●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-17.II.8:1 ~ T-17.III.1:12

8. How much do you want salvation? It will give you the real world, trembling with readiness to be given you.

  • salvation [sælvéi∫n] : 「救出、救済救い、救世」
  • tremble [trémbl] : 「震える、身震いする、おののく、震動する、揺れ動く、そよぐ」
  • readiness [rédinəs] : 「用意ができていること、準備ができていること」
❖ "How much do ~ "「あなたはどれだけ救いを求めているだろうか」。"It will give you ~ "「救いは、あなたに実相世界を与えてくれるだろう」。"trembling with ~ "分詞構文、付帯状況、「救いは、あなたに与えられる準備が整って、わくわくしているのだ」。救いとは幻想世界の夢から覚醒すること。幻想世界は消滅し、実相世界が出現する。つまり、救いは実相世界をあなたにもたらすのだ。救いを擬人化して書いているが、救いを主導してくれるのは、もちろん、ホーリー・スピリットである。



The eagerness of the Holy Spirit to give you this is so intense he would not wait, although he waits in patience.
  • eagerness [íːɡərnis] : 「熱烈、切望すること、熱心、熱望、熱意、意欲」
  • intense [inténs] : 「極度の、強烈な、極めて強い、激しい、熱心な」
  • wait [wéit] : 「じっとしている、待つ」
  • although [ɔː(l)ðóu] : 「〜だけれども、〜ではあるが、〜とはいえ」
  • patience [péi∫ns] : 「忍耐、我慢、辛抱強さ、根気」
❖ "The eagerness of ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、「救いをあなたに与えたいというホーリー・スピリットの熱意があなりにも強烈なので、ホーリー・スピリットは待ちきれない思いでいる」。"although he waits ~ "「辛抱強く待っているとはいえ」。あなたが救いを求める意思を表すのを、ホーリー・スピリットは今か今かと待っている。



Meet his patience with your impatience at delay in meeting him.
  • meet [míːt] : 「満足させる、かなえる、満たす、かなう」
  • impatience [impéi∫ns] : 「我慢できないこと、耐えられないこと、焦り、焦燥」
  • delay [diléi] : 「遅延、遅滞、猶予、遅れ」
❖ "Meet his patience with ~ "「ホーリー・スピリットと出会うことを遅らせるなんて我慢できないというあなたの思いで、ホーリー・スピリットの我慢を満足させなさい」。今すぐにでも、救いをホーリー・スピリットに求めなさい。あなたも我慢できないし、ホーリー・スピリットも我慢できないのだから。



Go out in gladness to meet with your Redeemer, and walk with him in trust out of this world, and into the real world of beauty and forgiveness.
  • go out : 「外へ出る、外出する、出掛ける、出て行く」
  • gladness [ɡlǽdnis] : 「喜ばしさ、喜び」
  • meet [míːt] : 「〜に会う、〜と会合する、〜と接触する」
  • redeemer [ridíːmər] : 「救い主、贖い主」
  • walk with : 「〜とともに歩む」
  • trust [trʌ́st] : 「信頼、信用」
  • beauty [bjúːti] : 「美、美しさ」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
❖ "Go out in gladness ~ "「あなたの救い主に出会うために、喜んで、表に飛び出なさい」。幻想世界の外へ、幻想を赦すことで、出て行きなさい。"and walk with him ~ "「ホーリー・スピリットを信頼して、この世界の外を共に歩いて行きなさい」。"and into the real ~ "「そして、美と赦しの実相世界に入って行きなさい」。
 
 
 
 
 
