II. The Atonement as Defense
防御としての贖罪
1. You can do anything I ask. I have asked you to perform miracles, and have made it clear that miracles are natural, corrective, healing and universal.
- ask [ǽsk] : 「求める、要求をする」
- perform [pərfɔ́ːrm] : 「〜を行う、実行する、遂行する」
- make [méik] : 「〜の状態を作り出す、〜にする」
- clear [klíər] : 「取り除く、除去する、一掃する、片付ける」
- natural [nǽtʃərəl] : 「普通の、ありのままの、自然な」
- corrective [kəréktiv]: 「訂正の、修正の」
- healing [híːliŋ] : 「癒しの、治療の」
- universal [jùːnəvə́ːrsl] : 「全宇宙の、全世界の、一般的な、普遍的な」
❖ "You can do ~ "「あなたは、私が求めることなら何でも出来る」。"I have asked ~ "「私はあなたに、奇跡をなすように求めてきた」。"and have made ~ "「そして、that以下を明白にしてきた」。"that miracles are ~ "「奇跡は自然なもので、誤りの訂正を行うものであり、ヒーリングであり、普遍的なものである」ということを明白にしてきた。イエスはあなたに、あなたが奇跡をなすようにとずっと求めてきた。なぜなら、あなたは神の子であり、イエスが求める奇跡を成就出来る能力があるからだ。神の子が奇跡をなすことは、つまり、真実を現実化することは自然な行いである。しかも、奇跡は、誤りを修正して幻想を消滅させるというヒーリングであり、神の子なら誰でも出来る普遍的な能力(パワー)である。なぜなら、奇跡は、神が神の子に与えた神の属性だからだ。神の贈り物である。
There is nothing they cannot do, but they cannot be performed in the spirit of doubt or fear.
- spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
- doubt [dáut] : 「疑い、疑念、疑惑、懸念、心配、不安」
- fear [fíər] : 「恐れ、恐怖、懸念、心配、不安」
❖ "There is nothing ~ "「奇跡に出来ないことは何もない」。" but they cannot ~ "「しかし、疑いや恐れを抱くような精神状態では、奇跡はなされ得ない」。奇跡のもつパワーに対して疑いをもち、奇跡が実現しないのではないかと恐れを抱くようでは、その負の想念が現実化してしまって、その結果、奇跡は起きない。
あるいは、疑いや恐れを抱くということは、その対象を現実化してしまうことを意味し、幻想と認めてさりげなく受け流してしまうことが出来なくなってしまうのだ。その結果、対象は大きな障害となってあなたの目の前に立ちふさがる。奇跡は障害によって阻止されてしまうのである。
When you are afraid of anything, you are acknowledging its power to hurt you.
- afraid [əfréid] : 「恐れて、心配して、怖がって」
- be afraid of : 「〜を恐れる、〜を怖がる、〜について心配だ」
- acknowledge [əknɑ́lidʒ] : 「認める、承認する、認識する、受け入れる」
- hurt [hə́ːrt] : 「〜を傷つける」
❖ "When you are afraid ~ "「あなたが何かを恐れている時、あなたは、その何かにあなたを傷つける力があると認めていることになる」。あなたが傷つけられるかもしれないという恐れを抱くとき、その想念が現実化してしまって、その対象はあなたを傷つけ得る力をもってしまう。本当は、幻想が実相的なあなたの存在を傷つけることなど不可能なのだが、それが信じきれない。信じきれないから恐れが生じる。恐れが生じるから、対象があなたを傷つける力を現実化してしまう。結果、対象はあなたを傷つけてしまうのである。
Remember that where your heart is, there is your treasure also. You believe in what you value.
- remember [rimémbər] : 「〜を覚えている、〜を思い出す」
- heart [hɑ́ːrt] : 「心、胸の内、気持ち」
- treasure [tréʒər] : 「宝、富、宝物、財宝」
- also [ɔ́ːlsou] : 「〜もまた、同様に、また、〜もやはり」
- believe [bilíːv] : 「信じる、確信する、信頼する」
- value [vǽljuː] : 「〜を高く評価する、〜を尊重する」
❖ "Remember that ~ "「あなたの心があるところに、あなたの宝物があることを思い出しなさい」。あなたの心が引きつけられる物が、善し悪しは別として、あなたにとっての宝物となる。あなたの心がお金に向かうなら、お金があなたの宝物となるし、あなたの心が愛に向かうなら、愛があなたの宝物となる。"You believe in ~ "「あなたは、価値があると思うことを信じる」。お金こそが価値があると思えば、あなたはお金を信じ、愛こそが価値があると思えば、あなたは愛を信じる。
If you are afraid you will inevitably value wrongly, and by endowing all thoughts with equal power will inevitably destroy peace.
