10. To him who merits everything, how can it be that anything be kept from him?
- merit [mérət] : 「〜に値する」
- kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
❖ "To him who merits ~ "「あらゆるものを受けるに値する者にとって、何も与えられないことは、あり得ようか」。真実のすべてを与えられる資格のある者は、真実のすべてが与えられる。神の子は神の属性のすべてを継承する資格があるので、神の属性のすべてを与えられたのだ。
For that would be injustice, and unfair indeed to all the holiness that is in him, however much he recognize it not.
- injustice [indʒʌ́stis] : 「不公平、不正、不当」
- unfair [ʌ̀nfέər] : 「不公正な、公正を欠いた、不公平な、不正な」
- indeed [indíːd] : 「実に、本当に、確かに、いかにも」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- however [hauévər] : 「どんなに〜でも、いかに〜であろうとも」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "For that would ~ "「なぜなら、彼の心の中にある神聖さのすべてに対して、すべてを与えられないことは不当であり、確かに不公正だからである」。"however much he ~ "「たとえ彼が、それに少しも気付いていないにしても」。"the holiness that is in him"「彼の心の中にある神聖さ」とは、自分が神聖な神の子である、ということ。自分が神聖な神の子であると気付いていなくても、神聖な神の子が真実を与えられないということは、つまり、神の属性を継承していないということは、実相的に見れば不当であり不公正だ、という意味。
God knows of no injustice. He would not allow His Son be judged by those who seek his death, and could not see his worth at all.
- know of : 「〜について知っている」
- allow [əláu] : 「〜を許す、許可する、許容する、可能にする」
- judge [dʒʌ́dʒ] : 「〜を判断する」
- those who : 「〜する人々」
- seek [síːk] : 「捜し求める、捜し出す、求める、追求する」
- death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり、終焉」
- worth [wə́ːrθ] : 「価値、財産」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "God knows of ~ "「神は、不当なことを知らない」。"He would not allow ~ "「神の子の死を追求し、神の子の価値をまったく顧みない者たちによって、神の子が判断されることを、神は決して許さないだろう」。エゴの思考システムにどっぷりとつかり、同胞の罪を暴いては攻撃して、その心の死を願い、神の子としての価値を認めもしない者たちを、神は正当だと認めない、ということ。
What honest witnesses could they call forth to speak on his behalf?
- honest [ɑ́nəst] : 「正直な、誠実な、素直な、公正な」
- witness [wítnəs] : 「証拠、証言、目撃者、証人」
- call forth :「 〜を生じさせる〜を引き出す、呼び起こす」
- on one's behalf : 「〜のために、〜の利益になるように」
❖ "What honest witnesses ~ "「神の子の味方になって証言してもらうために、いったい彼らは、どんな正直な証言者を呼び出すことが出来るだろうか」。神の子に罪はないと証言してくれる者は、この幻想世界にはいない。実相世界に目覚めた者だけが、神の子の無辜性を証言してくれるのだ。
And who would come to plead for him, and not against his life? No justice would be given him by you.
- plead [plíːd] : 「嘆願する、弁護する」
- plead for : 「〜のために弁論する、弁護する」
- against [əɡéinst] : 「〜に反対して、〜に逆らって」
❖ "And who would come ~ "「そして、いったい誰が、神の子の命に逆らうことなく、彼の命を救う嘆願をするために、やって来るだろうか」。この幻想世界には、一人もいない。
Yet God ensured that justice would be done unto the Son He loves, and would protect from all unfairness you might seek to offer, believing vengeance is his proper due.