III. Shadows of the Past
過去の影


1. To forgive is merely to remember only the loving thoughts you gave in the past, and those that were given you.
  • forgive [fə(r)gív] : 「許す、容赦する、勘弁する」
  • merely [míə(r)li] : 「ただ単に、単に、たかが〜にすぎない」
  • remember [rimémbə(r)] : 「〜を思い出す、〜を覚えている」
  • loving [lʌ́viŋ] : 「愛情を抱いた、誠実な、愛情のある、愛情に満ちた、愛情のこもった」
  • thought [θɔ́ːt] : 「思索、熟考、思考、考え、見解、思想」
  • gave [gǽvl] : 「give の過去形」
  • past [pǽst] : 「過去、昔」
  • given [gívn] : 「give の過去分詞形」
❖ "To forgive is merely ~ "「赦すということは、ただ単に、過去にあなたが与えた愛の思いや、あなたが与えられた愛の思いを思い出すことなのだ」。"the loving thoughts"「愛の思い、愛情に満ちた考え」とは、真実の想念であり、実在である。その実在の想念を思い出し、その他の実在しない思い、つまり、幻想的な思考は取り消しにするのである。それが、赦しだと言っている。



All the rest must be forgotten. Forgiveness is a selective remembering, based not on your selection.
  • rest [rést] : 「残り、残っているもの、残りの部分、残余」
  • forgotten [fə(r)gɑ́tn] : 「forget の過去分詞形」
  • forget [fə(r)gét] : 「〜を忘れる、見落とす」
  • forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
  • selective [siléktiv] : 「選択の、選択できる、選択的な、抜粋の」
  • remembering : 「想起、思い出すこと」
  • base on : 「〜に基づく、〜に準拠する」
  • selection [səlék∫n] : 「選ぶこと、選択、選ばれた物、選抜、抽出」
❖ 愛の思い以外は、"All the rest must ~ "「その他のすべては、忘れ去られるべきだ」。したがって、"Forgiveness is a selective ~ "「赦しとは、思い出すものを選ぶことなのである」。"based not on ~ "「ただし、あなたの(好き勝手で)選ぶのではないが」。実在する愛の思いと、実在しない幻想の思いを選別して、実在の愛の思いだけを思い出すこと、その他は忘れてしまうこと、それが赦し。



For the shadow figures you would make immortal are "enemies" of reality.
  • shadow [∫ǽdou] : 「影の、陰の」
  • figure [fíɡjər] : 「形、形状、形態、外観、姿、人影」
  • make [SVOC] : 「 〜の状態を作り出す、〜にする」
  • immortal [imɔ́ː(r)tl] : 「不朽の、不滅の、永久の、死なない、不死の」
  • enemy [énəmi] : 「敵、敵国、かたき」
  • reality [ri(ː)ǽləti] : 「現実、真実、事実、実態、実相」
❖ "For the shadow figures ~ "「なぜなら、あなたが永遠のものとしようとした影の姿が、実相の『敵』となるからだ」。だから、『敵』を選択してはならない。それは赦して忘れ去るべきものだ。さて、"the shadow figures"「影の姿」とは何か? 幻想世界の諸々の事象と考えていいだろう。単数形ならエゴと言いたいところだが、複数形なので、幻想世界にごろごろある物体、生き物、現象、と考えておこう。特に、あなた以外の他者、同胞と考えてもいいだろう。あなたは、それらの幻想を、あたかも実在のごとく扱って、永遠に存在し続けるもののようにしたのである(make immortal)。しかし、幻想を存続させようとする試みは、実相世界(reality)に目覚める機会を奪う敵(enemies)である。



