●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-15.X.8:1 ~ T-15.X.9:8

8. You think that everyone outside yourself demands your sacrifice, but you do not see that only you demand sacrifice, and only of yourself.

  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
  • demand [dimǽnd] : 「求める、要求する」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ、ささげものをすること」
❖ "You think that ~ "「あなたは、あなた自身の外部の者がみんな、あなたに犠牲を求めているように考えている」。"but you do not see ~ "「しかし、あなたは、あなただけが犠牲を求め、しかも、あなた自身からだけ犠牲を求めていることを知らないのだ」。ACIM独特の自他一如である。あなたが他者から犠牲を強いられていると感じることは、あなたが他者に犠牲を求めていることを意味する。もっとはっきり言えば、ACIMではあなたと他者の間に区別はないから、あなたはあなた自身に犠牲を求めていることになるのだ。自己犠牲、自己破壊、自虐、そういったものが、あなたの心の中に密かに存在している。その最大のソースは、あなたの罪の意識である。



Yet the demand of sacrifice is so savage and so fearful that you cannot accept it where it is.
  • demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望」
  • savage [sǽvidʒ] : 「粗野な、無礼な、下品な、野蛮な、残忍な、凶暴な、残酷な」
  • fearful [fíə(r)fl] : 「恐ろしい、怖い」
  • accept [əksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
❖ "Yet the demand of ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「しかし、犠牲の要求はあまりにも残忍であり恐ろしいので、」"hat you cannot accept ~ "「あなたは、それがどこにあるのか、受け入れることが出来ないのである」。犠牲を求める気持ちはあなたの心の中にあるのにもかかわらず、あなたは恐れをなしてそれを直視しようとしない。



The real price of not accepting this has been so great that you have given God away rather than look at it.
  • real [ríː(ə)l] : 「現実の、実在する、本物の」
  • price [práis] : 「値段、価格、相場、市価」
  • great [gréit] : 「大きい、大きな、巨大な」
  • give away : 「安く売る、譲歩する、逃す、逸する、裏切る、見捨てる」
  • rather than : 「〜よりはむしろ、かえって」
❖ "The real price of not ~ "「これを認めないことの現実的対価はあまりにも大きいので、」"that you have given ~ "「あなたは、それを直視することより、神を見捨てる方をとってしまったのだ」。あなたが自分の心を直視して、そこに犠牲を求める罪の意識を見出すことがあまりにも恐ろしく、そんなことになったら結果(対価)が大きくなってしまうと思い、より簡単な方法として神を手放してしまったのだ。神を手放してしまえば、誰もあなたを責はしないし、罰する者もいなくなるはずだ。



For if God would demand total sacrifice of you, it seems safer to project Him outward and away from you, and not be host to Him.
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、すべての、全体の、全面的な」
  • safe [séif] : 「安全な、無事な、安泰で」
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • outward [áutwə(r)d] : 「外側へ、外へ」
  • away from : 「〜から離れて」
  • host [hóust] : 「主人、案内役、宿主」
❖ "For if God would demand ~ "「なぜなら、もし神があなたに完全な犠牲を求めているなら、」"it seems safer to ~ "ここは"it ~ to ~ "の構文、「神を、外の、あなたから遠いところへ投射してしまい、神のホスト役にならない方がより安全であるように見えるからである」。非常に入り組んでいる。整理しながら考えよう。あなたは、外部の他者があなにばかり犠牲を強いているように感じているが、本当はあなたが他者に犠牲を求めているのだ。それは、あなたの心の中の恐れが犠牲を他者に求めているからであるが、あなたは恐ろしさのあまり、自分の心の中を見ようとせず、神に近づく道を放棄した。もし、あなたが自分の心の中の犠牲を求める罪の意識を見てしまったら、あなたのそれまでの価値観は完全に崩壊してしまい、神の愛にすがるしかなくなるだろう。しかし、その神の愛は、完全であるが故に、あなたには完全な犠牲を求めるものに映るのである。そこで、あなたは、完全な犠牲を避けるために、神をあなたの心から追い出して、外部世界に投射し、神の子として神の側にいるホスト役を返上するのだ。簡単に言えば、神を偶像化し、手の届かないところへと祭り上げ、神との距離をなるべく遠く取ろうとするのである。そうすれば、もはや神は自分ごときのちっぽけな輩(やから)に犠牲を求めることはあるまいと信じて、安心するわけである。つまり、あなたは神の子であることを放棄するのだ。かくして、虫けら同然の存在であるから、他者に犠牲を求めようが、他者の犠牲の求めに対して攻撃で応えようが、お構いなしだ。なぜなら、あなたは自ら進んでヤクザになったのであるから。つまり、あなたはエゴの子分になったのである。