- ensure [inʃúər] : 「〜を確かにする、保証する、守る、安全にする」
- done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
- protect [prətékt] : 「保護する」
- protect from : 「〜から保護する」
- unfairness [ʌ̀nfέərnis] : 「不公平、不当」
- seek to : 「〜しようとする」
- offer [ɔ́ːfər] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
- proper [prάpər] : 「適した、適切な、正確な、妥当な、適当な」
- due [djúː] : 「当然支払われるべきもの」
❖ "Yet God ensured ~ "「しかし、神は、that以下を確かに保証してくれる」。"that justice would ~ "「神が愛する神の子に対して、正当性は成就され、」"and would protect ~ "「〜である不正のすべてから守ってくれる」ということを神は確かに保証してくれる。"all unfairness you might ~ "「復讐こそが神の子が受けるにふさわしいと信じて、あなたが差し出そうとする不正のすべて」から守ってくれるということを神は確かに保証してくれる。あなたは、幻想世界にどっぷりとつかり、自分が他者よりも優れているという特別性を信じ、自分より劣っている他者の罪を追求して、罪ある者は罰をもって復讐されるべきだと信じているかもしれないが、不正を知らない神の正当性は、そんな弱者の立場にいる神の子を守ってくれるのだと、また、神の正当性はきっと成就されるのだと、神は保証している。
11. As specialness cares not who pays the cost of sin, so it be paid, the Holy Spirit heeds not who looks on innocence at last, provided it is seen and recognized.
- specialness [spéʃəlnis] : 「特別であること、特別性」
- care [kέər] : 「気に掛ける、心配する、関心がある」
- pay [péi] : 「〜を支払う、報いる」
- cost [kɔ́st] : 「費用、経費、犠牲、代償」
- sin [sín] : 「罪、罪悪、ばかげたこと、過失、罪業」
- paid [péid] : 「pay の過去・過去分詞形」
- heed [híːd] : 「〜に気を付ける、〜を気に掛ける、注意を払う」
- look on : 「〜を見る」
- innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
- at last : 「最後に、ついに、とうとう」
- provided : 「〜という条件で、〜のときに、もし〜とすれば、もし〜ならば」
- seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
- recognize [rékəgnàiz] : 「を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "As specialness cares ~ "「特別性は、罪の代償を誰が払うか、代償が払われさえすれば、気にかけたりしないのだが、それと同様に、」"the Holy Spirit heeds not ~ "「ホーリー・スピリットは、〜でありさえすれば、最後に誰が無辜性を見つけてくれるか、気にかけたりしない」。ホーリー・スピリットは、誰でもいいから、神の子の無辜性を認識してくれることを望んでいる。一人でも無辜性に気付けば、実相的には神の子は自他一如なので、無辜性の気付きは分かち合われ、伝播して、神の子全体に広がるからだ。"provided it is seen ~ "「無辜性が目に留まり、認識さえされれば、」ホーリー・スピリットは、最後に誰が無辜性を見つけてくれるか、気にかけたりしない
For just one witness is enough, if he sees truly. Simple justice asks no more.
- witness [wítnəs] : 「証拠、証言、目撃者、証人」
- enough [inʌ́f] : 「十分な、足りる」
- truly [trúːli] : 「事実のとおりに、正確に、忠実に、偽りなく」
- Simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、単一の」
- justice [dʒʌ́stis] : 「正義、公正、正当性」
- no more : 「それ以上〜ない」
❖ "For just one witness ~ "「なぜなら、偽りなく見るのであれば、たった一人の証人で十分だからである」。真実を見抜く者がたった一人でも、神の子の無辜性を認識してくれれば、それで十分だ。"Simple justice ~ "「簡素な正当性というものは、それ以上を要求しないのである」。もちろん、犠牲の一つも要求したりしない。
Of each one does the Holy Spirit ask if he will be that one, so justice may return to love and there be satisfied.
- ask of : 「〜に要求する」
- return [ritə́ːrn] : 「戻る、帰る、返還する」
- satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる、満たす、充足させる」
❖ "Of each one does ~ "「一人一人に対して、ホーリー・スピリットは、彼がその証人になってはくれないかと、尋ねているのだ」。" so justice may return ~ "「(誰かが証人になることを受け入れくれたら、) 正当性は、愛に回帰し、正当性は満たされるのである」。愛の欠けた正当性は、本当の正当性ではない。愛をもって、神の子の無辜性を証言してくれる者が一人でも現れれば、その愛は分かち合われ、拡張増大して、愛は正当性に伝播し、まさに実相的な正当性として満足出来るものになる。
Each special function He allots is but for this; that each one learn that love and justice are not separate.
