●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
●  Workbook精読http://acimworkshop-workbook.blogspot.jp です。
●  Urtext精読をAmazonからKindle本として上梓しました。



T-15.X.4:1 ~ T-15.X.5:13

4. It is in your power to make this season holy, for it is in your power to make the time of Christ be now.

  • make [méik] [SVOC] : 「 〜の状態を作り出す、〜にする」
  • season [síːzn] : 「季節、時期」
  • holy [hóuli] : 「神聖な」
❖ "It is in your power ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「この季節を神聖にするのは、あなたのパワーの中にある」。つまり、あなたのパワーが、この(クリスマスのある12月という)季節を神聖なものにする、ということ。"for it is in your power ~ "「なぜなら、キリストの時を今にするのは、あなたのパワーの中にあるからだ」。つまり、あなたのパワーが、今この瞬間を神聖なる瞬間「キリストの時」に変えるのだから、ということ。



It is possible to do this all at once because there is but one shift in perception that is necessary, for you made but one mistake.
  • possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る、なし得る」
  • all at once : 「一度にそろって、いっせいに、突然、こつぜんと」
  • shift [∫íft] : 「交代、変更、変化、転換」
  • perception [pə(r)sép∫n] : 「知覚、認知、知見、見識、感じ方」
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • mistake [mistéik] : 「誤り、間違い、ミス、過ち、手違い」
❖ "It is possible to do ~ "ここも"It ~ to ~ "の構文、「これを一気になすことは可能である」。今という時を神聖な瞬間「キリストの時」に変えることは、瞬時に行えるということ。"because there is ~ "「と言うのも、必要とされる知覚のシフトはたった一つしかないからだ」。今という時を神聖な瞬間に変えるには、あなたのたった一つの知覚をシフトするだけでいい。それだけが必要とされる。"for you made but ~ "「なぜなら、あなたはたった一つの誤りを犯しただけなのだから」。つまり、あなたはたった一つの知覚の誤りを犯して、今の状況にある。それは、あなたが神を裏切ってしまったために罪の意識に苦しんでいる、という知覚。しかし、あなたの罪の意識は幻想に過ぎない、神からの分離は幻想に過ぎないと、知覚をシフトしてしまえば、一瞬にしてあなたは罪の意識から解放されるのである。その瞬間が聖なる瞬間になる。キリストの時となるのである。もちろん、罪の意識は幻想に過ぎないと、単に頭脳的理性で理解しただけではダメ。魂のレベルで、心のレベルで知る必要がある。つまり、実相世界に片足を入れた状態で、叡智の片鱗をもって認識しなくては聖なる瞬間は出現しない。しかし、言うは易いが、これがなかなかもって難しい。だが、もちろん、そのためにACIMを学んでいるのだ。言葉で言うほど簡単に実現するなら、こんな難しいACIMの大冊を読む必要がないではないか。



It seems like many, but it is all the same. For though the ego takes many forms, it is always the same idea.
  • same [séim] : 「同じの、同じ、同一の、変わらない」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
❖ "It seems like ~ "「あなたの知覚の誤りはいっぱいあるように見えるだろうが、」"but it is all ~ "「それは、すべて同じものである」。"For though the ego ~ "「なぜなら、エゴは多くの外見をとるが、」"it is always ~ "「それは常に同じ考えである」。例えば、得るためには奪え、攻撃される前に攻撃せよ、等々、エゴの騙し方は様々であるが、根本はあなたの恐れを掻き立てることであって、あなたが神から追放された罪深い者だ、と信じていることだ。



What is not love is always fear, and nothing else.
  • fear [fíə(r)] : 「恐れ、恐怖」
❖ "What is not love ~ "「愛でないものは、常に恐れであり、それ以外のものではない」。つまり、エゴには愛のかけらもないのだ。愛がないから、エゴは恐れを掻き立て、あなたを罪の意識のどん底に陥(おとしい)れるのである。



5. It is not necessary to follow fear through all the circuitous routes by which it burrows underground and hides in darkness, to emerge in forms quite different from what it is.
  • necessary [nésəsèri] : 「必要な、必須の、欠くことのできない」
  • follow [fɑ́lou] : 「〜に従う、追随する、〜の後について行く」
  • circuitous [sə(r)kjúːətəs] : 「回り道の、遠回しの」
  • route [rúːt] : 「道、通路、路線、経路」
  • burrow [bə́ːrou] : 「〜に穴を掘る、穴を掘って進む、潜伏する」
  • underground [ʌ́ndə(r)gràund] : 「地下道、地下」
  • hide [háid] : 「隠れる、潜伏する、身を潜める、潜む、姿を隠す」
  • darkness [dɑ́ː(r)knəs] : 「暗さ、暗がり、暗闇」
  • emerge [imə́ː(r)dʒ] : 「表面に出てくる、現れる、出現する、浮かび出る」
  • form [fɔ́ː(r)m] : 「形、外形、構造、姿、体つき、外見」
  • quite [kwáit] : 「すっかり、全く、完全に」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
❖ "It is not necessary to ~ "ここは"It ~ to ~ "の構文、「恐れに従う必要はない」。"through all the circuitous ~ "これ以降が恐れを修飾していて、「あらゆる回り道を通り、」"by which it burrows ~ "「その回り道を使って、恐れは地下に潜り、闇に身を潜めるのだが、」回り道を通り、"to emerge in forms ~ "「本来の姿とはまったく異なる形で出現する」恐れに従う必要はない。恐れの根本は、神から分離したことで神に罰せられるに違いないという恐れである。したがって、恐れの底辺には罪の意識が隠されている。恐れが地下に潜り込み、闇に隠れるのである。この罪の意識と恐れをエゴはうまく利用し、いろいろ形で幻想世界の表層に浮上させる。たとえば、得るためには奪え、攻撃する前に攻撃せよ、等々は、すべて恐れが姿を変えたものと捉えることが出来る。



