3. Salvation is no compromise of any kind. To compromise is to accept but part of what you want; to take a little and give up the rest.
- salvation [sælvéiʃən] : 「救出、救済、救い、救世」
- compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩、妥協、歩み寄り、和解、示談」
- of any kind : 「いかなる種類の」
- compromise [kάmprəmàiz] : 「譲歩する、妥協する、和解する」
- accept [æksépt] : 「承認する、認める、容認する、受け入れる」
- part [pάːrt] : 「一部、部分」
- give up : 「あきらめる、手放す、断念する、放棄する」
❖ "Salvation is no ~ "「救いは、いかなる種類の妥協でもない」。"To compromise is ~ "「妥協するとは、あなたが望んでいることの一部だけを受け入れることである」。"to take a little ~ "「つまり、ほんの少しを取って、残りを諦めることなのだ」。したがって、実相的な救いは、一部を救い、一部を救わない、というようなのもではなく、全的に、トータルに救うことである。
Salvation gives up nothing. It is complete for everyone. - complete [kəmplíːt] : 「完結した、完成した、完全な、全くの」
❖ "Salvation gives up ~ "「救いは、何も諦めたりしない」。"It is complete ~ "「救いは、誰にとっても、完全であらねばならないのだ」。救いとは、幻想世界から実相世界への目覚めであり、幻想世界を脱して、実相世界に入ることである。したがって、体の一部を幻想世界に残して、他の部分だけ実相世界に入っても意味がないのだ。心の一部が実相世界に目覚め、他の部分が幻想世界の夢にまどろんでいるようではならない。
Let the idea of compromise but enter, and the awareness of salvation's purpose is lost because it is not recognized. - idea [aidíːə] : 「考え、着想、発想、意図、狙い、目的」
- enter [énter] : 「〜に入る、〜に参加する、〜に立ち入る」
- awareness [əwέərnis] : 「認識、自覚、気付いていること、意識性」
- purpose [pə́ːrpəs] : 「目的、意図、狙い、意向、趣旨、意味」
- lost [lɔ́st] : 「lose の過去・過去分詞形」
- lose [lúːz] : 「〜を失う、見失う、喪失する、なくす」
- recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
❖ "Let the idea of ~ "「妥協という考えを(心の中に)入り込ませると、」"and the awareness of ~ "「救いという目的の意識性が失われしまう」。"because it is not ~ "「なぜなら、救いは認識されなくなってしまうからだ」。つまり、妥協してもよいと考えてしまえば、是が非でも実相世界に目覚めたいという救いへの意識性、強いモティベーションが薄らいでしまい、結果、救いは成就しない。それどころか、成就する前に、救われたいという望みが自体が消えてしまい、救いは認識されなくなってしまうのだ。
It is denied where compromise has been accepted, for compromise is the belief salvation is impossible. - deny [dinái] : 「〜を否定する、否認する、拒む、拒絶する」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- impossible [impɑ́səbl] : 「不可能な、とてもあり得ない、できない、無理な」
❖ "It is denied where ~ "「妥協が受け入れられた時、救いは否定される」。心に妥協してもいいという思いが忍び込むと、救いを否定してしまいかねない。"for compromise is ~ "「なぜなら、妥協とは、救いは不可能だと信じることだからである」。きっと救いは無理だから、救われなくてもいいや、と思ってしまうのである。救われる変わりに、その回避策、妥協案を模索するわけである。
It would maintain you can attack a little, love a little, and know the difference. - maintain [meintéin] : 「〜と主張する、〜を保持する、維持する」
- attack [ətǽk] : 「〜を襲う、〜を攻撃する、〜を非難する」
- difference [dífərəns] : 「違い、差異、相違」
