●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-4.II.7:1 ~ T-4.II.7:9

7. The ego literally lives by comparisons. Equality is beyond its grasp, and charity becomes impossible.
  • literally [lítərəli] : 「文字どおり、そっくりそのまま」
  • comparison [kəmpǽrisn] : 「比べること、比較、対照」
  • equality [ikwɑ́ləti] : 「平等、等しいこと、同等」
  • beyond [bijάnd] : 「〜の向こうに、〜を越えて」
  • grasp [grǽsp] : 「しっかりつかむこと、 把握、理解」
  • charity [tʃǽrəti] : 「慈善、寛容、思いやり」
  • impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない」
❖ "The ego literally lives ~ "「エゴは文字通り比較によって生きている」。エゴは、他者と比較し、その違いを知覚することで存続している。知覚したものを比較し、評価し、判断を下すという頭脳労働で生きているわけだ。"Equality is beyond ~ "「平等性はエゴの理解の及ばないことだ」。"and charity becomes ~ "「それゆえ、思いやりの気持ちは不可能となる」。必ず優劣をつけ、善悪の色分けをし、序列を設け、価値を決める。そこに平等という概念は入り込めない。自他一如など、思いもよらない。他者と同一だと思えないから、慈悲の気持ちが生まれるわけがない。他者の痛みを感じることが出来ないし、他者の喜びを自分の喜びとして感じることも出来ない。



The ego never gives out of abundance, because it was made as a substitute for it. That is why the concept of "getting" arose in the ego's thought system.
  • abundance [əbʌ́ndəns] : 「 多量、豊富、潤沢、裕福」
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代わりのもの、代用品、代理人」
  • concept [kɑ́nsept] : 「概念、観念、コンセプト、考え方」
  • arose [əróuz] : 「arise の過去形」
  • arise [əráiz] : 「生じる、現れる、生まれる、発生する」
❖ "The ego never ~ "「エゴは豊かさから与えることは決してない」。豊かだからといって、エゴは豊かさを誰かに分け与えることはない。"because it was ~ "「なぜなら、エゴは豊かさに代わるものとして作られたからだ」。エゴの進む方向は豊かさだけで、逆はない。潤沢のみを求めるのがエゴ。"That is why ~ "「それは、『手に入れる』という概念がなぜエゴの思考システムから生じたか、という理由だ」。潤沢だけを追い求めるので、手に入れるという概念はあっても、与えるという概念はエゴにはない。エゴは豊かさを求める欲望の権化(ごんげ)であるが、しかし、逆の視点から見れば、エゴは常に不足感に苛まれる。



Appetites are "getting" mechanisms, representing the ego's need to confirm itself.
  • appetite [ǽpitàit] : 「食欲、欲求」
  • mechanism [mékənìzm] : 「装置、仕組み、手段、仕掛け」
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、意味する」
  • confirm [kənfə́ːrm] : 「確かめる、確認する、強める、固める」
❖ "Appetites are ~ "「欲は『手に入れる』ためのメカニズムである」。"representing the ego's ~ "「それは自分自身に確信をもちたいというエゴの欲求を表している」。エゴの思考システムでは、『得るために奪え』であるが、その論が正しいと自己確認したいがために、エゴは人に『欲』を植え付ける。欲による奪い合いを続ける限り、神の子は分裂を維持し、幻想世界は安泰なのだ。エゴの目的は分離の維持である。



This is as true of body appetites as it is of the so-called "higher ego needs." Body appetites are not physical in origin.
  • be true of : 「〜についてもいえる、〜に当てはまる」
  • so-called [sóukɔ́ːld] : 「いわゆる、〜といわれて」
  • physical [fízikl] : 「身体の、肉体の、身体的な」
  • in origin : 「起源は、原産は、元来は」
❖ "This is as true ~ "「このことは、いわゆる上位のエゴの要求と同様に肉体的な(物質的な)欲にも当てはまる」。肉体的な欲とは、食欲、性欲、などに代表される欲。物質的な欲とは、金銭欲、出世欲、支配欲、贅沢欲、等々。これらは、エゴの視点に立てば、低位の欲であって、エゴにとっての上位の欲とは、神の子の分離を維持し、幻想世界を存続させるという欲である。結局、エゴの自己保存欲のことだ。極言すれば、エゴが神に代わる神の位に居座り続けたいと願う権力欲、支配欲でもある。"Body appetites ~ "「肉体的な欲は、その起源は、物質的なものではない」。エゴの思考システムにおける上位の欲を下支えするのが肉体的な欲であるから、肉体的な欲の源は物質的なものではないのだ。エゴは、神の子を目先の肉体や物質に釘付けにし、そこに欲を感じるように仕向けているだけだ。釘付けにするための道具が知覚である。



The ego regards the body as its home, and tries to satisfy itself through the body.
  • regard [rigɑ́ːrd] : 「〜を〜と見なす、考える」
  • satisfy [sǽtisfài] : 「〜を満足させる、納得させる」
❖ "The ego regards ~ "「エゴは肉体をその住み家と見なしており、」"and tries to ~ "「肉体を通して自身を満足させようと試みている」。エゴは、肉体は現実世界に実在し、肉体的な頭脳が意識や心を生み出していると考えている。したがって、肉体的な欲を満足させることが生きるための基本であり、肉体を維持することでエゴの安泰を図る。



But the idea that this is possible is a decision of the mind, which has become completely confused about what is really possible.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、あり得る」
  • decision[disíʒən] : 「決定、決意、決心」
  • completely [kəmplíːtli] : 「完全に、十分に、全く」
  • confuse [kənfjúːz] : 「混同する、混乱させる、困惑させる」
❖ "But the idea ~ "「しかし、これが可能だという考えは、心が決めることである」。エゴは肉体に宿り、肉体を通して自己保存することが可能であるという考えは、心が勝手にそう思っているだけのことである。幻想として、そう思い描いているに過ぎない。"which has become ~ "「その心は、何が本当に可能かということについて完全に混乱してしまったのだ」。そのエゴに支配された心は、本当に実在可能なものとは何なのか、それをどう現実化するか、まったくわからずにただ混乱してしまった。つまり、実相について何も知らず、幻想の中を彷徨(さまよ)い続けているのだ。
心は、肉体的な頭脳が生み出す意識などではなく、逆に、心の思いが現実を生み出す。エゴに支配された心が肉体を作り出し、欲を植え付けているのだ。現実的な可能性を生み出しているのは心であって、その現実が幻想なのか実相なのか、何が本当に実在する存在を生み出す可能性をもっているのか、エゴは完全に混乱を来している。
 
 
 




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