Yet it is necessary to examine each one as long as you would retain the principle that governs all of them.
  • examine [igzǽmin] : 「観察する、調べる、〜を分析する、〜を研究する」
  • each [íːt∫] : 「それぞれの、一つ一つの、めいめいの」
  • as long as : 「〜である限りは、〜する以上は、〜であるならば」
  • retain [ritéin] : 「〜を保有する、保つ、保持する、持ち続ける」
  • principle [prínsəpl] : 「原則、原理、公理、原論、法則、方式 」
  • govern [gʌ́və(r)n] : 「支配する、統治する、統率する、決定する」
❖ "Yet it is necessary ~ "ここも"it ~ to ~ "の構文、「しかし、〜であるならば、恐れのとる形を一つ一つ調べる必要はある」。"as long as you would ~ "「あなたが、恐れのとる形のすべてを統治する原理を保持したいと望むのであれば」。ここの"the principle that governs all of them"「恐れのとる形のすべてを統治する原理」とは、一言で言えば、エゴの思考システムである。したがって、あなたがエゴの思考システムを保持したいと望むのであれば、それを仔細に調べ上げる必要はある、といった意味合いになる。しかし、エゴの思考システムを捨てるつもりなら、そんな面倒なことをする必要はない。



When you are willing to regard them, not as separate, but as different manifestations of the same idea, and one you do not want, they go together.
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する」
  • regard [rigɑ́ː(r)d] : 「〜を〜と見なす、ある感情を持って〜を見る、尊重する、考慮する」
  • separate [sép(ə)rət] : 「分かれた、離れた、個々の、別個の、別の」
  • different [díf(ə)r(ə)nt] : 「相違する、違っている、異なる」
  • manifestation [mæ̀nəfistéiʃən] : 「明らかにすること、明示、表明、現れ、顕現、兆候」
  • together [təgéðə(r)] : 「一緒に、共に」
❖ "When you are willing ~ "「あなたが、恐れのとる形を、バラバラなものではなく、同じ思いの異なった表れだと見なそうとし、そして、あなたの望まないものだと進んで思うとき、」"they go ~ "「それらは、一緒になって消えていく」。恐れのとる個々の形態に紛らわされることなく、それらが、エゴの策略に則った同じソースから派生したものだと認識し、そんなものは欲しくないと明確に宣言すれば、恐れなどまるごと消えてしまうのである。



The idea is simply this: You believe it is possible to be host to the ego or hostage to God.
  • simply [símpli] : 「簡単に、分かりやすく」
  • possible [pɑ́səbl] : 「起こり得る、あり得る、なし得る、実行できる」
  • host [hóust] : 「主人、宿主、亭主、案内役」
  • hostage [hɑ́stidʒ] : 「人質」
❖ "The idea is simply ~ "「(同じ)思いとは、簡単に言えば、こうだ」。"You believe it is ~ "「あなたは、エゴのホスト役、あるいは神の人質に成り得ると信じること」。真実はまったくその逆なのだが、エゴの思考システムによれば、こうなるのだ。ホーリー・スピリットがあなたに教えるのは、あなたは神のホスト役であって、決してエゴの人質ではない、となる。結局、あなたがエゴの思考システムを採用する限り、恐れは様々な形をとって、あなたに襲いかかってくる。そこから解放されるには、エゴの思考システムを捨てなくてはならない。



This is the choice you think you have, and the decision you believe that you must make.
  • choice [t∫ɔ́is] : 「選ぶこと、選択、選択の権利、選択の自由」
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議、裁決」
❖ エゴのホスト役になるか、神の人質になるかの選択について、"This is the choice ~ "「これは、あなたがもっていると思っている選択である」つまり、あなたはどちらを選ぶかの選択権をもっていると思っている、ということ。"and the decision you ~ "「そして、あなたがなさねばならないと信じている決定である」。選択権を行使して、どちらかを選ばねばならないと、あなたは信じている。しかし、真実はどうなのかと言うと、あなたは神のホスト役であって、エゴの人質ではない。それは事実として確定していることであって、あなたが選択出来る範疇を越えていることなのだ。



