●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-2.IV.3:1 ~ T-2.IV.3:13

3. Only the mind can create because spirit has already been created, and the body is a learning device for the mind. 
  • create [kriéit] : 「創造する、創り出す」
  • spirit [spírit] : 「霊、魂、霊魂、精霊、精神、気分、気迫」
  • already [ɔːlrédi] : 「すでに、とっくに〜済み」
  • learning : 「習うこと、学ぶこと、学習」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具」
❖ "Only the mind ~ "「心だけが創造出来る」。"because spirit has ~ "「なぜなら、スピリットはすでに創造されてあるし、肉体は心にとって学びのための装置に過ぎないからだ」。我々が自分の心だと思っている意思や理性的思考は本当の心ではない。肉体に閉じこめれていると思っている心は、神の子が偽創造した心の模造品である。実相的な本当の心は肉体に支配されていない。それをACIMでは"spirit"「スピリット」と言う。このスピリットは神によって創造されたものであり、すでにあなたはスピリットを持っている。ただ、それを忘れているだけなのだ。夢の中で神の子が神から分離するとき、神の子はスピリットを神に投げ返してしまったのだ。
肉体は、それを思い出すために利用される。肉体は、肉体が幻想に過ぎないと学ぶための対象とされ、幻想から目覚めるための題材、すなわち学びの補助装置として利用されるのである。スピリットを神に投げ返した夢から目覚めるために使われるのである。



Learning devices are not lessons in themselves. Their purpose is merely to facilitate learning. 
  • lesson [lésn] : 「レッスン、けいこ、教訓、教え」
  • purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、目標、狙い」
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • facilitate [fəsílətèit] : 「容易にする、手助けする」
❖ "Learning devices ~ "「学びのための装置は、それ自体の中には学びの要素は含まれていない」。"Their purpose is ~ "「学びのための補助装置の目的は、単に学びを手助けすることである」。学ぶ対象はあくまでも心であり、心をいかにして真実に回帰させるかである。実在の心(スピリット)は、幻想の肉体を学びの補助装置として使うだけなのだ。時間もまた、学びのための補助装置であったことを思い出そう。学びが完了すれば、肉体も時間も消滅する。なぜなら、学びが完了すれば、学びのための補助装置も不必要になるからだ。したがって、幻想が消滅すればおのずから時空も消滅する。



The worst a faulty use of a learning device can do is to fail to facilitate learning.
  • worst [wə́ːrst] : 「最も悪い、最悪の」
  • faulty [fɔ́ːlti] : 「欠点のある、誤った、不完全な、欠陥のある」
  • use [júːs] : 「使うこと、利用、使用」
  • fail [féil] : 「失敗する、しくじる」
❖ "The worst a faulty ~ "直訳すると、「学びの補助装置の誤った使い方がやることで最悪のことは学びの手助けに失敗することである」。つまり、学びのための補助装置が学びのためにならなかったら最悪だ、ということ。しかし、我々は、この最悪な失敗を繰り返している。



