●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-3.III.1:1 ~ T-3.III.2:11

III. Perception versus Knowledge
知覚 対 叡智



1. We have been emphasizing perception, and have said very little about knowledge as yet. This is because perception must be straightened out before you can know anything.
  • emphasize [émfəsàiz] : 「重要視する、重視する、力説する、際立たせる」
  • perception [pərsépʃn] : 「知覚、認知、知力、認識、理解」
  • knowledge [nɑ́lidʒ] : 「知識、心得、認識、知恵、知見、智慧」
  • straighten [stréitn] : 「〜をまっすぐにする、〜を整える」
  • as yet : 「今のところは」
  • straighten out : 「〜を正す、〜を取り除く」
❖ "We have been ~ "「我々はずっと知覚について強調してきた」。"and have said ~ "「そして、叡智については今までほとんど語ってこなかった」。"This is because ~ "「これは、あなたが何かを知ることが出来るようになる前に、知覚が正されなくてはならないからだ」。幻想を幻想と見極めることが出来るように知覚を修正し、知覚がヴィジョンに生まれ変わった時、ヴィジョンは真実だけを捉える。ヴィジョンが知り得ること、それが叡智である。
"knowledge"を「叡智」と訳したが、"knowledge"は、神やホーリー・スピリットのレベルにおける智慧である。我々一般人の知恵や知識のことではない。あるいは、叡智は仏教でいう『般若』に非常に近い。いずれにせよ、"knowledge"はACIMにおける最重要キーワードの一つである。



To know is to be certain, and certainty is strength. Perception is temporary. As an attribute of the belief in space and time, it is subject either to fear or to love.
  • certain [sə́ː(r)tn] : 「確信している、確実な、確かな、確信して」
  • certainty : 「確信、確実なこと、必然」
  • strength [stréŋ(k)θ] : 「力、強さ、体力、強み、長所」
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • temporary [témpərèri] : 「一時の、一時的な、暫定の、仮の、当座の」
  • attribute [ǽtribjùːt] : 「特質、特性、性格、属性」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • subject [sʌ́bdʒikt] : 「支配下にある、支配を受ける、〜に従属している」
  • subject to : 「〜に支配されて、〜の支配下に、〜に従属して」
  • either [íːðər] : 「〜か〜、または」
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "To know is ~ "「知ることは確信することである」。どちらも不定詞の名詞的用法。"and certainty is ~ "「そして、確信は力である」。"Perception is ~ "「知覚は一時的なものである」。"As an attribute ~ "「時空を信じることの属性として、知覚は恐れか愛の支配を受ける」。時空を信じるとは、この世界が幻想(夢)であることを忘れて、変化流動する属性を自然なものとして受け入れること。したがって、知覚は対象の変化につれて時間とともに従属的に変わる。知覚は一時的なものになるのだ(temporary)。あなたは瞬間瞬間、真実も虚偽もともに知覚する。虚偽を知覚するれば恐れになり、真実を知覚すれば愛につながる。あるいは、虚偽を真実だと誤知覚すれば、偽りの愛を感じ、真実を虚偽と誤知覚すれば、偽りの恐れを抱く。



Misperceptions produce fear and true perceptions foster love, but neither brings certainty because all perception varies. That is why it is not knowledge.
  • misperception [mìspərsépʃən] : 「誤解、誤った知覚」
  • produce [próudjuːs] : 「〜を作り出す、生産する、引き起こす、発出する」
  • foster [fɔ́ːstər] : 「〜を育てる、育成する、助成する、助長する」
  • neither [níːðər] : 「どちらも〜ない」
  • bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
  • vary [vέəri] : 「変わる、変化する」
  • knowledge [nάlidʒ] : 「知識、知恵、知見、情報、事実」
❖ "Misperceptions produce ~ "「誤った知覚は恐れを生み出し、真実の知覚は愛を育てる」。"but neither brings ~ "「しかし、どちらも確実性をもたらすことはない」。" because all perception ~ "「なぜなら、知覚なるものはすべて変化するからである」。"That is why ~ "「それが、知覚が叡智ではない理由である」。肉体的な知覚は、幻想世界の諸現象を実在であるかのように見せるためのトリックである。錯覚を生み出す装置なのだ。知覚が時空間の錯覚から自由になって、恒久的な真実を見抜くヴィジョンとして生まれ変わったとき、実相的な知恵、すなわち叡智があなたの心の中で現実化する。だから、前文「知ることは確信することであり、そして、確信は力である」となるのだ。



