去をもち出して、私を責めるようなことがあり得るだろうか」。ここの"them"は邪悪な過去。つまり、人間が犯した罪を理由に、イエスを贖罪のために犠牲にすることなどあり得ない、ということ。"Be very sure that ~ "「あなたが〜を認識していることを固く確信しなさい」。"how utterly impossible ~ "「この想定がどんなにかまったく不可能であるか、また、その想定がいかにもまったく投影から生じたものか」、それを認識していることを固く確信しなさい。"this assumption"は「神が復讐すること」。自分の心にある復讐心を認めることが恐ろしくて、復讐心を他の者の責任に転嫁することが投影。『主曰く、復讐するは我にあり』という想定は、選(よ)りに選ってその責任を神に転嫁したというわけである。



This kind of error is responsible for a host of related errors, including the belief that God rejected Adam and forced him out of the Garden of Eden.
  • this kind of : 「この種の、こういう種類の」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • responsible [rispɑ́nsəbl] : 「責任がある、責任を負うべき、責任を伴う」
  • a host of : 「たくさんの、多くの、多数の」
  • related [riléitid] : 「 関係のある、関連した」
  • include[inklúːd] :「〜を含める、〜を含有する、包含する」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • reject [ridʒékt] :「排斥する、拒絶する、拒否する、拒む」
  • force [fɔ́ːrs] : 「〜を強要する、強いる、無理にさせる」
  • the Garden of Eden : 「エデンの園」
❖ "This kind of error ~ "「この種の過ちは、多くの関連する過ちに対して責任がある」。この種の過ち、すなわち、神が復讐すると考える過ちは、関連する似たような過ちをいっぱい生み出している、ということ。" including the belief ~ "分詞構文、「そして、that以下を信じることも含んでいる」。"that God rejected Adam ~ "「神はアダムを拒絶してエデンの園から彼を追放した」ということを信じてしまうことも含む。つまり、神がアダムに復讐したという誤った考えが造られた、ということ。
余談にあるが、なぜここで、Adamとだけ書いてEveの名は書かなかったのだろう? 創世記によれば、神はAdamを深い眠りに陥らせ、Adamの肋骨を1本抜き取ってEveを創造したことになっている。私見に過ぎないが、神の子の深い眠りはこの時点で始まっている。神の子は深い眠りに陥り、自らを分離してEveを作る夢を見た。その後のエデンの園における逸話、ヘビの唆(そそのか)しにのって善悪の知識の木の実を食べたことも、神の怒りに触れてエデンの園を追放されたことも、すべて、Adamの見た夢に過ぎない。エデンの園の追放は神との分離を象徴し、Eveの創造は神の子の分離を象徴する逸話である。



It is also why you may believe from time to time that I am misdirecting you. I have made every effort to use words that are almost impossible to distort, but it is always possible to twist symbols around if you wish.
  • also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
  • believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
  • from time to time : 「時々、折々」
  • misdirect [misdirékt] : 「誤って教える、誤った指導をする」
  • effort [éfərt] : 「尽力、努力、試み、取り組み」
  • make every effort to : 「〜するためにあらゆる努力をする」
  • almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分通り、大体」
  • impossible [impάsəbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
  • distort [distɔ́ːrt] : 「歪める、誤り伝える、歪曲する」
  • always [ɔ́ːlweiz] : 「いつも、以前からずっと、常にいつでも」
  • possible [pάsəbl] : 「可能性がある、あり得る、なし得る」
  • twist [twíst] : 「歪める、ひずませる」
  • symbol [símbəl] : 「象徴、シンボル」
  • wish [wíʃ] : 「望む、願う」
❖ "It is also why ~ "「それは、また、なぜ、あなたは時折that以下を信じてしまうのかという理由である」。"that I am ~ "「私(イエス)があなたに誤った指導をする」と信じてしまう理由である。"I have made ~ "「私は、歪めることがほとんど出来ないような言葉を使おうと、あらゆる努力をしてきた」。"but it is always ~ "「しかし、あなたが望むなら、シンボルを歪めることはいつでも可能である」。ここでの"symbols"は、イエスの"words"と考えてよい。旧約聖書における神の属性の歪曲同様、新約聖書におけるイエスの言動にも、多くの誤解が含まれている。新約聖書はイエス物語であり、すべてを史実と捉えてはいけない。福音書作者が、乏(とぼ)しい史実を題材に、自分流の物語を創作したものである。イエスの伝えたかった真意、そのための言葉が、福音書作者の恣意によって歪められてしまったのだ。さらに、聖書の書写を通して、無数の改竄(かいざん)がなされた。これは悲劇を通り越して、ほとんど喜劇である。水戸黄門のテレビドラマを見て、これは本当の出来事だと主張する人がいたら、あなたはどう思うか?
翻訳自体も、ある適度の改竄と考えていい。だからこそ、ACIMを原書で読む価値がある。幸いなことにACIMには原書が残っている。その原書という原点に戻ってイエスの言葉を吟味出来ることは幸運である。しかし、実はこのACIMですら、編集という名のもとに、多くの改竄がなされてきたことは知っておくべきだろう。ACIMのスタンダード版は、理由はともかく、原典Urtextの最初の5章分のほとんどが削除されている。