- special [spéʃəl] : 「特別な、独特の、特別の、特有の」
- function [fʌ́ŋkʃən] : 「職務、役割、機能、作用、働き、効用」
- allot [əlɑ́t] : 「〜を割り振る、充てる、割り当てる」
- learn [lə́ːrn] : 「〜を学ぶ、〜を知る、分かる」
- separate [sépərət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の」
❖ "Each special function ~ "「ホーリー・スピリットが割り振った特別な役割の一つ一つは、このためにあるのだ」。愛をもって、神の子の無辜性を証言してもらうために、ホーリー・スピリットは、人それぞれに対して特別な役割を割り振ったのだ。"that each one ~ "ここの"that"は"so that"のこと、「その結果、一人一人が、愛と正当性は分離したものではないと、学ぶことになるのである」。人は、天から与えられたそれぞれの役割を果たしながら、愛と正当性は、同一なものだと知るのである。
And both are strengthened by their union with each other. Without love is justice prejudiced and weak.
- both [bóuθ] : 「両方、双方」
- strengthen [stréŋkθən] : 「〜を強くする、強化する、増強する」
- union [júːnjən] : 「結合、合併、融合、団結」
- each other : 「お互い」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
- prejudiced [prédʒudist] : 「偏見を持った、不公平な」
- weak [wíːk] : 「弱い、劣っている、力がない、脆弱な」
❖ "And both are strengthened ~ "「愛と正当性は、互いに結びつくことで、強化されていく」。"Without love is justice ~ "「愛がなければ、正当性は偏見に満ちたものとなり、弱々しいものなのである」。
And love without justice is impossible. For love is fair, and cannot chasten without cause.
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない」
- fair [fέər] : 「公平な、公正な、公明正大な、偏見のない」
- chasten [tʃéisn] : 「罰する、懲らしめる」
- cause [kɔ́ːz] : 「原因、要因、理由」
❖ 同様に、"And love without ~ "「正当性のない愛は、不可能だ」。"For love is fair ~ "「なぜなら、愛は公正であって、理由なくして懲らしめることはないからだ」。"chasten"「懲らしめる」という言葉が少々不可解なのだが、罰を与えるという意味ではなく、愛のムチを与える、という程度の意味合いだろう。愛は、甘やかすことではないからだ。したがって、ここの"cause"「理由、原因」という言葉も、愛に裏打ちされた理由、と捉えればいいだろう。
What cause can be to warrant an attack upon the innocent?
- warrant [wɔ́ːrənt] : 「〜の正当な理由となる、〜は当然である、〜を正当化する」
- attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "What cause can be ~ "「罪のない者へ攻撃を加えることを正当だとする、どんな理由があり得るだろうか」。前文の"cause"のことである。攻撃性を正当化する理由で、愛が懲らしめることはない。愛は、愛に裏打ちされた理由をもって、愛のムチを与えるのだ。
In justice, then, does love correct mistakes, but not in vengeance. For that would be unjust to innocence.
- correct [kərékt] : 「〜を訂正する、修正する、正す」
- mistake [mistéik] : 「誤り、過ち、手違い、誤解」
- vengeance [véndʒəns] : 「復讐、仕返し、報復」
- unjust [ʌndʒʌ́st] : 「不公平な、不正な、不法な、不当な」
- innocence [ínəsəns] : 「無罪、潔白、無邪気、無垢、純潔、純真」
❖ "In justice, then, does ~ "「したがって、正当性の中で、愛は過ちを正すのである」。過ちに対して、愛のムチを与え、過ちを正すのである。"but not in vengeance"「決して、復讐のためではない」。"For that would be ~ "「なぜなら、復讐は、無辜なる者への不正だからだ」。無辜なる者でも、時として過ちを犯すことはある。その過ちに対して、罰をもって望むことは復讐心のなせる業であって、正当な行為ではない。過ちは、愛をもって正すべきなのだ。それが、愛に裏打ちされた正当性というものである。