Be willing to forgive the Son of God for what he did not do. The shadow figures are the witnesses you bring with you to demonstrate he did what he did not.
  • be willing to : 「〜する意思がある、進んで〜する、〜に前向きである」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • bring [bríŋ] : 「〜を連れて来る、〜を持って来る」
  • demonstrate [démənstrèit] : 「実証する、立証する、証明する、明らかにする、明示する、実際にやってみせる、実演する」
❖ "Be willing to forgive ~ "「神の子を、本当は何もしなかったのだと、心から赦してやりなさい」。具体的には、神から分離したと思い込んだだけであって、本当は神から分離などしなかったのだと認識し、罪の意識を取り消しにしなさい、赦しなさい、ということ。分離によって偽創造したこの幻想世界も、本当は単なる夢であって、実際に作ったものではないのだと認識して、赦してやりなさい、取り消しにしなさい、ということ。"The shadow figures are ~ "「影の姿とは、神の子がしなかったことをあたかもしたかのごとくに示すために、あなたが持ち込んだ証人である」。夜見る夢の中で、あなたは罪を犯したとしよう。夢の中に出てくる影の存在は、あなたが罪を犯したと証言するだろう。しかし、あなたが罪を犯したのは夢に中だけであって、本当は罪など犯していないのである。ところで、あなたの罪を証言する夢の中の証言者達は、一体誰が夢の中に持ち込んだのか? あなた自身である。なぜなら、あなた自身が夢をみているのだから。



Because you bring them, you will hear them. And you who keep them by your own selection do not understand how they came into your mind, and what their purpose is.
  • keep [kíːp] : 「〜を持ち続ける、保持する」
  • selection [səlék∫n] : 「選ぶこと、選択、選抜、抽出」
  • understand [ʌ̀ndə(r)stǽnd] : 「理解する、了解する、納得する、分かる」
  • purpose [pə́ː(r)pəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
❖ "Because you bring ~ "「あなたが彼らを持ち込んだのだから、」"you will hear ~ "「あなたは彼らの言うことに耳を傾けてしまうのだ」。影の姿が、あなたは罪があると証言する、その言葉を聞き入れてしまう。自分の罪を認め、信じ、現実化してしまうのだ。"And you who keep ~ "「彼らをあなた自身の選択によって保持しているあなたは、」幻想世界の影の姿はあなたが幻想し、その存在をあなたが選択したものであるが、そのあなたは、"do not understand ~ "「彼らがどのようにしてあなたの心の中に入り込んだのか、そして、かれらの目的は何なのか、理解していない」。罪の意識の重みに耐えかねて自己を乖離し、幻想世界を心の外側に投射したことをあなたは理解していないし、罪の意識を自分の目から隠すために罪の意識を、影の姿として化身させたことも理解していない。幻想世界は神からの分離の象徴であるということを知らないでいるのだ。



They represent the evil that you think was done to you.
  • represent [rèprizént] : 「〜を表す、描く、描写する、意味する、象徴する、示す」
  • evil [íːvl] : 「悪い、害を与える、邪悪な」
  • done [dʌ́n] : 「do の過去分詞」
❖ "They represent the evil ~ "「幻想の影の姿は、あなたがされたと思い込んでいる邪悪を表しているのだ」。あなたが他者から受けたと信じ込んだ悪感情をすべて投射して、その他者を悪者に仕立て上げるのである。本当は、あなた自身の罪の意識が根本原因であるにも関わらず、それを隠そうとするあまり、他者に責任を負わせようとするのだ。悪いのはアイツだ、オレは悪くない、アイツがオレを憎んだのだ、だからオレはアイツを憎む、アイツがオレを裏切ったのだ、だからオレはアイツを裏切ってやる、等々。しかし、考えてもみよう、自他一如によって、他者はあなた自身なのである。ならば、影の姿が邪悪を表現しているなら、それはあなたの邪悪を表していることになる。つまり、罪があるならあなた自身であり、幻想世界が醜く見えるのは、あなたの心が醜いからだ。その心の醜さこそ、罪の意識であると言えないか?