❖ "It would maintain ~ "「妥協は、〜と主張する」。"you can attack ~ "「あなたは、少しだけなら攻撃していいし、少しでも愛すればいい、」"and know ~ "「(それがほんの少しでも)、違いはあると知っている」と、妥協は主張する。妥協は、絶対攻撃しない、とは言わない。少しなら攻撃してもいいと言う。少しの攻撃なら、多くの攻撃と違って、大丈夫だろう、と主張するのだ。妥協は、愛さないよりは、少しだけでも愛した方がいいと言う。少し愛することは、まったく愛さないことと違うではないか、と主張するのだ。
Thus it would teach a little of the same can still be different, and yet the same remain intact, as one. Does this make sense? Can it be understood?- thus [ðʌ́s] : 「それ故に、従って、だから」
- teach [tíːtʃ] : 「〜を教える、指導する」
- same [séim] : 「同じ、同一の、変わらない」
- remain [riméin] [SVC] : 「依然として〜のままである」
- intact [intǽkt] : 「損なわれていない、変わっていない、無傷の、そのまま」
- make sense : 「意味をなす、道理にかなう、うなずける」
- understood [ʌ̀ndərstúd] : 「understand の過去・過去分詞形」
❖ "Thus it would teach ~ "「こうして、妥協は、〜と教えるだろう」。"a little of the same ~ "「同じものだって、少しは違ってもいいし、」"and yet the same ~ "「それでも、同じものは同じものとして損なわれずに一つなのだ」と教えるだろう。"Does this ~ "「こんなことが、意味を成すだろうか」。"Can it be ~ "「理解され得るだろうか」。結局、妥協には、純粋とか神聖とかという概念が完全に欠落しているのだ。少々濁ってもいい、少々神聖でなくてもいい、そういう思想である。
4. This course is easy just because it makes no compromise. Yet it seems difficult to those who still believe that compromise is possible. - course [kɔ́ːrs] : 「コース、進路、課程、講座、科目、単位」
- easy [íːzi] : 「たやすい、やさしい、容易な、簡単な」
- difficult [dífikʌ̀lt] : 「難しい、困難な、難解な、厳しい」
- believe [bilíːv] : 「信じる、真に受ける、確信する、信頼する」
- possible [pɑ́səbl] : 「可能性がある、起こり得る、あり得る」
❖ "This course is easy ~ "「このACIMは、単に、一切の妥協をしないから、(かえって) 容易なのだ」。"Yet it seems difficult to ~ "「しかし、妥協が可能であると、なお信じている者達にとっては、ACIMは難しく思えるだろう」。ACIMは、白黒はっきりしている。白を選ぶか黒を選ぶか、非常に簡単な選択なのだ。しかし、妥協を赦してしまえば、白に黒を混ぜて、無数のグラデーションをもった灰色が出来上がってしまう。その中から、自分の灰色を選ぶとなると、基準が何もないから、非常に難しく感じてしまうのである。
They do not see that, if it is, salvation is attack. Yet it is certain the belief that salvation is impossible cannot uphold a quiet, calm assurance it has come. - attack [ətǽk] : 「攻撃、暴行、襲撃」
- certain [sə́ːrtn] : 「確実な、確かな、確信して、間違いのない、疑う余地のない」
- belief [bilíːf] : 「信じること、信念、信仰、信条、信用、信頼」
- uphold [ʌphóuld] : 「支持する、支える、上げる、持ち上げる」
- quiet [kwáiət] : 「静かな、静粛な、平穏な、穏やかな、平和な」
- calm [kɑ́ːm] : 「穏やかな、静かな、平穏な、冷静な、落ち着いた」
- assurance [əʃúərəns] : 「確かさ、確実さ、確信、断言」
❖ "They do not see ~ "「妥協の可能性を信じる者達は、that以下をわかっていない」"that, if it is, salvation ~ "「もし、妥協が可能なら、救いは攻撃になるかもしれない」とわかっていない。先ほどの、白と黒の例で言うなら、救いという白色に、攻撃という黒色を混ぜることが妥協であり、白の救いに黒の攻撃をどんどん混ぜていくと、白は灰色に転じ、黒に限りなく近くなって、救いは攻撃に質転換てしまうのだ。したがって、救いという白色は、断じて、純白でなければならない。妥協を少しでも許してしまうと、純白は汚され、救いは攻撃へと堕落するのである。
Forgiveness cannot be withheld a little. Nor is it possible to attack for this and love for that and understand forgiveness. - forgiveness [fərɡívnis] : 「許すこと、許し、容赦、寛容」
- withheld [wiðhéld] : 「withhold の過去形、過去分詞形」