To Him you ascribed the ego's treachery, inviting it to take His place to protect you from Him.
  • ascribe [əskráib] to : 「〜に帰する、〜のせいにする」
  • treachery [trét∫(ə)ri] : 「不信、裏切り行為、背信、不実、謀反」
  • invite [inváit] : 「招待する、招く、案内する」
  • place [pléis] : 「場所、個所、住所、席、立場、境遇」
  • take one's place : 「〜の代わりをする、〜の後任になる、〜と交代する、〜の後がまに座る」
  • protect [prətékt] : 「保護する、守る、防御する」
❖ "To Him you ascribed ~ "「あなたは、エゴの裏切り行為を神のせいにし、」神が完全な犠牲を要求したからエゴの子分になったのだと言い訳するわけだ。エゴの子分になった以上は、当然、裏切り行為も何でもござれ、という次第。"inviting it to take ~ "分詞構文、単純接続、「そして、あなたを神から守ってもらうために、エゴを神の座に据えるべく、エゴを招き入れるのである」。神をその座から追い出して、エゴをあなたの親分として、その座に座らせるのだ。



And you do not recognize that it is what you invited in that would destroy you, and does demand total sacrifice of you.
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • destroy [distrɔ́i] : 「破壊する、崩壊させる」
❖ "And you do not recognize ~ "「そして、あなたはthat以下を認識してはいない」。"that it is what you ~ "強調構文、「あなたが招き入れたものこそ、あなたを破壊するであろうし、あなたに完全な犠牲を要求するのである」。あなたに完全な犠牲を要求し、あなたを破壊尽くそうとするのは、神ではなく、エゴなのだ。しかも、あなたはそれに気づかずに、エゴを親分として招き入れたのである。



No partial sacrifice will appease this savage guest, for it is an invader who but seems to offer kindness, but always to make the sacrifice complete.
  • partial [pɑ́ː(r)∫l] : 「部分的な、一部の、一部分の」
  • appease [əpíːz] : 「なだめる、和らげる、満たす、鎮める」
  • savage [savage] : 「野蛮な、残忍な、凶暴な、残酷な、無礼な、下品な」
  • guest [gést] : 「客、ゲスト、招待客、泊まり客」
  • invader [invéidər] : 「侵入者、侵略国、移住者、侵略軍、侵略者 」
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • kindness [káin(d)nəs] : 「親切、親切心、思いやり」
  • always [ɔ́ː(l)weiz] : 「いつも、常に」
  • make [SVOC] : 「〜を〜な状態にする」
  • complete [kəmplíːt] : 「完全な、完璧な」
❖ "No partial sacrifice will ~ "「部分的な犠牲では、この残忍な客を満足させることは出来ないだろう」。"this savage guest"「この残忍な客」とは、もちろん、エゴのこと。完全な犠牲以外、エゴを満たすことは出来ない。"for it is an invader who ~ "「なぜなら、その客(エゴ)は、優しさを差し出しているように見せかけて、いつも犠牲を完全なものにするからである」。エゴは甘いことを言ってあなたを騙しているが、その目的はあなたの完全な犠牲である。



9. You will not succeed in being partial hostage to the ego, for it keeps no bargains and would leave you nothing.
  • succeed [səksíːd] : 「成功する」
  • succeed in : 「〜に成功する」
  • partial [pɑ́ː(r)∫l] : 「部分的な、一部の、一部分の」
  • hostage [hɑ́stidʒ] : 「人質」
  • bargain [bɑ́ː(r)gin] : 「約束、駆け引き、取引、契約」
  • leave [líːv] : 「〜を残す、〜を預ける、〜を任せる」
❖ "You will not succeed in ~ "「エゴの、部分的な人質になろうとしても、あなたは成功しないだろう」。何しろ、エゴはあなたに完全な犠牲を求めるのだから、あなたを完全な人質にするのである。人質にするとは、ここでは、完全な子分にする、といった意味合い。あなたを完全に隷属させるのである。捕虜である。奴隷である。"for it keeps no bargains ~ "「なぜなら、エゴはどんな約束も守らないし、あなたに何も残こそうとしないのだから」。捕虜や奴隷との約束事など、エゴが守るわけがないし、ましてや、餌(えさ)以外、何を与えるだろうか。



You must choose between total freedom and total bondage, for there are no alternatives but these.
  • choose [t∫úːz] : 「〜を選ぶ、〜を選択する」
  • between [bitwíːn] A and B : 「AとBの間で」
  • total [tóutl] : 「完全な、全くの、全部の、全体の、全面的な」
  • freedom [fríːdəm] : 「自由、解放、自主、独立」
  • bondage [bɑ́ndidʒ] : 「緊縛、隷属性、束縛」
  • alternative [ɔːltə́ː(r)nətiv] : 「代わりとなるもの、代わりの方法、代替案」
❖ "You must choose between ~ "「あなたは、完全な自由か完全な隷属かのどちらかを選ばねばならない」。 "for there are ~ "「なぜなら、これ以外に代わりの選択肢がないからである」。部分的に自由で、部分的に隷属する、という形はとれない。エゴの子分になって完全に隷属するか、ホーリー・スピリットのパワーを借りて完全に解放されるか、そのどちらかを選択しなくてはならないのだ。