You see no other alternatives, for you cannot accept the fact that sacrifice gets nothing.
  • alternative [ɔːltə́ː(r)nətiv] : 「代わりとなるもの、代替物、取って替わるもの、代替案、代案、選択肢」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、犠牲にすること、いけにえ」
❖ "You see no other ~ "「あなたは、他の選択肢がないと見ている」。"for you cannot ~ "「なぜなら、犠牲では何も得られないという事実を、あなたは受け入れることが出来ないからだ」。エゴのホスト役になることも、神の人質になることも、共に、あなたの自由を犠牲にすることである。犠牲にすることで命を長らえようとするのが、あなたの発想である。得るためには何かを犠牲にしなくてはならないというのは、エゴの思考システムによる発想である。ホーリービーストの思考システムは全く逆なのだ。



Sacrifice is so essential to your thought system that salvation apart from sacrifice means nothing to you.
  • essential [isén∫l] : 「絶対必要な、絶対不可欠な、欠くことのできない、必須の、最も重要な」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思想、思考、思索、熟考」
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • apart from : 「〜から離れて、〜は別として、〜はさておき」
  • mean [míːn] : 「〜を意味する、…とは〜を指す」
❖ "Sacrifice is so essential ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「犠牲は、あなたの思考システムにとってあまりにも必須のものであるから、」"that salvation apart from ~ "「犠牲を抜きにした救済など、あなたにとっては意味をなさなくなっている」。あなたは、罪の意識から救われるためには、それなりの犠牲が必要だと考えている。



Your confusion of sacrifice and love is so profound that you cannot conceive of love without sacrifice.
  • confusion [kənfjúːʒ(ə)n] : 「混乱、混同、当惑、困惑、戸惑い」
  • profound [prəfáund] : 「深い、激しい、心の底から」
  • conceive [kənsíːv] : 「思い付く、想像する」
  • conceive of : 「〜を考え出す、〜を想像する、〜を心に描く、〜を思い描く」
❖ "Your confusion of sacrifice ~ "ここも"so ~ that ~ "の構文、「犠牲と愛との間の混同があまりにも深いものなので、」"that you cannot conceive ~ "「あなたは、犠牲を抜きにした愛を考えることさえ出来ないのだ」。愛には犠牲がつきものであり、犠牲の伴わない愛は偽物であると、あなたは信じている。



And it is this that you must look upon; sacrifice is attack, not love.
  • look upon : 「〜を見つめる、〜を観察する」
  • attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
❖ "And it is this that ~ "「しかし、あなたがよく考えてみなくてはならないのは、次のことである」。"sacrifice is attack ~ "「犠牲は攻撃であって、決して愛ではない」とよく考えてみなくてはならない。ACIMは、徹底的に、犠牲は攻撃だと教えている。愛と攻撃は水と油の関係であって、したがって、愛と犠牲が共に共存することは出来ないのである。



If you would accept but this one idea, your fear of love would vanish.
  • vanish [vǽni∫] : 「突然見えなくなる、消える、消えてなくなる、姿を消す、去る」
❖ "If you would accept ~ "「もしあなたが、この考え一つだけを受け入れるなら、」"your fear of love ~ "「あなたの、愛への恐れは消えてしまうのである」。仮定法になっているので、事実は、まだあなたは受け入れることが出来ずに、したがって愛への恐れが存在している、ということになる。



Guilt cannot last when the idea of sacrifice has been removed.
  • guilt [gílt] : 「犯罪、あやまち、有罪、罪」
  • last [lǽst] : 「続く、存続する、持続する、耐える、持ちこたえる」
  • remove [rimúːv] : 「取り除く、取り去る、取り外す、除去する」
❖ "Guilt cannot last ~ "ここは後ろから訳す、「犠牲という考えが除去されたとき、罪の意識は長続きしない」。犠牲という考えが消えると同時に、罪の意識も消えて行くのだ、多少の時間のズレがあったとしても、である。




For if there is sacrifice, someone must pay and someone must get.
  • pay [péi] : 「支払う、代金を払う」
❖ "For if there is ~ "「なぜなら、犠牲というものがあったなら、」"someone must pay ~ "「誰かが犠牲を払い、誰かが得をすることになるからだ」。犠牲を払った者はそのことで、犠牲を強いた者もそのことで、共に心に、罪なことをしてしまったというわだかまりを持つことになる。実相世界における、得ることと与えることが同じことだという事実を信じることが出来ないのだ。与えることで得、得ることで与えるという分かち合いによって、ますます拡張増大する事実を知らないのである。分かち合いには、犠牲のかけらも存在しない。



And the only question that remains is how much is the price, and for getting what.
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑、疑義」
  • remain [riméin] : 「残る、残存する、とどまる、滞在する」
  • price [práis] : 「値段、価格、相場」
❖ "And the only question ~ "「そして、残る問題はただ一つ、」"is how much ~ "「値段はいくらか、それで何を手に入れれるか、である」。犠牲と愛の関係が、損得勘定になってしまうということだ。
 
 
 

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