- inevitably [inévətəbli] : 「必然的に、必ず、不可避的に」
- wrongly [rɔ́ːŋli] : 「誤って、間違って」
- endow [indáu] : 「授ける、与える」
- thought [θɔ́ːt] : 「考え、見解、思想」
- equal [íːkwəl] : 「同等の、程度が等しい、均等な、平等な」
- destroy [distrɔ́i] : 「〜を破壊する、ぶち壊す、破損する」
- peace [píːs] : 「平和、和平、安らぎ、平安、静けさ、静謐」
❖ "If you are afraid ~ "「もしあなたが恐れを抱いているなら、あなたは誤って評価することは避けられない」。恐れによってあなたの心が曇っているなら、あなたが何を宝物と感じて信じるか、その価値判断を誤ってしまう。これは『恐れ』に限定する必要はなく、幻想すべてについて言える。つまり、幻想によって心が曇っているなら、何が本当に価値があるか、その判断を誤ってしまうことだ。"and by endowing ~ "「そして、すべての思いに同等の力を与えることによって、あなたは平和を破壊することを避けられないだろう」。ACIMでは、真に力を持つものは想念(thought)である。たとえば、愛には強い力があるし、また、憎しみにも力がある。すべての思い(想念)に同等の力を授けたらどうなるか? 愛の力と憎悪の力が混在することなってしまい、心の平和は破壊される。あなたが価値ありとして信じれば、それは力をもつことになり、価値判断を誤れば心にコンフリクトが生じる。だから、恐れを抱くことなく、つまり、幻想に惑わされることなく、価値判断をホーリー・スピリットに委ねて、真実のみを選択せよ、ということになる。
That is why the Bible speaks of "the peace of God which passeth understanding. "
- speak of : 「〜を口にする、〜のことを話す」
- pass [pǽs] : 「〜を通る、通り越す、追い越す」
- eth [iθ] : 「三人称単数現在形の動詞の語尾につける」
- understanding [ʌ̀ndərstǽndiŋ] : 「理解、把握」
❖ "That is why the Bible ~ "「それは、なぜ聖書が、理解を超えた神の平和を語ったかという理由である」。これは、聖書のこの箇所を、もう少し長めに読めば理解が進むだろう。フィリピの信徒への手紙4:7である。
[Philippians 4:6-7 form King James Version]
Be careful for nothing; but in every thing by prayer and supplication with thanksgiving let your requests be made known unto God. And the peace of God which passeth understanding, shall keep your hearts and minds through Christ Jesus.
どんなことでも、思い煩うのはやめなさい。何事につけ、感謝を込めて祈りと願いをささげ、求めているものを神に打ち明けなさい。そうすれば、あらゆる人知を超える神の平和が、あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう。(新共同訳)
This peace is totally incapable of being shaken by errors of any kind. It denies the ability of anything not of God to affect you.
- totally [tóutəli] : 「全く、完全に、全体的に、全体として」
- be incapable [inkéipəbl] of : 「〜ができない、〜をする能力がない」
- shaken [ʃéikən] : 「shakeの過去分詞」
- shake [ʃéik] : 「〜を振る、振動させる、揺する、揺るがす、ぐらつかせる」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
- of any kind : 「いかなる種類の」
- deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- ability [əbíləti] : 「能力、才能」
- affect [əfékt] : 「影響を与える、〜に作用する」
❖ "This peace is totally ~ "「この平和は、いかなる種類の誤りによっても揺るがされることはまったくない」。思い煩うのはやめ、恐れという感情に代表される幻想を排除して得られる、あらゆる人知を超える神の平和は、もはやどんな誤りによっても、幻想によっても、揺らぐことはない。"It denies the ability ~ "「この平和は、神のものではない何かがあなたに影響を与える能力を否定する」。神とは無関係の何かとは、もちろん幻想であり、具体的には、幻想を偶像化したエゴと考えていい。神の平和は、エゴに代表される幻想が心に侵入することを拒絶するのだ。
This is the proper use of denial. It is not used to hide anything, but to correct error.
- proper [prɑ́pər] : 「適した、適切な、妥当な、適当な」
- use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
- denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
- use [juːz] : 「使う、利用する、生かす、働かせる」
- hide [háid] : 「隠す、隠蔽する、秘密にする」
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
- error [érər] : 「誤り、間違い」
❖ "This is the proper ~ "「これは、拒絶の適切な使用法である」。なぜなら、"It is not used ~ "「この拒絶は、何かを隠そうとして用いられたのではなく、誤りを正すために使われたのだ」。だから、神に由来しないものを拒絶することは、拒絶の適正な使い方である。
It brings all error into the light, and since error and darkness are the same, it corrects error automatically.
- bring [bríŋ] : 「〜を持って来る、〜をもたらす」
- light [láit] : 「光、光源、ライト、明かり」
- since [síns] : 「〜なので、〜だから」
- darkness [dάːrknis] : 「暗がり、暗闇」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- automatically [ɔ̀ːtəmǽtikəli] : 「無意識に、思わず、自動的に、勝手に、機械的に」
❖ "It brings all error ~ "「適正な拒絶は、あらゆる誤りを光の中に持ち込んでくれる」。"and since error ~ "「そして、誤りと闇は同じものであるから、それは自動的に誤りを正すのだ」。誤りも闇も共に幻想である。光によって暗闇が消滅するように、真実の光は誤りを自然に消してしまうのだ。