True perception is the basis for knowledge, but knowing is the affirmation of truth and beyond all perceptions.
  • perception [pərsépʃən] : 「知覚、認知、知見、見識」
  • basis [béisis] : 「土台、基礎、基盤」
  • affirmation [æ̀fərméiʃən] : 「確約、断言、肯定、確認」
  • truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理、本当のこと」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて、〜を過ぎて」
❖ "True perception ~ "「真の知覚は叡智にとっての基盤である」。"but knowing is ~ "「しかし、識(し)るということは真実を肯定的に断言することであり、すべての知覚を超えている」。知覚は感覚したものを単に受動的に受け入れること。識るという行為は、ヴィジョンをもって真実を看破し、能動的に受け入れること。つまり、真実を肯定的に断言すること。この違いは大きい。



2. All your difficulties stem from the fact that you do not recognize yourself, your brother or God. To recognize means to "know again," implying that you knew before.
  • difficulty [dífikʌ̀lti] : 「 困難、難事、面倒なこと、問題」
  • stem [stém] from : 「〜から生じる、〜から起こる、〜に由来する」
  • fact [fǽkt] : 「事実、真相、現実、実際」
  • recognize [rékəɡnàiz] : 「〜を認識する、認める、受け入れる」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
  • again [əɡéin] : 「再び、かさねて、この場合もやはり」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
❖ "All your difficulties ~ "「あなたの感じる困難のすべては、〜という事実に由来する」"that you do not ~ "「あなたは、あなた自身、あなたの兄弟、そして神を認識していない」という事実に由来する。"To recognize means ~ "「認識するとは再び知るということである」。"implying that you ~ "分詞構文、単純接続、「そして、再び知るとは、裏を返せば、あなたは以前にそれを知っていたということである」。神の子が神から分離する以前は、あなたは真実を見抜くヴィジョンもヴィジョンがもたらす真実の泉、つまり叡智ももっていた。今この幻想世界にあって、真実をしっかり認識するとは、あなたがもっていたヴィジョンや叡智を取り戻して、再び識るということ(know again)、真実の再確認を行うことなのだ。



You can see in many ways because perception involves interpretation, and this means that it is not whole or consistent. The miracle, being a way of perceiving, is not knowledge.
  • in many ways : 「 いろいろ、さまざまに、いくらでも」
  • involve [invɑ́lv] : 「〜を含む、伴う、必要とする、〜に伴って生じる」
  • interpretation [intə̀ːrprətéiʃn] : 「解釈、説明、解説」
  • whole [hóul] : 「すべてを含んだ、欠けたものがない」
  • consistent [kənsístənt] : 「一致した、一貫性のある、一貫した、矛盾しない」
❖ "You can see ~ "「あなたは色々様々に見ることが出来る」。ここは肯定的な意味合いではなく、人それぞれによって、様々に対象を知覚する、ということ。"because perception ~ "「なぜなら、知覚とは解釈を含むからである」。"and this means ~ "「そして、このことは、知覚は完全なものでもないし、一貫性もないことを意味している」。知覚する段階で、先入観が入り込み、知覚した後には印象が入り込み、また、判断、感想、解釈(interpretation)も混じり込む。時と場合によって変化し、一貫性はない(not consistent)。また、知覚は対象の一部を断片的に知覚するものだから、対象をまるごと全部(whole)を知覚するのでもない。"The miracle ~ "「奇跡は、知覚の一方法であるので、叡智とは言い難い」。この文章で、奇跡が最終目的ではないことがわかる。奇跡は手段、方法である。奇跡を通じて、たとえば、叡智を得るのである。また、奇跡が知覚の一方法であることは重要だ。結局、奇跡とは知覚を変えること、今までの見方、考え方を変えることなのだ。