- withhold [wiðhóuld] : 「与えないでおく、〜を抑える、差し控える」
❖ "Forgiveness cannot ~ "「赦しを、少しだけ与えずにおくなどと言うことは出来ない」。赦しを与えるなら、全的に与える必要がある。赦しを全的に与えるとは、幻想すべてを幻想として認識することである。世界は幻想だが、肉体は幻想でない、などと、ちぐはぐな赦しではいけないのだ。彼の肉体的存在は幻想だが、自分の肉体は幻想ではない、などと思ってもいけない。真実以外はすべて幻想であり、その幻想すべてを受け入れ赦し、静かに流してやるのである。流し残してはいけない。"Nor is it possible ~ "「同様に、これは攻撃し、あれは愛し、その上、赦しを理解することなど不可能なのだ」。すべてを愛することが基盤となって赦しが成立し、赦しが理解出来るのである。妥協の混じり込んだ赦しは、真実の赦しではない。真実ではない赦しが理解出来ようか。ここでは、話しが救いから赦しに転じているが、妥協を許さないという原則は等しい。
Would you not want to recognize assault upon your peace in any form, if only thus does it become impossible that you lose sight of it? - recognize [rékəgnàiz] : 「〜を認識する、〜を認証する、認める、受け入れる」
- assault [əsɔ́ːlt] : 「暴力、攻撃、暴行」
- peace [píːs] : 「平和、安らぎ、平穏、安心、安定」
- in any form : 「いかなる種類のものであれ」
- lose sight of : 「〜を見失う」
❖ "Would you not want ~ "「いかなる形であれ、あなたの平和の上に加えられた攻撃を認識したいと、あなたは思わないだろうか」。"if only thus does ~ "ここは"it ~ that ~ "の構文、「もし、こうすることによってのみ、」攻撃を認識することによってのみ、「あなたが平和を見失うということが不可能になってくれるなら、」いかなる形であれ、あなたの平和の上に加えられた攻撃を認識したいと、あなたは思わないだろうか。平和を見失わないためには、あなたの平和に加えられる攻撃を正しく認識する必要がある。それがどんな形であれ、とあるから、一見攻撃と認識されないような、巧妙な攻撃であっても、あなたはきちんと正しく認識する必要があるのだ。
It can be kept shining before your vision, forever clear and never out of sight, if you defend it not.- kept [képt] : 「keep の過去・過去分詞形」
- keep [kíːp] : 「〜の状態にしておく、〜の状態を保つ、〜にしておく」
- shining [ʃáiniŋ] : 「光る、輝く、きらめく、明るい」
- vision [víʒən] : 「視覚、視力、洞察力、想像力、展望、構想」
- forever [fərévər] : 「永遠に、永久に」
- clear [klíər] : 「きれいな、澄んだ、透明な、明らかな」
- defend [difénd] : 「〜を守る、防衛する」
❖ "It can be kept ~ "「平和は、あなたのヴィジョンの前で輝き続けることが出来るし、」あなたの正しい心が実相を見る、その視界(ヴィジョン)に、平和が輝いて見えるのだ。"forever clear and ~ "「平和は永遠に清らかで、決して視界から消えない」。"if you defend ~ "「もし、あなたが、平和を守ろうとしないならば」。さて、これはいったいどうしたことだろう? 平和を守ろうとするなら、と書いてくれたなら、何の疑問も抱かずに読み過ごすことが出来るのだが、ここには確かに、平和を守ろうとしないなら、と書いてある。これは、平和は守るものだ、という固定観念が我々にあるために、疑問に感じる部分なのだろう。平和を守るとは、形を変えた攻撃である、という思想が隠されているのだ。実際、平和は真実であり、永遠不変の実相世界のものであるから、平和は永遠に変化せず、常に、そこにあり続けるものなのだ。変化せず、そこにあるだけの存在なら、どうして守る必要があるだろう。守らなくては崩壊してしまう平和は、この幻想世界の平和であって、偽の平和である。争いという対極概念をもつ、二元論世界の平和である。したがって、平和を守る行為は、平和の対極にある攻撃なのだ。一元論世界である実相世界の平和は、対極概念をもたない、絶対的な平和である。純粋に光輝く平和とは、この絶対的な実相的平和であって、攻撃や防御という概念の範疇を超越して存在するものなのだ。したがって、平和は守らなくてはならないと信じている我々は、真の平和を知らないということになる。平和を攻撃することが出来るなどと信じる我々のレベルは、非常に低いということになる。たとえば、核武装して平和を守るという核抑止論を、イエスはどう感じているだろうか? いや、ACIMに政治を持ち込むのはやめよう。次元とレベルがあまりにも違い過ぎるのだ。下品な表現で申し訳ないが、糞と味噌を一緒にしてはいけない。いかに似ていても、レベルが違い過ぎるのだ。『世の中は澄むと濁るで大違い、ハケに毛があり、ハゲに毛がなし』と言うではないか。幻想的平和と実相的平和、幻と実の字の違いだけだが、雲泥の差だ。同じ土俵で論ずることは出来ないのだ。