4. Sacrifice is a notion totally unknown to God. It arises solely from fear, and frightened people can be vicious.
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「生け贄、犠牲、犠牲的行為」
  • notion [nóuʃən] : 「意見、考え、観念」
  • totally [tóutəli] : 「全体的に、全体として、すっかり、何から何まで」
  • unknown [ʌnnóun] : 「知られていない、未知の、不明の」
  • arise [əráiz] : 「起こる、生じる、現れる、生まれる、発生する」
  • solely [sóulli] : 「もっぱら、ただ一人で、一人だけ、単に」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
  • frightened [fráitnd] : 「脅えた、怖がって、驚いた」
  • vicious [víʃəs] : 「意地の悪い、悪意のある、卑劣な、凶暴な」
❖ "Sacrifice is a notion ~ "「犠牲とは、完全に神の知ることのない概念である」。神の辞書に犠牲という文字はない。"It arises solely ~ "「犠牲という概念は、ただ恐れからのみ発生したものであり、」"and frightened people ~ "「恐れを抱く人々は悪意のある存在となり得る」。悪意のある人間の多くは、心に恐れを抱いており、その恐れが凶暴な行動を誘発する。神が犠牲や罰を人間に強(し)いる存在なら、神は何かを恐れているはずである。しかし、神は何も恐れてはいない。だから、犠牲や罰を強いることなど決してない。



Sacrificing in any way is a violation of my injunction that you should be merciful even as your Father in Heaven is merciful.
  • in any way : 「何らか、多少なりとも、決して、形はどうあれ」
  • violation [vàiəléiʃən] : 「違反、妨害、侵害、暴行」
  • injunction [injunction] : 「禁止命令、差し止め命令、強制命令」
  • merciful [mə́ːrsifl] : 「慈悲深い、情け深い、情けのある、寛大な」
  • even as : 「〜と同時に、〜とともに、〜にもかかわらず」
  • heaven [hévən] : 「天国、神、天」
❖ "Sacrificing in any ~ "「犠牲を強いる行為は、いかなる形であれ、私の〜という強い願いを台無しにするものである」。接続詞thatを用いて、"that you should ~ "「天の王国の神が慈悲深いように、同時にあなたも慈悲深くあらねばならない」という強い願い。"injunction"「禁止命令」を、ここではイエスの強い願い、と訳してみた。慈悲深くあって欲しいと願うイエスの気持ちである。犠牲は、どの角度から見ても、慈悲のかけらすら見えない。



It has been hard for many Christians to realize that this applies to themselves. Good teachers never terrorize their students.
  • hard [hάːrd] : 「難しい、困難な、つらい」
  • realize [ríːəlàiz] : 「〜に気が付く、悟る、自覚する、実感する」
  • apply [əplái] : 「〜を…に適用する、応用する、当てはめる」
  • terrorize [térəràiz] : 「怖がらせる、おびえさせる、恐れさせる」
❖ "It has been ~ "「that以下を自覚することは多くのキリスト教徒にとって難しいことである」。"that this applies ~ "「このことが自分自身に当てはまる」ということを自覚することは多くのキリスト教徒にとって難しい。このこととは、犠牲を強いることがイエスの慈悲深くあって欲しいという願いにまったく反していること。過去の正統派キリスト教が、神の名を借りてどんなに多くの残虐なことを行ってきたか、歴史を見ればすぐわかる。その根っこは今は微塵(みじん)も残されていないと誰が言えよう。"Good teachers ~ "「良き師は彼らの教え子を決して脅えさせたりしない」。真実に導く指導者は、決して犠牲や罰などを持ち出して教え子に恐れを植え付けるようなことはしない。



To terrorize is to attack, and this results in rejection of what the teacher offers. The result is learning failure.
  • attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
  • result [rizʌ́lt] in : 「〜に終わる、〜に帰着する、〜に結実する 」
  • rejection [ridʒékʃən] : 「拒絶、断ること、拒否、棄却」
  • offer [ɔ́fər] : 「差し出す、捧げる、〜を提供する、〜を勧める」
  • result [rizʌ́lt] : 「結果、結末、成り行き、効果、成果、成績」
  • learning [lə́ːrniŋ] : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • failure [féiljər] : 「失敗、不成功」
❖ "To terrorize is ~ "「怖がらせることは攻撃することである」。"and this results ~ "「そして、これは、師が差し出すものの拒絶につながる」。"The result is ~ "「その結果は学びの失敗である」。神(あるいはホーリー・スピリット)は、あなたを真実に導く師である。あなたに恐怖心を植え付けるようなことをしたら、それは、神による教えと学びの失敗にほかならない。神が失敗する可能性があるだろうか? 
 
 
 



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