It is the right answer to a question, but you do not question when you know. Questioning illusions is the first step in undoing them. The miracle, or the right answer, corrects them.
  • rightfully [ráitfəli] : 「正当に、合法的に、当然」
  • answer [ǽnsər] : 「答え、回答、返事、応答」
  • question [kwéstʃən] : 「質問、疑問、問い、質疑、課題、問題」
  • question [kwéstʃən] : 「質問する、〜を疑問に思う」
  • illusion [ilúːʒən] : 「幻想、幻覚、錯覚」
  • undo [ʌndú] : 「元どおりにする、取り消す」
  • correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
❖ "It is the right answer ~ "「奇跡は、疑問に対する正しい答えだが、」"but you do not ~ "「しかし、あなたが(本当に)知っているときは、質問などしない」。あなたが真偽の判断に迷って疑問を発するとき、奇跡は真実を具現化することで、あなたに正しい答えを与えてくれる。しかし、そもそも疑問を発するとは、叡智が欠けているからであり、もしあなたに実相的な叡智があるなら一切の疑問を発することはないはずだ。"Questioning illusions ~ "「幻想に対して疑問を発することは、幻想を取り消しにするための最初のステップである」。叡智を忘れたあなたが、はたしてこの世界は幻想なのではないかと疑問を発するのは、あなたが幻想を払拭して実相に目覚めるための第一段階である。この疑問に対して、奇跡が正しい答えを与えてくれるわけだ。"The miracle ~ "「奇跡、あるいは正しい答えは、幻想を正す」。こうして、あなたは奇跡を通して、失われた叡智を回復していくのである。



Since perceptions change, their dependence on time is obvious. How you perceive at any given time determines what you do, and actions must occur in time.
  • change [tʃéindʒ] : 「変わる、変化する、変遷する」
  • dependence [dipéndəns] : 「依存、依存関係、付属物」
  • obvious [ɑ́bviəs] : 「 明らかな、明白な、分かりきった、疑う余地のない」
  • at any given time : 「いつでも、その時々で、常に、今」
  • determine [ditə́ːrmin] : 「決定する、決心させる」
  • action [ǽkʃən] : 「行為、振る舞い、活動、行動、活力、動き、動作」
  • occur [əkə́ːr] : 「起こる、発生する、生じる、現れる」
❖ "Since perceptions ~ "「知覚は変化するので、知覚の時間依存は明らかである」。"How you perceive ~ "「その時々であなたがどう知覚するかが、あなたがなすことを決定する」。"and actions ~ "「そして、行動は、時間という枠組みの中で起こるに違いない」。知覚も判断も決定も行動も、すべて時間に依存した事象である。真実は永遠不変であり、実相が恒常的な安定と平和に満たされていることと大違いである。



Knowledge is timeless, because certainty is not questionable. You know when you have ceased to ask questions.
  • timeless [táimlis] : 「時間を超越した、無時間の、永久の、永遠の」
  • certainty [sə́ːrtnti] : 「確実、確実性、間違いないこと」
  • questionable [kwéstʃənəbl] : 「疑わしい、疑問の余地がある」
  • cease [síːs] : 「〜をやめる、よす、中止する」
❖ "Knowledge is ~ "「叡智は時間依存しない」。"because certainty ~ "「なぜなら、確実なことは疑問の余地がないからだ」。叡智は実相的真実の総体であり、永遠不変である。完璧に完結した叡智であるので疑問を発する必要はない。"You know when ~ "「あなたが疑問を発するのを止めたとき、それを知る(であろう)」。あなたが奇跡によって真実を識り、叡智を取り戻したとき、あなたは疑問を発することがなくなった自分に気付く。
 
 
 




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