It has no power in itself to introduce actual learning errors. The body, if properly understood, shares the invulnerability of the Atonement to two-edged application.
  • power [páuər] : 「力、能力、勢力、権限、権威」
  • introduce [ìntrədjúːs] : 「取り入れる、導入する、招く、紹介する」
  • actual [ǽktʃuəl] : 「現実の、実際に起こった、現在の」
  • error [érər] : 「誤り、間違い」
  • properly [prάpərli] : 「適切に、ちゃんと、正確に、正しく、厳密に」
  • understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understandの過去・過去分詞形」
  • share [ʃέər] : 「分かち合う、共有する」
  • invulnerability [invʌlnərəbíləti] : 「傷つかないこと、弱さがないこと」
  • atonement [ətóunmənt] : 「償い、贖罪」
  • two-edged : 「両刃の、諸刃の」
  • application [æ̀pləkéiʃən] : 「適用、応用、活用、利用、充当」
❖ "It has no power ~ "ここの"It"は前文の"learning device"のこと、「学びの補助装置自体は、実際に誤ったことを学ばせる力はない」。誤ったことを学んでしまうのは心であって、補助装置に過ぎない肉体には学ぶという主体性も学ばせるという主体性もない。もちろん、誤ったことを学んでしまうように誘導することも出来ない。"The body, if properly ~ "「肉体は、もし適切に理解されるなら、両刃の応用に対して、贖罪のもっている傷つけられることのない強さを分かちもっている」。肉体は『両刃の応用』に対して贖罪と同様に抵抗力がある、ということ。どういうことかと言うと、まず、T-2.II.4:8 "The Atonement thus becomes the only defense that is not a two-edged sword. It can only heal."を見ていただきたい。両刃の応用とは、防御(defense)に応用されることと、攻撃(attack)に応用されることの2つである。真実の贖罪には攻撃性はなく、防御専門である。つまり、贖罪は攻撃性の応用に対して抵抗力があるのである。攻撃性を拒否する力がある。したがって、本文は、肉体も、正しく理解されるなら、攻撃性を排除する力がある、ということ。実相的な視点に立てば、肉体は攻撃など出来ないのである。
幻想の肉体を考えるときは映画を連想すればいい。スクリーン上に映し出された凶暴な戦士は、はたして我々を攻撃することが出来るだろうか。彼はスクリーン上で攻撃しているだけであって、見ている我々を攻撃することは出来ない。イメージに過ぎない肉体には攻撃性はないのだと学ぶことが出来る。スクリーン上の戦士は学びの補助装置になっているわけだ。



This is not because the body is a miracle, but because it is not inherently open to misinterpretation. 
  • inherently [inhíərəntli] : 「生得的に、本質的に」
  • be open to : 「受けやすい、〜を招きやすい、〜に無防備である」
  • misinterpretation [misintə̀ːrprətéiʃən] : 「誤った解釈、誤解、誤訳 」
❖ "This is not because ~ "「これは肉体が奇跡だからではない」。肉体が攻撃性に対してそれを否定する抵抗力があることは、肉体が奇跡(真実)だからというわけではない。"but because it ~ "「肉体は元来、誤った解釈を受けることはないからである」。一言で言えば、肉体は幻想であり意味がないのだ。だから、奇跡などではない。意味がないから肉体を解釈することなど不可能である。もちろん、正しい解釈も誤った解釈も不可能である。肉体は知覚され、評価される対象に過ぎない。
しかし、肉体はそれを利用することは出来る。肉体を攻撃するために使うことも出来るし、肉体を守るために使うことも出来る。これが、肉体のもつ両刃の剣なのだが、もし真実に目覚め、肉体が幻想だと知れば、スクリーン上に映し出されたイメージと同様に、肉体は攻撃性をもつことが出来ないと認識出来て、肉体は防御という片刃の剣となる。では、肉体は何から防御するのか? 肉体は実在だとする誤認識、知覚の誤りから我々を守るのだ。肉体を見てこれは幻想だと認識出来れば、我々の本当の知覚、つまりヴィジョンは守られることになる。これが、肉体は学びの補助装置であるということである。



The body is merely part of your experience in the physical world. Its abilities can be and frequently are over evaluated.
  • merely [míərli] : 「ただ単に、単に」
  • part [pάːrt] : 「一部、部分」
  • experience [ikspíəriəns] : 「経験、体験、見聞」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な、物理学の、物理学上の」
  • ability [əbíləti] : 「能力、才能、できること」
  • frequently [fríːkwəntli] : 「しばしば、高い頻度で、頻繁に、たびたび」
  • evaluate [ivǽljuèit] : 「〜を評価する、値踏みする、査定する」
❖ "The body is merely ~ "「肉体は物理世界における単なる経験の一部に過ぎない」。物理世界とはこの幻想世界のこと。肉体は実在しないが、肉体を経験として知覚することは出来る。その経験、知覚こそが肉体のすべてである。実体はない。肉体は、幻想の世界で知覚される幻影の一つに過ぎないのだ。ところが、知覚はあまりにもリアルに肉体を知覚するので、"Its abilities can ~ "「肉体の能力は過大に評価され得るし、しばしば過大に評価されている」。肉体が現実にそこに実在しているものと過大に評価されている。これが、あらゆる誤りの、そもそもの始まりである。



