●  "A Course in Miracles (ACIM)""Text" (1975年版) の英語原文を、単に翻訳するだけでなく、精読、精解していくワークショップです。
●  Title に、たとえば T-26.IV.4:7 とありましたら、これは "Text" の Chapter 26、Section IV、Paragraph 4、Sentence 7 という場所を示しています。
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T-23.II.15:1 ~ T-23.II.16:7

15. These do not seem to be the goals of chaos, for by the great reversal they appear to be the laws of order. How could it not be so? Chaos is lawlessness, and has no laws.

  • goal [góul] : 「目標、目的地、目的、目指すもの」
  • chaos [kéiɑs] : 「無秩序、混乱、混沌」
  • great [gréit] : 「大きな、巨大な、偉大な、卓越した」
  • reversal [rivə́ːrsəl] : 「逆転、逆戻り、反転」
  • appear [əpíər] to : 「〜するように見える、〜するように思える」
  • law [lɔ́ː] : 「法、法律、法規、法令」
  • order [ɔ́ːrdər] : 「秩序、道理、治安、体制、順位、序列」
  • lawlessness [lɔ́ːlisnis] : 「無法、法律に反すること」
❖ "These do not seem to ~ "「混沌という目的があるようには見えない」。混乱の法は、無秩序を目的にしているようには見えない。"for by the great ~ "「なぜなら、大逆転によって、混乱の法は秩序の法のように見えてくるからだ」。"the great reversal"「大逆転」とは、前段落で述べられた、正気と狂気、真実と虚偽、等々の逆転。つまり、幻想が実相で、実相が幻想であると思い込み、信じ込むこと。"How could it not ~ "「そう見えないことがあろうか」。混沌にも、秩序の法があるように見える。しかし、実際は、"Chaos is lawlessness ~ "「混沌は、無法状態のことであり、法というものを持っていないのだ」。



To be believed, its seeming laws must be perceived as real. Their goal of madness must be seen as sanity.
  • believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
  • seeming [síːmiŋ] : 「外観上の、外見だけの、見せかけの、うわべの」
  • perceiveb [pərsíːv] : 「知覚する、〜に気付く、〜を見抜く」
  • real [ríəl] : 「実在する、現実の、実際の、本物の」
  • madness [mǽdnəs] : 「狂気、熱狂、熱中」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • sanity [sǽnəti] : 「正気、健全さ」
❖ "To be believed ~ "「それが信じられるように、混沌のもつ見せかけの法は、現実的なものとして知覚されなければならない」。つまり、現実に役立つ法のように思われなくてはならない。"Their goal of ~ "「狂気の目的は、正気であるかのように見られなくてはならないのだ」。狂気が正気に見えてくるから、世の人々の多くは、混沌の法に騙されて、それこそが真実であると思い込んでいるのである。あなたは、目の前に見える現実を実在だとは思わないだろうか。目の前の現実が真実だと思わないか。そうなら、あなたはまんまと騙されているのだ。幻想が実相で、実相が幻想であると思い込んでいるのである。



And fear, with ashen lips and sightless eyes, blinded and terrible to look upon, is lifted to the throne of love, its dying conqueror, its substitute, the savior from salvation.
  • fear [fíər] : 「恐れ、恐怖」
  • ashen [ǽʃən] : 「灰の、灰色の、灰白色の、青白い」
  • lip [líp] : 「唇」
  • sightless [sáitlis] : 「目に見えない、盲目の」
  • blind [bláind] : 「〜を盲目にする、〜を見えなくさせる」
  • terrible [térəbl] : 「恐ろしい、怖い、ひどく嫌な、とても不快な」
  • look upon : 「〜を見る」
  • lift [líft] : 「持ち上げる、高める」
  • throne [θróun] : 「王位、国王、王座」
  • dying [dáiiŋ] : 「死にかけている、臨終の、消えかけている」
  • conqueror [kάŋkərər] : 「征服者、勝利者」
  • substitute [sʌ́bstətjùːt] : 「代わりのもの、代用品」
  • savior[séiviər] : 「救助者、救い手、救済者、救い主」
  • salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
❖ "And fear, with ~ "「恐れは、血の気を失った唇と何も見えない目をもって、」"blinded and terrible ~ "「盲目となり見ることを恐れているが、」"is lifted to the ~ "「その恐れは、愛の王位へと引き上げらるのだ」。"its dying ~ "「それは、死を目の前にした愛の征服者であり、愛に代わるものであり、救いからの救い主なのだ」。混沌の法を信じる者にとっては、愛は不必要であり、愛に代わって恐れが一番の主役となる。盲目の、そして、死神のような血の気のない唇をした恐れの姿である。混沌からの救いは必要ではなく、恐れが混沌をますます深めてくれるのだ。



How lovely do the laws of fear make death appear. Give thanks unto the hero on love's throne, who saved the Son of God for fear and death!
  • lovely [lʌ́vli] : 「愛らしい、かわいらしい、美しい、すてきな」
  • death [déθ] : 「死、消滅、死亡、破滅、終わり」
  • thank [θǽŋk] : 「感謝、謝意、謝辞」
  • hero [híərou] : 「英雄、偉人」
  • save [séiv] : 「救う、助ける」
❖ "How lovely do the laws ~ "「恐れの法は、どんなにか死を愛らしく見せてくれるだろう」。"Give thanks unto ~ "「(愛を蹴落とし、)愛の王座に就いた恐れと言うヒーローに感謝するがいい」。"who saved ~ "「そのヒーローこそが、恐れと死のために、神の子を救ったのだ」。恐れが、恐れと死を温存するために、あえて神の子を殺すことなく、いつまでも恐れに捕らわれているようにと、罪という名の牢獄に閉じこめたのだ。その事情を、皮肉を込めて、「神の子を救った」と表現したのである。つまり、無に自己を同一化して虚無に生きることより、罪に同一化して、恐れを抱きつつその罪と戦う生き方の方が、エゴの考えでは、救いとなるのだ。自由を与えられて、罪という野に放たれるより、罪を背負ったまま牢獄で暮らす方が、エゴの考えでは、楽なのである。このテーマは、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」に詳しい。特に、「大審問官」の章は圧巻である。たまにはACIMをちょっと離れて、ドストエフスキーを読んでみるのも、いい勉強になる。



