II. The End of Doubt
疑いの終わり
1. The Atonement is in time, but not for time. Being in you, it is eternal. - atonement [ətóunmənt] : 「贖罪、罪滅ぼし、償い、補償」
- eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の、無限の」
❖ "The Atonement is ~ "「贖罪は時間という枠組みの中で起こるが、」"but not for ~ "「時間のためにあるのではない」。"Being in you, it ~ "分詞構文、理由、「贖罪はあなたの中で果たされるものなので、それは永遠である」。神を裏切ってしまったという罪の意識を取り消して、自分の完全無辜(むこ)性を認識することがACIMの贖罪である。神から分離したと思い込んでいたことは夢の中の出来事であって幻想に過ぎないと悟るのである。したがって、この認識や悟りはこの幻想世界で成されねばならないのだ。その意味では時間という枠組みの中で実行されるものである。その贖罪のために、ホーリー・スピリットは時間を有効利用するのだが、決して時間のために利用しているのではない。なぜなら、あなたが贖罪を果たし、実相世界に回帰できたときは、錯覚の時間は消滅するのだからだ。贖罪はあなたの心の中で起こることであるから、それは実相世界との接点に位置し、したがって、永遠性を有する。つまり、贖罪は真実であるから、永遠性があるのだ。
What holds remembrance of God cannot be bound by time. No more are you. For unless God is bound, you cannot be. - hold [hóuld] : 「心に抱く、維持する、保持する」
- remembrance [rimémbr(ə)ns] : 「記憶、思い出、回想」
- bound [báund] : 「bind の過去・過去分詞形」
- bind [báind] : 「〜を縛る、結び付ける、〜を束縛する、拘束する」
- no more : 「それ以上〜ない、もはや〜しない」
- unless [ənlés] : 「〜でない限り、〜である場合を除いて」
❖ "What holds remembrance ~ "「神の思い出を保持するものは、時間に縛られることは不可能だ」。"No more ~ "「あなたも例外でなく、時間に縛られてはいない」。"For unless God ~ "「なぜなら、神が束縛されない限り、あなたも束縛される可能性はないからだ」。神の思い出をもつものとは、かつて無時間の実相世界に実在していたもののことであるから、当然、時間の束縛を受けない。今、あなたが時間に縛られているのは、時間の存在する幻想世界を夢に見ているためである。しかし本当は、夢から目覚めたなら、あなたは時間から自由なのである。一元論の実相世界には自由は実在するが、対極概念の束縛は存在しない。当然、神にも束縛などないのだ。で、当然、あなたも束縛されることはない。束縛さえも、幻想世界の錯覚なのである。
An instant offered to the Holy Spirit is offered to God on your behalf, and in that instant you will awaken gently in Him. - instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
- behalf [bihǽf] : 「支持、味方、利益」
- on one's behalf : 「〜のために、〜の利益になるように」
- awaken [əwéikn] : 「目を覚ます、目覚める、呼び起こす」
- gently [dʒéntli] : 「静かに、優しく、穏やかに」
❖ "An instant offered to ~ "「ホーリー・スピリットに差し出された瞬間は、あなたのために、神に差し出されるのである」。"and in that instant ~ "「そして、その瞬間において、あなたはホーリー・スピリットの内に目覚めるであろう」。あなたが贖罪を果たす一瞬は、あなたがホーリー・スピリットの助けを借りるために一旦ホーリー・スピリットに委ねた時間である。その瞬間を、ホーリー・スピリットは神のパワーを用いて、つまり、神のパワーに捧げて、あなたの贖罪と解放につなげるのだ。そのとき、あなたは実相世界へと、ホーリー・スピリットの胸のうちで目覚めるのである。
In the blessed instant you will let go all your past learning, and the Holy Spirit will quickly offer you the whole lesson of peace. - blessed [blésid] : 「祝福された、神聖な、聖なる、清められた」
- let go : 「解雇する、手を放す、あきらめる、忘れる」