You have tried many compromises in the attempt to avoid recognizing the one decision you must make.
  • try [trái] : 「試す、やってみる、試みる、企てる、試験する」
  • compromise [kɑ́mprəmàiz] : 「 譲歩、妥協、歩み寄り、和解」
  • attempt [ətém(p)t] : 「試み、企て」
  • in an attempt to : 「〜しようとして、〜しようと企てて」
  • avoid [əvɔ́id] : 「避ける、回避する、逃れる」
  • recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議、裁決」
  • make a decision : 「決定する、決心する」
❖ "You have tried many ~ "「あなたは今までずっと、あなたが下すべき一つの決定を認識することを避ける企てとして、多くの妥協を図ってきた」。エゴを選択するか、ホーリー・スピリットを選択するか、二者択一の決定を、妥協を図ることで回避してきたのである。時には無神論者となって神を罵倒し、時には敬虔な信徒のように神に祈ったりしてきたのだ。



And yet it is the recognition of the decision, just as it is, that makes the decision so easy.
  • recognition [rèkəgní∫n] : 「認識、認証、真価を認めること」
  • decision [disíʒ(ə)n] : 「解決、決定、決意、決心、決議、裁決」
  • make [SVOC] : 「〜を〜の状態にする」
  • easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
❖ "And yet it is ~ "先頭の"it"は"that makes ~ "のこと、「しかし、決定を容易なものにするのは、ありのままに、決定を認めることである」。"just as it is"は「単に、そうであるように」という意味合いで、ここでは「ありのままに」と訳してみた。つまり、あなたは決定を遅らせるために、色々な妥協を図ってきたが、この際、覚悟を決めて、エゴかホーリー・スピリットかの選択をきちんとするのだと決心しさえすれば、そして、その選択こそが絶対必要なのだと認識さえすれば、意外と選択は簡単なのだ、ということ。もっと、はっきり言えば、ホーリー・スピリットを選択しなさい、それは簡単な選択なのだよ、ということ。だが、ACIMは決して強制はしない。あくまでも、ACIMは、あなたの自由意志による選択を求めているのである。



Salvation is simple, being of God, and therefore very easy to understand.
  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済、救い、救世」
  • simple [símpl] : 「簡単な、簡素な、単純な、容易な」
  • therefore [ðéə(r)fɔ̀ː(r)] : 「それ故に、そのために、従って、だから」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
❖ "Salvation is simple ~ "「救いは、神の仕事であるから、容易なのだ」。ここの"being of God"は分詞構文で、理由と捉えた。直訳すると「神のものなので」となるが、意訳して「神の仕事なので」としてみた。"and therefore very ~ "「したがって、(救いは)とても理解しやすいのである」。罪の意識から救ってくれるのは神(あるいはホーリー・スピリット)であり、そのパワーに委ねればいいことだから簡単なのである。しかも罪の意識から救われることに何ら難しい議論をすることもなく、理解も簡単だ。



Do not try to project it from you and see it outside yourself.
  • project [prədʒékt] : 「〜を投影する、発射する、投げ出す」
  • outside [áutsáid] : 「〜の外に、〜の外側に」
❖ "Do not try to project it ~ "「それをあなたから切り離して投射し、あなたの外側に見ようなどと試みてはいけない」。"it"は「神」でも「救い」でも、あるいは「状況一般」と見ても、意味は通じる。しかし、ここでは小文字の"it"を使っているので「神」は除外して、「状況」と考えておこう。人は苦しい状況に陥ると、その状況を乖離し、自分に都合のいい状況を想像して外部へ投射するのだ。これは、心の崩壊を防ぐための自己防御作用であるが、悪い言えば、ごまかしである。そんなごまかしの投射はするな、と言っている。なぜなら、ホーリー・スピリットを選択する決定はいたって容易だからだ。



In you are both the question and the answer; the demand for sacrifice and the peace of God.
  • both [bóuθ] A and B : 「AもBも両方」
  • question [kwést∫n] : 「質問、問題、疑問、問い、質疑」
  • answer [ǽnsə(r)] : 「答え、回答、返事、応答」
  • demand [dimǽnd] : 「要求、必要、要望」
  • sacrifice [sǽkrəfàis] : 「犠牲、いけにえ、ささげものをすること」
  • peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
❖ "In you are both ~ "「あなたの心の中には、疑問と答えの両方がある」。"the demand for ~ "「つまり、犠牲の要求と神の平和である」。あなたの心の中にある罪の意識に対処するために、あなたは妥協を図りつつ、時にはエゴの子分になって他者に犠牲を強いたり、自分に犠牲を強いたりしてきた。しかしそれでも、あなたの心の中には疑問が残る。なぜなら、罪の意識は犠牲では消滅しないからだ。なぜ、エゴの指示に従っても心の平和は得られないのだろうか、と疑問に思う。しかし、その答えは、同時に、あなたの心のなかにある。あなたの心の最も神聖な部分、最も純粋な部分にキリスト、あるいはホーリー・スピリットが住んでいて、あなたを罪の意識から救い出そうとしている。その救い主に全身を委ねる決定を潔く下せばいいのだ。そうすれば、あなたは、神の平和を得ることが出来るのである。
 
 
 

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