You bring them with you only that you may return evil for evil, hoping that their witness will enable you to think guiltily of another and not harm yourself.
  • bring [bríŋ] : 「~を連れてくる、~を持って来る」
  • return [ritə́ː(r)n] : 「〜を返す、戻す、返却する」
  • evil [íːvl] : 「害悪、悪、弊害、災害、不運」
  • hope [hóup] : 「願う、希望する、期待する、望む」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
  • enable [enéibl] : 「〜を可能にする、〜に可能性を与える」
  • guiltily [gíltili] : 「罪を犯して」
  • harm [hɑ́ː(r)m] : 「害する、阻害する、〜に危害を加える」
❖ "You bring them with ~ "ここの"that"は"so that"「〜できるように、その結果」となる、「あなたは幻想の影の姿を一緒に持ち出して、」"that you may ~ "「その結果、あなたは邪悪を邪悪で返そうとするかもしれない」。"hoping that their ~ "分詞構文、付帯状況、「影の姿の証言は、他者に罪があるとあなたに思わせ、あなた自身を傷つけることがないようにするだろう」。どうも意味がとり難いカ所である。幻想の影の姿とは、ここでは他者、あるいは同胞に特化すれば理解しやすいだろう。本来単一である心が分裂して、その象徴として他者を幻想しているのだからだ。この幻想世界での他者との関わり方は、アイツがオレを憎んだから、オレもアイツを憎むのだ、というように、邪悪を邪悪で返す(return evil for evil)関わり方である。それは、あなたの悪感情を他者のせいにして(to think guiltily of another)、自分の罪を自分で責めて、自分を傷つけることを避けようとしている(not harm yourself)のだ。



They speak so clearly for the separation that no one not obsessed with keeping separation could hear them.
  • speak for : 「〜の代弁をする、〜を代表する、〜を物語る、〜を示す」
  • clearly [klíə(r)li] : 「はっきりと、疑いもなく、明らかに」
  • separation [sèpəréi∫n] : 「分離、区別、別居、別離、離脱」
  • obsess [əbsés] : 「取り付く、強迫観念となる」
❖ "They speak so clearly ~ "ここは"so ~ that ~ "の構文、意訳して、「幻想の影の姿は、明らかに分離を象徴しているので、」"that no one not obsessed ~ "「分離に取り付かれていないものは誰も、彼らに耳を傾けることなど出来まい」。自他一如であるはずの他者が、他人として見えるのは、この幻想世界が分離を象徴して偽創造されたからだ。しかし、その分離に取り憑かれていない者、つまり、自他一如をわきまえている者にとっては、他者の証言をそのまま信じることはない。証言自体が幻想であると知っているからだ。



They offer you the "reasons" why you should enter into unholy alliances to support the ego's goals, and make your relationships the witness to its power.
  • offer [ɔ́(ː)fə(r)] : 「差し出す、捧げる、提供する」
  • reason [ríːzn] : 「理由、動機、原因、根拠」
  • enter [éntə(r)] : 「入る、立ち入る」
  • unholy : 「不信心な、不敬な、不道徳な」
  • alliance [əláiəns] : 「同盟、協力、同盟関係、提携、連合、協調」
  • support [səpɔ́ː(r)t] : 「〜を支える、支援する、援助する、支持する、後押しする」
  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • relationship [riléi∫n∫ìp] : 「関係、結び付き、かかわり合い、関連」
  • witness [wítnəs] : 「目撃者、証人、参考人、証拠、証言」
❖ "They offer you ~ "「幻想の影の姿は、エゴの目的を支持する非神聖なる同盟にあなたも加入し、あなたの関係性をエゴのパワーの証人とすべき理由を差し出す」。「エゴの目的を支持する非神聖なる同盟」とは、幻想世界を実在と信じ、エゴの思考システムを採用する同胞達の集まりのこと。そして、その同胞達の集まりの中で、特別な愛の関係性を築き、閉鎖された二人きりの世界の中で、神なしでも人間は幸福になれると信じるエゴの思考システムのパワーの証言者になるように、影の姿はあなたに勧めるのだ。"reasons"「理由」とあるが、この幻想世界が実在であって、神など存在しないのだから、神に変わる存在としてエゴを祭り上げる必要性があるという理由。つまり、偶像の存在理由だ。その偶像の足下で、神の子は奴隷と化して、地にぬかづくのである。なぜなら、神の子は自分の罪を信じ、それを裁いてくれるのは偶像であるエゴだと信じきっているからだ。
 
 
 

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