- past [pǽst] : 「過去の、昔の」
- learning [lə́ː(r)niŋ] : 「学問、学識、習うこと、学ぶこと、学習」
- quickly [kwíkli] : 「すぐに、さっさと」
- whole [hóul] : 「全部の、完全な、全体の」
❖ "In the blessed instant ~ "「聖なる瞬間に、あなたは過去の学びをすべて手放してしまうだろう」。神を裏切って神から分離したというような過去の思い込みを、贖罪を果たす瞬間に手放してしまうのである。過去の思い込みによる罪の意識が取り消され、あなたの贖罪の瞬間は完了する。そうすると、"and the Holy Spirit will ~ "「ホーリー・スピリットはすぐに、心の平和のレッスンをまるごとあなたに差し出してくれるだろう」。実相世界の学びを提供してくれるのである。平和、喜び、愛、創造の学びである。
What can take time, when all the obstacles to learning it have been removed? - obstacle [ábstəkl] : 「 障害物、妨害、邪魔」
- remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
❖ "What can take ~ "「心の平和を学ぶのに障害となっていたものがすべて取り除かれたというのに、一体どれだけの時間がかかるというのか」。いや、かかりはしない。ホーリー・スピリットはすぐにでも実相世界の学びに取り掛かってくれる。ところで、障害となっていたものとは、あなたの贖罪に対する拒絶である。過去へのこだわりと言ってもいい。幻想へのこだわりである。
Truth is so far beyond time that all of it happens at once. - truth [trúːθ] : 「現実、事実、真相、真理」
- far [fáː(r)] : 「はるかに、大いに、ずっと」
- beyond [bi(j)ánd] : 「〜の域を越えて、〜を超越して」
- happen [hǽpn] : 「起こる、発生する、降り懸かる」
- at once : 「瞬時に、早急に、即刻、同時に、一気に、一挙に」
❖ "Truth is so far beyond ~ "ここは"~ so ~ that ~ "の構文、「真実は、あまりにもはるかに時間を超越しているので、」"that all of it ~ "「真実のすべては一瞬にして起きてしまうのだ」。真実は無時間の実相世界の実在である。実相世界ではすべてが一瞬にして起き、その一瞬が永遠に続く。無時間無空間の、永遠不変の世界である。
For as it was created one, so its oneness depends not on time at all.- create [kriéit] : 「〜を創造する、〜を作り出す」
- oneness [wʌ́nnis] : 「単一性、同一性、統一性」
- depend [dipénd] : 「〜次第である、〜による、〜に依存する」
- depend on : 「〜によって決まる、〜次第である」
- at all : 「全く〜ない、全然〜ない、少しも〜ない」
❖ "For as it was created ~ "「なぜなら、真実なるものは一つとして創造されたのであって、」"so its oneness depends ~ "「だからこそ、単一性は時間にまったく依存しないからである」。実相世界の、永遠不変性一元論が述べられている。実相世界で神が創造した真実は一なるもの、つまり、単一性を有している。神、ホーリー・スピリット、神の子でさえも、その三位(さんみ)は究極的に一なるものに収斂する。三位一体である。それが"God is"「神あり」の世界である。一なるものが無変化である世界に、いったい時間など必要だろうか。まったく必要ない。だから神は時間を創造しないのだ。一方、単一性を有していない幻想世界は、すべての存在は分裂し、再統合し、再び分裂し、というように変化流転を繰り返す。したがって、時間に依存する世界なのである。
2. Do not be concerned with time, and fear not the instant of holiness that will remove all fear. - concern [kənsə́ː(r)n] : 「〜に関係する、〜と関係がある、〜を心配させる」
- be concerned with : 「〜に関係している、携わっている、〜に関心がある」
- fear [fíə(r)] : 「〜を恐れる、〜を怖がる」
- instant [ínstənt] : 「瞬間、一瞬」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