16. And yet, how can it be that laws like these can be believed? There is a strange device that makes it possible.
  • strange [stréindʒ] : 「奇妙な、変わった、変な、見知らぬ」
  • device [diváis] : 「機器、装置、道具、発明品、仕掛け、工夫」
  • possible[pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "And yet, how can ~ "「しかし、どうすれば、このような法が信じられるのだろうか」。"There is a strange device ~ "「それを可能にする奇妙なトリックがあるのだ」。エゴは、手品師のように巧妙にトリックを使う、トリックの名手である。誰でも騙されるのだ。騙されたあなたが悪いのではない。エゴがあなたの先を行っているだけなのだ。



Nor is it unfamiliar; we have seen how it appears to function many times before.
  • unfamiliar [ʌnfəmíljər] : 「よく知らない、知られていない、なじみのない」
  • seen [síːn] : 「see の過去分詞形」
  • appear to : 「〜するように見える、〜のように思われる」
  • function [fʌ́ŋkʃən] : 「働く、機能する」
  • many times : 「何度も」
  • before [bifɔ́ːr] : 「以前に、前に、早く、先に」
❖ "Nor is it ~ "「決して、(エゴのトリックは)馴染みのないものではない」。"we have seen how ~ "「私たちは、以前何度も、それがどのように機能らしきことをしているか、見てきた」。答えを先取りするようで申し訳ないが、そのトリックとは、張り子のトラのことだ。中身の空っぽの、側(がわ)だけが立派な存在感のあるもののことだ。内容はなく形だけもの。内容主義ではなく、形式主義というトリックである。エゴは、混沌の法にこれを使う。



In truth it does not function, yet in dreams, where only shadows play the major roles, it seems most powerful.
  • in truth [trúːθ] : 「実のところ、実際には」
  • dream [dríːm] : 「夢、夢現象、夢うつつの状態」
  • shadow [ʃǽdou] : 「影、暗がり、人影、陰」
  • major [méidʒər] : 「主要な、重要な、専攻の、大きい方の」
  • role [róul] : 「役、役目、役割、任務、職務」
  • major role : 「主要な役割、主役」
  • powerful [páuərfəl] : 「強い、強力な、力強い、迫力のある」
❖ "In truth it ~ "「本当は、機能しているのではない」。"yet in dreams, where ~ "「しかし、夢の中では、影だけが主役を演じているので、」"it seems most ~ "「それは、最も力のあるものに見えるだけなのだ」。中身がないので、それは影のような存在である。しかし、側(がわ)は堅固なので、表面的には力がありそうなのだ。その張り子のトラは、夢の中で暴れまくる。



No law of chaos could compel belief but for the emphasis on form and disregard of content.
  • compel [kəmpél] : 「屈服させる、無理に従わせる」
  • belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
  • emphasis [émfəsis] : 「強調、重要性」
  • form [fɔ́ːrm] : 「形、外形、構造、姿、体つき、現れ」
  • disregard [dìsriɡάːrd] : 「無関心、無視、軽視」
  • disregard of : 「〜の無関心、〜の無視、〜の軽視」
  • content [kɑ́ntent] : 「内容、中身」
❖ "No law of chaos ~ "ここは"No ~ but ~ "とあるので、解釈に気を付けること、つまり、"No A but B "は「BではないAはない」、つまり「すべてのAはBだ」という意味になる、「すべての混沌の法は、形を強調し内容を無視するので、無理やりにも信じさせるのである」。まさに、張り子のトラということだ。混沌の法は、内容はめちゃくちゃなのだ。矛盾と虚偽だらけだ。真実の内容はない。しかし、表面的には、非常に堅固な論理で武装して、立派な建造物に見えるのだ。その側(がわ)をもって、騙すのである。信じさせるのだ。まさにトリックである。



No one who thinks that one of these laws is true sees what it says. Some forms it takes seem to have meaning, and that is all.
  • true [trúː] : 「真の、真実の、本当の、本物の」
  • see [síː] : 「理解する、わかる」
  • meaning [míːniŋ] : 「意味、意義、目的、意図」
❖ "No one who thinks ~ "「これらの混沌の法の一つでも正しいと思っている者は誰も、その法が何を言わんとしているか、わかっていない」。内容がないから、言わんとしていることなど、混沌の法には、そもそもないのだ。混沌の法を信奉する者も、内容を問うことはない。立派な御殿が目の前に見えるだけで安心するのだ。お気付きのように、奇っ怪な新興宗教、カルト教団のトリックとそっくりではないか。"Some forms it takes ~ "「混沌の法がとる形のいくつかは、意味をもっているように見えるかも知れない」。"and that is ~ "「が、そう見えるだけの話しだ」。何もないのだ。混沌の法は、幻想の法であって、相手が幻想なのだから、そもそも実在する内容などないのだ。無であり、空である。無であり空であるから、意味すらない。しかし、その無と空を覆う殻に、人々は騙されるのである。空っぽの貝殻に、人は実在を感じてしまうのだ。張り子のトラに恐怖を覚えるのである。
 
 
 

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