However, it is almost impossible to deny its existence in this world. Those who do so are engaging in a particularly unworthy form of denial.
  • however [hauévər] : 「けれども、しかしながら、また一方」
  • almost [ɔ́ːlmoust] : 「ほとんど、九分どおり、大体」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
  • deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
  • existence [igzístns] : 「存在、生存、実存、実在」
  • engage [engéidʒ] : 「従事する、携わる、関与する」
  • particularly [pərtíkjulərli] : 「特別に、とりわけ、非常に」
  • unworthy [ʌnwə́ːrði] : 「値しない、価値のない、取るに足りない 」
  • denial [dináiəl] : 「否定、拒否、拒絶、否認」
❖ "However, it is ~ "「しかしながら、この世界における肉体の存在を否定することはほとんど不可能である」。肉体があまりにもリアルに知覚されるからだ。"Those who do ~ "「この世界における肉体の存在を否定する人たちは、否定の形の中でもことさら価値のない否定に関与している」。肉体の存在を否定することは正しいが、かと言って肉体のもつ片刃の剣という側面までも否定してはいけない。そんな否定は価値のない否定である。肉体のもつ学びのための補助装置という属性を否定してしまうことはまったく価値がない。




The term "unworthy" here implies only that it is not necessary to protect the mind by denying the unmindful. 
  • term [tə́ːrm] : 「語、言葉、用語」
  • imply [implái] : 「暗に伝える、暗示する、ほのめかす 」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、かばう」
  • deny [dinái] : 「否定する、認めない、信じない」
  • unmindful [ʌnmáindfəl]: 「不注意な、無頓着な」
❖ "The term "unworthy" here ~ "「ここでいうところの『価値のない』という言葉は、単にthat以下を暗に示しているだけだ」。"that it is not necessary ~ "「無頓着な者を否定することで心を守ることは不必要だ」ということを暗に示しているだけだ。ACIM原理主義的傾向を諌(いさ)めている。潔癖さを求めるACIM原理主義者がここにいるとしよう。彼は『肉体は幻想に過ぎない、したがって幻想の肉体そのものを100%否定すべきだ』と言うだろう。彼にとっては、幻想の肉体は幻想としてその存在を認めようという連中が無頓着な者(the unmindful)に見える。彼は、そういう日和見的な無頓着な人たちを否定して(by denying the unmindful)、純粋な心の存在を守ろうとするわけだ(to protect the mind)。だが、その必要はない。肉体のもつ学びのための補助装置としての価値を否定してしまう必要はないのだ。



If one denies this unfortunate aspect of the mind's power, one is also denying the power itself.
  • unfortunate [ʌ̀nfɔ́ːrtʃənət] : 「不運な、不幸な、運の悪い、残念な」
  • aspect [ǽspekt] : 「様子、外見、局面、状況、側面、見方」
❖ "If one denies this ~ "「この、心の力の不幸な一面を否定すれば、それは心の力そのものを否定することになる」。一見、幻想の存在を認めることは、心の弱さ、心の力の不幸な一面(this unfortunate aspect of the mind's power)に見えるが、もし、そういう心の力の柔軟さを否定すれば(If one denies this unfortunate aspect )、心のもつすべての力の否定(denying the power itself)につながりかねない。
ACIMは、肉体も物質も幻想であり、意味はないと宣言する。しかし、だからと言って、自殺してもいいとか殺人を犯してもいいなどとは決して言ってはいない。物質に対しても、物をぞんざいに扱っていいなどとは言っていない。そこを履き違えると、どこぞのカルト教団のような凶悪な結果を招くようになるのだ。
 
 
 



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