❖ "Do not be concerned ~ "「時間と関わりをもってはいけない」。"and fear not the instant ~ "「そして、すべての恐れを取り除いてくれる聖なる瞬間を恐れてはならない」。時間も恐れも、罪の意識も、すべては幻想、錯覚である。それを取り除いてしまう聖なる瞬間を恐れてはいけない。したがって、贖罪は恐ろしいものではないし、実相への目覚めも怖いのもでない。むしろ、その一瞬は、喜びに満ちて輝く、聖なる一瞬なのだ。
For the instant of peace is eternal because it is without fear. - peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- eternal [itə́ː(r)nl] : 「永遠の、不変の、永久の、不滅の」
- without [wiðáut] : 「〜なしで、〜を持たないで、〜なしに」
❖ "For the instant of ~ "「なぜなら、心の平和の瞬間は、恐れがないからこそ、永遠なのであるから」。幻想の恐れが消滅し、心の平和が永遠に続く。
It will come, being the lesson God gives you, through the Teacher He has appointed to translate time into eternity. - through [θruː] : 「〜を通じて、〜の手を経て、手を通して、〜を経由して」
- appoint [əpɔ́int] : 「〜を任命する、選任する、指名する」
- appoint A to do : 「Aを任命して〜させる」
- translate [trænsléit] : 「〜の形を変える、解釈する、〜を翻訳する」
❖ "It will come, being ~ "「心の平和の瞬間は、それは神があなたに与えたレッスンであるから、時間を永遠性に変えるように神が任命した師を通して、やって来るだろう」。心の平和を確立する瞬間はホーリー・スピリットを通してあなたにもたらせる。
Blessed is God's Teacher, Whose joy it is to teach God's holy Son his holiness. His joy is not contained in time. - blessed [blésid] : 「祝福された、神聖な、聖なる、清められた」
- joy [dʒɔ́i] : 「喜び、歓喜」
- holiness [hóulinəs] : 「神聖、高潔」
- contain [kəntéin] : 「封じ込める、阻止する、抑える、抑制する」
❖ "Blessed is God's ~ "「神の師であるホーリー・スピリットは祝福されており、」"Whose joy it is ~ "「聖なる神の子にホーリー・スピリットのレッスンを教えることが、ホーリー・スピリットの喜びである」。"His joy is not ~ "「ホーリー・スピリットの喜びは、時間の中に閉じこめられることはない」。ホーリー・スピリットの喜びは時間を超越している。永遠不変の喜びである。ホーリー・スピリットが教え、神の子が学ぶという形で、神のレッスンが分かち合われ、分かち合うことで喜びは拡張増大していくのである。
His teaching is for you because His joy is yours. Through Him you stand before God's altar, where He gently translates hell into Heaven. - altar [ɔ́ːltə(r)] : 「祭壇、聖餐台」
- gently [dʒéntli] : 「親切に、静かに、優しく、穏やかに」
- translate [trænsléit] : 「〜の形を変える、解釈する、〜を翻訳する」
- hell [hél] : 「地獄、修羅場、生き地獄」
❖ "His teaching is for ~ "「ホーリー・スピリットの喜びはあなたの喜びでもあるので、ホーリー・スピリットの教えはあなたのためにあるのだ」。"Through Him you stand ~ "「ホーリー・スピリットを通して、あなたは神の祭壇の前に立つ」。ホーリー・スピリットの教えを通して、あなたの心の中の最も神聖で純粋な部分に神の祭壇があることを知るのである。"where He gently translates ~ "「その祭壇において、ホーリー・スピリットは優しく、地獄を天の王国へ変えてくれるのだ」。あなたの心の最も神聖な部分に神の祭壇があり、幻想世界と実相世界の接点になっている。したがって、ホーリー・スピリットは、地獄(幻想世界)にあるあなたに天の王国(実相世界)を、その祭壇において垣間見せてくれるのである。
For it is only in Heaven that God would have you be.❖ "For it is only in ~ "直訳すると、「なぜなら、神があなたを存在せしめるのは、天の王国においてのみだあるからだ」。つまり、あなたが実在できるのは実相世界(天の王国)のみであって、それは、神があなたを実相世界において創造したからだ。あなたの故郷は天の王国なのである。